シゲ水の日 

2016年11月10日(木) 0時35分
いつになっても慣れない。
「じゃあな、たつぼん」
別れ際、いつもシゲは笑って、ひらひらと手をふる。
「ああ、また」
そういってすぐ、踵をかえした。
振り返らない、と強い意志で思う。

そう、きっとまたすぐ会える。
仕事でも、プライベートでも。
きっと、すぐ。

なのに、どうしてだろう、こいつとの別れ際は、いつだって、もうこれっきり会えないんじゃないかという焦燥感に似た何かを覚えるのだ。

中学の頃ならまだしも、大人になった今でさえ。

シゲはもうあの頃とは違って、いろいろなものをたくさん抱えていて、もう手荷物一つでヒッチハイクできるようなシゲは、どこかにいってしまいそうなシゲは、どこにもいないというのに。

なのにそんなことを思う自分は、馬鹿の一つ覚えみたいに、色褪せない鮮烈さで、こんなにもまだ、シゲのことが好きなんだろう。

ーーもう二度と失いたくない。

トラウマといってしまえば、あまりにも稚拙な表現で、でもそれ以外当てはまる言葉もなかった。

きっとそんな俺を、シゲは知ってる。
だからこそ、振り返れなかった。

あまりにも軽い、あっさりとした別れ際を保つことだけが、プライドだった。


新幹線に乗ると、スマホが震えた。
チェックする。シゲからメールだ。

『俺、お前のそういうめんどくさいとこ、好きやで』

相変わらずエスパーかよ。

悪態をつきながら、見透かされてる気恥ずかしさと安心感に苦笑する。

ああ、もう、本当に。
俺はお前のそういうとこ、大嫌いだし、

愛してるよ。

竜也たんじょうびおめでとぉおおおおおおおおお! 

2012年11月30日(金) 0時11分
竜也愛してる!

ということで記念小話



【にばい の しあわせ】




「たつぼん、今日で何歳になったんやっけ?」

なんてもう長い付き合いの彼氏に聞かれる。

覚えとけよ、とは思うが、それこそ拗ねるような年齢ではないので

「28だよ」とぶっきらぼうに答えた。


11月30日。俺の誕生日。

何歳の誕生日かは覚えてなくても、この日にはシゲは毎年
会いに来るか、無理な時は電話をくれた。

今年も例によって電話を、しかもご丁寧に0時ぴったりにくれたんで
どうしようもなくくすぐったい気持ちになった。

なんだかんだで愛されてるんだろうとは思う。
(それを認められるぐらいには俺だって大人になったのだ)


「28かー。お前も年くったなぁ、あんなにボンボンしてたんに」
ケラケラと楽しそうにシゲが笑う。

「うっせーな、お前なんて三十路前だろ」

「俺は三十路になっても男の魅力がますます増して
 そらもうえらいいい男になるだけやさかい」

「おまえなぁ・・・」

呆れつつ否定できないのが悔しいところである。

「にしても28ねぇ、ちょうどあの時から二倍やな」

シゲにそういわれてふと『あの時』―――14の頃を思い出す。

自分たちが一番ごちゃごちゃで、ひたむきで、青臭くて、むこうみずだった頃。

今思い返せば懐かしく愛おしく、
しかし当時はがむしゃらに悩んでがむしゃらに傷ついて傷つけていた。

そんな記憶の一番濃い時代。

「懐かしいな」 ふと本音が漏れた。

「せやな、ほんと時が過ぎるんは早いな」

ありきたりなやり取り。でも感慨深いものだった。

あの頃から二倍の歳になって、どれだけ変わっただろう。

俺は、お前は、俺たちは。

「たつぼん、俺はな、」

俺の思考を読み取ったかのようにシゲは話し始める。

「あの頃より、お前のこと、きっと二倍も三倍も愛おしめるようになったで」

優しい声音。  俺は、すこし、ふるえた。

「あの頃は、余裕なかってん。
 お前のこと好きやって気持ちが今よりもっともっととがっとって
 その切っ先でお前を傷つけることでしか、感情を受け渡せなかった。
 すまんかったと思うとる。今更やけど」

