5月 ゴールデンウィーク最終日と彼女との接し方 1(キッド小連載) 

October 07 [Sun], 2007, 10:53

ゴールデンウィーク最終日。
約束の時間より5分早くついた
あとは、彼女を待つだけだと思ったのに・・・・

「遅い」
「まだ、待ち合わせ時間じゃないよ」
「待ち合わせの場合、10分前に付くのが当たり前だ!」
「・・・・はいはい」

いつもは三つ編みにしているオレンジの髪を
今日は、一つに束ていて風になびいている
着ている服もほぼ男物。
色っぽさの欠片もない
いや、クラスメイトに色っぽさを求めてどうする
・・・・・にしても

いつもの月夜だねぇ・・・・・。

「何やってんだ?さっさと行くぞ!」
「はいはい」

そういえば

「映画って言ってたけど、何見るの?」

「水曜サスペンス物」

「さ、サスペンス?」
「そう。前から見たいなぁと思ってて」

サスペンスね・・・。
確かに月夜は好きそうだけどねぇ

「・・・・キッドはサスペンス嫌いか?」
「いや、そんなことはないよ」

嫌いじゃないから、そんな目で俺を見ないでくれ・・・・。
月夜の背が俺より低いから、必然的に上目遣いになってるし
心なしか潤んでるように見えるし、いつもはつり上がってる眉が下がってて
簡単に言えば

可愛い

「そっか。よかった!」

そういって、さっきの表情を一変させて笑った
さっきまでの『色っぽくない』を少しだけ撤回しようかな・・・・

「じゃあ、チケットは用意してやったから、昼飯はキッドの奢りな!」

やっぱり、前言撤回。
さほど可愛くもなかったです

「おら、早く行くぞ!!」
「はいはい」


5月 ゴールデンウィーク最終日と彼女との接し方 1


******************************************
(あとがき)
5月は、話の内容が長い;;

朱に交われば赤くなる(マルコ夢/短編) 

September 27 [Thu], 2007, 21:39

現在昼休み。
喉が渇いたという友達と共に、自販機の前まで来た。
財布の中から、百円を1枚と十円玉2枚を取り出しコイン入れ口に入れた。
ピッという音を立てて落ちてきたのは、コーラのペットボトル。

「美咲もさ」
「ん?」
「前は、紅茶ばっかり頼んでたのに今はコーラばっかりだよね」
「そう?」
「そうだよ!」
「んー・・・・“朱に交われば赤くなる”か」
「何?それ・・・・ことわざ?」
「そ」

落ちてきた時は、沢山あった泡もだんだん減ってきた
そろそろ、開けてもいいだろう
炭酸が逃げないようにさっと開け、口元へ持っていった


・・・・・筈だった。


目の前を真っ白な手が掠めた。

「っ円子!!」
「マルコだって、言ってるでしょ」
「アンタ、瓶コーラはどうしたの?!」
「飲んじまった」
「じゃあ、新しいの買えばいいでしょ!!」
「いいじゃん。飲んでなかったんだし」
「私が今から飲むつもりだったの!!」
「じゃあ、飲む?はい、どうぞ」

そう言って、再び手元に帰ってきたコーラ。
先ほど私のを勝手に飲んだ張本人は、トレードマークの前髪と
肩掛けスーツを揺らしながら


「飲めなかったら、屋上まで持っておいで」


振り返り、そう言葉を残し、屋上への階段を駆け上がっていった。
私は暫くコーラを片手に動けずにいた


「朱に交われば赤くなる・・・・か
 いつか俺だけに染まってくれればいいのにな・・・・。」


屋上で円子がこう呟いていたのを知っているのは
空に溶ける雲だけだった。


  朱に交われば赤くなる


*****************************************
(あとがき)
※朱に交われば赤くなる:人は交わる人によって、善悪どちらにも感化される。
って、意味らしいです。

言わぬが花(キッド夢/短編) 

