うら弦(コルダ×BLEACH)

July 19 [Mon], 2010, 23:33
『La corda decolorante〜脱色のコルダ〜』   第736楽章


 柚木は香穂子から手を離した。
 優等生でいなければならない痛みの全てを香穂子が知ることはできない。


柚木「……何のつもりだ?」

 (香穂子のもとから去ろうとした時、柚木は髪の一部を引っ張られる感覚を覚えて振り返った)

ハープ「………………」

 (てっきり香穂子が引っ張ったかと思いきや、柚木の髪の一房を持っていたのはハープ)

柚木「放してもらえないかな?」

 (柚木がそう言ってハープににっこりと微笑むと、ハープは素早く手を放して怯えるように香穂子の背後に隠れた)

柚木「ふぅん。随分いい躾がされてるじゃないか」
香穂子「す、すみませんっ」

 (それが『良い』という意味ではないと察した香穂子は柚木に謝る)

香穂子「……でも、柚木先輩。ハープはわかってると思うんです。このまま逃げちゃいけないって。人任せにしないで自分で覚醒の能力を取り戻さないといけないって。楽器の覚醒は元の世界に帰ることとは関係無いかもしれません。でも、『覚醒』の個性を持っているのが尸魂界で見つけた楽器達です。持ち主が受け入れなければ始まらないんです」
柚木「だから?」
香穂子「だから、やっぱり一緒に行きましょう」

 (香穂子は柚木の死覇装の裾を掴んで言った。きっと一人だけではあのまま柚木と別れて居ただろう。ハープが居たからこそこの運命がある。人間でも破面でも楽器でも、心が通じる立場で出会った意味は必ずある)

柚木「放せ」

 (柚木は香穂子の手を振り払った)

香穂子「柚木先輩」
柚木「そこの子供じゃないんだ。自分の行きたい所へは自分で歩いて行ける」

 (柚木が歩き出した道は、十三番隊へ向かう道)

柚木「行くならさっさとしろ。一緒に居るのに遅れたら俺まで無能と思われる」
香穂子「朽木さんは少し遅れたぐらいでそんなこと思いませんよ」

 (香穂子は微笑って柚木の後をついて行く。何もかも理解できるようになったとは言えない。香穂子の気持ちが全て伝わったとも思えない。それでも進むことができた強さを感じられたことは嬉しいと思う)

香穂子「隊舎の門をすんなり通してもらったのはいいですけど、朽木さんってこの隊舎のどこに居るんでしょう?」
柚木「伝令神機は?」
香穂子「朽木さんの番号は知らないんです」
柚木「詰めが甘いな。伝令神機を持ってから何度も直接会っているんだから先に聞いておけばいいものを」
恋次「どうした?十三番隊に居るなんて珍しいな」
香穂子「阿散井君。ちょうど良かった。朽木さんがどこに居るか知らない?」
恋次「どこって、ここに居るに決まってんだろ」
柚木「十三番隊の中でも部署とかあるよね?それを知りたいんだ」
恋次「ああ、何だ。そういうことか。今の時間なら多分第三執務室だと思うぜ」
香穂子「第三……?」
恋次「っつってもわからねえよな。いいよ。連れてってやる」


つづく。
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