棺の森 

May 13 [Sun], 2007, 23:44


光の届かぬ森の奥





人知れず眠るあなたの塚を



幾度わたしは暴いたか





生を失くしたあなたの灰に



幾度わたしは縋ったか










あなたを護る棺の森に



幾度わたしは焦がれたか






侵奪 

May 03 [Thu], 2007, 23:56


名を呼べば振り向いた




微笑めば笑い返した





だから、知っていた



壊し方など識っていた






それが


如何に容易い事であるのかも




春の罠 

April 06 [Fri], 2007, 16:26


水仙薫る小川のほとりに



あなたは今年もいるのでしょうか






捕えた美麗な揚羽の蝶と



誇らしそうなあなたの笑みが



今でも心を揺さぶるのです






そうして今さら思い知るのです






あの日あなたに囚われたのは





蝶ではなくてわたしだったと



春愁 

April 01 [Sun], 2007, 14:21


あなたを失って

急速に色褪せていったわたしの世界は





それでも春が来るたびに

安らかに優しい色を取り戻し





あなたが消えた現実に

馴染み始めているわたし自身を




果てなく絶望させるのです



光の囚人 

March 28 [Wed], 2007, 23:57


陽光の中で




振り向いたのは 自分



手を伸ばしたのは 自分



縋ったのは 自分







仕掛けた罠にかかった振りで




微笑んでいたのは





したたかな――――あなた



ひとえ心 

March 23 [Fri], 2007, 23:58


ただ特別で

いたかっただけ





必要とされて

いたかっただけ








わたしはあなたに


支配されていたかっただけ


月下の番人 

March 20 [Tue], 2007, 23:27



手を引いたあなたの見上げた先





孤高の月は



冷ややかに澄んだ美しさのまま




素知らぬ顔で中空にあった



追悔 

March 17 [Sat], 2007, 12:32


あのとき




枝のようにか細い腕を


振り払うべきではなかったのに






蒼いほどに白いその腕を


離さなければ良かったのに



美しいひと 

March 14 [Wed], 2007, 15:56


美しいひとだった


笑った顔が一番美しかったが、どうしてだろう思い出せない



背を向けて目の前に佇んでいるだけなのに

呼びかける言葉が出てこない



振り返ればきっと

至極の微笑みを向けてくれるはずなのに




細い肩が震えている

泣いているのだろうか

それとも嗤っているのだろうか





呼ばなくては

昔わたしにしてくれたように

今度はわたしが慰めなくては



このひとの孤独も哀しみも

すべて癒して差し上げなくては




もう

わたしの方が大人なのだから



いつの間にか

追い越してしまったのだから





わたしを呼ぶ優しい声も

穏やかな微笑も

温かな眼差しも

すべて覚えているのに




どうしても思い出せない




あなたは、――――



春の別離 

March 09 [Fri], 2007, 16:43

季節は穏やかな春を間近に



色づきはじめた淡い陽射しの下

甘く馨り立つ風の中で



      



惑い揺るがすあなたの声は


もうきっと

わたしのもとには届かない




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