引越し中

May 19 [Sun], 2013, 22:18
はてさて。

フォレストブログからの移転作業中。
お話系のものだけ、転載します。

ので、この記事以前の記事は、フォレストからの転載です〜。

魔女と王子 4

May 15 [Wed], 2013, 22:24
 女は順調に回復していった。起きていられる時間が延びてくると、女は男が来れない間の暇つぶしを求めた。王子という立場である以上、男にも少なからず公務に拘束される時間がある。その間、本を読んでいたいと女が言ったのだ。体力が回復してきたとはいえ、まだ動くことができない。読書は最適な暇つぶしと言えた。
 男が了承すると、女は幾つか本のタイトルを挙げた。それを聞いて、男は感心した。女の挙げたものはどれもこの地方の御伽噺だったからだ。それらは政治とは無関係だ。それはこの国の内政に干渉することはしない、という意思表示にもとれる。そうだとするなら、この女は賢い。
 男が求められたとおり、数冊の本を持参すれば、女は喜び礼を言った。その際、確かめるように男は聞いてみた。
「御伽噺ばかりだな。魔女は学術書は読まないのか?」
 すると、女は不思議そうに男を見上げ、少し考えてからペンを走らせた。
“魔女にとってはどちらも同じよ?” 
「同じ?」
“御伽噺も立派な学術書なの”
「……変わってるな」
 男の感想に、女は苦笑する。しかし、議論する気は無いらしく、女はそれ以上そのことに触れなかった。
 ここまで女の回復を見ていた男は、そろそろ本題に入ってもいい頃だと判断した。そこで、まずは試しに直接聞いてみることにした。
「“魔女の秘密”とは何だ?」
 しかし、女はすぐには答えず、男をじっと見つめた。それでも男が返答を待っていると、女はやがてペンを走らせた。
“言えないわ”
「エル、俺はお前を哀れんであそこから出した訳ではない」
 言外に、あそこに戻すことも出来るのだと、男は静かに告げる。そして、ただ女の赤い瞳を見つめる。ただ見つめ合う二人は、時間が止まったかのようにじっとしていた。蒼の瞳と赤の瞳。どちらも譲らない。全く動じない女に、男は改めて感心した。
 男は、王子という立場上、人の上に立つことが多い。命令の仕方も心得ている。こういう状況で、しかも一対一で、主導権を握るのは得意だった。普通ならば、こうして目を合わせているだけで、相手が解るし、相手を従わせる事ができる。
 しかし、彼女に関しては全く上手く行かなかった。赤い瞳からは何も読めない。その上、見つめているこちらの方が不安になってくる。相手は捕虜であり、女であり、病人だ。それでも、女の態度は堂々としていて、場慣れた雰囲気さえ感じられた。
 やがて、先に動いたのは女だった。男から視線を外すと、さらさらとペンを走らせる。
“秘密は必要だから秘密にされている。知るのは無意味。それ以上に危険。あと、言っても解らない。それ以前に、声が戻らないと無理”
「声が必要なのか」
 女は頷いた。そして、悲しそうに書いた。
“聞けたとしても、貴方には理解できない。そういうもの”
 その言葉に男は、眉を寄せる。
「俺の理解力では足りないと?」
“貴方が劣っているわけではない。魔女にしか解らないの”
 そう綴った女は哀しげに目を伏せた。男は、その様子をじっと見ていたが、やがて無言で踵を返した。
 実際の所、男は不愉快だった。しかし、何が不愉快だったのかは解らない。男を侮った発言が気にくわないのか。はっきりと言わない女が気に入らないのか。立場が弱いはずの女一人、思うように動かせなかったからなのか。それとも、最後に見せた女の哀しげな表情の所為なのか。
 結局、その原因は分からず、彼女から再び秘密について触れることはなかった。

