『延長戦』
PMのしゃるるんに出てもらってます。
「今日はもぅ…ここらへんに、しませんか…」
フィルンが疲れの混じる声で告げる。
「なんだい、もぅやめるのかぃ?…でもまぁ、こっちも皆を休ませてあげたいしその提案乗ろうか」
体を起こしながらロベルトは涼しげに応じた。周りのメイド達にほっとした空気が流れる
長い一日だった。
アスタリスク内の相談でしゃるるんと二人(?)で3隊に挑むことにしたフィルンはパンやトレーラーを引き連れ戦いを挑んだ
開幕と共に敵陣に単身切り込んで行くしゃるるん
そのまま集中砲火を浴びてしまうしゃるるん
ユマラにより再形成され幾度となく突撃するしゃるるん
更に一度倒れた後も10度といわず蘇生され再び矢面に立つしゃるるん
いつしか蘇生用「劇的刺激パン」をもってしてもただびくんびくんとのたうち回るだけのしゃるるん
全てフィルンの作戦による損害だった
日が暮れてもパン達の肉壁の後ろで蘇生パンの影響か痙攣しているしゃるるんにはいつしか敵であるメイド達からも憐れみの視線が注がれていた
「ねぇ、あの子まだ戦わされるの?」「もぅ堪忍しはったらよろしいんに…」「もぅ猫さんに攻撃したくありませんです…」「滅びるべき悪はあの子だとは思えないなぁ、その後ろのやつだっ!」「…おうち帰っていい?」「ちょっと同情しちゃいますぅ」「それでも私達はここを守らなくては!」「にしたって、ほんといつまでやらせる気だよ…」
色んな意味で不利な形勢の中での「今日はもうこれぐらいで…」発言だったわけだが、遅すぎたのは言うまでもない
敷物のようにくったりと伸びているしゃるるんをとりあえず荷台に上げようと引きずっていると、ロベルトが見かねたのか声をかけてきた。
「君さ、どうせ明日もくるんだろう?それなら今夜は一緒に休んでいかないかい。そこの猫君もゆっくり休める場所が必要だと思うよ?」
「え、でも…」
「敵同士ということはこの際忘れよう。それに君も結構汚れているよ。こっちなら浴場もあるから綺麗にしてくといい。なにより、うちの子達が君の相棒をどうしても介護したいみたいだ」
なんとも優男らしい軽い誘い文句であった
それには気付かず断ろうとしたのだが、ちらとメイド達を見るとわかりやすい程の鬼の形相だったので、横に振るはずの首をフィルンは縦に降ろした
しゃるるんがメイド達の手厚い看護という名の下でもみくちゃにされている間、
フィルンはロベルトと机を挟んでいた
「ほはー、ひたすら長いただの通路だと思ったらこんな場所もあったんですね」
「さすがにこの遺跡にずっといるんだ、こういう拠点ぐらいないと身がもたないからね」
「守るっていうのも大変そうですねぇ。あ、それとさっきも言いましたけどお風呂はだいじょぶです。拭いて落としますのでっ」
「別にそんな遠慮することはないよ。恥ずかしいならうちの子達用の水着を貸してあげるからさ。ゆっくり湯船に浸かりながら君の話しを聞かせてほしいな」
ニッコリ微笑むロベルトの顔にフランスパンの一撃がめり込む
さらっと混浴発言をした不埒者に2、3度追い撃ちを掛けてからフィルンは席をたって部屋を出ようとする
そこで、改めて部屋を見渡して思う
殺風景な部屋だ
もちろん生活しているといっても暮らしている訳ではないのだから、必要以上の物があるはずも無い
それでも、あの数の女性を侍らせる主の部屋とは思えない程簡素だった
とりわけ目に付いたのが壁に掛けられている小さな花瓶だ
木製のそれには枯れた花が一輪ささっていた
不思議そうにフィルンが近寄って眺める
「気になるかい?マナの溢れるこの島で枯れた花を飾ることが」
肩に手を乗せロベルトが背後から話しかけてくる
振り返って殴り倒しパンが折れるまで叩いた後、フィルンは口を開いた
「今どうでも良くなりましたよっ!」
「つれないなぁ。折角何かお話ができると思ったのに」
「ことごとく自分のせいだと思いますけど…。って話しがあるんですか?」
「あるよ。どうしても聞きたいことが、そして言っておきたいことが」
「それは…、どんなこと、ですか…?」
「それは………」
+大+「こうやって下から覗いて見える眺めは最高だね!」-大-
今度こそロベルトは床に沈められた。ここまでやれば当分起き上がってはこれまい。懲りない男である。