September 27 [Thu], 2007, 21:35

ベッドで寝そべって、お菓子を頬張る月夜。
ねぇ、ここ俺の部屋なんだけど
それから、短パンでその格好はちょっとまずいと思うけど

それよりも

「ねぇ、月夜」
「何だ?」
「何で月夜は、俺に好きって言ってくれないわけ?」

「は?」

月夜が手に持っていた、手に持ってるお菓子が落ちた。
布団の上にお菓子落とさないでよね

「何、突然」
「いや、前から思ってたけどね」
「ふーん」

そう言って落としたお菓子を再び頬張った。
反応は最悪

最初からそうだった。

告白したのは俺
その時の返事は、『いいけど』だけだった。
それも、ポッキーを口に銜え、足を机の上にあげ雑誌を読んでいたけれど。

手を繋ごうと言ったのも俺
確かその時は、『どっちでも』だったっけ。
でも、すぐに手が痒いと言われ離した気がする。

キスとセックスは、まだまだ先。
結婚なんて、夢のまた夢かもしれない

「キッドってさ」
「ん?」
「以外に乙女だよね」

行き成りそこですか。
確かの彼女はいつもずれてるけど・・・・こんなときまで。

「誰かさんが乙女じゃないから、余計ね」
「あ、そ。」

こんな時まで、適当な返事。

「キッド」
「何?」

「“言わぬが花”って言葉知ってる?」

「は?」

さっき月夜が言った言葉をそのまま返してしまった。
お菓子を食べ終わって暇になったのだろう
寝転がっていた体を起こし、ベッドの端に座った

「はっきり言わないでいるところに味わいや値打ちがある
 って、意味なんだけどさ」
「うん」

「だから言わない」

「え」
「本当に大切だから、言わないよ。
 ・・・・それでも、不安だって言うなら」

ベッドから立ち上がって、ソファに座っていた俺の肩に手を置いて


「愛してるから」


額に当たった柔らかいぬくもりだけで、今は許せてしまう。

言ってしまっては、意味がない。
貴方を好きだという価値が下がってしまうような気がして

それでも不安なら紡ぎましょう
貴方への愛情表現を


   言わぬが花


******************************************
(あとがき)
ことわざ物って、初めてだッ!!

5月 ゴールデンウィークと彼女の変化(キッド小連載/初・ヒロイン視点) 

September 23 [Sun], 2007, 21:31
ゴールデンウィーク4日目。
遠くで電子音が鳴っているのを耳が確認した

あぁ・・・・もう朝か

とりあえず、自分の頭の下に敷かれて痺れている腕を無理やり動かし
いつの間にか体を締め付けている、薄い布団から体を引き剥がした。
ベッドから起き上がり、何となくボーッとしていると

コンコン

いつもと同じリズムで戸が叩かれる。

「さっさと、起きねぇと朝飯抜きだぞ」

扉を一つ挟んでの兄の声はくもぐっていたけれど、はっきり聞こえた。
そのまま部屋の前を通過していく足音を聞きながら
部屋のカーテンを引き、窓を開けた

「晴れたねぇー・・・・・・」

まだ柔らかい日差しが容赦なく目を刺激する。
とりあえず、遠い机の上で煩くなっている時計を止め部屋を出た。

「おう、相変わらず朝は不機嫌だな、おい」

黄色いヒヨコのエプロンをつけて台所に立っているのは
自分より幾分早く生まれた兄。

「お休みだからって、ゆっくりしすぎよ?」

椅子に座って、ゆっくり紅茶を飲み干しているのは
自分を生んだ母親。

「お、やっと起きたのか。父さん何度か声かけたぞ?」

母親の向かいに座って新聞を読んでいるのは
自分を育ててくれた父親。

「おはよう、兄貴・母さん・父さん」

全員まともに朝の挨拶もできんのか。
いや、あれが挨拶かもしれない
そういえば

「あれ?・・・・アルは?」

いつも片言の日本語で挨拶をしてくれる外人がいない。
現在家にホームステイ中のアルヘン・グランツ。通称・アル

「彼女とデートだとよー」
「兄貴も彼女作れば?」
「俺はバイトが恋人なんだよ」
「出来ないだけのくせに」
「月夜は飯抜きっと」
「冗談だって!顔洗ってくる」

兄に向けていた視線を後ろに投げ、洗面所に向かう。
洗面所の途中に大きなカレンダーがある
そのカレンダーには、家族の予定が書き込まれている

来週の今日、父は会議で遅くなるとか
明後日、母は早く帰ってこれるとか
今週末には、兄の大学の授業は午後からだとか
今日のところには、ピンクの花丸の下に英語でデートと書かれている。

