December 30 [Sun], 2012, 18:48
(・д・,,)

天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:40
天と地の差の裏話

※この話は被虐者の視点で書かれています




『弱き者は強き者に弄ばれる』
そんな虐殺があたりまえの世界で、僕は産まれた。
母親であるしぃがモララーに強姦され、そのまま身篭って産まれたらしい。
僕は母と見た目が全然違う。
左耳は真っ黒で、右側は頬まで茶色。
三毛猫とでも言うのだろうか
母はしぃ族だから、端から見たら僕は養子である。
僕は自分の毛並みのことを聞いてみたりはしたが、母は何も言わない。
それなのに母は僕の姿が気に入らないようだ。




この世界ではしぃ族は忌み嫌われている。
ダンボールの家で待っていると、今日も母が傷だらけで帰って来た。

「・・・・大丈夫?」

「アンタノセイナノニ ナンデワタシガ ギャクタイサレナキャイケナイノヨ!


僕は毎日虐待を受けた。
何か嫌なことがあれば、すぐに手を出す。

「アンタナンカ イラナイノニ ナンデウマレテクルノヨ!」

そんな事を言っては、母は僕を殴る。
でも殺すまではしなかった。
何故かわからなかった。
僕は殴られようが蹴られようが母を心配していた。
何故かわからなかった。



そして、この日から僕の住む世界はがらりと変わった。




近くの公園を散歩するとのことで、僕も行く事にした。
どうやら、母は自分が何もされなかったら、僕には何もしないようだ。
話を聞いてくれない。
手すら繋いでくれない。
そんな意味も含めて『何もしない』



母は僕の前を歩く。
変な踊りを踊りながら。
変な歌を歌いながら。
僕は母の後ろを歩く。
何もせずに。



暫くすると、見知らぬモララーが目の前にいた。

「お、いいもん連れてんじゃねぇか」

「ナニカトオモエバ ギャクサツチュウ ジャナイノ! サンポノジャマy」

母が全てを言い終わる前に、モララーは母の頬を殴る。
おもいっきり殴ったのか、母はゴミ箱のある所まで吹っ飛んでいった。
大きな音がして、ゴミがばらまかれる。






天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:42
初日


モララーは母へ追い撃ちをかける。
僕はそれを眺めていた。
いや、見ることしか出来なかった。
モララーはこれでもかという位、しぃを殴り、蹴る。
鳴咽や呻きが母の身体の中から聞こえた。
休む暇なく、モララーはどこからか出したナイフで母の耳を添ぐ

「イヤアアアアアアア!!」

叫び声が響き渡る。
この世のモノとは思えないほどの悲鳴が僕の頭の中を掻き回す。
僕はそれを受け入れまいと、必死で目をとじ耳をふさぐ。

しばらくして、声がしなくなった。
恐る恐る目を開けると、モララーがこっちへ歩いて来た。
その黄色い体には血がべっとりとついている。
その奥に、血に塗れたしぃがいた。

次は僕なのだろうか。
あまりの恐怖で身体がいうことをきかない。
一刻も早く、この場から逃げ出したいのに。

「いいもん落ちてンじゃねぇか・・・」

モララーは僕の首を掴み、そのまま持ち上げる。

「・・・っ」

自分の体重が自分の首に負担をかけているのがわかる。
苦しい。
どうにかして離してもらおうともがくが、大人の力に子供が勝てる筈がない。
僕の行動は自分を更に苦しめるだけに留まった。

「お前は持って帰って遊ぼうかな・・・っと!」

刹那、視界が回る。
世界が逆さまになる。
物凄い勢いでモララーが奥へと飛んでいく。
何が起こったのか理解する前に、僕は背中を襲った激痛のせいで思考が止まった。

「ぎゃっ!」

地面にたたき付けられる身体。
何かと思えば、モララーは僕を木に投げ付けただけだった。
僕の方に近付き、再度持ち上げるモララー。

「・・・なかなか頑丈じゃねぇか、気に入ったぜ」

恐怖に震える僕に向かってきたのは、そんな言葉と。
モララーの、拳だった。




意識が戻ったのは、また身体に激痛が走ってから。

「っ・・・げほ・・・!」

壁にたたき付けられた衝撃で肺から空気が漏れる。
骨は折れてなさそうだが、身体を動かそうとすると再び激痛が走る。

「今日からお前はここで生活するんだからな」

そう言うと、モララーはシミだらけの縄を僕の首に巻く。
抗おうとはしたが、傷めつけられた身体は動かず、成すがままだった。
よくみると、安易な首輪とリードについていたシミは血糊。

「・・・さて、早速だがお前の悲鳴を聞かせてもらうよ」




息がかかる距離で話し掛けるモララーに僕は嫌悪した。
それをモララーは気に入らなかったようだ。
大きな手が、僕の首をまた掴む。

「まずは・・・どこがいいか言ってみな」

嫌になるほど近づけられたモララーの顔が、目が大きく写る。
その奥にあるのは、悪魔だか死に神だか。
思い付く限りの畏怖の象徴全てがその目の中にあるように感じた。
それを見て僕は喉から声が漏れそうになる。