荒れた息を整えてから身支度をし、バスケットを抱えてドアを開ける
「…君が、どうして奥に行きたいのかは知らない。でも、もし明日僕達を倒しても行きたいのなら、お願いがある」
床に寝たままロベルトが落ち着いた声で再度話し掛けてくる
声には彼なりの真剣さが込められていた
「…なんですか?」
「 ー。 」
「え、それって、どういう…」
「明日君達が勝ったらもう一度、言うよ。今日はもぅ時間切れみたいだ」
ロベルトの声と共に廊下から賑やかな声がすごい勢いで近づいてくる
随分慌てた雰囲気にフィルンが訝しんでいると、開いた扉の隙間からしゃるるんが胸に飛び込んできた
「わっ、どしたの?って、しゃるるんびしょびしょだよ!?」
濡れ鼠ならぬ濡れ猫になってフィルンに体を擦り付けてくる
懐いてきてるのかと思ったら、どうも体を拭いているようだ
「わー!?まってまって!?水はダメダメ!ふやけちゃうから!!」
急いでバスケットを覆う布を取り出しそれでしゃるるんをくるむ
一息ついた所で同じ様にびしょ濡れのメイド達が部屋に雪崩れ込んでくる
「あー!いたいたいましたーっ!」「おらっ、ちゃんと最後まで世話させなっ!」「早く拭かないと風邪をひいてしまいますよぉ」「って、きゃー!ロベルト様ー!?」「あらまぁ、なにしてはりましたんえ?」「はっ!まさか闇討ちを!?」「やっぱり悪だぁぁぁっ!」「…もぅ寝たいなぁ」
一斉に喋り出す嬌声の洪水に流されそうになる。はっきり言って一人一人相手になどとてもしていられない
口々にまくし立てるメイド達の相手をしてもらう為に布でくるんだしゃるるんをそちらに放り投げ(鬼だ)、ロベルトに向き合う
床に座り直していたロベルトと目を合わせたが呑気に笑みを浮かべて首を傾げている
垣間見えた真剣さなど僅かも感じられない腑抜けっぷりだった
諦めてフィルンは8人のメイドに埋れているしゃるるんを置いて先に帰ることにした
その晩、割合早く(逃げ)帰ってきたしゃるるんを迎え、フィルンは新しい作戦を立てた
その名も+大+「にゃん子可愛すぎ大作戦」-大-である
言わせんな恥ずかしい
昨日の反省を生かししゃるるんに最大限活躍できる位置どりをしてもらう。ユマラさんはお休みだ
そして今回の作戦の要にもなる島のプレゼントでもらったセーターを被せてメイド達に向けて送り出す
こうかは ばつぐんだ!!
メイド達は自分達に向かって+横+切り掛ってくる-横-飛び込んでくるセーター猫(見た目 セーター7:猫3)の可愛さに手も足も出ないようだ
打ち合うと数合もしない内に白旗を上てしまう
響かない剣戟や楽しそうな争いの音が残響する中気づけば3隊は半分程に減っていた。やられた人達は満足そうに観戦モードだ
ただ、しゃるるんだけは一人激戦の様相を呈してボロボロになっている
一人一人に気が済むまでもふられた為に折角綺麗になった毛並もちょっと乱れている
戦況を見てフィルンが相手に話しかける
「さて、降参しますか?ロベルトさん」
「いあ、形はどうあれ最後まではやらせてもらうつもりだよ。それにこっちはまだ皆やる気だからね」
残ったメイド達の様子を見ると「次は私がモフる番だ」オーラで満ち溢れていた
思わずしゃるるんがそれを感じ取り後ずさる
本当の戦いはまだこれからのようだ。。。
かくして最後の一人となったロベルトが斬り伏せられる
+大+「やっぱりにゃんこの可愛さは正義!」-大-
と言い放ち、フィルンが戦いの終わりを告げる
終始(しゃるるん効果により)圧倒したとはいえ3隊は十分強敵だった
本日の功労者には後で採れたての牛乳とちょっといい猫缶をあげねばなるまい
「お疲れ様しゃるるん!大変だったでしょう?」
「…にゃー…」
セーターもぼろっとなったしゃるるんが少し恨めしそうに応える
ようやく終わった、とばかりに荷台の自室におかれたコタツへと帰っていく
フィルンもトレーラーに乗り込み進行の合図を出す
一日遅れたせいで他のメンツとはぐれてしまった
長旅にも関わらず信じて待ってくれているPMの元へとエンジンをふかせる
早く彼女らにいつものように自慢のパンを振る舞いたいと思いながら
+SE+@@@「さー、いくよー!」
ロベルトはきっちり忘れられていた