「シゲ…」

「今はな、なんかもうそういうんはなくて、ただもうお前が
 かわゆーてかわゆーてしかたあらへん感じ」

「バッカ!お前っ!」 カッと顔が赤くなるのを自分で感じた。

そんな風にシゲが思ってたなんて知らなかった。

嬉しくて、14の自分の想いも今完全に報われたみたいで、
なんだか泣きたくなった。

電話ごしの会話でよかった、と思った。
涙目のところなんて見られたらなんてからかわれるかわからない。

「ん?たつぼん照れとんの?ほんまにいくつになってもかわええぼんやなぁ。
 ま、ともかく、これからもよろしゅーたのんますわ」

「いわれなくともそうしてやるさ、バカシゲ」

「彼氏にむかってバカとかひどすぎちゃう?」

「うっせえ!いってろ!」

俺は恥ずかしさで声を荒げるしかなかった。



こんな風に来年も再来年も、今の歳から二倍の歳になっても
変わらずシゲとこんな他愛ないやり取りができればいい、と心底思った。


俺も、あの頃より二倍も三倍も、シゲを真っ当に好きでいるのだと思う。
依存じゃなく執着じゃなく、それさえ懐かしめるぐらい、
確固とした揺るがない愛情で、強さで、想って、いる。



「あ、そろそろ俺寝るわ。明日早いんや」
それからしばらく話した後、そんな風にシゲが電話をしめにかかる。

「ああ、そうなのか。わざわざ電話してくれてサンキュ」

「ええって、ええって。んじゃ、改めて誕生日おめでとな、竜也」

そういわれて自然と顔がほころぶ。

「ありがとう、シゲ」

そして「じゃあまたな」と挨拶し、電話が切れかかる直前で二人の声が当然のようにハモった。



「愛してんで」「愛してるよ」




…14の自分にこんな未来、教えてやりたい、なんて思った。



end.

ひさびさの記念日以外更新w 

2012年06月26日(火) 2時43分
ひさびさに誕生日記念小説以外を書いたw



大人シゲ水 シゲ視点


【死がふたりを分かつまで】



ありがちな、恋人が病気で死んでしまう結末の、お涙ちょうだいドラマがテレビから流れてくる。スポーツニュースを見た流れで、なんとなくチャンネルを変えないで、二人でだらだらしていたら、こんなことになっていた。

久々の重なった二人のオフ。俺が普段は一人暮らしをしているマンションで、静かに夜はふけようとしていた。

隣の竜也は途中からなんだか真剣にドラマを見始め、いよいよクライマックスに差し掛かる今に至っては、うっすら瞳に涙を浮かべてしまっている始末だ。

こんなの、どこがおもしろいんや、あほくさ。

と一人毒づくが、ふと、ああ、竜也は俺が死んだら泣くんやろな、と思ってしまえば胸は確かに軋んだ。

「たつぼん」

話しかければ「今いいところだから後で」なんて可愛げのかけらもない事を返される。ひどい。それが久々に会った恋人に対する態度なのか。

ちょっとムカついたので、そんな意見は聞き入れず、そのまま話しかけた。

「なぁ、ぼん。お前、俺より先に死んでな」

物騒な言葉に、さすがに竜也もテレビから視線を外しこちらを見た。

「シゲ、なんだよ急に。つーかなんで俺が先に死ななきゃいけないんだよ、お前のほうが年上のくせに」

いぶかしげにこちらを伺う、いつまでもどこかあどけない竜也の綺麗な顔。

過去二度も裏切った分際で、もう自分の不在によってお前のその綺麗な顔を涙で歪ませたくないのだ、と言っても信じてもらえないかもしれない。それともただただ呆れるだろうか。




恋人に自分より長生きしてほしいかどうか、は価値観や恋人の性格によるものだと思う。

竜也は、俺が死んでいなくなっても、生きていける人間だ、それはわかっている。後追い自殺などをするタマではない。

ただ、自分が死んでしまえば、こいつはいったい誰にくそめんどくさい人間関係の愚痴を話すのだ、と心配になる。失敗した時にそのプライドと高潔さゆえに、どこまでも自分を追い詰める竜也に、誰が大丈夫だ、と言ってやれるのだ、と。竜也の辛い時に自分が一番そばに居れないのが、嫌だった。怖かった。

だったら俺は、自分の方が一日でも長く生きたい。と願う。

それに。

「俺な、嫌やねん。俺のいない世界でお前が生きるのが、嫌や」

それはある種究極の独占欲なのかもしれない。

もう、出会ったからには、愛し愛されたからには、俺のいない世界なんてこれ以上知ることなく、死んで。息絶えて。逝ってくれ。看取るから。そうしてきっと俺はようやく安心できる。悲しみと同時に、これで俺は竜也をおいて逝かずにすんだのだと。