「・・・いい目だ」

心臓を掴まれたような感覚に陥る僕を見て、モララーは笑う。
口の端を吊り上げ、細く。
しかし、その目は『睨む』ということは止めていなかった。

「その目は最後にしてやろう」

そう言うと、モララーは空いた手で僕の左耳を摘む。
そして、力を込めて引っ張る。

「っ・・・痛い!痛いっ!」

必死で抵抗しようとするも、首を掴むと同時に身体の自由を奪うモララーの手の
せいで何もできない。
じわじわと込められていく力は僕にとって万力のような感覚。
目を強く閉じ、その端からは涙がとめどなく流れてくる。
止めて欲しいと叫び必死に訴えるが、モララーは僕の声を聞く度に薄く笑う。

「嫌っ!やあああああああ!!」

ぶちりと音をたてて耳がちぎれた。
僕は痛みと耳を失ったショックで声にならない叫び声をあげた。

「ああっ!!ああああああ!!!」

耳があった所から溢れ出す血が僕の顔を濡らす。
僕は必死で傷口を押さえ、頭を裂くような痛みにもんどりうつ。
モララーはそこに追い討ちをかけるように、僕の腹を蹴り飛ばした。

「ゲふっ!」

血とよくわからない液体が部屋に飛び散り、部屋を汚す。




とめどなく流れる血と止まらない激痛。
そしてゆっくりと命を奪われていくという未来を押し付けられ、
僕の身体はこれでもかというほど震えていた。

「あ・・・う・・・」

血とは違う冷たい何かが顔をつたう。

「こんなところまで頑丈とはな」

ちぎった耳を投げ捨て、頭にまだ残っている黒い突起を掴む。

「ぎっ!」

僕は歯を食いしばり、モララーの腕にしがみついて耳にくる負担を抑えようとす
る。
が、僕の手は空を掴むばかり
身体がゆっくりと宙に浮き、モララーと同じ目線まで持ちあがる。

「根元からちぎれねぇ耳は初めてだよ」

「うあ・・・あっ!・・・ああっ!」

足をばたつかせて降ろしてもらおうと必死に願っても、
それは痛みを増幅させるだけの動作に終わった。




疲弊しきった身体はいよいよ動かない。
モララーにゴミを捨てるかのように床に落とされる。
僕は受け身を取れずに人形のようにそこに崩れる。た
もう口からは変な液体しか出なかった。

「はっ・・・はあっ」

足りなくなった酸素を取り込もうと身体全体で息をする僕を見下ろして、モララ
ーが言った。

「どうせ、だ。お前に名前をやるよ」

と、どこからか出したナイフで首輪に刻みを入れる。

「っと・・・これでいいな」

「あ・・・?」

ぐわんぐわんする頭を必死で持ち上げ、焦点のあわない目でモララーを見る。

「そうか、首につけてたんじゃあ見えないよな」




「今日からお前の名前は”メイ”だ」


天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:45
二日目




目が覚めると小さな倉庫の中にいた。
あの時、モララーに名前を貰ってからまた気絶していたらしい。
辺りを見回すと、引き戸と窓しかなかった。
窓からは光が差し込んでいる。
日の傾きからして、朝なのだろうか。
ここは物をしまう倉庫というよりも、虐待専用の倉庫のようだ。
二畳半くらいの、この小さな倉庫にはメイとリードと血糊、それと水の入った器
しかない。
床には昨日メイが撒いた血と、メイのものでない血痕だらけ。
壁にも、嫌な装飾として血痕と黒い塊。
塊がなんなのかは、考えたくもなかった。




身体の節々がまだ痛むが、なんとか動けそうだ。
殆ど身体を引きずるようにして、器の中に顔をうずめる。
そして水を飲もうとしたが、ある事に気付いた。

「あ・・・」

器の中に、自分の顔が映る。
それは涙と血でくしゃくしゃになっていた。
水面にある己の顔を覗きながら、ゆっくりと頬を触る。
かさかさした感触がして、指に小さな黒い塊がこびりつく。
ふと、水面に映った顔が弾けた。
何かと思えば自分の目から零れたモノ。
昨日の一件で枯れ果てていたと思っていたそれは、決壊したダムのように溢れ出す。
メイは水を飲むことを忘れ、静かに泣いた。




泣き疲れ、また床につこうとした瞬間扉が勢いよく開く。

「ひっ!?」

突然のことに、メイは酷く驚く。
虫の声も全く聞こえない空間で、それは爆弾と同等の大きさのように感じた。

「なんだ、起きてたのか」

扉の奥から出て来たのはモララー。
街に出れば何処にでもいそうな程普通のモララーだが、メイにとっては畏怖の象徴。
モララーを見ればどんな状態であれ怯えなければならないような気がした。

