【Type-K】 04:儚い夢 

April 29 [Sat], 2006, 22:53
それが、当たり前だと思っていたのに。

彼は、私の親友で。
彼女は、私の愛しい人で。
彼らは、私の戦う理由で。
私は、勇者で。

そうであったはずなのに。

彼は私を憎んでいた。
彼女は私を見捨てた。
彼らは私を恐れた。
そして私は、魔王となった。

私に残されたのは、深く昏い絶望と、全てに対する憎しみ。
私は儚い夢を見ていたのだ。
この世界に愛など無い。
この世界に正義など無い。
この世界には、信ずるに値するものなど何も無い。
私はそれを知らなかった。
私は愚かだったのだ。
だから、夢に踊らされたのだ。

しかし、夢に踊らされた愚か者は、私だけではない。
他の愚者達にも、教えなければならない。真実を見せてやらねばならない。
この世界は欺瞞に満ちていると。
この世界は醜いものなのだと。
そのためには、憎しみの力を思い知らせてやらねばなるまい。
遙かなる場所を越え、遙かなる時を越え、世界中に憎しみを撒いてやろう。
憎しみよ、争いの火種となれ。
間違った正義を、滅ぼすのだ。
間違った世界を、滅ぼすのだ。
そうして全てを灰と成せ。
全ては儚い夢なのだから。

我が名は魔王オディオ。
憎しみの権化にして、世界の真実を知る者。


『04:儚い夢』→"ODIO"(LIVE A LIVE)

【Type-K】 03:酷い男 

March 29 [Wed], 2006, 1:16
己の主君に向けられた銃口を見た瞬間、考える間もなく体が動いて。
気付いたら、腹に穴が開いていた。

「あー、畜生…」
痛みと熱と衝撃に、俺は仰向けに倒れこんだ。
弾丸に貫かれた腹部からは、血がとめどなく溢れている。傷を抑えた手は、既に真っ赤に染まっていた。
全く、なんてザマだ。この猿飛佐助様ともあろう者が。
「佐助っ!!!」
周囲を囲んでいた雑兵どもを切り捨てた旦那が、血相を変えて俺の元へ走ってくる。
「佐助…佐助!死ぬな!死んではならんっ!佐助!!!」
…何泣きそうな顔してんのさ、旦那。あんた武田の戦鬼でしょ。その顔じゃ、威厳無いよ?
そんなことを頭の隅で考えながら、俺は旦那の姿を確かめる。
ざっと見たところ、旦那に怪我はなさそうだ。良かった、庇った甲斐があったってもんだ。
「はは…あんたが生きてりゃ、俺様、それで良いのよ、旦那ー…」
俺はあんたの部下なんだから。
俺はあんたのために生きて死ねれば、それで良いんだから。
言って空笑いを浮かべた俺を、旦那は聞き分けの無い子供のような顔をして、怒鳴る。
「…拙者は良くない!」
旦那の叫びと同時に、咳き込んだ。血が、手のひらにべたりとつく。
吐き出した血の量は、少なくは無い。
はは、こりゃ流石に拙いかな。
少々苦しい息の下、俺は旦那に精一杯の笑みを向ける。
ごめん旦那。俺、もう、無理かも。
「…ゴメンねぇ、旦那…俺様、もう、旦那の傍にいられなさそ」
「佐助!」
「…はい?」
唐突に名を呼ばれ、話を遮られる。
何があったかと旦那の顔を見てみれば、やたらと険しい顔で俺に問いをかけてきた。
「お前は拙者が生きていれば、良いと言うのか?」
「ああ…うん」
気圧されるように頷くと、旦那は真面目な顔で、
「ならば、お前が居なければ、拙者が生きぬといったら、どうだ?」
とんでもないことを抜かした。

【Type-K】 02:白い壁 

February 19 [Sun], 2006, 1:20
それは憧れ。

「武田三尉に質問がありますー」
「語尾を延ばすな」
「“白い壁”って、越えた事ある?」
「“白い壁”?」
「そうそう。戦闘機が音速超えるときに偶に出るアレ」
「…話には、聞いたことがあるけど」
「…てことは、見たこと無いかー」
「あの壁は相当特殊な条件下で無ければ出現しないんだろう?というか、空自の訓練でアレが出るようなスピードで飛ぶことがあると思ってるのか?」
「ご尤も」
「…音より早く飛ぶことに、そんなに意味があるか?」
「あるよある。大あり。それはつまり男のロマンって奴でー」
「…」

大空を舞い、音速を超える。
それは少年の時からの、俺の憧れ。

だけどその憧れの体現者は、俺のすぐ傍にいたりして。

「あー、やっぱり武田三尉は格好良いなぁ」
「はぁ!?なんでそうなるんだ!?」

顔を赤くして叫ぶ彼女は、可愛いけれど格好良い。

…俺の彼女は、音速の女。


『02:白い壁』→Takami×Miki (SORA NO NAKA)