そしてその次の日。つまり明日
黒いボールペンで走り書きした『息抜き』
その字を指でなぞる
兄貴から貰った、映画のチケットが
カレンダーの横に押しピンで留められている


「明日も晴れてくれよな」


カレンダーに向けていた視線を洗面所のほうへ向けた。
思わず、鏡に移った自分を見て首を傾げた


5月 ゴールデンウィークと彼女の変化


(あれ?何で私笑ってるんだ?)

******************************************
(あとがき)
長らく放置しててスイマセン;;
そして、初のヒロイン視点です。
ずっと、キッド視点でしたので
これからは、ヒロイン視点も織り交ぜながら進めていきます。

イタリア男と我侭若君様(マルコシリーズ物) 

September 23 [Sun], 2007, 20:55
今日は若君の機嫌がすこぶる悪い
何故なら

「若君!これ、受け取ってください!」
「私のもお願いします!!!」

「あぁ、全て受け取る」

『きゃーっ!!!』

隣のクラスが調理実習があったらして
それを利用して作られたお菓子は、殆どが若君の手に渡っているからだ。

・・・・おいおい、笑顔が引きつってますよ、若君。

少し哀れみを覚えながらも、あの甘ったるい塊が
全て俺の元に回ってくるのだから、のんびりしてられない。
今のうちに逃げるしか手はない

女子の塊の中心にいる若君に
気づかれぬように祈りながら教室を後にした。

・・・・・・・筈だった。


グワシィッ(ガシィッ)


「何処へ行く、円子」


え、笑顔が怖いですよ、若君。

「えっと、購買へ・・・・」
「ほぉ、腹が減っておるのか。
 なら私のをやろう。何遠慮することはない」
「えェ!?」
「つべこべ言うな。ほれ、さっさと持て」

そう言われて投げつけられた、二つの袋
中からは尋常ではないほどの甘ったるい匂い

「うぇ、あま・・・・」
「匂いだけで胸焼けを起こしそうだ・・・・・」

何処から出したのか、扇子で仰いで匂いを己から払う若君。

「ねぇ、これ若君の家の人にあげたら?」

家に沢山ごつい男の人たちがいる筈だ。
彼らなら一瞬で腹の中にしまいこんでしまうだろう

「そんな浮ついた物を持って帰るなど、私にできるか!」

相変わらず、随分お堅いことで。
仕方ない。
アメフト部に届いた差し入れってことにしておきますか

「ま、一応貰っておくよ」
「あぁ。でも、捨てるなよ」
「へ?」
「まぁ、私は食べられんが人の気持ちが詰まったものだ。
 ちゃんと、食べてやってくれ」

全く・・・・食べて貰いたかった人の手には渡らなかったけど
気持ちは伝わったみたいで良かったな。

・・・・・でも


「何時になったら俺の気持ちには気づいてくれるのかねぇ?」


数歩先を行く若君に問いかけてみても返ってくる言葉は

「さっさとせんか!たったそれだけの荷を抱えて走れんとは、嘆かわしい」
「あのねぇ、これ全部若君のだったんだけど」
「今は貴様のだ。早くしろ、授業が始まる」
「はいはい」

まぁ、焦らずじっくりと攻めることにしますよ、若君。
それでも、ホンの少しだけで良いから

 ――俺に振り向いてください


  イタリア男我侭若君様
          『鋭いんだか鈍いんだか』


「おい、円子」

タイミングよく若君が振り返って、思わず心拍数が跳ねた

「な、何?」
「次の教科は何だ?」
「えっと、古文だったと思うけど」
「そうか」

あれ?若君はいつも教科を全部覚えてる筈なのに。
どうして俺に聞くの?どうして振り返ったの?