「今日はこれで遊ぼうな・・・」

モララーの手には奇妙な手袋。
その中にあるのはまた奇妙な液体とライター。
メイはそれを見て背筋が凍るような感覚に陥る。
脱兎のごとくまだあいている扉へと走るが、途端に身体が動かなくなる。

「ぎっ!」

リードを踏まれ、首が絞まり声が漏れた


「待てよ・・・まだお前の綺麗な声を聞いてないんだぜ?」

身体を床に強引にに押し付け、メイの自由を奪う。
メイは必死に足をばたつかせるも、モララーは全く動じない。
そして、手袋の中に仕込んでいた釘でメイの左手を打ち付けた。

「っ!! ああああああ!!!」

声にならない声がメイの喉から噴き出て、大粒の涙が空を舞った。
肉と、床を貫通する鈍い音。
刺さった所からして、手の平の骨は折れているかもしれない。

「お楽しみはこれからだ」

モララーはメイを見て嫌らしく笑うと、奇妙な液体をメイの左手にかけた。
つんと臭うそれに不快感を覚えるより傷口にしみることにメイは気が動転しかける。
そしてモララーはライターの火打ち石をそこに近づけ、擦った。




轟、という音と共に、突然左手で炎が暴れだした。

「ギャアアアアアアアアア!!!」

左手を隙間なく針でめった刺しにされるような感覚にメイは狂うように叫ぶ。
モララーは自分に引火しないようにと、その場から少し離れた。

「アッアアアアギャアアッ!!!」

ただひたすらに手足をばたつかせるが、打たれた釘のせいで動けない。
モララーはメイの不格好なダンスを唯笑いながら見詰める。
と、

「おっ」

ぶちりと音をたてて左手が床から離れた。
必死で暴れていたから予想はできてはいたが、これほど早く外れるとは。
メイは燃え盛る腕を投げ込むようにして器に向かう。
バランスを崩しながらの動作だったので、中にあった水は全部空中に舞ってしまう。

「あーあもったいない・・・まだ飲んでないんだろ?」

「うっ・・・うあっ・・・は・・・」

火が消えたのはいいが、腕自体が熱をもっているせいか蒸気がたちこめる。
低温ながらも蒸されていく腕を、いっそ切り落としたくなるメイ。
モララーは転がる器を拾い、手の中でくるんと回す。

「また水入れてやるから、その時はちゃんと飲んでくれよ?」




「あ・・・?」

不思議だった。
自分にこんなことをしておいて水だけは用意する。
折角あげたやった水をぶちまけられたってキレてボコボコにしたり。
これ以上与える物はないなんて言って更に精神を削いでいくのかと。
そう思っていたのに。
結局は食料を与えてくれていないのだから、そう深い意味はないかもしれないが。
だが、メイはその不思議を知りたくて扉の奥へと進むモララーを途絶えそうな意
識の中必死で目で追う。
扉を閉め、鍵をかけるまでモララーはこちらを見ていた。




自分の荒い息遣いしか聞こえなくなった倉庫。
気が『おかしくなりそう』な程の痛みを受け、『おかしくならない』ように耐える。
叫ぶことが、恐怖に怯えることがこれだけ疲れることだったとは。
メイは息を整えた後、いろんな事を考えながら床についた。




天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:47
三日目




夢を見た。
それはメイが産まれ育った街が舞台の夢。
被虐者と加虐者が紡ぐ色はどこにもなく、
代わりとして炎が己を自己主張し、街を支配していた。
辺り一面に踊り狂う炎の中一人立つメイ。
所々に写る黒と灰色の粒。
掴めないことからして、それはノイズのようなものだろうか。

何故自分がそう考えるのか、何故夢だと理解するのか。
明確な答えを見出ださずとも、メイはそれに納得していく。
何故炎が踊っているのか、何故視ることが妨害されているのか。
疑問を抱いては考えることを止め、メイは街の中を歩いた。




炎に包まれていながら、なお形を残す建造物達。
街路樹も枝でなく葉が作る形で松明のように燃えていた。
そんな物達を見ていても、やはりどこか落ち着いているメイ。
身体はボロボロのままだというのに、どこも患っていないような。
爛れることより先に、カサカサに焼け焦げた左手に目線を落とす。

夢の中だからだろうか。
指が全部綺麗に動く。
その動作の中には痛みはない。
健全なヒトから見れば当たり前のことにメイは少し驚いた。
釘を打たれていた箇所には穴はない。
そこを触ってみるが、骨も元通りになっているよう。




