第六話  『余韻』 

January 22 [Sat], 2011, 0:35
 あぁ。

 彼は私たちのいる世界に存在してはいけない人じゃないかしら。
 彼はパパがいっていた私たちの理想郷には立ち入ってはいけない人よ。

 これも全部、日記が、誰かに誘拐されてしまったからだわ。
 だから、何週間も何日間もまっても、私の日記は手元に帰ってこない。
 というか、帰れないのよ。
 一人じゃ絶対寂しがっちゃうのに。

 もし、日記が見つかったその時。私は誘拐した犯人を
 切り刻んで地獄に落としてしまおうって決めたの。

 だって、あの日記は、パパが初めて私にくれたもの。
 そして

 私とパパと理想郷の入口が、日記のどこかに隠されている、って
 パパがいってたの。
 だから、もし、誘拐犯がパパと私の理想郷を土足で
 踏み込んでしまったりしたら、
 誘拐犯は、それほどの罪を負うべきなの。

 それなのに、彼、名前はなんだったかしら。
 多分… しょうへい…? 名前は忘れてしまったけれど、
 彼が、この世界に現れてから、
 少し、周りの色が変わってしまった気がするの。

 それをパパに相談したいのに、私は、悲鳴と拷問と貧相な生活しかない
 この牢獄で過ごしているから、
 パパには今会えないの。凄い残念だわ。早く、日記とパパに会いたい。

 しょうへいさんは日記と同じ香がしたわ。
 もしかして、これから、パパと私の理想郷を完成させるためには、
 しょうへいさんと、日記が必要なのかもしれない。
 
 あぁ。彼と会うのが楽しみだわ。

「香奈枝さん?」

 彼とは関係のない、死神が私の体をあちこち診察をしているの。
 気持ち悪い。

「だいぶ、症状が落ち着いてきたので、両親と連絡をとれれば、
 退院できると思いますよ。」

 あら、パパは、お仕事で忙しいから絶対に連絡なんて取れないはずよ。
 だって、パパと私を結んでいるのは、日記だけなんだから。
 今は確かに夜。そして、草木が眠る金曜日。
 そして、人間が一番活性化するという、金曜日。

 なんだか、パパ以外の人間と会いたくなるなんて、初めてかもしれない。

「先生。ご機嫌いかがですか。今宵、もう暗いお時間ですし、明日は
 土曜日だから、お休みでしょう?私のことは放っておいてくださいな」

 私は、死神に笑みを浮かべの。勿論、こんなの仮面。本当の顔は
 パパと日記しか見せないの。それと、しょうへいさん。

「香奈枝さん…今日は、5月4日の11時23分ですよ。」

 あぁ!これから、本当の理想郷ができていくのかしら!楽しみでしょうがない!
P R
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