・・・・もしかして、俺は期待をしてもいいんでしょうか?

「何をしている!早く来い!!」

もう教室のドアに隠れてしまった顔が赤く見えたのは
きっと、気のせいではないだろう

イタリア男と我侭若君様(マルコシリーズ物) 

September 21 [Fri], 2007, 16:51

「甘いっ!!」

ズダァンッ

成人男性が女子高生に投げられる姿を今まで何度見ただろう。
こちら、若君の家にございます
俺の向かいにある家なんだけど、どーんと大きな門をくぐれば
手入れの行き届いた庭があって
石畳の上をまっすぐ進むと、やっと家の玄関に着くわけで
その中を一番奥まで進むと大きな道場があって

「も、もう一本お願いしますッ!!」
「来い!」

バタァンッ

またもや瞬殺。
なんで、俺が道場にいるかって?
強制的に連れてこられたんですって。
今日は部活が休みらしくて、久々に若君と帰っていたら

『ついて来い』

と、言われて来てみれば、いつもの道場なわけで。
ここの道場では、門下生も取っているらしく
それも、下は小学1年生から上は成人まで、幅広く
今日は、柔道を教える日らしい。
いつもは、若君のお祖父さんが教えてるらしいんだけど
今日は外せない用があるからと、代理で若君が教えてる

「休憩!」

そう言って、汗を拭きながら入り口近くに座っている俺の傍に来た

「貴様もせんのか?なんなら胴着を貸してやっても良いぞ」
「いやいや、俺はアメフト専門なんで」
「ふん、根性無しが」

普段なら左側でまとめて束ねている髪も
家では、ポニーテールになっていて、
普段日に当たっていない白い項が見え隠れする。

「で、お祖父さんは何の用だって?」
「あぁ、今日は他の組との会合があるらしくてな」
「組って・・・・・」
「ちょっと、遠くまで行ってるらしい」
「そうかい」

若君の家は、実は極道一家。
一人っ子の若君は、現在次期当主だ。

道場の入り口の扉が思い切り開いて
外からごつい男の人が入ってきた

「若ッ!」

若君は家でも若と呼ばれる。

「もう少し静かに入れ。皆が驚く」
「す、すんません」
「して、何用か?」

男は下げていた頭を上げ、真剣な眼差しを若君に向ける

「若、組長が戻ってきました」
「うむ、着替えてすぐ向かうと伝えておいてくれ」
「へい」

そのまま男は扉を閉め、廊下を走る足音が聞こえた。

「皆、申し訳ないが、本日はこれにて御開きとさせて頂く」

『はいっ!』

「円子、貴様も家へ帰れ」
「・・・・・わかった」

真っ直ぐな目がやっぱりこいつが、次期当主なんだと思い知らされる。

「じゃ、また明日」
「あぁ」

道場の更衣室へ歩みを進めた彼女が
普段横にいる若君と同じに見えなくて、少しばかり焦った。

「あのさ!」
「ん?」

振り向いた時の目が普段の目と違って

「明日、ちゃんと学校来いよ・・・・・」

こんなことしか言えないかったけど
それでも

「当たり前だ、馬鹿野郎」

笑った顔がいつもの顔で安心した。

関東白虎会総元締め・高橋組の次期当主で
ずっと幼馴染みの彼女のもう一つの顔
それでも

「好きなのは変わらないんだけどね」


 イタリア男我侭若君様
        『幼馴染みの裏の顔』


次の日の朝、背中を思いっきりバシッと叩かれた

「ッいた!」
「お早う、円子」
「!おはよう、若君」
「さ、鞄を持て」
「えぇー!!!」
「早くしろ」
「・・・・・・・はい」

叩かれた背中と抓られた頬が痛むけど
今日も会えて嬉しいよ。

イタリア男と我侭若君様(マルコシリーズ物) 

