春雨 

April 04 [Tue], 2006, 21:08
雨が嫌い。
そうあなたが言ったのは一年前の桜の下。
どうしてと聞いてみた(わたしは結構好きだから)。

綺麗すぎるから、とあなたは答えた。

透明な雫。天から降ってくる水晶みたいに綺麗で。
でも、綺麗すぎるからどこか偽善的で。
全てを流してくれるんじゃないかと勘違いしてしまう。

でも実際は何一つ流れてはくれない。
悔しい、と。なんだか悔しいとあなたは言った。

そうか、とわたしは答えた。
それは「好き」の裏返しだね、とも答えた。
そう言ったら、あなたはなんて答えたか覚えてる?
「春雨は嫌い」だって。

今年の桜の下、あなたは何を言ってくれるだろう。

弔い 

March 12 [Sun], 2006, 19:24
美しい仏壇 黄金の観音像 香の煙 むせ返る匂い。
厳粛な空気 人の気配 数珠の音 経文の声。

此処にいる人達は表に出さない悲しみを持っている。
心に纏い、消える事のない深く澄んだ綺麗な悲しみ。

人がいなくなった時、この人達はどうやってソレを乗り越えるのだろう。
その人がいなくなって、どれ程経ったらソレは失せるのだろう。

考えは、麝香によって消えていく。

無題と言う名の『訴え』 

February 11 [Sat], 2006, 23:17
幸せを求める人は、大抵一回は悲しい思いをする。
自由を求める人は、大抵藁を掴んでいる。

目に見えないから、人はそれを求める。
形あるものとして実感する為に。

目に見えないから、何の確信も無く求めてはいけない。
心に虚しい穴を開けない為に。

神様は不公平だ。
自分はすべてを持っているのに、人には何も与えてくれない。
神様は不公平だ。
すべてのモノを形であらわしてくれるわけじゃない。

でもこんな気持ちをわたしだけじゃない、皆が感じているのなら。
神様は、公平だ。

一枚の絵の話 

January 24 [Tue], 2006, 19:41
それは父親が買ってきた。
幼いわたしに自慢げに見せた。

大きな一枚の絵だった。

今だからこそ思えるが。
ここまでおかしな絵もなかなか無いだろう。
昔のわたしは大してそれに興味も持たず。

どこかの平坦な所で。
空は薄暗く曇っていて、雨風がとても強い。
中世欧米のメイド服を着た女性と、ボーイ服の男性がいる。
荷物や帽子が飛ばないように手で押さえながらも、大きな黒い傘を持っている。
二人の間にまた二人、女性と男性がいる。

真っ赤なドレスを着た女性と、タキシード姿の男性と。
周りの二人とはまるで違う。まるで別の空間にいるように。
とても、そうとても優雅に、ワルツを踊っている。

周りにあるすべてが嘘みたいだ。
雨なんか降っていない。風なんか吹いていない。そう思わせる。

不思議でおかしな絵だ。
でもとても良い絵だと思う。

父が自慢げにわたしに見せた理由。

これも今だからこそわかる事。

雪からなって、水に変わる 

January 22 [Sun], 2006, 20:52
外に出て、道端に寄せられた雪を見た。
泥水を吸って、黒ずんでいた。
不思議だと思った。
あんなにも白く、ときに銀色に見えたものが。
たったの一日で、こうも変わるものだろうか。

今日は晴れ。

薄く透明になった『雪』は、キラキラしていた。

嘘と本当の違い 

January 21 [Sat], 2006, 19:06
あなたを愛しいと思ったのは嘘じゃありません。
あなたを憎く思ったのも嘘じゃありません。

あなたの暖かさに溺れていたのは本当です。
あなたの重圧に耐えきれなかったのも本当です。

あなたがわたしを殺したの?
わたしがあなたを殺したの?

わたしは、あなたを殺したの?

暗黒を愛する人々へ 

January 20 [Fri], 2006, 21:54
誰もが世界を好きな訳じゃない。
誰もが光を好きな訳じゃない。

光は時に陰よりも虚しく。
世界は時に独りよりも寂しい。

暗黒を愛する人々へ。
陰に沈み、他者に埋もれない人々へ。

あなたたちは、誰よりも誇り高い。

夜空を愛する人々へ 

January 20 [Fri], 2006, 19:29
薄暗い空は、夏の夜空に似ていた。
薄暗い空には、多くの星があった。
薄暗い空は、美しかった。とてもとても美しかった。

毎夜のように、多くの人が空を見上げ。
多くの人は、空を愛した。

果てがないから美しい。
P R
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