3日間H 

December 02 [Sat], 2006, 21:39
翌日、よく晴れた日曜日だった。
私の心とは正反対で、太陽が眩しかった。
やっぱり…十月の終わりなだけある。
夏と変わりのない空なのに、風は頬を冷たく触っていく。

ジュンと待ち合わせした時間になった…。

私の駅から三つ程先の駅の改札で待ち合わせをした。
見慣れない駅の改札にポツリと立つ私は…浮いていたかもしれない。
周りにはきっと「デートの待ち合わせ」なんて思われても仕方ないと思う。

すごくすごく嫌だった…。

帰りたい…帰りたいよ…。


「ナル??」


呼ばれた名前…それは私の本名じゃないチャットでの名前…
振り返るとそこには…、写メで見たジュンがいた。


「ナルでしょう??どっか行こうよ、外寒いし。」

私は首を縦に振った、そしてジュンの隣を歩いた。
ジュンは大きくて、それは兄と妹にも見えなくはないだろう。
隣を歩いても…手は繋がなかったし、会話も出来なかった。
もちろんジュンからはいろんなことを聞かれるけど…私は首を縦に振るか横に振るか…
それか「何でもいい」、「どっちでもいい」という応答ばっかりだった。

私が連れて行かれたのは…カラオケBOX。

もちろん歌う気なんてなかった、ジュンが歌っているのを聞いていた。
と…その時…。


ガチャ―――

「ジュンー!!来ちゃったよぉw」

「いいのかよ〜??彼女いんのにぃ。」


いきなり部屋に入ってきたのはカップルらしき二人組。


「いいのいいの、こいつなんも喋んないし歌わねぇし。つまんねぇ。」


ジュンの言うことはもっともだったけど…私は嫌な気持ちになった。


「ナルちゃん♪初めましてw京子っていいまぁす!!」

「俺は真二、よろしくねぇナルちゃん♪」


二人とも、高三で…ジュンの友達らしい。
私は京子さんとメルアドを交換した、真二君とはしなかったけど。

それからも私が喋ることも歌うこともなく…お開きになった。

ジュンに駅まで送ってもらった、切符を買おうとジュンと離れた時…


「来いよ」


ジュンにいきなり手を引っ張られた、そして私を人通りの少ない場所へ連れてきた。


「何??」


私の質問に答えることなく、ジュンは無理矢理私の唇を奪った。
それだけではない、太ももを触って…私のパンツを脱がそうとした。

「…ッちょ…やめてよ!!」


私はジュンを突き放した、無我夢中で走った…逃げた。
駅まで来て…駅員室に逃げ込んだ。


「助けてください!!!!」


中には三人くらいの駅員さんがいて…それからのことはあまり覚えてない。
確かそれから一人で家まで帰った気がする…。


その日のうちに私はジュンと別れた。


初めての交際は…

初めてのキスは…

たった三日間の夢でした。

3日間G 

December 02 [Sat], 2006, 21:26
ジュンと付き合い始めたその日の夜…
何気なくいつものようにチャットをやっていた。

「…なにこれ」

一つの掲示板にあった…信じられない書き込み。


「俺、彼女募集中なんだけどーなってくれる人いない??」

信じたくない…でもその書き込みは…


ジュンからのものだった。


酷い、酷いよジュン…。


私はすぐにジュンにメールをした。


TO:ジュン Sub:酷いよ

書き込み見たよ!!あたしのコト遊びだったの…??


ジュンからすぐに返事が来た。


TO:NARUMI Sub:はぁ??

何それ 知らねぇよ


句読点なしのメール…それが凄く私には恐かった。


ジュンの話によるとそれは全くの別人らしい。
確かに…チャット上で【ジュン】なんて名前は腐るほどある。
私はすぐにジュンに謝って、明日会う約束をした。

した…じゃない、無理矢理約束をさせられた。
正直会いたくなかった…理由なんてなかった。
ジュンが愛してくれてるかなんて…会わなきゃ分からない。
でも…会いたくなかった、会いたくなかった。

このまま…時が止まればいいのにと。

何度も何度も思った。

3日間F 

November 04 [Sat], 2006, 0:43
TO:NARUMI Sub:なんで??