魔女と王子 3

May 06 [Mon], 2013, 22:23
 連れ出された魔女は、男の有する離宮の一部に連れてこられた。日の下で見た女はさらに美しく見えた。ただ、自力で立つことも出来なかったため、すぐに医者が呼ばれた。診た医者は、暫くは安静にするようにとした。体中に付いた傷には顔をしかめたが、命に関わるものはなく、深くは触れなかった。
「皆、彼女が魔女だから警戒してるんです」
 ここまでの手続きを全てした青年はそう言っていた。そうして、一通りの報告を聞いた男は、青年を下がらせると、安静にと言われている女の部屋へ向かった。
 部屋へと入った男は、明かりはいれなかった。もう深夜を回る時間で真っ暗だったが、テラスに続く大きなガラス扉から月光が差し込み、あたりを照らしていた。ベッドに寝かされた女は眠っていた。ピクリとも動かない女は、月光に浮き上がるように照らされ、まるで作り物のようだった。
 近づいてみるが、眠り込んでいる女が起きる様子はない。白い肌、純白の髪、長い睫毛、その下にはあの赤い瞳が隠れているのだろう。そっとその頬に触れてみる。地下で触れたときほどではなかったが、ひんやりと冷たかった。
 すると、その感触に気付いたのか、女が目を覚ました。虚ろに視線をさまよわせ、やがて男に気付いたのか、赤い瞳が驚いたように震えた。男が構わず観察してると、やがて、女はその唇を開いた。そして、ゆっくりと、唇を言葉の形に動かす。それを読んだ男は軽く目を見張った。
「……礼を言われるとは思わなかった」
 そんな男に、女は器用に首を傾げて見せた。その様子に男は、笑みを浮かべる。
「いや、お前が居たあそこには二度と近づきたくなくてな。お前から話を聞くには連れ出すしか無かっただけだ」
 男の言葉の意味が分からなかったのか、女は不思議そうに瞬いた。そして、ゆっくりと首を横に振り、微笑んだ。本当に素直な感謝の視線に、男は思わず眉を顰めた。
「そういう顔をされると、なんだかムカつくな」
 男の言葉に女は目を見張る。
「お前、言葉は解るんだな?」
 女は頷く。
「では、声は?」
 今度は首を横に振った。声は出ないというわけだ。
「声が出ないのは以前からか?」
 もう一度首を横に振る。つまり、声が出なくなったのは最近の話というわけだ。
「そうか、なら名前を聞いても今は答えられんな……」
 そう、男が言うと、女は目を見張った。そんなこと聞かれるとは思っていなかったようだった。それもそうだろう。この国の連中にとって、この女は“魔女”であり、それで十分だったのだから。やがて、女は何かを探すように視線をさまよわせた。男がじっと見ていると、女は目的の物を見つけたのか視線を止める。そして、ゆっくりと腕を伸ばす。その先に男が目をやると、そこにあったのはメモ帳とペン。女の位置からは手を伸ばしても届かないそれを、男は取って渡してやる。そんな男に、再び驚いたように女は目を見張った。
「何をそんなに驚いている」
 男の言葉に、女は受け取ったメモにペンを走らせた。
“取ってくれるとは思わなかった”
「俺はそんなに心の狭い奴だと思ったのか?」
“というか、王子様って全部人任せだと思ってたから驚いた”
 サラサラと綴られた文字に、男は苦笑する。
「文字、書けるのだな」
 文字を書くことも読むことも、一般市民に出来ることではない。だから、男は、驚いたのだが、女はただ微笑むだけでそれには応えなかった。
 こうして、男と女の筆談を使った会話が始まった。
 男は空いてる時間を見つけては女のもとに顔を出した。女も男が来る度に嬉しそうな笑顔で迎え、体力の許す限り男との筆談を楽しんだ。
「で、結局、まだお前の名前を聞いてないな」
 男の問いに、女はふと考えるように手を止めた。その様子に男は眉を顰めた。
「もしかして、忘れたというのか?」
 拷問で記憶を無くす例もある。女にはそういった様子はなかったが、万が一という事もある。しかし、女はすぐに否定した。
“違う”
「なら教えろ」
 男の命令に女は仕方なくペンを走らせた。
“フェルエルミナーシャ・ルシフェラ・トルクメニアス・ルー・ティシアニスタ・ロー・エニスタ・レクトリア”
「……」
 女の羅列した文字を読んだ男は言葉を失った。女もそんな男の様子を見て苦笑する。そして、その紙を破り、新たな紙に文字を書いた。
“正式にはもう少し長いけど書く?”
「……いや、いい」
“魔女は名前をたくさん持っているのよ”
 その言葉に男は目を見張った。女が自ら魔女について語るのは初めてだったからだ。その様子に女の方が首を傾げた。
“どうかした?”
「いや、……とりあえず何処を呼べばいい?」
 男の問いに、女は少し考えてペンを走らせた。
“エル、かしら。親しい人はそう呼んでたわ”
「そうか」
 納得したような男を見つめて、女はペンを走らせる。
“貴方は?”
「俺?」
“貴方のことはなんて呼べばいい?”
 一瞬、男は呆気にとられて女を見返した。女の赤い瞳が悪戯っぽく見返す。男が王子であることは解っている筈なのに、その呼び名を求めるという女。当然の如く、その地位で呼ばれると思っていた男は驚いたが、その度胸に応えたくなった。
「カイナ、だ。そう呼べ」
“カイナ、ね。声が戻ったら必ず呼ぶわ”
 そう書いた女は、嬉しそうに微笑んだ。