・・・どうせ夢の中のことだ。
起きればそこはまた痛む。
一つ軽く溜め息をつくと、黒い手首をぷらぷらさせながら再度街を歩く。




公園に出た。
あの時、モララーに見つかり捕まってしまった場所。
そこでメイはあるものを見つける。

「・・・」

「ねぇ、返事してよ!ねぇ!ねぇってば!」

自分の、綺麗な頃の自分の毛並みに似た子が泣き叫ぶ。
その子の腕の中には、真っ白な身体をしたちびギコが目を閉じていた。
必死に呼び掛け、叫んでも一向に起きる気配はない。

「お願いだから、起きてよぉ!!」

声は枯れ、目は涙で赤く腫れていく。
嘲笑うように燃え盛る炎。
叫べば叫ぶ程、呼び掛けている子は腐り、醜くなっていった。
メイはそれを見て、一つの感情が心の中に芽生える。





−−−情けないね−−−






メイがそう思った瞬間、世界が暗転する。

「・・・」

瞼が降りていたということに気付くのには時間はかからなかった。
右手で目を擦り、ゆっくりと視界を広げていくと、また朝日が差し込む倉庫の中。
メイはふと何かを思い出したかのように左腕を見遣る。
そこには痛々しいとでは全て表現できそうにない程黒く焼け焦げた腕。
動かしてみると、何故か痛みはなかった。

というのも、神経が全て麻痺するほど焼かれたからだろうか。
中途半端な奇跡にメイは少し喜ぶ。
手の平の骨も、錯乱していたせいで折れたと勘違いしたんだと解釈した。




暫くして、モララーが器を持って入ってくる。

「起きてたか」

鍵をあけ、扉を開いた後倉庫の中へと姿を見せるまでメイはモララーに気付かなかった。
何故だろうか。
昨日まで畏怖の象徴であったモララーが、今ではなんとも思わなくなっていた。

「ほらよ、水だ」

モララーは目線をメイと同じ高さまで下げ、器をメイの前に置く。
メイはそれに近づき、口をつけた直後浴びるように飲んだ。

「それとな・・・今日は飯も持ってきたんだ」

その言葉と重なるのは薄く笑うモララーの顔。
メイはモララーを見上げてその表情を見ると、今やっと背筋が凍るような感覚を覚える。

「これだよ」

倉庫に入ってからずっと背中の後ろに回していた手を前に回す。
モララーが持っていたのはビニール袋。
それを軽く放り投げるようにその場に落とす。
撒かれた中身を見て、メイは一瞬思考が停止した。




そこにあったのは、ちびギコの腕と脚。
自分の四肢より少し細いそれは、まだ新しかった。

「昨日見つけたヤツのでね・・・達磨にして遊んでやったからお前と遊ぶ時間がなくてな」

クク、と嫌らしく笑うモララー。

「さあ、食べなよ」




・・・昨日水をまた用意すると言ったのはこれの為。
自分とほぼ同じ年齢のヤツの手足を飯として出されて、絶望しないヤツはいないだろう。
小さな希望を与えた後に大きな絶望を与えるのは定石・・・




「!」

モララーは一旦考えることを止める。
気付けば、メイがちびギコの腕にがっついているではないか。
噛り付く毎に見える八重歯に野性の本能のようなものを感じる。
血に濡れていくメイの口と手を見て、モララーはここで初めて嘲笑以外の笑みを浮かべた。

「はは・・・これは一本取られたねえ」

モララーは君の為にとタオルを持ってくると伝えた後、倉庫を後にした。
結果的に、メイは今日は虐待を免れる。
が、本人はそれに対し何も思わなかった。





天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:48
四日目




深夜。
月光りが眩しい位に差し込む窓を眺めるメイ。
メイの足元には血で濡れたタオルと、小さな骨が数個。

「・・・」

澄んだ明かりと瞬く星々。
それと真逆の、濁った真っ黒な感情を静かに燃やす。
昨日、モララーはちびギコの腕で精神を汚染させようとしたのだろうが、もう関係ない。

なりふり構っていられない。
己の腕でも食えと言われたらやってやる。
目をえぐれと言われたら綺麗に取出して献上してもいい。
絶対生きてここから脱出する。
命を、自分自身を奪いそうな程の虐待にも耐えてやる。
餓死も頓死も圧死も溺死も轢死も拒まれるまで耐え抜いてやる。

(チャンスがあれば、何だって−−−)




結局、メイは寝る事なく朝を迎える。
空がすっかり青くなった頃に、モララーはやってきた。

「や、おはよう」

メイがモララーに気付いたのは挨拶をされてから。
空を見るのを止め、モララーを見上げる。

「・・・おはようございます」

少し掠れた声で、言葉だけで挨拶をするメイ。
昨日に続くメイの読めない行動にモララーはまた面食らう。

(こいつ・・・まあいい)