竜也は目を丸くして「お前って、病んでる…」と呟いた。

「うっさいわぼけ。お前がしっかりしてへんせいや」

「なんだよ、俺のせいかよ……まあでも、」

そうだな、俺ももうお前においていかれるよりは、おいてく側にまわりたいかもな。

なんて寂しげな眼をした。おもわず抱きしめる。

「しげ?」

「愛してんで、ぼん」

「俺も…だけど……いつまでたってもぼんっていうなよ、俺だってもうアラサー手前なんだぞ」

「はは、せやったな。時が過ぎるんは早いなぁ」

「死ぬまできっとあっという間だよ」

「せやな、今のうちにこういう話しといてよかったわ」

と言ってから、当たり前のようにお互いがお互い死ぬまで親しい関係であることを前提に話をしていたことに気付く。

ああ、もう、やんなっちゃうね。こんな、夫婦みたいになっちゃって。昔はもっといつ別れるかわかんないどころかいつ一生会わなくなるかわからないぐらいのノリだったのに。年食ったな、俺も。

なんて心の中で悪態つきながら、今日もアラサー間近の茶髪の王子様に歯の浮くようなセリフを言っちゃうのだ。しかたない、どうしようもなく愛しい、お前だから。


「ま、ともかく、死ぬまで一緒におればええだけや。簡単な話やな」


ばーか、キザなこと言いやがって、と笑った、この竜也の表情を、俺はきっと最期に思い出す。





end.

竜也誕生日おめでとう!! 

2010年11月30日(火) 0時02分
竜也ぁああああああああ!!!!!!!
ハピバ!! いつまでも 大好き!!!!!!!

ひさびさに記念小話。

 (シゲの誕生日のとき、書くとか言っといて書かなくてすみません)


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【人生をかけて】  (現在の竜也さん視点)



「結婚なんて人生をひとつはたいて、ひとつの恋を買うことだよ」

と最近結婚したばかりの先輩が言った。
含蓄ある言葉だなと思ってふーん。というと、

「ま、水野は興味なさそうだよな」なんて言われてしまう。

そして苦しくなった。

その言葉に、ふいに傷ついた自分にびっくりして、
唇を噛んでしまう。

『自分は結婚できない』
恋人はいるが、それは同性だからだ。


自分はきっと馬鹿なんだろう。

わらって「すみません」と言えばよかったのに。
曖昧な表情をしてその場から立ち去ってしまった。

そして、自分の恋のことを思う。
結婚なんてしなくても、きっと、すでに。
とっくのとうに人生をひとつ、はたいて、手に入れた、恋を。





「たつぼん!」

久しぶりのオフ。久しぶりにシゲに会う。
今日は俺の誕生日で、そのために横浜に来てくれた。

もう長い付き合いだというのに
どうしてだろう、顔をみた瞬間に心がやわく綻んでしまった。

「誕生日おめでとさん、ぼん」

そういって軽く頭をなでられる。
年を一つ取ったばかりなのに、なんだか子供扱いされた気がして、
むっとしそうになるが、シゲがあまりにやさしげに髪を触るので、
そんな気持ちは吹き飛んでしまった。

かわりに溢れたのは愛しさだった。

結婚なんて、できなくてもかまわない。
それ以上に大切なものを、もう知ってる。

夢を分かち合える、しあわせ も。


「ありがと、シゲ」

心から、ほほ笑んで言った。

声になんて恥ずかしくてだせないけれど
少しは伝わればいいと思いながら。




いつだって君との恋に、人生を、かけるよ。



fin.

しげみずの日 

2009年11月10日(火) 21時49分
今日はシゲ水の日ですね!

・・・支月です。生きてます。
しげみずがすきです。

最近は新作のシゲ水MAD制作をぼちぼちしていたり。

あぁ。もうすぐ竜也の誕生日だなぁ。
何か書けたらいいなぁ。

ていうかその前に私の誕生日! 11月13日です。
三日まえに生まれたかったよ、ママン。

この前の日曜 

2009年10月03日(土) 21時50分
ホイッスル!のオンリーに行ってきました(^o^)

ていうか長谷川さんのサークルで合同誌を出してたりしました。←今更。

シゲ水友達さんと会ってシゲ水トークしたり、となりのサークルさんと仲良くなったり、
すごく楽しかったです!

そして…祝、次のオンリー決定(*´∇`*)

嬉しいなぁ。今から楽しみだ。

シゲ誕生日おめでとう! 

2009年07月08日(水) 19時25分

【ことばにできないアイラブユー】

13:51、11:10、17:43…
ここ数年メールが送られてくるのは、いつもテキトウな時間だった。

ふと思い出してうったのだろうか。毎年文面は決まって同じ。

「シゲ、誕生日おめでとう」

その一言。

その一言だけでも、嬉しく思いもし、しかしやはり複雑でもあった。
…あっさり、している。

別に0:00に長文メールが欲しいという訳ではない。
けれど、年に一度の恋人の誕生日。

なにかもうちょっとあってもいいんじゃないか…?