俺めっちゃNARUMIに運命感じるんだケド…
マジこんなにビビッて来たの初めてでさ、俺もうNARUMIのコト
誰にも譲りたくないんだよ。お願いだから…付き合って??
今まで彼氏とか…ってこんな可愛いならいるよなΣ( ̄Д ̄;)


あまりの長文に私は驚きと焦りを隠せなかった。
どうしよう…なんて返事すればいいのだろうか…。

TO:ジュン Sub:無題

ジュンの気持ちは嬉しいケド…

彼氏は今まで出来たことないよ(´д`;)


とりあえず返信するべき内容だけ送った。
心臓の鼓動が速くなっていくのが分かる。


TO:NARUMI Sub:!?

そうなの!?なら尚更俺のものにしたい!!
もうNARUMIのコト本当に譲りたくないんだ…。
絶対に大切にするし、幸せにするよ!!
こんなに女で夢中にさせられた奴なんかいないよ…。
お願い!!付き合って??


返事に困った…。
正直、ジュンの言葉は嘘でも嬉しかった。
ジュンなら本当に、私のコトを愛してくれる気がした。
何より…自分だけが未だに彼氏がいないんだというような気がして焦っていたのも事実だ。
でも…本当にチャットの出会いなのに…いいのかな??

TO:ジュン Sub:本当に…

本当にジュンのコト信じてもいいの??


返事はすぐに来た。

TO:NARUMI Sub:いいよ!!

うん!!
じゃぁ今日から俺達カップルな??

よろしくなナルミ!!!!


コレが…私の始めての男女交際。
初めての彼氏、ジュン。

このときの私は本当に世間知らずな少女に過ぎなかった。

3日間E 

November 03 [Fri], 2006, 23:54
チャットにハマってからは、アキともよく会話するようになった。
日常ではもちろん、チャット内でもアキと喋っていた。
チャットで出来た友達…所謂、チャ友も少しずつ増えていった。

チャットにハマって一週間…学力状況調査テストはもう二週間前に迫っている。
その日は土曜日で、偶々朝早く起きてしまった私はパソコンを開いた。
いつものようにチャットの部屋に入室し、しばらくすると…見知らぬ人からのメッセージがきた。


「どうも!!いきなりごめんね??よかったらリア友になってー(^_^)」

誰だろう??とりあえず返事をするか…

「どちら様ですか??」

返信はすぐに来た。

「前からNARUMIちゃんの会話見てたら、NARUMIちゃん可愛い仔だと思ったから…
思わず書き込みしちゃった(;^ω^A ダメかなぁ??」


書き込んできたのは【ジュン】と名乗る近くに住む、
高3の男性であることがしばらく会話をしていて分かった。
別に悪い印象は持たなかったけど…やたら「チャ友」ではなく「リア友」になりたがってきた。
チャットでは実際に会うことは禁止されているし、メールくらいなら大丈夫かな?と思い、
仕方なくシークレットモードでメルアドを教えた。リア友は必ず会わなきゃいけないというわけじゃないし…。それに、メル友だしね!!と心に言い聞かせながら。

チャットを一旦やめて、パソコンの電源を切った。
携帯をみると一件のメッセージ…。


TO:NARUMI Sub:ジュンだよ!!

本名なに!?ってか写メ交しねぇ??


この人…苦手かも。
顔も知らない人に写真は送りたくないなぁ…。


♪〜♪♪♪〜〜♪♪〜


またもや受信したのはジュンからのメール。


TO:NARUMI Sub:忘れてたー汗

俺の写メだよ(ハート)


ジュンの写メが送られてきた。
別に…かっこよくも悪くもない。タイプでもない。
送られてきちゃったら…返さなきゃまずいよね…。

とりあえず私は、こないだ利津と撮ったプリ画を送った。

またもやメールを受信する。


TO:NARUMI Sub:いきなりなんだけどー

付き合って!!マジ惚れたーw
彼氏とかいるー??


何この人!?訳わかんない。

TO:ジュン Sub:え!?

いないけど…ってか今まで彼氏とか出来たことないし汗
今日知り合ったばっかなのに…付き合えないよ…。


彼氏どころか、告白されるのさえこれが初めてだ。
もう何が何だか頭の中はおかしくなっていた。

3日間D 

November 03 [Fri], 2006, 22:47
「チャットやんない??」


これが私と【チャット】の出会いだった。
アキは私のもとにやってきて、私をとあるチャットに誘った。


「美由もやろうよ??アキもやってるし…楽しいよ!!」

アキから大体の説明を聞いて、その夜興味本意でアキに紹介してもらったチャットにに入室した。
本名を名乗ることには気が引けたので…「NARUMI」と名前で入室した。
別にこの名前にした理由なんて特にないけど。