悲恋はお好き?

May 04 [Sat], 2013, 22:26
私は大好物です(・ω・)

と言うことで、新しいシリーズ、載せてみました。中編くらいになる予定。
一応、プロットというか、ストーリーはあるので後は書くだけ☆

っていつも通りですね。

【魔女と王子】

ハッピーエンドにはなりませんが、そういうのも好きな方。
如何ですか?w

月朧とか、色々中途半端なものも、近いうちに何とかします……。
うー。
今月はお金使わないように、家から出ないようにするので頑張る←

応援してね(笑)

魔女と王子 2

May 04 [Sat], 2013, 22:22
「カイナ殿下」
 ふと呼ばれて、男は足を止めた。振り返り、自分を呼んだ相手を認めた男は、立ち止まった事を後悔した。相手は城仕えの若い侍従。顔は知らない。しかし、問題はその仕え先だった。彼の襟に止められた紋章が表す相手は一人しか居ない。
「なんだ?」
 不機嫌も顕に男が問う。若い侍従は、それでも気にせず、顔を伏せて言った。
「陛下がお呼びです」
「わかった。あとで伺うとお伝えしてくれ」
 答えた男は内心、舌打ちしたい気分だった。しかし、外にはそんな様子は微塵も見せない。用は終わりと再び歩きだそうとした男だったが、しかし、侍従はそれを止めた。
「いいえ、殿下。直ぐに、と」
 侍従の言葉に、男の表情が険しくなる。
「急ぎの用なのか?」
「はい」
 低頭する侍従は、それでも男が断れないことを知っている。だから、どんなに男が不機嫌になろうと、侍従は恐れることは無い。
「……分かった」
「陛下は謁見室でございます」
 侍従の言葉に男は踵を返す。その後に侍従も続いた。男の表情は、目的地に近付くに従ってさらに険しくなっていく。大抵、呼び出されたときには厄介事が待っているのだ。確か前回は、地方領主のもめごとの仲裁だった。男にとっては厄介でしかなく、うまみなどこれっぽっちもない。おそらく、今回も同様だろう。
 さっさと領地に戻っておくべきだった。男はそう思ったが、呼び出されてしまった今となってはどうしようもない。やがて目的地に着いた男は、不満を映した蒼い瞳でその扉を睨む。侍従が手際よく扉を開き、男の来訪を告げる。
「陛下、第三王子カイナ殿下をお連れ致しました」
「こちらへ」
 返答に従って部屋に入った男は、最奥最上段の上座に座る父親を見やる。王家の血筋の象徴である金の瞳を持つ父親を前に、男は形通り跪き頭を垂れた。
「カイナ・テルミエータ、お召しにより参りました」
「よく来た。面を上げよ」
 言われた通り、顔を上げた男は無表情に父親を見上げた。豊かな黒髪に金の瞳、威厳のあるその姿に誰もが跪く、それがこの国の王。そして、男の父親だった。
「カイナ、お前に女をやる」
 ふと言った王の言葉に、思わず男は眉をひそめた。
「……どういった意味でしょう?」
「そのままの意味だ。お前に、女を与える。そして、その女の心を開かせろ」
「心を開かせる?」
 意味が分からず、問い返す男に、王はその金の瞳を細めた。
「聞き出すのだ。女から、『魔女』の秘密を」
 その言葉に、男は大体の経緯を悟った。ほんの数日前、城に『魔女』の末裔が連れてこられたという噂を聞いていた。その女のことだろう。
「それなら、兄上たちに任せればよいのでは?」
 女の事なら、兄たちの方が得意のはずだった。色事には目がない。しかし、王は首を横に振った。
「あやつらはダメだ。『魔女』は何をしでかすか分からん」
 つまり、男なら何があっても良いということか。言外に含まれた言葉に男は苦笑した。
「……女は地下にいる。詳しいことはそこの看守に聞け 」
 国王の言葉だ。男に拒否権はない。
「御意」
 短く答えて頭を下げた。