【Type-K】 01:悪い癖 

September 16 [Fri], 2005, 9:21
また、視線を逸らされた。
軽く俯いてしまった彼を見て、ボクが思うことはただひとつ。
…面白くない。

「アッス君」
「は…はい!?」
静かに名を呼べば、犬らしく、ピン、と耳を立てすぐさま視線を元に戻してきた。
彼の視線がまっすぐにボクを捕らえる。
よし、満足。
ボクはそっと彼の顔に手を差し伸べ、その長い前髪を上げてやる。
彼は一瞬抵抗するみたいに身を引こうとしたけれど、ボクはそれを許さない。
そうして露わになるのは、綺麗な茜色。
不安げな色を映すその瞳を見ながら、ボクは小さく苦笑する。
「まだ治らないんだネェ、他人の視線から逃げようとする癖」
ボクの言葉に、彼はしゅん、と肩を落とす。
「すいません…」
「うん、悪い癖だヨ? 大丈夫、ボクは君の目を怖がったりしないから。だからしっかり、ボクのことを見てネ」
言いながらよしよし、と自分の頭よりも高いところにある彼の頭を撫でると、彼は決まり悪そうに、だけど少し幸せそうに微笑んで、はっきりと返事をした。
「はい」
「よろしい。もう二度と、キスの前に視線外したりしたら、駄目だヨ!」
ボクは鷹揚に頷き、それからそっと彼の耳に唇を寄せ、呟く。

「じゃあ、もう一度、やりなおそっか?」


『01:悪い癖』→ASH×SMILE(Pop'n music)
お題配布元はこちら

英語お題5−2 5.God bless you. 

September 11 [Sun], 2005, 12:27
God bless you.
君に幸あれ。
君に神の恩寵あれ。

ぼくはいつでも君の平和を願っているよ。
ぼくはいつでも君の希望を願っているよ。
ぼくはいつでも君の勝利を願っているよ。
ぼくはいつでも君の笑顔を願っているよ。

ぼくはいつでも君が幸せであるように、願っているよ。

まあ、戯言だけどね。


『5.God bless you.』→“E-chan”(ZAREGOTO series)

英語お題5−2 4.Why me ? 

September 10 [Sat], 2005, 0:23
ゲージの増減を示すグラフの上に表示されるWINとLOSEの文字。
無情に勝敗を告げるリザルト画面を、彼は悔しそうな顔で見詰めていた。
「…また、俺の勝ちだね」
淡々と、画面に表示される事実を告げると、彼―エレキ君は、ぎっ! と、敵意に満ちた棘のある視線を向けてきた。
その視線を受け流し、俺は苦笑しながら肩を竦める。
「そんなに睨まないでくれよ、勝負を吹っかけてきたのは、君だろう?」
「…!」
俺の指摘に、彼は一瞬たじろいだかと思うと、突然ふいっ、とそっぽを向いてしまった。
何となく子供っぽいその態度に、思わず小さく笑いが浮かんでくる。
昔、弟もこんな態度をとることがあったなと、懐かしい影が彼に重なった気がした。

エレキ君が俺の前に現れたのは、数ヶ月前。
まだ初心者の彼が、現れたその日に、唐突に俺に勝負を挑んできたのは記憶に鮮やかだ。
当然俺は、レベルの違いを理由に断ろうとしたのだが、彼は決して引き下がらなかった。
結局俺が折れ、勝負をすることになった。
最初は簡単に考えていたんだ。ただの腕試しだと思っていたから、一回とんでもない点数差をつけて負かせば、終わるだろうと思っていた。
だがしかし、何度こてんぱんに負かしても、一向に彼からの挑戦は止まない。
しかも、彼がそんな無謀な勝負を吹っかける相手は、何故か俺だけなのだ。
俺はそれが、不思議でならなかった。

「エレキ君。一つ聞いてもいいかな?」
「…?」
背中に掛けた言葉に、彼が振り返る。
彼は何故か一切喋ろうとしないが、その目はとても雄弁で、疑問の色を強く映していた。
「どうして君は、俺にばかり突っかかってくるんだい? 別に俺じゃなくても、ユーズやナイアとか、レベルの高い、目標になるようなプレイヤーは沢山居るだろう?」
その言葉に彼はぱちりと瞬きをひとつ。
それから、少々むすっとしたような顔を浮かべ、またリザルト画面に視線を移す。
どうやら返事を返す気はないらしい。
『…まあ、返事があるとは思っていないけどね』
俺は溜息をひとつ吐き、足元の荷物を拾い上げた。
「それじゃ、今日は俺、バイトだからこれで失礼するよ。またね、エレキ君」
そう言い残し、俺は筐体に背を向けた。
小さく呟かれた彼の言葉には、気付かないまま。

「…アンタじゃなきゃ、意味がないんだよ。馬鹿兄貴」


『4.Why me ?』→SHI-LOW & EREKI(beatmania UDX)

英語お題5−2 3.for you. 