今年こそは文句を言ってやろうとケータイを手にとる。
アドレス帳など、開く必要もなく番号をプッシュした。

「あー、もしもし、ぼん? 誕生日祝ってくれておおきに。 
 やけど、あのメール、ちょおあっさりしすぎなんちゃう?なして?」

そう俺が言うと竜也はぼそっと、…言いたくねー、と呟いた。

「なんでやねん」

「だってお前笑うから」

「は?」

少しの沈黙。
それに耐えかねたのか、竜也はようやく口を開いた。

「……言葉に、できなかったんだよ」

ホントは伝えたい言葉が、たくさんあった。

いつもありがとう。生まれてきてくれてありがとう。
今、この世に存在してくれてありがとう。
たくさんの事を今まで教えてくれてありがとう。
サッカーやってるお前がいる事が嬉しい。好きだ。
これからもよろしく。本当におめでとう。

様々な気持ち。

けれど、全てを伝えるのは気恥ずかしいし、
なによりうまく言葉にならなかった。

ただ様々なそれらの気持ちは純化されたおめでとうに集約される。

「シゲが生まれてきた事を祝う以外、
 何を何からどうやって伝えればいいか、わからなかったんだ」

それだけ、と素早く呟いて竜也は電話をきった。

言い逃げかい、と思って、口元がゆるむ。
もうこれは、それこそ笑うしかないだろう。





僕の可愛い恋人へ。
笑顔にさせてくれてありがとう。
いつまでも、末永く――――よろしく。

にがつ。 

2009年02月01日(日) 17時15分
お久しぶりです。

そろそろバレンタインー、な季節ですね…。

ああ、お菓子作りとか好きだから、
シゲタツクッキー作りたいんだけど、
作ったら多分食べれないし、
身近にシゲタツクッキーをあげれる人もいないし。

みたいなジレンマ。


そういえば、ジョジョを読んだと前にも書きましたが、
……はまってしまいました。いまさら。

だ、だって承太郎が、かっこいいんだもの…!
お父さんになってほしい。

久々にBLというよりドリームな萌えがきた。たのしい。


でもシゲタツを越えるときめきには未だ出会いません(笑)

明けてましたおめでとう 

2009年01月06日(火) 19時24分
気がつけばもうこんなに
2009年になってから時間が経ってる…。

みなさま、遅くなりましたが
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

私はおせち料理をひたすらに食べてたら……
肥えました……orz

お正月ってこれだから嫌なんだよ……!


あ、年末は冬コミに行きました。
シゲ水サークル減りすぎ(泣)

んでもって、友達のお使いでヘタリアスペースに
行ったら人ごみスゴかった。

笛スペースとのあまりのにぎやかさの違いに泣いた…。

めりくり 

2008年12月25日(木) 23時39分
めりーくりすます!

今日は漫画ばっかりよんで過ごしました…。ジョジョとか(笑。


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クリスマス記念小話

【こえをきかせて】   竜也視点・テーマ「遠距離でも想ってる」


ひとりで、街を、歩いた。

ピカピカちかちか、輝くイルミネーション。
どこからか流れてくるクリスマスソング。
サンタの格好をしてケーキを売る人、それを買う人。
ラブラブなカップル、にぎやかな家族づれ。
いつもの雰囲気とはやはりどこか違う、
そこにあるのは楽しげで、どこかふわふわとした空気。

そんな中を、歩いた。

俺は、どこか、さみしいような気がした。

イルミネーションを、綺麗だ、と笑い合える人が隣にいない。

クリスマスソングが流れても、
あ、この曲知ってる。ホンマ?俺しらへん。有名じゃん。そうなん?
そんな掛け合いをする相手が、隣にいない。

それがひどく、さみしい気がした。
中学の時はそこに当たり前にあったクリスマスの風景。
でも、今は……。

感傷にひたる。

実家に帰れば、母さんがいる、父さんがいる、虎治がいる。
クリスマスツリーを飾ってあり、普段より豪華な料理を作ってあり、
虎治へのプレゼントが用意してある。それは、しあわせなことだと、思う。

なのに、アイツひとりが隣にいないだけで、
なんでこんなに胸がつまるような思いをしなきゃならないんだろう。

アイツ―――――シゲ。

俺は携帯をとりだして、電話をかけた。もちろん、シゲに。


「もしもし、シゲ?」
「おお、たつぼん。どないしたん?」

シゲの声を聞いて、こころがやわらかくなる。
なぁ、シゲ。 こんな聖夜ぐらいは素直になってやるよ。

「声が、聞きたくなったんだ」

愛の言葉として、受け取りやがれ。シゲ。……メリークリスマス。


Fin


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