September 18 [Tue], 2007, 16:45

「やる。拒否権はないぞ」

そう言って頭に当たったのは、
これまた可愛らしいラッピングのされた物。

相変わらずの、我侭ですら愛しいのだから
俺は本当にやられてるらしい

「今、腹いっぱいなんだけど」
「なら、もって帰るなり、あの恐竜にやるなりすれば良いだろう」
「恐竜・・・・あぁ、峨王ね」

若君は、峨王のことを恐竜と呼ぶ。
名前を知らないことはないんだろうが、
本人曰く、あれを恐竜と呼ばず、何と呼ぶ。らしい

「じゃあ、峨王探して来てくんない?」
「冗談抜かせ。何故私が貴様の為に動いてやらねばならんのだ」

わぁお、女王様発言。
でも、女王よりはやっぱり若君が似合うのは何故だろう

「ま、部活のときにでも渡しときますか」
「そうしろ」

と、廊下の方から、重い足音が聞こえてきた

「ぬ、恐竜が来たぞ」
「みたいだな」

噂をすれば何とやら・・・・。
先ほど話題に出ていた恐竜こと、峨王力哉が
教室の扉の上の柱に頭をぶつけながら入ってきた。

「相も変わらず、巨大な男よのう」
「だねぇ」

こちらの会話が耳に入ったのか、獣のような目でこちらを捉えた峨王は
己に席に向かう足取りを、こちらに向けた。

「何か用か?若君よぉ」

峨王も彼女のことを、『若君』と呼ぶ。

「いや、私は用はないが円子が用があると」
「だから、マルコって呼べって」
「で、何のようだ?」
「あぁ、そうそう」

先ほど彼女から半強制的に渡された、物を峨王に渡した

「甘い物はいらねぇ」
「いや、俺も腹いっぱいなわけよ」
「大体、テメェが貰ったんだろうが」
「いや、貰ったのは若君なんだけどね」
「私はいらんのでな。飢えた下僕に与えてやったまで」
「下僕ってあのね・・・・・」
「兎に角いらねぇ」

大きな手の中に渡してやった物は、改めて俺の手元に帰ってきた
お帰り、渡す筈の本人の手に渡らなかった可哀想な物。

大きな足音を立てて、峨王は己の席に戻っていった。
若君も、己の席に戻ってうつ伏せになった

「暫く寝る。5限目が終わったら起こせ」
「はいはい、仰せのままに」

うつ伏せになった時に、机の上に垂れている長い髪を手にとって
口付けを落としながらそう言った。

この行為は俺が昔からしていることだから、何のお咎めもない。
せめて少しだけでも意識してくれると良いのに・・・・・
そんな思いを込めたその行為も、彼女の前では当たり前の事になった

 ――次はどんなことをすれば君はそのうつ伏せた顔を上げてくれる?


  イタリア男我侭若君様
        『恐竜との戯れと当たり前の行為』


「おい、起きなさいな。5時間目終わったよ」
「・・・・うむ、わかった」

そう言ってうつ伏せになっていた状態から、顔を上げた。
まだ少し眠そうだったが、次は体育だから仕方ない

「私の体操着をとって来い」
「自分で行けっちゅー話!!」
「いいから、逝け」
「字が違うでしょーが!」

結局、渋々取りに行かされる羽目になるのは
あと5秒くらい先の話。
そして、彼女のパンチが俺の背中に届くまで、ラスト0.1秒。

イタリア男と我侭若君様(マルコシリーズ物) 