August 17 [Wed], 2005, 22:10
貴方の為に
泣けもしないわたしを
姫と呼ばないで。

貴方の為に
何も出来なかった私を
騎士と呼ばないで。

貴方を護れる力が欲しかった。

貴方を癒せる涙が欲しかった。

だけど
わたしが
私が
それを望んで手にしたものは。

結局わたしは、何も手に入れられなかった。
結局私は、何も変わることが出来なかった。

だけど、あのひとは教えてくれた。
誰かの為を思うことで、奇跡が起きる、と、いうことを。
だから
護れない、弱いわたしでも。
癒せない、無力な私でも。
貴方の為に、何かが、出来るのでしょうか?


『3.for you.』→Princess Pearl & Lady Pearl(SEIKEN DENSETSU Legend of Mana)

英語お題5−2 2.Go straight. 

June 30 [Thu], 2005, 2:54
横を見るな。
振り向くな。
決して目線を逸らしてはいけない。
僕は真っ直ぐに、先へ、前へ歩いていかなければならない。

右手に宿った、魂食いの導く先へと。

生と死の紋章。
これによって僕が背負ったものは余りにも重く。
これによって僕が失ったものは余りにも尊く。

…でも、だからこそ僕は真っ直ぐに行くしかない。

背負ったもののため、失ったもののため、僕は前へと歩き続ける。
大勢の仲間達と、僕のために亡くなった、大切な人たちの命を背負いながら。
たとえその先にあるのが、更なる不幸だけだとしても。
僕は止まらない。
止まれない。

僕はきっと、永遠に。
右手の導く終わりの無い道を、ただひたすらに歩き続ける。


『2.Go straight.』→Hero(GENSOU SUIKODEN)

英語お題5−2 1.At last. 

May 13 [Fri], 2005, 1:21
「なあチェスー、笑おうよー」
「…あのさ、エルマー…」
「何?」
「なんでエルマーが僕が笑うことにそんなに拘るのさ…」
「チェスには笑顔の方が似合うと思うから」
「大半の人間には笑顔が似合うんだろ、エルマーにかかったらさ」
「それにアレだ、東洋の諺で、笑う門には福来たるって言うし!」
「以前にも聞いたね…でもそれ、逆じゃないか。普通良いことが起こったから笑うんだろ」
「いやいやでもこれマジだって」
「そんな眉唾物の話の真偽はどうでもいいよ」
「うーん、小癪な返答するなあ相変わらず」
「エルマーほどじゃないさ。ま、エルマーのは屁理屈だけど」
「屁理屈も理屈のうちだろ?」
「違うでしょ…だけどね、エルマー。最近僕、思うんだよ」
「あー?」
「エルマーの言う通り、笑うのは、いいなあって。うん。笑顔って、大事だな、ってさ」
「…」
「…何、その嬉しそうな顔」
「アハハハ!!ついに俺の前で笑ったな!!!」
「え…ッ!?」
「しかもその台詞!よし、おめでとうチェス。お前も今日から笑いの信徒だお仲間だ!」
「ちょ、ちょっと、エルマー!?」
「いやあもう、チェスの口からそんな言葉が聞けると思わなかった!!」
「…!!!」
「アハハハハ!チェスは本当に可愛いなあ!」
「……くそ、前言撤回だ!笑いなんて」
「いいもんだろ?」
「…ッ」
「な?」
「ああもう、本当に、エルマーには敵わないなぁ…」


『1.At last.』→Cheslav & Elmer(BACCANO!!)
お題配布元はこちら

幻想お題5 5.Happy end. 

April 21 [Thu], 2005, 14:41
あの日に戻れれば、と、幾度も思った。

どうして、こんな事になっちゃったんだろうね?
わたしと貴方は、お互いに愛し合っていたのに。
ずっと一緒に、二人で、幸せでいたいと思っていたのに。
…今でも、その気持ちに、変わりは無いのに。
どうして、今、戦場で、敵としてここに居るのかしらね?

ねえ玄徳様、そんな顔しないでよ。
わたしと貴方、もう一緒には歩めないの。わたしもそれは凄く哀しい。
出来ることなら、ずっとずっと、貴方の傍に居たかった。
だけど、わたしはやっぱり孫家の娘。
だから、そこにはもう、戻れないの。
…玄徳様、あのね、わたし、ね。幸せだったわ。
幸せな終わりを迎えることは出来なかったけど、貴方に会えて、本当に良かった。

だからありがとう。

そして、さようなら

だいすきなあなた。


『5.Happy end.』→Sun-Shangxiang(SHIN・SANGOKUMUSOU4)
P R
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