鳳啓助の噂

November 04 [Sun], 2012, 19:05
私の家では素人の浄瑠璃会がよく催された。盲目の浄瑠璃の師匠を父が世話して家を持たせていた。太棹も、見台も自分用のを持っていた。
 母、祖母、姉たち、武村(分家)の叔母、従姉たち、近所の人たちが聴き手であった。
 幕がつくられ、紅い毛布を敷き高座がもうけられた。
 私は姉たちと隅っこにひとかたまりに陣どって、さざめいていた。私たちは裃をつけて、太夫らしく他所行きになって、泣いたり、大声を立てたりして見せる父に対し、一様にきまり悪さと楽しさとの混じった感情を抱いていた。父が女の声色を使う時には私は下を向いていた。父は太夫になるだけでなく、三味線ひきにもなった。その異様な掛声には私は冷汗が流れた。
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