September 18 [Tue], 2007, 16:41

うちのクラスに有名な子がいる。
美人で、何でも出来て、完璧で固められたかのように
その子には、欠点がないくらい

性格はすっぱりしてて、喋り方は少し変わってるけど
立ち振る舞いや仕草から、皆にこう呼ばれている。

「若君様っ!」

振り返るときに左側の上の方に一つ束ねた髪が揺れる。

「何用だ?」

古風な喋り方さえも、ぴったりと合っていて

「あの、これ、よかったらで良いんで、どうぞ!」

もじもじと手渡されたそれは、可愛らしくラッピングされていた。

「私に、か?」
「は、はい。受け取ってもらえますか?」

おずおずと俯きかけだった顔を上げ返答を返す。
可愛らしいラッピングのそれを手に取ると

「快く受け取らせてもらおう」

そう言って、身を翻し去っていった。
表情は少し口の端を上げただけだったけれど、
その女の子を骨抜きにするには十分で。

「若君様・・・・・」

あーあ、うっとりとした目で見ちゃって。
本性を知らないからこそ、出来るんだろうけど


知ってるかい?それが、回ってくる先が俺なんだってことを。


「円子」
「だから、マルコって呼べって言ってるでしょうが」
「ほれ」

弧を描いて、ぽすっと俺の手の中に入ったのは
先ほど女の子から受け取った物だった

「お、いいのかい?」
「人から施しを受けるほど、私は飢えておらん」

俺の後ろの自分の席に腰掛け、頬付けをつきながら言った。

「じゃあ、何で貰ってくるわけ?」
「くれる物を、貰わぬわけにはいかん」
「なら、最後まで責任もって食べなよ」
「いらん。元より、私は甘い物は好かない」

まったく、我侭な若君だこと。
そして、その若君は

「良いだろう?美味い物を回せて頂けて」
「はいはい、毎度助かっております」
「ふん、幼馴染みの特権とやらだ」

俺の大事な幼馴染みで、昔からの想い人なわけで。
丁度小腹も空いてたとことだし
有り難く頂戴させていただきますよ。

「ん、うめ」
「そうか」
「一口いるかい?」
「いらぬ。貴様の食いかけなど、食いたくもないわ」
「あれま、間接キスを恥ずかしがる程、乙女だったの?」
「戯け。私は腹は減っておらんから、さっさと食えと言ったんだ」
「はいはい、わかりましたよ」


嗚呼、何時になったら気づいてくれるのやら。
きっと俺が言っても気づかないかもしれない

これからも苦難は続くと思うけど、
止められないのは本当に好きだからだろう。


  イタリア男我侭若君様
          『嗚呼、本当に我侭なんだから』


「おい、次移動教室だぞ」
「はいはい、わかってますって」
「私の教科書も持って行っとけ」
「えぇー!!」
「貴様に拒否は出来んぞ。私より物を貰い受けたのだからな。
 その礼をしてもらわねばな」
「はいはい、わかりましたよ。若君様」

5月 ゴールデンウィーク3日目と明後日の予定(キッド小連載/また長め;;) 

September 09 [Sun], 2007, 16:01
ゴールデンウィーク3日目。
今日の午後からの部活は終了
昨日休みだったおかげで、ゆっくり休息を取ることができた。

「おい、キッド!着替え終わったら部室にいろ!」

休憩中、タオルを渡されたときに言われた通り
部室でずっと待ってるんだけど・・・・月夜がなかなか来ない。
鞄は置いたままだからいるのは分かってるんだけど・・・

たぶん外にいるだろうと思い、部室から出ると
先輩方のユニフォームの入った籠を抱えた月夜が洗濯に向かっていた

「あ、キッド!悪ィ、もうちょい待ってくれ!」
「えっと、手伝おうか?」

そう言うと月夜は、眉間に思いっきりしわを寄せて

「馬鹿言ってんじゃねぇよ!コレは私の仕事だ!」

そう怒鳴られた。

「いや・・・でもさ、もう遅いし・・・・・」
「う・・・・・」
「月夜も早く帰りたいでしょ?」
「うぅ・・・・・・」
「早めに帰らないと、この学校出るって」
「で、出るって・・・・?」

