茶封筒と小箱を手渡す

August 23 [Fri], 2013, 22:49
食事が終えたころ、空になった弁当とビール瓶を台所に運んでいった。
田中社長と漁業関係者が話し合いをし始めたので、律子は台所に行き、
ようやく食事にありつくことができた。

客が帰った後は、弁当箱を洗ったり、掃除したりして、
書斎へ戻るころにはぐったりしていた。
そんなおり、書斎の扉をノックする音が聞こえ、田中社長が入ってきた。

「中村さん、今日はほんとうにありがとう。
とても助かったよ。
それに、おやじとおふくろの世話をしてくれることに、感謝している。これは、そのお礼だよ」

そう言って、茶封筒と小箱を手渡す。
社長が去った後、律子は封筒と小箱を開けてみる。
封筒には現金三〇万円が、小箱には田崎真珠のネックレスが入っていた。
律子は思わずほくそえむ。
この程度の手伝いで、これだけくれるなら、
家政婦まがいの扱いでも耐えられるのではないか。

ある日の夕食後、老人が言う。
「飲むと若返る水があるんだ。みんなで飲んでみないか」
いつか富田が説明していた水がこんなところにあったのか。
社長宅に来たばかりのころ、
冷蔵庫の中に何本ものペットボトルが入っているのを見たが、
ただのミネラルウォーターだと思い、気にもとめなかった。
前々から飲んでみたいと思っていた水なので、
律子は老人の動作をじっと見入る。
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