ピースウォーク顛末記

August 09 [Sat], 2008, 14:07

 G8サミットの直前、7月5日(土)、真夏のような暑さの下、札幌市の中心部で「チャレンジ・ザ・G8サミット 1万人のピースウォーク」を行なった。私は、いろんな所で「1万人集まります、1万人集まります」と叫んでいたが、この日の参加者は約5000人だった。でも四捨五入すれば1万人になるので、やや安心した。
 2時間ほど大通西8丁目広場で集会をした後、午後3時にピースウォークに出発した。出発前の打ち合わせでは、全体を大きく三つのグループに分け、最初のグループに海外からの参加者やNGO、市民グループ、そしてサウンド・カーを入れることにし、ここの警備を札幌側からは「ほっかいどうピースネット」、東京側からは「G8を問う連絡会」と「2008G8サミットNGOフォーラム」が担当することになった。
警備担当とは言っても、かなり年齢層は高い。ほっかいどうピースネットの女性メンバーの中には浴衣で参加していて人もいて、警備というよりもピースウォークを楽しもうという感じだ。
このピースウォークは、今回のサミット対抗行動の中では最も参加者が多い直接行動になので世界から注目され、「メディア露出度」も高そうだということで、参加者の中にはかなり気合を入れて横断幕やコスチュームを準備して来た人も多い。G8首脳の大きな仮面を用意してきた海外NGOもいる。みんな楽しそうに歩いていた。
ピースウォークのデモ申請のために、札幌中央署の警備課と何度か話し合いをした。こちらが最初に示したのは、デモ・コースを二つにするという案だった。1万人が参加した場合、1コースでは全員が出発し終わるまでかなり時間がかかりそうなので、2コースを提案したのだ。
結局は1コースになったのだが、警察には「公安条例は憲法違反である。しかし公安条例に従うといわないとデモができないので、デモ申請をする。参加人数が多いので、デモをスムースに進めるためには全車線を歩けるようにしてはどうか。それが世界の常識だ。日本ハムの優勝パレードの時は道路一杯に広がったではないか」と、話し合いの度に言った。でも「パレードならいいが、デモのような政治的主張のあるものは公安条例に従ってもらう」という答えしか返ってこなかった。
さて当日のピースウォークは、出発してすぐにサウンド・カーの周りにいた人が道路一杯に広がってしまった。警察は当然、押し戻そうとする。私たち自主警備担当者は、「広がらないでください」と声を出し、警察と小競り合いになりそうなところに割って入った。その後も、サウンドカー周辺は、実質的にフランスデモ状態となり、デモ中盤からはジュラルミンの楯を持った機動隊が規制にやってくるようになった。
なぜ、「デモ管理」のような「余計」なことをしたのか。人によっていろいろな理由があるだろうが、私の場合は、逮捕者を出さない、とくにサウンド・カーの周りは外国からの参加者(黒っぽい服装をしていた人が多かったので、「ブラックブロック」と呼ばれているグループなのかもしれない)が多かったので、その人たちから逮捕者を出すのはまずいと思ったのが最大の理由だ。
外国からの参加者に対しては、日本のデモが規制の下で行なわれること、逮捕されると何日も拘留されることなどを説明したリーフレットを用意していた。また出発前の説明でも、「日本のルールに従ってほしい」ことを説明した。しかし、こうしたメッセージが英語だけだったこともあり、外国からの参加者にきちんと伝わっていたかどうかはよくわからない。
私はフィリピンのデモで逮捕されたことがある。逮捕者が多く、その中にはカトリック教会の神父やシスターもいたので、留置所ではなく警察の会議室のようなところに入れられた。私たち(一応、逮捕者)は外に出ることはできなかったが、外からの出入りは自由で、差し入れを持ってくる人も多かった。しまいには、会議室にあったオルガンを弾いてみんなで合唱したりした。私も、そこにやってきたNHKの記者にインタビューされて(こんなのは日本のニュースには流れませんよ、と言われたので)、しかもそれが日本で流れてしまったらしい。
しかし、さすがフィリピン、その時は、警察に一泊しただけで、指紋と顔写真をとられ、翌日には解放された。強制退去も何もなかった。私たちの指紋や顔写真を貼った書類は、警察の棚の上に放り投げられている(としか見えなかった)書類の山の上にポンとおかれただけ。だから逮捕されたというよりも、「良い経験」をしたという気持ちの方が強かった。
大勢の人と一緒だったから、そんなに不安ではなかったが、それでも「このまま強制退去になるのだろうか、その時には飛行機代はどうなるのだろうか・・」などと心配したことを覚えている。
そんな経験があったので、外国の参加者を逮捕させないことを最優先して「管理」したのである。外国の参加者から逮捕者が出た場合、マス・メディアは、全体として「テロリスト」と結びつけた報道に流れていくことも懸念していた。
今回のピースウォークでは、外国人からの逮捕者はなかったが、デモ参加者(直接にはサウンド・カーに乗車していた人たち)から3人の参加者が出てしまった。「道路交通法違反」「札幌市公安条例違反」「公務執行妨害」という理由である。これが警察による過剰警備であり、サウンドデモを狙った逮捕だということは明らかだ。
そのことを前提として、デモ主催者の側としてはいろいろな思いがある。公安条例は憲法違反だといいながら、フランスデモを「規制」したことについてである。もし自分が一参加者だとしたら、「広がらないでください」という主催者を批判する側にまわるだろう。
ところが今回のように、いろんな年齢層・グループ・政治的主張も違う人たちが一緒になってデモをすると、サウンドデモをしたい人もいるだろうし、静かに歩きたい人もいる(そもそもピースウォークとサウンドデモを一緒にできるかという問題もある)。フランスデモをすると警察が規制することを知っている人もいるし、外国からの参加者のようにフランスデモしか経験したことがない人もいる。
たしかにこれまで経験したことのないデモだった。デモ=ピースウォークを自己規制するというのはおかしい話なのだが、そうしないためには、参加する時の原則を決めておくことしかないのかもしれない。それは例えば、自分たちのグループは、ただ歩くだけではなく、こんなことをするつもりだ(場合によっては逮捕者が出ても)ということを、他の参加グループにきちんと伝えるぐらいのことではないか。
日本各地からだけではなく、海外からの参加者も多かった今回のようなデモでは、この情報共有をもっと徹底すればよかった。大きな反省点である(こんなデモ、札幌ではもうないかもしれないが)。


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