「幽r「わかった!!もう帰ろうッ!!!」

月夜はこういった話が駄目だっていうのは知ってる。
だからこそ、利用させてもらう
月夜には悪いけど・・・・。

部室においてあった鞄を持って、さっさと帰ることにした。

「で、話ってなに?」
「あぁ!2日どっちかあけとけって、言ったよな?」
「そういえば・・・・」

そんなことを言っていたような気もする。

「で、どっちかあいてる方は?」
「いや、どっちもあいてるけど・・・・」
「じゃあ、明後日9時に駅な」
「えっと・・・・・なんか用があるわけ?」

「兄貴が映画のチケット2枚くれたから誰か連れて行こうと思って」

「え」
「ほら、私友達少ないし。それなら、キッドでいいかと思って」

それって世間一般で言われる・・・・・

「あ、デートじゃなくて息抜きってことで」

やっぱり・・・・。
期待した俺が馬鹿だった・・・・・
でも、息抜きってことで

「わかった。じゃあ明後日」
「おぅ、またな!」

そう言って、月夜の家の玄関前で別れた。

「明後日・・・・晴れるといいけど」


5月 ゴールデンウィーク3日目と明後日の予定


*おまけ

「でもなぁ、良過ぎるとロクな事が・・・・・ッ!!」

ガツンッ

「・・・・・・やっぱりなかったな」

電柱に頭をぶつける程、浮かれてたなんて・・・・

(全く、どうかしてるよ・・・・・)

痛い頭を擦りながら、それでも緩んだ顔は戻らなかった。


******************************************
(あとがき)
何かこの連載のキッドさん、情けないなぁ・・・・・。

5月 ゴールデンウィーク2日目と短い連絡(キッド小連載/長め;;) 

September 08 [Sat], 2007, 19:53
ゴールデンウィーク2日目。
今日は午後からなのに、思ったより早く起きてしまった。
とりあえず、煩く鳴っている時計を止めて布団から這い出た

「ん、今日は曇りかな?」

締め切っていたカーテンと窓を開けると、生暖かい風が頬を掠めた。

一雨きそうだな・・・今日は部活休みか?

そんなことを考えながら窓を閉めて、部屋を出た。
キッチンまで行って珈琲を入れる。
とりあえずこれで、寝ぼけている頭を叩き起こす

近くにあったリモコンを手にとって、テレビ向かってスイッチを押す。
リモコンを使ってチャンネルを変え、ニュース番組をテレビの液晶に映す

『本日の天気は、くもり。午後から雨の降る地域もあるでしょう』

午後の練習があるか不安だけど、珈琲を近くの机に置いて
玄関のポストまで行き、新聞を手に取った。
特に読むわけじゃないけど、なんとなく取っている新聞。

「顔洗ってくるか」

まだあまり起きていない頭に冷たい刺激を与えてやればいいだろうと思い
洗面所まで向かった。筈だった

後ろで携帯が鳴った。
あぁ、そういえば昨日ここに置いたままだったと思いながら
進んだ道を引き返し、携帯を手に取った

「もしもし」
『おう、キッドか。おはよう』

月夜だ。
朝から一体何の用だと思いつつ、朝の挨拶を返した

『今日午後から雨だから、部活なしだそうだ』
「そうかい。悪いねぇ」

やはり、部活はないか。
にしても、月夜は意外にも早起きだと思った
ちょっと、失礼かな?

『別に。マネの仕事だ』
「他の奴らには伝えたのかい?」
『一年坊主は、あとは鉄馬だけだ』

「なんなら、俺が伝えとこうか?」

『・・・・・いいのか?』

少し戸惑った声が向こうから聞こえた。

「あぁ」
『悪ィな』
「構わないよ」
『じゃあな。明日は部活あるらしいから』
「わかった。午後からかい?」
『うん。じゃ、頼んだぞ』
「わかった」
『じゃあな』

そう言って電話は切れた。
携帯をしまって、改めて洗面所のほうへ向かうと
鏡には見慣れた自分の顔が映っていたが、見慣れない笑みが浮かんでいた
自分の顎に手を当てて

「まいったなぁ・・・・」

と、呟いた。
このあと鉄馬に連絡入れるの忘れないようにしないとな。

とりあえず、水道のコックを捻って出てきた水で顔を洗った。


5月 ゴールデンウィーク2日目と短い連絡


(ちょっと話しただけで、顔が緩むなんてね)


******************************************
(あとがき)
ちょっと、長くなった;;
あと、キッドの生活がオッサン臭くなった・・・・。