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April 11 [Tue], 2006, 0:48
私の父は、私が1歳の誕生日を迎えてすぐに亡くなった。

原因は飛行機事故。
8月の暑い日、父の乗った飛行機は、群馬県の山奥に墜落した。


母は毎年、幼い私を連れてその山を登った。
父の遺体は頂上付近で発見されたため、幼い私にとってはとても登りきれるものではなかった。
すると母は、私を背負って山を登った。

母は、私が成人するまでほとんど父の話を口にしなかった。
しかしその山登りから、彼女の中でどれだけ父の存在が大きかったが、伝わってきた。
むしろ私に、父の大きさを伝えたかったのかもしれない。




年に一度その山を登る時以外、私は「父」という存在を意識することなく育った。
物心ついた時から父親のいなかった私にとって、それが普通だった。

母は毎日朝から晩まで働いていたが、母の両親と一緒に暮らしていたため家には常に人がいたし、寂しくはなかった。
それに母は、どんなに仕事が忙しくても、授業参観と運動会には、必ず来てくれるような人だった。

私が交通事故に合い大腿骨を骨折、
3ヶ月間入院した時には、退院するまでずっと病院に寝泊りしてくれた。
私のベッドの横に簡易ベッドを置き、疲れもとれないであろうそのベッドで眠り、朝早くに会社に向かう。
そしてまた、病院が消灯時間になった頃に帰ってくる。

看護士に「心配しすぎです。」と言われるほどの溺愛ぶりだが、当時の母の疲労は並大抵のものではなかったと思う。


「あなたがいるから生きていける。」
母のこの言葉は、おそらく本当に、そのままの意味を持っていたのだろう。

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April 11 [Tue], 2006, 0:46
愛する・・・
それはお互いに見つめ合うことでなく
いっしょに同じ方向を見つめることである。

(サン・テクジュペリ)


「星の王子さま」の作者が残したこの言葉を、私に教えてくれたその人と、私は結局最後まで同じ方向を見つめることができなかった。
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