【夢十夜】〜番外編〜 

May 27 [Sun], 2007, 0:24



シリーズを三夜まで進めておいて今更ですが
【夢十夜】についての解説を。

「夢十夜」というのは有名な夏目漱石の作品です。
夏目漱石といえば
「坊ちゃん」「吾輩は猫である」「こころ」が有名だと思いますが
私はこの「夢十夜」がお気に入りです。
(もちろん他の作品も好きです)

初めて読んだのは小学生頃だったと思います。
あの奇妙で不思議な世界観がなんともいえません。
短い話が10話あるだけなので興味のある方は是非。
ttp://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/799_14972.html
(青空文庫より)


で、【夢十夜】シリーズは「夢十夜」とはちっとも関係ないです。
ただタイトルを持ってきただけで…

ベースにあるのはやっぱり夢です。
多少手を加えたり削ったり
ストーリー性を出してみたりしつつ。
それでも、夢なので意味不明な部分が多いですが…

ところで、【夢十夜】シリーズもそうですが
詩を創作するにあたって、
ベースとなる歴史背景や予備知識は念入りに調べているつもりです。
専門的だったり普段使わない用語がでてきたら
裏に細かい設定ありありです。

ただ、前に出した「ふたつのくろい星。」なんかは
天文学の知識がないと意味不明ですよね。。。
(超新星爆発とか質量とかマニアックw)

意味不明な感じも良いけれど
あまりにも専門的だな…と思うのは
これからはコメ欄使って解説入れようと思います。(気まぐれに)

【夢十夜】シリーズは題名通り10作を予定していますが
最後まで投げ出さないかは不明。。(やっぱり気まぐれ)

夏が終わるまでには…(遅)

