Ambonnayの表現者、Andre Beaufort
2012.05.01 [Tue] 20:59

世はまさにオーガニック・ブーム。

今でこそオーガニックやビオ、有機栽培という言葉は市民権を得て、
時代的にはもうやっていて当然、というくらいの感覚になっていますが

ことシャンパーニュに於いては、それを維持し続けることは非常に大変。

例えば南仏など、葡萄が自然に病気にかかりにくい産地ではさほどの苦労もないかもしれませんが、
冷涼なシャンパーニュでは多方面にリスクを抱えています。



*写真は4月28日、VERZENAYの風車


2012年、今年の春も深刻な冷害に見舞われ、先日訪れた生産者すべてに

「今年の春はとても気温が低く、雨が続いています。このことはあなたの畑にとって深刻ですか?」

と質問すると、ほとんどの造り手の畑が雹でやられてしまったり、
所有する半分の畑の今年の生産を失ってしまった。という声もありました。

湿度の高いシャンパーニュでは収穫までの期間の中でも、これは同じです。
必要な処置が出来ないが為に、その年の収穫がゼロになる可能性だってあります。

だから歴史の中で、毎年のリスクを減らすべく、その年の生産の全量を仕込まず、
翌年、翌々年のために取っておく、リザーブワインという文化が生まれたんですね。

ビオによる耕作がだれでも出来ることであれば、とっくに皆がそっちに行くはずなのに、
シャンパーニュにおいてはビオで畑に臨む生産者はごくわずかなのです。

グランクリュに畑をもつ造り手で真正面から向き合っているのは、この
アンドレ・ボーフォールくらいでしょう。



ところが近年は温暖化の手伝うところもあり、
シャンパーニュでも良く熟したブドウを以前よりは安定して
収穫できるようになってきています。

土地を見つめなおすビオロジックやビオディナミで造られるシャンパーニュに
たしかに鮮やかなアロマ、躍動感のある泡立ちを経験された方も多いはず。



そしてこのビオディナミを、グランクリュの村でいち早く実践し、
今もそれを維持し続け、愛好家に羨望の眼差しを受ける造り手。

それがアンドレ・ボーフォールです。

先日、当主であるジャック・ボーフォールを訪ねていろいろな話を聞き、
たくさんのワインを試飲してきました。

見事なまでに鮮度を保ち、やさしく活き活きと立ち上る泡立ち。
彼のラインナップには南部ポリジーのものと、特級アンボネイのものがありますが、
これをひたすら若いものから順番に、比較試飲させてくれました。



*チョークで飾り気なく書かれた、Ambonnay の90年。

アンボネイの堂々たる迫力はもちろんのこと、ポリジーの繊細ながらダイナミックな味わいも
またアンドレ・ボーフォールという表現者によって、その力を解放されています。

醸造所は雑然とし、彼もまた農夫そのものといった暖かい人柄で、
シャンパーニュというと優雅で高級感ただようワイン、という概念を
いい意味で覆してくれます。

自分にはこういう飾らない暖かさが、とても心地良い。



*朝一から訪ねたにも関わらず、結局20種類以上、最後には80年代まで
 試飲させてくれたジャック。

アンドレ・ボーフォールの栽培は今からずっと前、
化学薬品に対する激しいアレルギーのある妻の為、農薬の使用をやめました。

代わりにアロマオイルを撒いてみたり、規格外の方法で挑んでいく姿に、
ときにシャンパーニュ委員会やINAOを敵に回したり、苦労が絶えなかったはずなのに、
そんな素振りも見せず、訪問したその日も注文分のデゴルジュマンを手で行ったり、
暖かい人が造るシャンパーニュだから、これほど優しい味わいなんだな。と
素直に思いました。



*手でのデゴルジュマンの為、開け終わった王冠がびっしり。



時は2か月前、

先日のラ・ヴィネの試飲会でのこと。

メインの優良試飲は、

KRUG VINTAGE 1985
DEUTZ MILLESIME 1990
SUBSTANCE S.A. J.SELOSSE

そして彼の
AMBONNAY BRUT 1989 でした。

同時に比較した多くの方がアンドレ・ボーフォールのワインに感動されていた事が
それを物語っていたのかも。

私達はそんな彼のワインをいつもたくさん分けてもらえている事に
感謝しなくてはいけませんね。

▼アンドレ・ボーフォールの古酒コレクションはこちら▼
 http://www.lavinee.jp/shop/c/c1A1003/