ホットマンの情報について

December 21 [Fri], 2012, 17:21
一年間劇団の研究所で勉強したという君が、いよいよ劇団研究生の資格で、舞台に立つ機会が与えられようとしている今日、突如として、ある不安に襲われはじめたという告白を、僕は、深刻な問題として聴きました。
 それも、技術の上でまだ自信がもてないから、とでもいうのなら、そんなことは心配しなくってよろしい、といって慰めてもあげられようが、実際はそんなことではなく、現在の演劇界、殊に、新劇の諸団体を含めた、すべての新しい演劇の在り方について、一種の不信を抱くようになり、君自身の方向をさえ見失おうとしているという極めて悲観的な心境を訴えられてみると、僕自身にも多少はそのことに責任がありそうに思えて、これはなんとかしなければならぬと、とりあえずペンをとった次第です。
 君の言葉を藉りると、現在の新劇は、もはや新劇とは言えない殻のなかに閉じ籠り、外部からの刺戟も素直に受け容れようとせず、まして、自発的に飛躍を試みようとする意欲は薬にしたくもなくなっている、というのですね。
 いったい、君は、そういう事実を、君の眼でたしかに見ているのですか?
 それとも、むしろ、君が手紙のなかで無意識に漏らしているように、多くの批評家の容赦なき意見を、ことに、新劇関係者相互の論難というようなものを土台にして、もうこれはダメだ、と絶望しかけているのではありませんか?
 もし君が、そういう事実を具体的に観て、それを指摘できるとしても、君の観ている範囲はごく限られたものだとは思いませんか?
 また、もし、誰彼の言説によって、君がおぼろげにそれを察したのはよいとして、そういう事実の反面に、君が真に探し求めているようなものが、どこかに厳として在るとしたら、果して、君はなんと言うか、です。
 君は、ほんとうにいい芝居、それも、時代と共に歩みつつ、新しい時代をつくっていく芝居がやりたいんでしょう? 理想をそこにおくのはまことに結構です。しかし、現実の芝居の社会を離れて、そういうものを打ち樹てる方法がありますか?
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