「き、今日は天気がいいから散歩でもしようか」

モララーは一度考えていた事を捨て、壁に打ち付けているリードを外す。
メイはリードが伸びきらないようにと、モララーの足元に行く。

「・・・」

「・・・」

リードを掴んだまま、メイの方を見て固まるモララー。
足元にぴったりとついて、扉の外だけをしっかりと見るメイ。
沈黙は長い。




街。
鼻唄を歌いながら陽気と歩くモララーと、その斜め後ろに無表情のメイ。
周りを見渡せば、自分と同じようなスタイルのちびギコは少なくはない。
もがれている箇所も様々で、両腕がなく必死でバランスを取るコもいれば。
片脚だけでぴょんぴょんと跳ねながらなんとか追い付こうとしているものも。
酷い時には芋虫がずりずりと引きずり回されている状態。
そこから見れば、まだ四肢がある僕は幸せなのだろうか。




少しして、モララーは足を止める。
そこはなんの変哲のない公園だった。
しかしそこは加虐者から見れば被虐者のオアシス。
路地裏の次にそいつらが集まりやすい所で、二人の加虐者がモララーを待っていた。

「遅いぞ」

「待ってたモナ」

青い身体の男、ギコ。
それと白い身体の男、モナーがモララーに呼び掛ける。
その二人の手の中にはリード。
リードの先には案の定ボロボロのちびギコとちびしぃがいた。
例に洩れず、二匹ともカタワだった。

「いや、待たせてすまなかったよ」

「何かあったのか・・・っつーかそいつは?」

ギコはリードを引っ張りながらメイに近付き、まじまじと見つめる。
リードの先のちびギコはそのせいで首が絞まり、声を漏らした。
目に大きく写るギコに、メイは微動だにしない。

「変わった毛並みだし、なんかちょっと大きいような・・・」

「この前アフォしぃを殺ってたらさ、そいつの子供らしく近くで震えててね」

「なんだか人形みたいモナね」

「・・・メイって言います」

被虐者の言葉に、加虐者三人の目が点になる。

「お前被虐者に名前とかつけてんのか?」

呆れたようにモララーに問い質すギコ。

「そういや・・・なんでだろ? なんか珍しかったからかなあ」

自分のした事に首を傾げるモララー。

「というか、挨拶するなんて馬鹿みたいモナ。自分の立場がわかってないようモ
ナよ」

「わかってます」

それぞれの反応を見せた後、その本人の言葉に再度固まる三人。
掠れていても、はっきりとしたそれは被虐者のモノでないような。
うっすらと感じた凜とした何か。
それは一人を困惑させ、一人を恐怖に陥れ、一人を苛立たせたり

「おい。さっさとやろうぜ」

待たされたのと、メイの不快な態度に眉間に皺をよせるギコ。
下手に刺激を与えたら殴り殺されかねないと、その場にいた被虐者二人は察する。
が、やはり残りの一匹は何も思わなかった。

「ば、場所はどこがいい?」

「此処でいい」

なんとかして宥めようとモララーが話し掛けるが、刺のある声色で返答される。
公園に、気まずい空気が流れた。





天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:49
四日目





「ここでいい」と、ギコが皆にそう言った直後の事だった。

「ヒギャッ!?」

突然、ちびギコが身体をくの字にして吹き飛んだ。
ちびギコが立っていた位置には脚をめいいっぱい振り上げているギコの姿。
小さい身体はそのまま遊具へとたたき付けられるかと思いきや、首のリードがそれ
を阻んだ。
ギコは握っていたリードを引っ張り、被虐者を手元に持ってくる。
急な動作で首が絞まり、奇怪な声をあげた後その場に倒れ込むちびギコ。
首輪を引っ張り隙間をあけ、苦しそうに咳込む。

「えぅ・・・ひぎっ!?」

そこに追い打ちを掛けるように、ギコはちびギコの頭を掴みメイの方に向き直させる。
そしてちびギコにしか聞こえない程の声で、囁いた。

「お前は片腕しかないのに、あいつは両腕がある・・・不公平だと思わないか?


その言葉を聞いた途端、ちびギコの目に血が走る。
暫くの間唸った後、メイの方へと飛び掛かった。

「!?」

いきなり飛び付いて来たちびギコにメイは驚く。
反応するのが遅れ、そのまま肩を掴まれ取っ組み合いになった。

「フゥー・・・ガアアァァ!!」

被虐者とは思えない声を発し、ちびギコは牙を剥きメイを襲う。
砂埃をたてて暴れる二匹を見てけらけらと笑う加虐者と、傍観し怯える被虐者。

「相変わらず凄い変貌ぶりモナ」

「どうやったらあんな風に調教できるんだか・・・」

「なに、コツをつかめば誰にでも作れる」

怒りや憎しみに暴れ狂う弱い命。
命乞いや絶望にうちひしかれる者よりも、ギコはそういう奴の方が好きとのこと。
それがほんの少しも抗えずに死んでいく様、我に返った時の発狂していく姿がギコにとっての虐待虐殺のようだ。

