仮面の男

March 09 [Wed], 2011, 0:09
信じられない奇行に走った男性がいた。
本人はそれでうける、あるいはうけたと思っているところがまた痛々しい。

その男、奇行当時34歳。
フリーターだった。多分今もフリーターだと思う。

目がうつろで、顔色が悪く、髪も黒いため、
顔立ちや服装は普通のはずなのに、どこか妙な感じがあった。

今思えば病んでいるようなものを感じていたのだと思う。
彼が34歳当時、仲良くなった女性がいた。
私も知っている女性で、この話はその彼女から聞いた。

彼女は会社員で、大手の金融関連企業に勤めていた。
親から独立して、一人で生計を立てていた。そして、更なるステップアップのために、大学院受験を控えていた。
彼女は結婚や子どもを産んでも、仕事をしていたい、社会に何らかの貢献をしたいと考えていた。
そしてただ生活のための仕事ではなく、誇れる仕事をしたいと考えていた。
そしてそのため考えて決心したのが、大学院での再教育であった。

その女性が知人の紹介で、今回話すフリーターと会い、なぜか仲良くなった。
ひと月ほど時々会って食事をしたり、飲んだりしていたらしい。
12月の話である。

そして1月になり、正月休みに彼女の親が上京し、彼女の生活ぶりを見に来た。
駅で彼女は親と待ち合わせをしていた。
彼女は、親と合流する前に、近くに住むフリーター男に電話をした。
新年のあいさつをするためである。
そして、電話をしたとき彼はたまたま近所にいた。彼女は駅に向かう前に彼のいるところに寄って、合流。
一緒に歩き出した。

そこで事件は起こる。
彼女の親が、待ち合わせ時間より早く到着していて、彼といるところに鉢合わせしたのだ。

なんだそんなこと、と思うかもしれない。
確かに彼女にとってはたいしたことではなく、親に「こちら、○○君。近くに住んでるの」と言った。

彼は何を思ったのか、急に後ろを向いて走り出し、逃げた。
彼女も親も唖然としたらしい。
そして母親が一言。

「あの男だけはやめとけ」

事件はここでは終わらなかった。
女友達の親に鉢合わせして、文字通り逃げた男。
あまりの情けなさにびっくりしたものの、何で逃げたか聞きたかった。
そこで正月明けに一度連絡を取り、近所のバーで待ち合わせた。

彼女はバーに先に着き、マスターにぼやきつつ、彼を待つ。
しばらくしてカウンターにいたマスターが「うおっ!?」と叫ぶ。

入口を振り向くと、そこには仮面をかぶった男がいた。
フリーター男だった。

彼女は察した。
なぜ逃げたか、怒られるのが彼は嫌だけど、仲良くなった女に愛想をつかされるのも嫌だ。
だから、ここは逃げた話にならないように、注意をそらそうとしたのではないか。

彼女は笑えなかったらしい。
そりゃそうだろう。

結局、自分のしたことにも彼女にもきちんと向き合えない、
ただのチキン野郎だったと思った彼女は、彼との連絡を絶った。

何度かメールが来て、彼女の部屋を訪ねたい、という文面だったようだ。
なんとなく、いい雰囲気に持ってってしまおうと思ったのか。

大馬鹿野郎だと彼女は思った。
「受験を控えてるからしばらくほっといて」と返信したらしい。

仮面をかぶって話題をそらそう、奇抜な行動をとれば過去の行動は水に流れ、
不問になると思ったんだろうか。

そいつ、精神は大丈夫?と彼女の話を聞いて思った。
相手にする時間が惜しい、と、彼女は言っていた。

全くその通りだと思う。
そんなことしてるから、フリーターなんだよ。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:lavan
読者になる
2011年03月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新コメント
Yapme!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/lavan/index1_0.rdf