南西地方四日目  〜三ツ星シェフと国家遺産を有するトゥルサン&サン・モン
2013.04.06 [Sat] 13:58


南西地方、4日目です。

ワインの括りでは、ひとことに「南西地方」という言葉で片付けられてしまいますが、
これは日本で言うなら、四国・九州・沖縄を、「南西の方の島」と言ってしまうくらい、
とても曖昧な言葉で、実際にはその中にもかなりの多様性が存在します。




アンリ4世の像。

Pauに生まれてフランス王となり、宗教の自由を掲げた王様。

現代でもフランス国民に愛され、このエリアの村の教会脇には、
必ずと言っていいほど、この石像があります。

当時はこの地方のワインも、パリ宮廷に運ばれていたのです。




アンリ4世の描かれたワイン。
これはトゥルサンの赤です。

ジュランソンからマディランと北上し、比較的大きな中継地、
エール・シュール・ラドゥールの街を境に、西側がトゥルサンのAOC、
東側がサン・モンのAOCとなります。

どちらも比較的近年にAOC認可となっているため、
まだ聞いたことのない方も多いでしょう。




ほとんど無名に近いこのエリアですが、今日訪れた二つの造り手は、
片や世界を舞台に名を知られる三ツ星シェフの所有するシャトー、
もう一つは、葡萄畑で世界で初めて、フランス重要文化財に登録された区画を持つ
他に例を見ない偉業を成し遂げた造り手です。

AOCの知名度だけにとらわれていたら、一生こうしたワインの存在は
知らずに過ぎてしまうでしょう。




そしてこの辺りまで北上してくると、ガスコーニュ地方がすぐそこにあるため、
アルマニャックを同時に持つ造り手も増えてきます。

ミシェル・ゲラール氏はSandemagninにシャトーを所有し、
非常に古いヴィンテージを保存しています。

ガストロノミーの世界に誘われる、悠久の余韻。
1967年です。


トゥルサンのワインが気になるう方はラ・ヴィネに少しだけ、
別の造り手の在庫がありますので、是非お試しください。
TURSAN IMPERATRICE BLANC 2010 LA CAVE DES VIGNERONS LANDAIS




続いて、サン・モンです。

Productour PLAIMONTは歴史的な快挙を成し遂げた
この地ナンバーワンの造り手です。




PLAIMONTとはサン・モンを含む3つの村、

Plaisance
Aignan
Saint-Mont

を合わせた言葉。

いくつかのシャトーや自社の畑を複数所有しています。




見慣れた木札、蝋キャップのボトル。




国家遺産に登録された畑は、これまでジュランソンやマディランで見てきたものよりも
更に上を行く、古木が整然と植えられた土地。

そう、ここもプレ・フィロキセラの畑です。

フィロキセラの侵入を防ぐため、
こうしたビニール製のカバーを履くことが義務付けられます。



土壌はフィロキセラが嫌う、砂質です。

畑は非常に狭く、以前は他のワインにブレンドしていましたが、
兼ねてより単一区画での製造を進めていたそうです。

そして昨年夏、この葡萄畑がフランス国家遺産に登録され、
ついに単一のワインとして世に送り出されることとなりました。

その記念すべき、ファーストリリース。
日本に向けては36本のみの割り当てで、
ラ・ヴィネが全量、その販売を引き受けました!

(こちらは4月下旬より販売予定です。)




そしてもう一つの区画はモニュメントとして残された、
21種類の品種の古木の区画。

最も古いもので、樹齢200年。

なかには現存しない、何の品種かわからないものもあります。

この葡萄畑は、ソムリエは一度訪れる価値があると思います。





テイスティング・ルームにて。

プレイモンは規模が大きいため、しっかりと熟成したものを飲み頃で提供でき、
土地の持つ味わいが最も良い形で引き出されています。

サン・モンの赤も、マディラン同様、タナがメインとなりますが、
10年を超えたストックが多種味わえます。




もっとも気に入ったワインの98年。

畑を見せて貰うと、なんと葡萄畑に孔雀が。
霧に覆われた寒空の下、とても神秘的な光景でした。

ここの土壌は赤い砂質で、ワインもさらりとした粒子の細かいタンニンで、
どうだ凄いだろ、と迫ってくるようなワインではありません。

ただし丁寧に熟成され、数百年の時を超えた教会に見守られ、
自然と共に生きる人々の歴史が込められた、身体に染み入るワインです。

こうした背景を持った知られざるフランスワインの
まだまだ尽きない魅力を、文化と共にお伝えできたら幸いです。


***

今日はガスコーニュ地方と呼ばれるエリアを廻ってきます。
古いアルマニャックが、続々と出てきそうな予感です!

それでは、また。