【夢十夜】〜第三夜〜 

May 26 [Sat], 2007, 1:10





こんな夢を見た。







あの頃、私はドイツにいた。


確か、プロシア王国に

フリードリヒ大王が即位して間もない頃であったと思う。



私を産んだ母は非常におっとりとした

優しい人であった。



末息子で甘えざかりだった私は


足がかじかんで寝付けない季節がくると

母の布団にもぐりこんでは


「アルプが怖くて眠れないんだ」


とだだをこねていたが、


母は

そんな私の赤くなった足先を

自分の脚の間にはさみながら



「ハーメルンの笛吹き男の話をしようかね」


そう言って頭をなでてくれるのであった。





いつもなら

物語の途中で記憶が溶けてしまうが


ザントマンが砂袋を持って

なかなかやってこない夜は


決まって

「ハーメルンの子どもたちはどこへいったの?」

と母を困らせたものだったが、



金や銀でひかる花畑や

魔女が棲む深い森

あまいパンでできた家……


そんな話を聞いているうちに

とうとう観念して寝てしまうのであった。






「子どもたちは捨てられたの?」



そんな質問をした夜もあった。



母は一瞬こまった顔をして

しばらくは無言で

私の頭をなでてばかりいたが



「捨てられたのは親たちのほうかもしれないね」


と静かに微笑んだ。



そのときの母の瞳が

すこしだけ悲しそうであったので



私はそれ以来

ハーメルンの笛吹き男の話を

あまり好きではなくなった。




かわりに

醜い妖精のコボルトが

夜中にパンをかじったり

こっそり靴の左右を取りかえてしまう話に夢中になった。




私がどんなにワガママを言っても

叱りつけたり手をあげることのない


とても優しい人だった。



そんな母は縁があって



もう母ではなくなってしまったが



今世でも私のそばで

優しく見守り続けてくれている。







【夢十夜】〜第二夜〜 

May 22 [Tue], 2007, 23:57





こんな夢を見た。






視界は真っ白でなにも見えない。



どっぷりと

全身雪の中にいる私は



かろうじて

人が通れるほどの狭い穴を

崩れおちてくる雪をかきわけながら

四つんばいで前に進んでいた。



水槽いっぱいにしきつめた雪の中で

溺れてしまったのだろうか



白いトンネルをどんなに掘り下げても

景色どころか地面さえも見えてはこない。



もうすぐ例のホテルだぞ。



私の前でトンネルをつくっていた記者の男が

振り向きざまにそう言って

あっというまに穴の奥に消えてしまった。



私は

いつ崩れるかもしれない雪の壁に怯えながら

置いていかれないように必死で掻き進む。



あのホテルは廃墟になっているが

こうして雪に閉される季節には

人知れず

死体が置き捨てられるのだよ。



後ろに続いていた

もう一人の記者の男がひっそりと言った。



雪の中からようやく地面が見えたとき

そこはもう

ホテルの床であった。



部屋の天井までぎっしりと雪が詰まっていたが

私たちは好奇心から

思い思いに雪を掻き出したのだった。



部屋は廃れた様子はなく

薄暗くところどころ雪に覆われていたが

現れた薄いピンクのダブルベッドも

かけ布団はきれいに整えられた状態であった。



なんだ、何もないじゃないか。



ひどくがっかりしたように

記者の男がベッドの上で仰向けになった。



もうひとりの男もため息をついて

静かに帰り支度をはじめたが、



私は気味の悪い気配に

吐き気を抑えるのに必死であった。



なんだ、あれはただの噂話だったのか。



そういいながら記者の男が

不意に布団をめくった

その刹那、



うわぁぁぁぁぁ



2,3歩後ずさりした男の

肩越しに見えたのは




どす黒い



人間の形をした物体。




あぁ、あれが

見つかってしまったのだ。



男はしばし

気が狂ったかのようにわめいていたが

やがてその瞳にはあやしい光が差して



あった! あったぞ!

女の死体だ!! スクープだ!!



そういって嬉しそうに写真を撮り

ポケットのメモ帳にせわしくペンを走らせ始めた。



だいぶ腐ってるな。ぶよぶよになって歯もいくらか落ちてしまってる。

おおかた、自分のオトコにでも置き捨てられたんだろう。



騒ぎ立てる男をよそに

もうひとりの記者の男も

冷静に遺体を眺めていたが



私はただ身が固まって

動けなかった。




何よりも

この状況で淡々としている

目の前の人間たちに恐怖を感じていた。



いいようのないほど強い悲しみが

水を注いだように胸に流れ込んできたが

不思議と涙は出なかった。



どうして、彼らについてきてしまったのか。



いや



そもそも

どうやって自分がここにいるのかすら

理解できないでいる。




あんなに雪を掻き出したのに


指は赤くなってすらなかった。





せめて、きれいなうちに埋まってしまえば

こんな醜い姿をさらさずにすんだのになぁ。かわいそうに。




感情のこもってない男の声が

暗がりにおちていく私の遠くのほうで

ぼんやりと響いていた。







【夢十夜】〜第一夜〜  

May 22 [Tue], 2007, 0:36





こんな夢を見た。




カラフルな石畳に

レトロな街灯



港町は観光客でいきかい

だれもが笑顔

飛び上がるくらい軽快な足取りで



右へ左へ



ぽつんと

不安げにあたりを見渡す

私だけを残して



もうまもなく

海のうえを渡る

あの汽車の出発時刻



手を引かれるままに

一緒に旅をしてきた



あのひとは



どうやら

私を忘れて行ったらしいのだ



まもなくの発車を知らせる汽笛が

ぼぉぉうっと

重たく胸に響いて



言いようのない不安に陥った私は

気がつけば駆け出し



懐かしさにつつまれた

あなたの姿をみつけようとするけれど



どの場所を訪れても



あなたのぬくもりだけを残して

大好きなあなたはどこにもいない



私にゆかりある人が

たくさん集まっている座敷に入ったときも

きょろきょろとするだけで



親戚のおじさんが

「一体誰を探しているんだい?」



小さな子をなだめるように

背中をまるくして

ふるえる私の頭をなでてくれたけど



瞳にたくさん涙をためて

首を横に振るしかなかったんだ



顔すら思い出せない



あなたは確かにそばにいたのに



どんな顔だったか

どんな声だったか



ぼやけてしまって



あなたの優しいぬくもり以外は

何一つわからない。



しゅっ、


しゅっ、


しゅっ、



小刻みに息を吐きながら

波をかきわける汽車の上



ターコイズブルーの海に囲まれて



たったひとり

迷子になったこどものように




嗚咽をもらして


泣いていた。




そう



現実の誰の顔もあてはまらない

あのひとは




間違いなく



あなた。







気まぐれなうた。 

May 20 [Sun], 2007, 2:21






こころのなかで

もやもやしていたものが



すぅっ   と



カタチを成しはじめて



ぐるぐる



そわそわ



むねの中であばれるのを

ぜんぶ吐き出してしまって



どろどろとした

アメーバ状のそれを



こねてこねて



ときどき

寝かせて




たまには削ったり


たまには補修したり



そんなことを繰り返しながら創るんだけど



ときどき

喉につっかえたりとか



ときどき

寝かせたまま忘れたりとか



ときどき

完成まえに壊してしまったりとか

するものだから



咲くのはごく一部かな。




まだまだ

タネはたくさんあるから




今夜もうたうよ




君のこころに響くように




ひとり


現実よりも近い


この場所で。






カテゴリ解説。 

May 20 [Sun], 2007, 1:50

MSNスペースにいたときより

若干カテゴリを変えたり増やしたりしたので

今日はその解説を。



【気まぐれな追憶。】
 自分の過去をベースにつくったウタ。

【気まぐれなうた。】
 今の自分の気持ちをベースにつくったウタ。
元になってるのは自分の感情や経験。

【気まぐれな扉。】
 見たり聞いたりした出来事や特定のテーマを決めてつくったウタ。
基本的に私情を含んでいない。元になるテーマからおこして
創作したウタ中心。

【気まぐれなつぶやき。】
 つぶやき以上、詩未満。
詩ばかりだとパターン化するなと思って新たに作ったジャンル。

【宛先不明の手紙】
 宛先は秘密。むかしブログであったジャンルを復活させました。
でも妙に照れくさいときがあって、書いたはいいけど
たまに他のカテゴリに振り分けたりしている。(ォィ)