「コツって何モナ?」

「とりあえず煽ればいいんだよ。そいつの・・・」

「ガアアアアアアアアアアアアッ!!」




ギコの言葉が獣の咆哮に断たれる。
何かと思い三人は揃って被虐者の方へと目線を持っていく。
そこにあったのは、身体をビクビクと激しく痙攣させて俯いているちびギコ。
その喉からはだらだらと血が流れ、自分と周りを赤く染めていった。
その後ろに、息を切らし手の中に肉片を握っているメイがいた。

「こいつ・・・」

自分の書いたシナリオ通りにいかず、憤慨するギコ。

「ギコ! 落ち着け!」

モララーは額と拳に青すじをたてメイへ迫ろうとしたギコの肩を掴み、宥める。
すると、ギコはその表情のまま振り向きモララーにこう告げた。

「俺は何事も思い通りにいかねぇと気が済まないんだがな・・・」

殺気。
虐殺の一線を越え殺人を犯してしまいそうな程の気迫。
そんなギコにモララーはたじろいだ。

「だ、だけどそんなすぐに殺しても何も楽しくないモナよ?」

険悪な雰囲気が漂う中、モナーが慌てて仲介に入る。

「・・・チッ」

モララーの腕を振りほどき、再度メイの方へ歩きだす。

「ギコ!」

「とりあえず、だ」

メイが逃げようとする前に、ギコはメイの頭を乱暴に掴む。
そしてメイの左目に自分の指を無理矢理捩込んだ。
間髪入れず、ギコは右手を後ろへと引っ張る。

「ぎゃあああアアアアアアアア!!」

ぶちぶちと繊維が切れていく音とほぼ同時に、その悲鳴は聞こえた。
次にモララーとモナーが見たのは、左目を押さえ震えながらうずくまるメイと。
黒く綺麗に光る眼球を手に持つ加虐者だった。

「・・・このくらいならいいだろ」




「っあ・・・はあっ・・・はっ・・・」

張り裂けそうな痛みを堪え、出血している左目を押さえ、
フラッシュバックする虐待に狂いそうになる思考。
歯噛みし、精神を無理矢理に落ち着かせる。
そして、必死に状況を確認する。
口論をしている加虐者達と、こちらをみながら怯える被虐者。
何か、あと何かがあれば。

(この状況から逃げ出すチャンスが−−−!)




「何か珍しいモン見せてやるって聞いてきたのによ・・・とんだババひいちまっ
たな」

「お、俺だってこんな反抗するような奴とは思ってなかったんだよ!」

「何やっても怯えるよう本当にそう調教したのか?」

「・・・」

「まさかしてないモナ?」

「だ、だって最初からすげぇおとなしかったし・・・必要ないかと・・・」

「馬鹿モナ」

「何だと!?」

モナーがモララーを煽ったその時だった。
ギコの手が一瞬見えなくなるかと思うと、それはモララーの首に宛てがわれる。
どす黒い腹と、それの縁に沿うように銀色。
20センチ程の長さのあるナイフがギコの手の中にあった。

「な・・・っ!?」

絶句する二人。

「面白くねぇわ・・・死ねよ」

ギコの殺意がモララーを襲う。
全く動けない二人の加虐者。
今、加虐者が加虐者を殺さんと、ナイフを振りかぶる。
モララーを凶刃が貫く直前に、メイがギコに飛び付いた。

「があっ!?」

ギコの手の中に爪をたて、肉をえぐる。
痛みに耐え兼ねて手を押さえるギコから離れ、素早く地面に落ちたナイフを拾う。

「こ、こいつッ!」

自分の身体に不釣り合いな程長いナイフを使い、器用にリードを切る。
これで捕まえられることはない・・・そう確信したメイは次の行動へと移った




絶対に生き延びる−−−




天と地の差の裏話 

May 29 [Fri], 3007, 22:50



───この話はここで終わり

メイは死んだのか、それとも生き延びたのか

それは誰にもわからない

巷では、『片腕が黒い少年』が殺戮を繰り返しているという噂

謎は謎のまま、どこかで語り継がれていく

奇妙な話は、どこかで歯車を噛み合わせる





天と地の差の裏話
メイの物語は、ひとまずおしまい

天と地の差の裏話2 

June 07 [Sun], 3007, 21:19


『弱き者は強き者に弄ばれる』
それは被虐者と加虐者の関係に限ったことではない。
加虐者でも、力を持たなければ殺されてしまう。
被虐者でも、力を持てば誰彼構わず虐殺できる。




全てを超越した強者だけが、この世界を支配する。




「んー、今日はイマイチなノーネ・・・」

緑色の身体をした浮浪者が、けだるそうに街を練り歩いていた。
身体的な特徴として、先の折れた耳と右目に走った大きな切り傷。
いつも不機嫌そうに尖らせている口元は、今の気分としっかりマッチしている。

男の名前はノーネと言った。
ノーネの日課はアフォしぃやちびギコの虐殺と、その肉の収穫。
治安の悪いこの街では小食は被虐者同然。
働けないのなら奴らの肉を口にすればいいだけのこと。
媚びらなければ狙われないし、質の良さなんて、贅沢を通り越して都市伝説モノだ。




「・・・?」

いつもは糞虫達で賑わう路地裏。
ここに来れば大概は捕獲することが出来るはずだが、
今日は街中と同じように違っていた。

そこには一人のAAが、俯せに倒れていた。
茶色の身体に、その長毛は泥と血糊で汚れ醜い姿を晒している。
足の方はもっと酷く、何時間歩けばこんなになるのかと思ってしまう程、皮がべろべろに剥がれていた。

(・・・一体なんなノーネ?)

