眩しい太陽がきらめく場所には、必ずその裏側に影ができるように、
フィリピンという国にも、光と影があります。

きらめくような海の美しさに魅せられてビーチを歩くときに気づくことは、
リゾートホテルや地元の人々の生活排水が、直接海に流れ込んでいること。

当然のことながら、
ここには下水処理施設はありません。
海や川に流すしかないのです。
至る所から
生活排水が海に流れ込んでいるところを見かけます。
リゾートホテルが建ち並んで、
華やかになったのは見かけだけで、
ホテルやレストランが建ったおかげで、
地元が経済的に潤っているのかといえば、
儲かっているのは、ホテル(多くは外国資本)と
一部のフィリピン人だけであって、
地元の人たちは、
美しい海が奪われ、
静かな環境が奪われていくだけなのです。
10年ぶりにここの海に潜って感じることは、
確実に海が汚れていること。

サンゴの海にゴミが浮かんでいるのを見ると悲しいし、
ボートを出せば、確実に海は汚染されます。
たくさんのサンゴが白化しているのも発見しました。
温暖化の影響が大きいと思うけど、それも環境破壊の結果。
世界的にも有名なダイビングスポットであるはずのこの地で起こっている現実です。

美しい海を求めて歩く、私たちダイバーや観光客が
地元の人たちから美しい自然を奪っているのです。

もう一つ心が痛いのは、
サバンビーチには夜の顔があります。
「どうして一人で過ごしているの?」とよく聞かれました。
「フィリピン人の女の子たちがたくさんいるのに」って。
外国からの男性観光客の横には、フィリピン人の女の子が付いているのをよく見かけます。

この綺麗な自然を家族と一緒に楽しみたい、
とは思うけれど、
子どもたちには見せたくない現実もたくさんあります。

影といえば、
AIIASの近くには、SSD(南アジア太平洋支部)の本部があります。
宮殿のような美しい建物と中庭は、
地元のアドベンチスト教会の皆さんにとっては誇りだそうです。
10年前、AIIASにいた時の話です。
私のルームメイト(ミャンマー人)がSSDの職員住宅に遊びにきていました。
夜、突然、銃を構えた二人の強盗に押し入られました。
彼らは、裸一つにされ、全てを失い、命からがら部屋に戻ってきました。
高い塀に囲まれ、ガードマンが何人いても、こういう状況はなくなりません。
周りには貧しくて、毎日を生きるのに必死な地元の人々が住んでいるのです。

影といえば、最後にもう一つ。
AIIASがあるシランという町の隣は、有名な観光地であるタガイタイの町があります。
ここには世界最小の火山が浮かんでいる美しいタール湖があります。
フィリピンの新婚旅行のメッカでもあるそうです。
当然のことながら華やかなメインストリートの裏側には、
地元の人々が暮らす貧しい町があります。

タール湖を見下ろすそんな町中に、
アドベンチストの教会を建てたいと、
10年前、AIIASでタガイタイ開拓伝道チームが作られました。
のりさん夫妻もその開拓伝道チームに参加していました。
日本に帰国する時も、
テレビなど家財道具を売ったお金をタガイタイの教会設立のために捧げたものです。
そこが今、どうなっているか、10年ぶりにその場所を尋ねました。

な、なんと、
看板が立っているではありませんか!
タガイタイの教会の看板です。
タール湖に続く小さな坂を下っていくと、
ありました、ありました。
一見倉庫かと思うような粗末な建物ですが、
50〜60人くらいが集まることのできる教会が建っていました。

いやぁ、嬉しかった。
当時7〜8人で、ビジョンを描き、祈り、捧げた、あの小さな歩みが実を結んでいたのです。
タガイタイの町の裏通りに、ひっそりと建つ教会だけど、
ここからまたイエス・キリストの希望の福音が宣べ伝えられることを祈ります。
ということで、
このあたりで、フィリピンレポートを終わりますね。
いつかきっと、また来るよ、フィリピン!
日本から電気製品や車の輸出ではなくて、
イエス・キリストの福音を輸出するためにね。
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