 そもそも、一国の王子自身が地下にある牢へ顔を出すと言うことは、他国から考えれば異常なことだろう。しかし、男にとっては有り得ない事ではない。
 王命に従い、自ら地下牢に出向いた男は、周りからの視線を感じて嘲笑を浮かべた。大抵、上流階級の貴族が向けてくるのは侮蔑の視線。下層階級が向けてくるのは憐憫や同情の視線。男にとってはどちらでも良かった。どちらにしろ、此処には味方はいない。
(……いや、そんなもの何処にも居ないだろう)
 看守の案内について地下へ降りて行く。カビ臭い匂い。混じる腐臭、血臭。囚人の呻き声。全てがいやな記憶を蘇らせる。
 男は数年前、此処にいた。身分も全て取り上げられ、一時期はただ死を待つ為だけにここに入れられていた。結局、疑いは晴れ、身分も回復したが、一度付いた汚名は何処までもつきまとう。
「こちらです」
 ふとそう言って看守が足を止めた。そこは、特別凶悪な犯罪者を閉じこめるための独房だった。“魔女”とはいえ、若い女を閉じこめるだけにしては、手の込んだことをしている。呆れながら、看守の開いた扉をくぐった。
「相手は魔女です。お気をつけて」
 看守の大仰な言葉に苦笑しながら中に目をやった男は、それを目にして立ちすくんだ。
 女は両手を頭上で縛られ、鎖で吊されていた。一種の磔である。力なく伏せられた顔からは血の気が失せ、床に至るまで白い髪が流れ落ちている。何度となく受けたであろう拷問で流れた血で汚れてはいるものの、その美しさに目を奪われた。薄汚れていても、その美しさは揺るがない。まるで彫刻のように女はそこにあった。
 男は唐突に理解した。これでは兄たちに与えるわけにはいかない。その美しさに魅入られて、言うなりになるだけだ。その点、男なら都合が悪くなれば共に殺してしまえばいいのだ。
 看守は、男の様子を見ながら、女をつついた。
「おい、殿下がいらした。起きろ」
 それに気づいたのか、女がうっすらと目を開けた。その目は、赤。目だけが赤い。他は作り物のように白い。女は赤い瞳に男を捉えると、感情を消したままじっと見つめてきた。
「お前、魔女なのか?」
 我ながら馬鹿な問いだと、男は思う。しかし、女は答えない。
「ここから出たくはないか?」
 一瞬、女の瞳が揺れた。しかし、それもすぐ消える。
「お前、ナグルアから来たのだろう? ナグルアの事、魔女の力について話せ」
 男がそう言うと、女は僅かに口を開いた。しかし、震えた唇から音は出ず、すぐに閉じた。
 男は苛立ちも露わに、女に近づく。そして、女の顎を持ち、無理やり上を向かせた。近くで見た女の顔立ちは、まだあどけなさが残る少女のもの。そのことに内心少し驚くものの、そんなことはおくびにも出さず、ただその赤い瞳を見つめた。
「お前の名は?」
「……」
「……答えないのか?」
 それとも、答えられないのか。近くで見てみると、女の体は傷だらけだった。そして、氷のように冷たい。強い意志を見せた瞳とは裏腹に、身体は震えていた。
 男の時もそうだったが、この部屋に入れられ、拷問を受けて最初に気付くのが喋れば喋るほど、死が近づくということだった。喋るのを止めれば、精神的にも肉体的にもやがて声が出なくなる。もしかしたら、この女もそういう状態なのかもしれない。そう考えた男は、看守に目を向ける。
