風といぶし銀
昔々・・・
と言いましても、古(いにしえ)というほど遠い話ではありません
この世に産声をあげた時から 病気の総合デパートのような男の子がいました
生後2ヶ月で ドクターからも見放された男の子でした
でも、暢気におおらかに歳を重ね9年6ヶ月の時を過ごし
やがて、この世に別れを告げる時を迎えました
共に過ごしてきた私は、彼との別れを悲しみ
引き止めようとしました
でも、それは彼がこの世に生まれる前から
神様との約束で決められていたことです
人間の力で変えることなど できない事でした
別れの時に彼を抱きしめ
自由に何処へでも飛んでいける 風になりなさい
全盲だった君が 見ることの出来なかった全てのものを
風になって、世界中で見てきなさい
私は今も風が好きです
やさしく頬をなぜる時、前髪をクシャクシャっと乱す時、身体を吹き飛ばそうとする時
全ての風が、私は好きです
なぜなら、それは彼からのメッセージのような気がするからです
彼はその時から<風のキム>と、呼ばれるようになりました
彼が風になる少し前に、残していく私を側で見守ることを
5月、坂越港の光る海を見つめながら(それは彼が風になった月でもあります)
妹に頼みました
お兄ちゃんと別れる事がとても寂しく、悲しい3つ年下の妹は
泣くまいと唇をギュッと結んで約束しました
お兄ちゃんの分も 私は長く、出来るだけ長く彼女の側で見守り続ける
月日は過ぎ、新しい家族や友達が増えていきました
弟や妹ができて、風のキムの妹は<姫ねーさま>と呼ばれるようになりました
楽しい時も、愉快な時も、苦しい時も
姫ねーさまの心の深いところで 風のキムとの約束がいつも有りました
お転婆な 凛々しいお顔の女の子だった姫ねーさまが
優しい表情で 私にいつも寄り添い出したのは
風のキムがこの世に別れを告げた歳を、自分が過ぎた時でしょうか
私の歳を、しなやかに越えたときでしょうか
姫ねーさまを大病が襲い、慌て自分を見失いそうになっている私に
(だいじょうぶ)と瞳が語ったことも有ります
落ち込んでいる私をソッと見上げ 励まし落ち着かせてくれた時も有ります
姫ねーさまは 風のキムとの約束をどんな時も忘れませんでした
歳を重ね、幼い時お髭の他は真っ黒だった全体がいつからか白くなり始め
やがて銀色と見間違うほどになっていきました
好奇心のかたまりのように クルクルといつも輝いていた瞳が
やさしく、穏やかに周りを見つめるようになりました
まるで<いぶし銀>のような姫ねーさま
やがて姫ねーさまも この世に別れを告げるときが来ました
風のキムとの約束を守り 私を見守り続け
別れるその時まで 私に(安心)という言葉を送り続けた姫ねーさま
ありがとうね
今度は私が貴女の弟や妹を見守るね
君達が私にしてくれたように彼らを見守る事ができるかな?
でも、ソッと頑張ってみます
弟や妹は 歳を重ねていっても
君達とは又違う世界を持つような気が今はしています
だから 風といぶし銀のように 自然に自然に輝いて
これからも見つめていてください
君達と過ごした18年間は
時には見守ったり、時には見守られたり
私達は、とても素敵で愉快なやさしい時間を過ごしました
それは
爽やかに吹きぬける風であり 心地良い光の中で過ごしているように感じることができた
時の流れでした
全てのキム&ぴ〜 そしてパートナーのみなさまへ
坂越港・・・
http://ako-sakoshi.org/
坂越港にて・・・(約束)
このフォトイラストは、まだフォトイラストを描き始めた極々初期の作品です
思わず赤面したくなる未熟な、切抜きの意味もよく把握をしていず
<雑>な仕上がりで、公表できるものでは有りませんでした
この作品をご存知の方も限られています
ただ私のフォトイラストの原点とも思っている作品です
後に背景に光る海や 春夏秋冬の海を題材にしたものを制作しました
オリジナルの作品は、当日の坂越で見上げた空を加工しています
(当時は 空を写す事にハマッていました)
汗ばむほどの晴天に恵まれた ゴールデンウィークの1日でしたが
全体にあまり明るくは仕上がりませんでした
何年間も封印していたのですが、キムとぴ〜の存在
(風のキム)(いぶし銀のぴ〜)の物語を語っていくうえで
2頭の表情・当時の私の気持ちを素直に表している<空>だと感じます
<風といぶし銀>をお読み下さり、このフォトイラストを見つめてくだされば
とても嬉しいです