ノーネはそのAAをまじまじと見詰める。
身体は大きめな所から、ちびフサとは違う可能性がある。
フサギコ種の、子供。
なんで子供がこんな姿で、こんな場所で行き倒れているのか。
保護するべきか、見てみぬふりをするか。
いろいろと考えていると、盛大に腹が鳴った。




ここ最近、アフォしぃをなかなか見掛けないことがあり、ノーネは満足に腹を膨らますことが出来ていない。
このAAを見逃し、他の場所に探しに行くという選択肢はあったのだが、
腹が鳴ったことで、切羽詰まった情況というのを思い出してしまう。
幸い、この辺りに他人の気配は全くないし、元より糞虫以外の肉にも興味があった。
ノーネは周囲を二、三度見回してから、足元のフサギコの首に手をのばした。
すると、

「ふがっ!?」

「うおっ!?」

急にフサギコが顔をあげ、跳びはねるように起き上がる。
ノーネはそれに驚き、勢いよく手を引っ込めた。
急な出来事に高鳴る心臓。
それと、殺めようとした事に気付いたことで、脂汗が一気に噴き出る。
対するフサギコはぼんやりとしていて、暫くしてからノーネを見遣った。

「・・・」

「な、何か・・・」

真剣な眼差しと、無言の圧力で更に焦る。
やはり一般AAを喰うことなど、間違っていたのだろうか。
恐らくバレてはいないのだが、どうしてか罪悪感が付き纏う。
聞かれてもないのに、心の中で必死に弁解。
無意味に神経を擦り減らすノーネに、それをじっくり見詰めるフサギコ。
奇妙な空気と沈黙は、そのフサギコの言葉と腹の音で壊された。

「腹減った」

「は?」

「オッサン、なんか食べられるもん持ってない?」

「・・・」




初日




あれから、ノーネは肉を探しにいろいろな所をまわった。
自分と、ひょんなことからついてくるようになった毛玉の空腹を癒す為だ。




肉を探す少し前、フサギコと会ってすぐの話。
出会ってからの第一声が『腹減った』という、ぶっきらぼうな台詞。
やんちゃなのか、それとも命知らずなのか。
ノーネは、何故子供のお前がこんな所でうろうろしているのかとフサギコに問い質す。
返ってきた答えは、大方予測できたものだった。

「親とか、家とか、そういうの俺にはないから」

捨て子か何か。
ノーネ自身も浮浪者であったし、こういうのは珍しくない。
治安が悪い事と重なり、街は浮浪者の存在を黙認している。
糞虫という食糧があるし、放っておけばそいつらを苦情してくれる。
だが、子供であるこいつが街を徘徊するのには多少危ういものがある。
産まれたてであれば、ギコ種は糞虫と見分けがつきにくい。
今だって、いくらか成長したとはいえノーネに喰われそうにもなった。
まあ、これは唯のノーネ本人の過ちなのだが。

「親はいなくとも、名前ぐらいはあるノーネ?」

「ああ、俺はフーっていうんだ。よろしくな、オッサン」

自慢げに己の名前を告げ、更にこちらをオッサン呼ばわり。
こちらの名前を教える前に、既にオッサンと命名されてしまっている。
「俺はノーネだ」とはっきり言っても、聞いてくれなさそうな雰囲気だ。

「フーというより、愚者(フール)なノーネ・・・」

「なんだそりゃ? 知的に見せようとしても俺には通用しねーぞ」

「・・・」

天と地の差の裏話2 

June 07 [Sun], 3007, 21:20
初日
夕方




日が完全に落ちきる前に、ノーネは獲物を見つけることができた。
道路のど真ん中をふらふらと、かつ大胆に歩くアフォしぃ。
ノーネは気配を殺し、音をたてずにしぃに近付く。

「〜♪」

あの妙な歌は唄っていないものの、その動きは奇怪である。
奴らにとってそれは華麗にダンスを踊っているとのことだが、
どう見ても幼児が手足をばたつかせているだけ、もしくはそれ以下。
だが、その奇怪なダンスのせいで、捕まえることが幾らか難しくなっていた。
というのも、予測できない移動パターンにてこずる事。
油断すれば見つかってしまい、そのまま逃げられる可能性がある。
と、