「おい、この魔女は何ができる?」
「何、と言いますと?」
「魔術を使うのだろう? 此処から出すと危害を加えてくることや、逃げ出すことはあるのか?」
「それはないかと思います。今のところ、そういった素振りは全くございません」
 そうか、と考えた男は、ふと、疑問が浮かんだ。
「……なら、何故こんな厳重な管理を?」
「それはもちろん、魔女ですから」
 何でもないことのように言う看守に、男は眉をひそめた。“魔女”だから危ない、とでも言うのだろう。そうして、疑惑は容易に白を黒にする。
 “魔女の秘密”は知ることで世界を手にする事ができると言われている。それを聞き出すための拷問なら、解らなくもない。しかし、今この女は喋れない。それでは聞き出すなんて事が出来るわけがない。このままでは、聞き出す前に疑惑が女を殺すだろう。
 ふと、男は納得した。だから、父が自分に任せたのだ。喋れなくなった女から、“魔女の秘密”を聞き出せと、無茶苦茶な命令を出した。あわよくば、扱いづらくなった魔女と男をともに処分してしまおうと。
 男は、ひっそりと笑みを浮かべた。喧嘩を売られたのだ。買ってやらねばなるまい。いっそのこと、“魔女の秘密”とやらを男が手にしてしまえば、男が世界を制す事ができるかもしれないのだ。
 しばらく、思案に耽っていた男は女に目を向ける。女は、その赤い瞳で、じっと男を見つめていた。やがて、男は看守に言った。
「この女を牢から出せ」
 女がビクリと揺れた。看守も、一瞬ぽかんと男を見つめた。 
「は?」
「女を出せと言った」
「し、しかし、魔女ですよ?!」
「聞いてないのか? 俺は王から直々に任されている」
 言外に、これは王命であることを匂わせるが、それでも看守は頷かない。だから、安心させるようにさらに男は言う。
「責任は俺がとる」
「……わかりました」
 仕方なしに頷いた看守は、女の手首にはめてある手錠を外し始める。それを確かめた男は、踵を返した。そして、牢を一歩出たところで足を止める。
「……何か言いたそうだな」
 そう問うた男は笑みを浮かべている。男がちらりと視線を向けた先には、陰にひっそりと立つ青年が居た。今まで気付かなかったのが不思議なほどの長身だ。その青年は、整った顔をしかめて男の言葉に応えた。
「解っているなら、なぜ引き受けたのです」
「それ以外に道があるか?」
「しかし、これでは死に急ぐようなものでは」
「死ぬ気はねぇよ」
 不適な笑みで青年を見た男の目が鋭い光を浮かべる。
「殿下」
 窘めるような青年の声色に男は肩を竦めた。
「……悪い。とにかく、彼女を上へ連れてこい。介抱が必要だろうからそれも任せる」
「……御意」
 律儀に頭を下げた青年に背を向けて、男は立ち去った。


プロフィール
  • アイコン画像 ニックネーム:蒼蓮 瑠亜
  • アイコン画像 誕生日:12月26日
  • アイコン画像 趣味:
    ・読書-漫画・小説 雑食です。
    ・音楽-SHK国民。シモツキン感染者。吹奏楽。
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