天使の化石 

2005年10月12日(水) 21時49分
 このところの急な冷え込みと忙しさからか、昔から持っている持病が出た。すぐに治りはするものの、わりと厄介なものだ。痛みが凄まじい。どの程度痛むかは見当がついているので不安は無いが、激痛疲れで消耗する。
 東洋医学では循環器系が弱いと生気も乏しくなるというが、私はまさにその典型だろう。こういう症状が出ると、全てに気力を失う。もっとも、痛みで疲弊しきってしまうのが最大の原因だろうが。

 昨日はどうしてもはずせない仕事があり、そのためだけに出社して用事が終わったらすぐに帰った。晩から高熱が出ることがわかっていたので、「明日は多分休むことになります」と予め伝え、実際そのとおりになった。
 細切れの睡眠で、あまり寝た気がしない。起きては汗を拭い、水分を補給する。そうやって、明け方頃ようやく眠ることが出来たが、数時間眠ったら悪夢で目が覚めた。
 ヨーグルトと果物を少量口にして、薬を飲んでまた眠る。

 昼を回った頃、会社から電話があって、いくつかの業務の手順を聞かれる。新人に教えておいたはずだがと思いながらマニュアルの場所を教えると、申し訳なさそうに「ほな、ゆっくり休んでな」と言われた。部署の人数が増えて業務が専任化したら、自分で無いとできない仕事が増えてしまった。これはどうにかしなければ。うかつに病気にもなれない。


 外は久しぶりに好天に恵まれていたようだが、熱のせいか肌寒く感じ、空気を入れ替えるために開け放した窓はすぐに閉めてしまった。

子供のための物語 

2005年07月30日(土) 22時52分
 大人になると、夏が味気ないものになっていくのだなぁ、と思う。

 いつも空調の聞いた場所にいて暑さもろくに感じないし、食べ物にもあまり変化は無いし、休暇も短い。夏を堪能する機会が、子供の頃に比べると極端に少ないのだ。

 同じ環境で仕事をしている大人でも、お父さんお母さんたちは子供に付き合って短い休日を過ごしたり、各種行事に参加したりで、間接的に夏を実感するのだろうけれど。
 そう考えると、夏は子供のものだなぁ。
 長い夏休みも、たくさん思い出作りをするために必要な時間だ。やがて大人になって、懐かしむために。


 子供だった頃、よく両親以外の大人に遊んでもらっていた。
 私みたいにヘンにこまっしゃくれた子供の相手をして何が面白いのだろうと思うのだが、彼らは彼らなりに、自分の子供時代への懐古として私の相手をしていてくれていたのかもしれない。

 あの頃の彼らと同じくらいの年齢になってみて、そして同じく子供を持たない大人になってみて、そう思う。
 子供という存在は、懐かしくて愛しい。
 血の繋がりがあるなしに関わらず、概念として、子供とははそういうものだと思う。私にとって。


 あの頃、一緒になって子供じみた遊びに興じてくれた人も、あくまで大人として接し、静かに時を過ごす方法を教えてくれた人も、道端のネコをあやすように構ってくれた人も、その後やはり子供を持つことをしなかったようだ。
 そして私も、そうなるような気がする。


 子供の時間というものは、映画のように目の前で再現され展開されはしても、触れることは叶わないのだ。
 もう決して、自分のものにはならないのだ。

 私は、そういう大人になった。

僕の目を見て、僕に触れて。 

2005年07月10日(日) 23時54分
 暴力は、複雑さに対する耐性を持たない者の怠慢だなぁ、と思う。

 朝、NHKジュニアスペシャルの再放送で、中世のエルサレムで実現したイスラム教・キリスト教のそれぞれに属する二人の王の結んだ和平条約を取り上げていた。

 当時のエルサレムはアイユーブ朝アルカーミルらイスラム教徒が支配し、それに対してキリスト教圏が断続的に十字軍を送るという状態。

 その時、教皇より十字軍派遣を要請されたシチリア王フリードリヒ二世は、大変リベラルな世界観を持った王だった。彼は戦いによる聖地奪還ではなく、対話による和平を試みる。

 番組では、出演する子供たちに実際にイスラムの文化を体験させたり、日本との繋がりや違いをわかりやすく説明する。

 中でも面白かったのは、三つの宗教が聖地を主張するエルサレムのこの難しい条件の中で、どうすれば和平が実現するのかを、子供たちに実際に考えさせたところだ。複雑さに自ら取り組むための、こういう訓練は必要だ。


 フリードリヒは敬意を持ってアルカーミルに接し、アルカーミルもそれに応じる。友情に基づいた忍耐強い交渉と対話の結果、エルサレムはフリードリヒを皇帝としキリスト教徒に譲渡され、ただし、イスラム教の聖地である神殿の丘のみはイスラム教徒のものとして不可侵が約束された。

 しかしながら、この二人の王が交わした和平条約は、イスラム教・キリスト教それぞれには受け入れられず、和平もアルカーミルが死ぬまでの10年ほどで途絶えた。フリードリヒは異教徒と手を結んだ異端者として、破門を解かれることなく、教皇との敵対した戦いの中死んで行った。

 それでも、これは歴史上で実現した和平の尊い実例だ。友情と親愛に基づき、人間は争いをやめることが出来る。

 「友よ 寛大なる者よ 誠実なる者よ 智恵に富める者よ 勝利者よ」

 フリードリヒの遺体が纏うイスラム風の装束には、アルカーミルに寄せられたと思われる言葉が刺繍されている。
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主よ憐れみ給え。
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