【気まぐれな報告】
 お知らせとか、詩と全然関係ない記事。



前は日常生活なんかも同じブログでUPしてきたけど

やっぱり分けたほうがいいかなと思うので、

気まぐれな生活〜他は外しました。



カテゴリ分類っていっても、「うた」寄りでも「扉」に入れてみたりと

グレーゾーンの扱いが適当なのであまり参考にならないですが…笑

ちょうど表示が記事の下のほうにあるので、

これはどこのカテに来るんだろうなんて

予想しながら読み進めていただければと思います。




空と雲が混ざるころ。 

May 17 [Thu], 2007, 2:26






恋することは同化だそうで




恋した相手をココロの部屋に住まわせて




しまいには

支配までされてしまって



それなしではいられなくなって



まるで

すべて自分のものであるような



まるで

分離できないくらい溶け合ってしまったような



そんな感覚に陥るから



失ったときの喪失感は



半身を引き裂かれたかのように

つらく苦しいものだと



なぜだか

高校の教科書に書いてあった。







「だからずっと、鍵をかけてるんだよ」







誰かが


こっそりつぶやいた。






なるほど


僕が同化したのは彼女でなく


僕のココロに棲む彼女なのか。





僕は妙に納得しながら


ぼんやりと


流れていく白雲を仰いでいた。








今日の格言vol.3 

May 16 [Wed], 2007, 3:14





何をやってもダメな日は


いくらあがいたってダメなのさ






もっと冷静になろうよ

明日は明日の風が吹くから

時計の針がぐるぐると。 

May 16 [Wed], 2007, 2:07








時間軸がすすむ




すこしだけ先のゲンジツも


とおく先のゲンジツも




そこにいるだろう私の


みらいの瞳をフィルターに





ぼんやりとみえる


不確かなエイゾウ





強い願いは虚像をみせ


弱い心は悪夢をみせ





でも澄んだ心のときは


ちょっとだけ


みらいの扉が開くらしい




楽しいユメなら忘れるけど


悲しいユメなら慎重に





都合の悪いユメは


いつだって見なかったふりなんだ




でも


誰かが死ぬユメを見たときは


ちょっとだけ曲げようと努力してみる




時間軸はメビウス




おわりまでたどり着いたら


またはじめから繰り返す


同じ流れを


何度も何度も





だからきっと


私の知ってるみらいは過去の記憶




かえられない


あがなえない





それでも






永遠に続くループも


枝分かれしたうちのひとつかもしれないから





できるだけ読み取るし


できるだけ残しておこうとする






時間軸の壁にたくさん刻んでおいて


次にイマを通るときには


すこしでも悲しみが少なくなるように





もう迷ってしまわないように





細胞が生まれ


細胞が死んでいく





私の中を時間が流れていく




生と死をくりかえしながら







またここへ戻ってきたと


デジャビュと


懐かしさにつつまれて







時間軸がすすむ




       私をのせて永遠に・・・・・








灰色の波紋。 

May 05 [Sat], 2007, 6:05




   ぽと



      ぽとり





一滴の黒いしずくが

みなもに吸い込まれ



散るかのごとく

とけるかのごとく



灰色の波紋を広げ

ぐるぐると

戸惑いと闇とが交わり



そうして

いずれは君を

ただ一面の

漆黒の海にしてしまうのだろう



私の涙がすべり落ちても

君はただ重たく揺れるだけ



何者にも動じないかわりに

何も生み出しはしない



それはある意味、永遠で

それはある意味、幸せなことかもしれない





私は止めようともせず




今日も覗き込む




  ぽと


     ぽとり




一滴の黒いしずくが

みなもに吸い込まれ


散るかのごとく

とけるかのごとく


灰色の波紋を広げ

君のなかのたくさんの君が交わり



時に悲しく


時に激しく


時に輝きとなって


美しい波紋を広げていくのを


ただ ただ 見つめ




一面の闇になるその時まで



灰色の君を思い

灰色の時を惜しみながら




深い森の奥にある

この泉のふちで




自らが水仙になってしまうほどに


       ずっと..................





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