手塚治虫:どろろ〜漫画と差別問題〜

March 04 [Thu], 2010, 21:15
本日紹介させていただくのは、ご存知の方も多いでしょうが、手塚治虫の「どろろ」です。



この作品は昭和42年から43年まで週刊少年サンデー(小学館)、昭和44年に冒険王(秋田書店)にて連載されました。

平成19年に妻夫木聡と柴咲コウの主演で映画化されたのは記憶に新しいと思います。

この作品の舞台は戦の火が消えぬ戦国時代。

天下をとりたいという父の野望により魔物に体のほとんどを奪われた百鬼丸。

権力争いの犠牲になり、孤児になった、コソ泥のどろろ。

このあまりにも悲しい過去を背負った二人の絆を描いた、手塚治虫先生屈指の名作です。

しかし、この作品は作風があまりにも奇抜だったので、サンデー時代は人気を得ることなく打ち切られてしまいました。

しかし、テレビアニメ化するにあたり、冒険王にステージを移し連載を再会しました。

しかし、今度は障害者差別反対団体などからの指摘や批判が続き、中途半端な終わり方を余儀なくされました。(ちなみにテレビアニメは最後まで放送)

確かにこの作品、障害者だけでなく、身分差別や性差別にあたる表現が多いように見えます。

であるからして、テレビアニメも再放送は不可能だそうです。

それは残念なことだと思います。

手塚治虫先生は差別には反対の立場の方であることはいうまでもありません。

この「どろろ」の「ばんもん」の話からもこのことは読み取れます。

「ばんもん」はタイトルからも分かるように「板門店」、「ベルリンの壁」への風刺なのです。

どんな作品でも「伝えたいこと」と言うものがあります。

その「伝えたいこと」を伝えるための必然性の中では差別的表現も使われる必要があると思います。

例えば、この「どろろ」は、体を魔物に奪われた百鬼丸と、卑しい身分で性を偽って暮らしているどろろ、と差別される人が主人公です。

では、差別表現を使わないで、この二人を描くことが出来たでしょうか?

言葉だけを問題視して、その言葉を禁じる「言葉狩り」をして、本当に差別問題が解決するのでしょうか。

それだけでは単なる「表現の自由」の侵害であると思います。

確かに、差別用語、差別表現によって傷つけられる人もいます。

しかし、漫画にも表現の自由があります。

その両面に立ってこの問題を考えなければなりません。

単に「これは差別だから」と言って禁ずるのではなく「この作品ではこういったことを伝えたいんだ」ということを理解した上で、考えなければならないと思います。

この「どろろ」は「差別」と「表現の自由」について考えるのにふさわしい作品だと思います。

この「どろろ」の他にも、差別表現が問題になった漫画はたくさんあり、中には発禁にまでなってしまったものもあります。

また、漫画の差別表現を頭ごなしになくさせようとする団体もまだあります。

漫画の中の差別表現より、こういったことによって、名作を手にとることができなくなる未来の子どもたちが出てくることを恐れます。



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