「ハニャッ?」

バレリーナ宜しく一本足で回転し、ノーネと偶然にも目が合う。
ノーネは小さく舌打ちをすると、狩りへと移行。
アフォしぃが情況を把握する前に、素早く屈み後ろへ回り込む。
元々高いノーネの身体能力と、アフォしぃを反応速度の悪さが重なり、楽に後ろを取れた。
そして、片腕でアフォしぃの首を掴み力いっぱい握る。

「ガッ!?・・・グ、グェ・・・」

アフォしぃはすぐに泡を吹き、白目を剥いて気絶した。
首の骨を折れば、簡単に死んでそのまま肉が手に入るのだが、それだけではどうにもつまらない。
ノーネは生きたままの人形をひょいと担ぎ、フーの元へ戻る。




「遅ぇよオッサン!」

路地裏に戻れば、早速フーから罵声が飛んできた。
やはり、このやんちゃ坊主と一緒に狩りをしなくて正解だった。
本人いわくベビしぃや生ゴミを漁ることは出来るらしいが、
自分より大きい獲物は狙ったことがないようだ。
更にはこの狩りのルールをぶっちぎりで無視している性格。
そんな奴を横に置いておけば、アフォしぃやちびギコに逃げられるに決まってる。

「お前、いろいろと煩いノーネ。そんな態度でよく生き延びてきたノーネ」

「それ、どういうことだよ」

諦めを混ぜた溜め息をつき、悪態をつくとあっさりと反応するフー。
どんなことにもすぐ突っ掛かることと、今までの言動から、やはりこれでは身体のでかい糞虫のようだ。
接するAAの評価にもよるが、運が悪ければ虐殺厨に殺されていたかもしれない。

「なんでもないノーネ」

「んだよ、全く・・・ほら、早く肉くれよ!」









「じゃあ、ご希望に供えて始めるノーネ」

ノーネは担いでいたしぃを下ろし、壁にもたれ掛かせる。
胸がわずかに、ゆっくりと上下動していたから、まだ生きていると確認できた。
そして、しぃの左側にまわると、腿と脛を掴み左右に一気に引っ張る。

「シギィィィィィィィ!!!?」

ぶちぶちと嫌な音に重なるのは、アフォしぃの甲高い悲鳴。
膝から先を無理矢理に契ったものだから、その痛みは気絶という効果の薄い麻酔から充分に目を覚ます程の威力。
寧ろ、覚ます事を通り越して狂乱させる程の方が正しいかもしれない。

「シィノ、シィノアンヨガァァァァァァ!!!」

「お前もお前で煩いノーネ」

「ギャブっ!?」

叫び、のたうちまわるしぃを俯せに押さえ付け、上に乗る。
ノーネは続けて右足を掴み、今度は付け根から腿を契る。
余分な肉がある個所のせいか、切り離すことに多少苦労した。
ぐりぐりと捩ったり、左右に振ったりとなかなか上手くいかない。
しぃは取れそうな足の動きに併せるように唯々悲鳴を上げるばかり。
それを見ていたフーは、しぃの叫び声が不快だというように耳を塞ぎしかめっつらをしていた。

「なぁ、なんで生きたまま持ってきたんだよ」

「新鮮さを考えるとこれが1番なノーネ。お前も見てないで手伝うノーネ」

「手伝うって?」

「このほっそい腕位は、フーでも契れるノーネ」

「シィィィィィィ!!! ヤメテェェェェェ!!!」

後ろ向きに馬乗りになっているノーネに促され、喧しいしぃを無視して手を掴む。
フーは、その生き方から今まで虐待をしたことがなかった。
公園などで子供や大人が揃ってこいつらに傷を負わせたりする事は見たことがあるのだが、
いつも自分が捕まえるのはベビばかりで、もいだりする部位といえば首暮らすしかない。
しかも一口二口で終わる大きさでもあり、あまり叫びもしないし遊ぼうにも微妙といった所。

初めての虐待。
最初は抵抗があったものの、しぃの涙でくしゃくしゃになった顔を見ると、どこかワクワクしてきた。
しぃの肩に手を添え、引っ張る為に力を込めると悲鳴のボリュームが上がる。
フーはそれを聞いたことで好奇心が興奮へと昇華。
目を光らせ、一気に腕をもいだ。

「ふがっ!」

「シギャアアアァァァァァ!!!」

気合いを入れた一発。
同時に泣き叫ぶアフォしぃ。
それは些細なことではあったが、フーは達成感で胸がいっぱいになり、満面の笑みを浮かべる。

「なんだこれ・・・妙に愉しいんだけど・・・」

「今時そういう反応する奴、珍しいノーネ。気に入ったなら反対側も、それでも足りないなら耳でもやればいいノーネ」

P R
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  • アイコン画像 ニックネーム:魔
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