取り合えず、やり方が全く分からなかったのでアキにも入室してもらった。

私はとりあえず「Aの方語りませんか??男女問いません。」という書き込みをした。
数分後…数人の人が来て、書き込みしてくれた。


「私もAだよぉ♪返事よろしくw」

「どこに住んでいるの??」

「よろしくね(´▽`)」


もちろん私は書き込みしてくれた全員に返信をした。
初めてのチャットだったけど、気づけば二時間が経っていた。
チャットにはあまりいい印象を持っていなかったけど、その夜でチャットが好きになった。

それから私は暇さえあれば、チャットをやるようになった。

3日間C 

November 03 [Fri], 2006, 4:01
この調子で1位になりなさい―――――

どんなに頑張っても、母さんが褒めてくれることはなかった。
トップじゃなくちゃ意味がない…次第に私はそれがストレスになり始めた。

机の前に座っても、今日は勉強する気がしない…。

その時、私の目に映ったものは…アレだった。


「…痛いかな。」


そう、カッターだ。
一年前…ユリ子やレナ、蓮見にいじめをうけて、
自分の腕を自分で傷つける行為を行ったあのカッターだ。
カッターの刃には血がうっすらと滲んでいて、赤褐色に染まっていた。

ゾクッ―――――

気がつくと、私の手首からは少し血が出てきていた。
気づかないうちに、また切ってしまったのである。


「ヤダッ…またやっちゃったの??」

私はすぐに消毒をした。
別に切りたかったわけじゃないんだ…なぜかやってしまった。

「…私って情けないね。」


思わずこぼした本音だった。


次の日、私はその手首を隠すようにして学校に行った。
学校に着くとアキが私の席にやってきた。

3日間B 

November 03 [Fri], 2006, 3:38
秋休みはずっと塾で過ごしていた。
周りに「秋休みぐらい休めばいいのに」なんて言われることもあった。

秋休み明けに塾でクラス替えが行われた。


「美由ー!!クラスAやんかぁ!!凄いやん!!」

そう言って肩を叩いてきたのは、万年Bクラスの【利津】
利津は隣の中学に通っていて、塾友達の中で最も仲のいい友人だった。
女の子同士の付き合いっていうか…素をさらけ出しあえる男同士!!って感じだった。

「頑張ってたもんなぁ、おめでとう!!」

「サンキュ、利津♪お前も早くAに来いよ??待ってるから!!」

「あ〜無理無理、うちそこまで頑張りたくないし!!ってか美由が戻ってくるだろ。」

「失礼な笑」


利津とクラスが離れるのは寂しかったけど、今まで通り塾の行き帰りは一緒だったし、
一緒に自習にも行った。塾だけじゃなく土日もたまに遊んだ。
一方Aクラスの授業はというと、やっぱりある程度ついていくのは大変だったけど、
やっとの思いでAクラスに上がったんだから、成果を出したい気持ちで一杯だった。

翌月の模試では、国語が塾内で4位という結果になった。
今までランキングに載っても、11位とか、30位ぐらいが限界だったのに…

4位なんてありえなかった…。

もちろんその結果を母親に持っていった、今度こそ、褒めてもらえる。


「この調子で1位になりなさい。」


母親から帰ってきた言葉はそれだけだった。

3日間A 

November 03 [Fri], 2006, 3:12
帰ってきた成績も自分で言うのはあれだがそこそこよかった。
「夏に頑張ってよかったな」としみじみ感じていた…だけど


「もう少し、4が取れたんじゃないの??体育、お父さんとお母さんの子なら出来るはずよ。」

「…後期、頑張ります。」

「そうしてちょうだい。」


母親は認めてくれなかった、私の大きな進歩は彼女にとってこれっぽっちもない。
このとき父親は、単身赴任をしていて、家に帰ってくることは少なかった。
もちろん…単身赴任なんて表沙汰だけどね。母さんが作った嘘だ。

私の父親は…事業に失敗して借金を背負った。
ちょうど私が小学校を卒業するという二年前、父さんは家族を捨てた。
私と母さんと弟を残して、一人で闇の中に消えていった。
両親が毎日のように喧嘩を繰り返しては、父親が家を出て行く。
そんなことを毎日繰り返していた、そしてそれを私は毎日みていた。


「喧嘩、するのやめよ??みんな仲良く…」

「うるさい!!」


喧嘩を止めようとすれば、父親に殴られた。
それをみて母さんは泣いていた、幸せな家庭には程遠い光景だ。
ある日、いつものように両親の口喧嘩が始まり次第にヒートアップしていった。
だけど…今日はいつもと様子が違った。


