彼岸花 

November 29 [Sun], 2009, 0:20




 あんまりもあっさりと

事切れた彼に

嘲りにも似た乾いた微笑を
向ける、

生前の彼は

私のこの笑いが嫌いだった

だからこそするのだが。


値の張る畳に毒々しい赤、紅、緋、あか、アカ…、
今生で二番めに好んだ
この色は

彼が死んでから

急に

どぎつい色彩を放った。


それは、

私が起こした罪からか、

或いは、

私自身から溢れる空気からか。


一つ、理解出来ることは
私が彼を殺した

という事実、

それと

これはきわめて明白な罪である

ということ。



赤く色付いた首筋に指を滑らせ、

彼の下唇に押し付ける、

もともと均整のとれた顔つきだったので

この紅の効果は甚だしい、
彼の首を持ち上げてみると
ヨハネの首を一心に
求めたサロメの気持ちが

なんとなく分かった。


つまり、
彼の首は
この世の全ての

   欲望の重さ

なのだ。
P R
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