新幹線とカツサンド 

September 09 [Sat], 2006, 18:09
マンガ「孤独のグルメ」では、新幹線に乗った主人公が、ジェットしゅうまい(※)の匂いを車内に撒き散らしてヒンシュクをかう場面が描かれていた。
(※容器についているヒモを引っ張るとシュワーと蒸気が出てきてあつあつほかほかのしゅうまいが食べられる)

新幹線で何かものを食べるとき、というのは、非常に気を使う。
ほぼ全員同じ方向を向いているのだから顔をあわせることはないにしても、他人との距離が近いため、女子としては匂い以前にハタから見たときのことを考えてしまう。

まず箸は使いたくない。

弁当のふたをとって箸袋から箸を取り出す。揚げ物にしょうゆをかけたり、ごはんをもさもさ頬張ったり、おしんこをぱりぱり噛んだり。
弁当→口→弁当→口→弁当と、箸はせわしない動きを繰り返す。

これが飲食店なら、みんな同じ動作をしているのだから気にならないが、新幹線の場合はそうじゃない。寝ている人もいれば、音楽を聞いている人も、本を読んでいる人もいる。
「食」テンションじゃない人たちの中でものを食べるという、このおそろしいプレッシャー。

そんな中でとる食事は、誰に見咎められても「いや何も食べてませんよ」とすぐ隠せるぐらいの動きの少ないもの、そしてもちろんおいしい満足感があるものが理想なのだ(まあ誰も気にしないし見咎めないけれども)。

そんな私の、新幹線旅の理想の食品が、まい泉のヒレカツサンドだ。
プラスチックの容器のようにバコバコいう音がしない、紙でできた箱もよいし、何より味がいい。ソースつけ係はたぶんA型だろうと思うくらい、衣全体にまんべんなくソースが染みていて、パン部とヒレカツ部がしっとりなじんで一体化している。カツサンドという攻撃的な名前にふさわしくないような、控えめな外見に、片手で食べられて口に入りやすい大きさも理想的だ。

マンガ「孤独のグルメ」ではカツサンド(この場合は万世のもの)を食べた主人公が「ソースの味って男のコだよな」と、カツサンドはまるで男子の専売特許のようなセリフを言っている。でも、駅売りのまい泉のヒレカツサンドは、女子の心強い味方である。

キムとの思い出 

September 01 [Fri], 2006, 0:00
おひとりさま という言葉が世に出て、早や幾年。
なんとなくその言葉の響きは、日常的に、常におひとりさまの私のような女子とはかけ離れている世界のような気がする。私は「自分を癒す」だとか「誰にも気を遣わずに気ままに」などという背景があるわけでもなく、「必要にかられて」なんである。
この場合、“おひとりさま”ではなく、女子版『孤独のグルメ』といったほうがしっくりくる。

そんな女子のこどグル(孤独のグルメ)にふさわしい条件とは。

・人(客、店員)が少ない
・店員が無愛想
・小さいテーブル席がある
・常連たちが入り浸っていない

もちろん異論はあると思うけれど、基本的に上記を満たしている店が好ましい。その上で安くておいしければ、これはもういうことがない。
そんな究極の条件を満たしたお店が、かつて家から徒歩1分ほどのところにあった。

いつ行っても1〜2組の客しかおらず、値段も安く、味は日によってムラがあったけれど、家庭料理風でどれもおいしい。

ここの店員のキムさんは、無愛想どころか、客を憎んでいるのではないかというくらいアグレッシブな接客をする女性だった。

石焼ビビンバのスープがないと言えば「あぁ?」としぶしぶ取りに行く。
カムジャタン(じゃがいも鍋)を頼めば、鍋をドンと火にかけたまま放置。煮えたか煮えていないか判断に困り「もういい・・・?」とおそるおそる聞くと「あ? いいよ(怒)」と、厨房から怒鳴り声。

まあこれだけだとただの感じ悪い人だけれど、そんなキムも、ずっと通っているうちに、夏場に何もいわずにスイカを出してくれたり、たまに笑顔を見せるようになってくれたり。
あまり店員とコミュニケーションをとるのが好きではない私も、いつしかツンデレキャラを攻略しているような気分になっていったのだ。

でも、別れはいつも突然にやってくる。
仕事で長期出張に行っているあいだに、同じ韓国ベースではあるが、違う店になってしまっていた。
もうあのキムの眉間のしわも、味が薄かったり浸かりすぎて酸っぱかったりするキムチも、お目にかかることができない。
新しいお店は店員の愛想もいい、味も以前よりずっとプロっぽく洗練されている。
が、違う、違う、そうじゃ、そうじゃない、のだ。

馴染みの店を失うという切なさを、初めて知った2○歳の初夏だった。
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