「出て行く、勝手にしろ。」

「勝手にしろって…美由や有斗はどうするんですか!!ちょっと、あなた!!」


――――バタンッ


ドアの閉まる音、両親の会話、深夜二時をまわっていた。
気づかないうちに、私は自分の布団から飛び出し…無我夢中で父親を追いかけた。


「お父さん、お父さん!!」

叫んでも、叫んでも父さんが立ち止まることはなかった。
やっとの思いで父さんの腕を掴んだ…

「元気でな??ぶったとこ痛かったよな??ごめんな??」

「お父さん、お仕事行くんでしょう??帰ってくるよね??」

「…」

「帰って…くるよね??」


父さんは「ああ、だからいい子にしているんだよ」と言って私の頭を撫でた。
あの時の父さんの顔は…今にも泣き出しそうな情けない顔だった。
父さんが帰ってこないなんて分かっていたけど…信じたかった。

父さんが帰ってくることを…

それから、父さんは二年経った今でも帰ってこない。
母さんは私と、二歳年下の弟【有斗】には「父さんは単身赴任なのよ」と言っていた。
もちろん、有斗はそれを信じて父親の帰りを今も待っている。それは私も。

幸せな家庭に戻れることを信じていた。

だから私は母親の期待に少しでも応えたかった。
母の期待は、父の期待でもあると思ったから。
子供みたいな考えだけど、頑張っていい高校に入れば父さんは帰ってくると思っていた。

「いい子にしているんだよ」

そう、私はいい子にならなくちゃ。
もっといい子にならなくちゃ。

母親に見せた通知表を机の中にしまい、塾に自習に行く準備を始めた。

第6話 3日間 

November 03 [Fri], 2006, 2:42
前期期末テストの結果が返ってきた。
夏休みの成果が出たのか、ほとんどが高得点で自分でも信じられない程だった。
私の結果に、ジュリはもちろんカナや麻奈美も驚いていた。


「美由なんでこんなに点数いいの!?」

「夏、頑張ったからかな…。やっぱりS高とかM高行きたいし。」

「美由ってこんなに頭よかったっけ??」

「よくなった笑」

「は??笑 しゃしゃんなー笑」


4人でふざけあいながら会話をしていた、その時…


「美由の成績でM高…ましてやS高なんて無理じゃない??」


アキだ。


アキはなぜか私に対して闘争心を燃やしている、それは他の誰から見ても分かった。
S高やM高は倍率も高く、そこそこ頭のいい学校だった。
元々そこを受験する気なんて更々なかったけど…塾の先生に薦められた。
塾の模試でも、どちらとも安全圏(余裕でその高校に入れる目安のこと)だったし…。

正直、アキの言葉にムカついた。

その場で私はアキの話を流すことが出来たけど、アキに闘争心を燃やされるのも疲れる。


青々しかったあの木々達の色も褪せ、季節は秋。

こないだテストがあったと思えば、もう通知表の帰ってくる季節。
私の学校は二期制なので、秋休みがあるのだ。
この秋休みはもちろん、来月に行われる学力状況調査テストに備えるつもり。

頑張ることが、私の生きがいなのだから。

夏の涙C 

November 02 [Thu], 2006, 22:51
夏期講習最終日…
あれ程勉強嫌いだった私は、人が変わっていた。
塾内テストでは数学を除いては必ず上位だったし、何より勉強が好きだった。
この時私の目標はAクラスに上がることだった、そんなに困難な事ではなかったけど…

私のクラスではAに上がりたいというものはいなかった。

第一私のいた一番下であるBクラスは「馬鹿」と言われる奴ばっかりだし、
私の頑張る姿をみて罵ってくる奴もいた。
それでも私はAクラスに上がりたくて上がりたくてしょうがなかった。

理由っていう理由はなかったけど、私の通っている塾には特別コースが設置されていた。

そのクラスには和也がいたのだ、正直自分でも未練がましい女だと思う。
でも諦められなかった…まだこの恋を終わりにしたくはなかった。
同じクラスになりたいわけじゃない、和也にもっと近づきたい。そんな思いだった。
ただ純粋に認めてもらいたかったのかもしれない。
私という人間がちゃんと存在していることを認めてもらいたかったのかもしれない。
小さな子供が、親に褒めてもらいたいのと同じで…私も認めてもらいたかったのかもしれない。

私の成果を見て、塾の先生が褒めてくれた。


「この調子で、期末も頑張れよ!!」


きっと塾にとってはこんなセリフ決まり文句だろうケド…私にとってそれは本当に嬉しいものだった。

こうして、今年も夏が終わった。
P R
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