ロワール下流域・一日目 〜Clisson,Gorges,le Pallet これがミュスカデの新時代〜
2013.04.09 [Tue] 13:21


こんにちは、久保です。
ミュスカデにやって来ました。

ロワール地方の中でも最も軽んじられて、サンセールやプイイ・フュメ等に比べると
どうしても凡酒のイメージがミュスカデには付いています。

夏の暑い時期に、良く冷やしてゴクゴクと・・・
または、生牡蠣やフリュイ・ド・メールなどを食べるときに・・・
など、シチュエーションもカジュアルな雰囲気。

ところが、現在のミュスカデの動向を、ご存知ですか??
INAOが2010年に出したクリュ・コミュナルのミュスカデには、
とても優れたものが生まれている。という発表です。




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INAO(国立原産地・品質研究所)がこのほど、AOCミュスカデに、3つのコミューン名(村名)の表記を認めた。「クリッソン(Clisson)」「ル・パレ(Le Pallet)」「ゴルジュ(Gorges)」である。

コミューン名の表記の認定を求める運動は1990年代に口火が切られ、2001年から本格的に開始された。この活動は、ナント地区のワインの素晴らしさを現している。

この3つのコミューンは、地質、土壌学、とても正確な官能的分析に基いている。仕様書によると、3つのクリュの規定は、通常のAOCミュスカデよりも厳しい。収量は45hl/haと制限し、樹齢6年以上で初めてAOCを名乗ることができる。またぶどうの熟度も通常のAOCミュスカデよりも高いことが求められ、天然アルコール度は最低11〜12度。熟成期間もより長いなどである。(収量は、AOCミュスカデは65hl/ha、「シュール・リー」表記と「コトー・ド・ラ・ロワール」「コート・ド・グランリュー」は55hl/ha。最低天然アルコール度はAOCミュスカデは9.5度、後者は10度。)

コミューン名のミュスカデは、若いうちでも楽しむことができるが、10年や15年、20年の熟成にも耐えることができ、より複雑になる。ミュスカデの中でコミューン名のクリュを認めていくことは、ミュスカデの素晴らしさを表現するものである。

ミュスカデ全体のぶどう栽培面積10,000haに対し、今回の3つのクリュ合計は約100ha。生産者軒数も、ミュスカデ全体で650軒に対し、3つのクリュは65軒あまりと、小規模である。今後、他のクリュも認められていく予定である。

「クリッソン(Clisson)」

古いアルモリカン山塊の花崗岩質の断層に位置する。砂利や丸い小石が混ざった土壌で、自然に水はけがよく、ぶどう樹の根は地中深くまで伸びている。ワインはその豊かさが花開くまで、砂糖漬けの果実やドライフルーツ、マルメロなどの表情が現れるまでに、最低でも24か月の長い熟成を経なければならない。

「ル・パレ(Le Pallet)」

セーヴル川の右岸に位置し、暑く、ぶどうが熟すのが早いテロワール。土壌はそれほど深くなく、とても石が多い。片麻岩(変成岩の一種)とあまり変質していない斑れい岩で、下土は亀裂が入っていて、ぶどう樹の根は奥深くまで入り込むことができる。最低でも17か月の熟成を経て、ワインは果実や花のニュアンスのあるエレガントなアロマを現す。

「ゴルジュ(Gorges)」

セーヴル川の両側に位置し、土壌は変質した斑れい岩と石英を含む粘土。このクリュは全般的にとてもぶどうが熟すのが遅く、他の畑よりも遅くに収穫する必要があり、このため好天の晩秋の恩恵を受けることができる。シュール・リーで2年間熟成させた後に、その複雑な表情を完璧に表し、繊細で、強いミネラル感があり、さらに特徴的な燻した香りがある。

(ロワールワイン委員会、7/20付プレスリリース)
現段階はINAOが承認した段階で、デクレ(政令)はまだ発行されていません。

『フランス食品振興会』より抜粋。
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活字だけ眺めていても、イメージが湧きません。

ならば、訪ねるしかない。と、今回のミュスカデ訪問は、
この新しいクリュのワインを造る蔵元を、端からリストに挙げていきました。

まず、手始めにClissonを代表する造り手、ブルーノ氏を訪ねます。

一般的な若いSevre et Maine sur Lieから、
順を追って飲ませてくれました。

上の地図を一緒に追いながら、地質と味わいをチェック。




これが、このあたりのGranite(花崗岩)です。




気前の良いブルーノ氏、次から次へとボトルを開けてくれ、
最後にはラベルのないボトルを抜栓。

「何年か、わかるかい、ソムリエ?」

色合いは黄金色が濃く、何度かラ・ヴィネでも輸入している
ギュンター・シェローの97年に近く、そのくらいかな?と伝えると。
ニコリと笑い、「89年だよ。」

1989年!


・・・どこかで飲んだワインに似ている・・・。





??



そうか、貴腐果を今ほど含まない時代のあれだ!
サヴニエール・クーレ・ド・セラン1989・・・

もちろんあれ程のアルコール感、集中度はないのですが、
熟成感、ミネラルは共通点があります。

すごい熟成ポテンシャル!
これもミュスカデの姿のひとつです。




驚きを胸に続いての蔵へ。

ミュスカデの伝統的な熟成は、こうした地下のタンクによって行われます。
醸造後、ここで澱と共に時間を過ごすのです。




床下からピペットでワインを取り出し、
味わいをチェックします。




Gorgesは粘土です。




ワインもねっとりとした独特のミネラルがあり、
黄色い花や蜜、とろりと粘性を帯びたふくよかさがあります。

クリュのワインは熟成期間も定められ、
なおかつブルゴーニュ瓶に詰められますので、
ブラインドでこれをミュスカデと答えられる人は
そう、居ないでしょう。

2005年。

彼はどこの国にも輸出をしたことがないそう。
ラ・ヴィネが世界で初めてになるということです。




午後の一軒目は、クリュのワインの火付け役といいましょうか、
専門誌などでも度々登場する、Clissonの名手、マルク・オリヴィエ氏を訪ねます。

ここでも異なるタイプの土壌のワインを
いくつかのキュヴェの分けています。

味わいは非常に透明感があり、ミネラルに富み、
イオン・サプライです。




じゃむおじさんみたいです。
(自分はまだお兄さん、じゃむおにいさん・・・)

オーバーオールの似合う可愛い容姿。
手はヴィニュロンらしく、やたらデカい。




そして最後のクリュ、Le Palletです。

ル・パレでは10人の栽培家が集まり、Vigneron du Palletというチームがあります。
お互いの仕事を手伝い、皆同じボトルを使用します。

これは、ClissonやGorgesも同じで、
シャンパーニュで言うスペシャルクラブのように、
まずは、土地の優位性を世界に発信していこうという姿勢。

フランスワインの根底です。




これがLe Palletのボトル。

ミュスカデのクリュの違いを各蔵でテイスティングし、
それぞれしっかりと個性があることを実感しました。

ル・パレは非常に華やかで、これは人気が出そうです。

思うに、クリッソンが最も固く、ヴィンテージにも寄るでしょうが長熟。
コルトン・シャルルマーニュ的。

ゴルジュは燻したようなミネラルと蜜。ムルソー的。

ル・パレは華やかで上品、ピュリニー・モンラッシェ的、といったら
イメージしやすいでしょうか。

もちろん、ここはミュスカデなので、ムロン・ド・ブルゴーニュ特有の
柑橘や清涼感、またアルコール度数はトップキュヴェでも12~12.5度なので、
近年のブルゴーニュほど太った印象はありません。


ピュリニー的で、樽香はほとんどなく、アルコールも強すぎない。
軽いわけではなく、しっかりと旨みがある。

このキャラクターは絶対に、和食でいけるはず!


仮説が確信に変わっていきます。





最後の蔵にあった、不思議な時計。

どこが不思議でしょう?
間違い探し。




そう、数字が逆向きで、
針も逆回転しているんです。

頭が混乱したのか、酔いが回ったのか???


生産者と笑いながら、賑やかに楽しむことが出来ました。


ラ・ヴィネでは、すべてのクリュを輸入しますので、
皆様も、ミュスカデの今を、是非楽しんでみてください。


ミュスカデなんて、軽くて飲んだ気がしないよね、
なんて言ってる人には、勿体ないので飲ませてあげません!笑



本日は買い付け最終日。
Savennieres, Anjou, Saumurでフィニッシュです。


それでは、また。

*ラヴィネのFacebookページでも、写真などご覧いただけます。