初野晴 『水の時計』 

2006年01月01日(日) 0時57分
その人の本当の幸せなんてその人にしかわからない。

幸福の王子をご存知だろうか。
街に立つ立派な王子像とつばめの物語である。
幸福の王子が生身の人間だとしたら?
つばめが生身の人間だとしたら?

死んでいるのか、生きているのか、幸せとは何か、生きてるってどういうことか、死ぬってどういうことか、ますますわからなくなる。

実はミステリ、らしい。
「王子」は何故「つばめ」に運び屋を頼んだのか、とか、「王子」が何故そういう身体になったのか、とか、幸福の王子が底辺にあるのでそれが当然、みたいに考えてしまって、読んでいたらそこんとこは全然気にならないんだけど、それもちゃんと解明されていく。
内容が幸福の王子なのに何故タイトルが水の時計なのかってところもちゃんと書いてある。
…でもタイトル幸福の王子にしても良かったんじゃ…なんてな

小野不由美 『東の海神 西の滄海』(十二国記) 

2005年09月05日(月) 22時32分
十二国記癒しの1冊。

延麒六太が頭から真っ赤になってしまう場面もあるが、十二国記愛の劇場的な1冊。
大国雁の始まりの物語。
十二国記全体を通してもこの話が一番現代的に言葉が砕けていて読みやすく、政治的なところも直球だったりしてあんまり考えないで読めちゃったり。

名言
「…おい、こら、おっさん」
おっさん=雁国王。

小野不由美 『風の海 迷宮の岸』(十二国記) 

2005年09月05日(月) 22時22分
泰国波乱の始まりの物語。

女怪の顔が魚って…
絵にすると相当インパクト。
泰麒の幼くもまっとうな物言いにあんまりかわいくない…とか思いつつ、それほどにのめりこむことなく読んでしまった上下。なぜか泰国の話は湿気とか冷たさとか硬さを感じてなじめない。
延麒や景麒が出てきてやっとふわんとする感じで…
やはり泰麒のこれから先をこんなところから暗示しているのだろうか…

名言
「景台輔は最初からお優しかったです」
陽子もびっくり。

小野不由美 『月の影 影の海』(十二国記) 

2005年09月05日(月) 22時11分
上の暗さに勝ってください。

確か初めて読んだのは高校生の頃だった、はず。
上のあまりの暗さにぐぐぐとつまりながらも下に行きつき、陽子とともに楽俊に救われた読者がどれほどいるだろうか。
とにかくその、いきなりケイキに誘拐され(笑)、おっことされ、陽子とともに襲われているような感覚に陥り、陽子のどん底にひきこまれ、楽俊のほたほた歩きに浮上して、もう精神的にあっちいったりこっちいったり大忙しな上下。

名言
「許すとおっしゃい!」
上からかよ!(笑)

中野独人 『電車男』 

2005年06月06日(月) 23時29分
 チャット苦手なので敬遠していた小説(小説?)

映画でやまだくんが主演ということでやや興味がわいて、予約も途切れたので借りてみたコレ。
最初のほうはふーんという感じだったのだが住人たちが防空壕を掘り出したあたりから止まらなくなって1時間もせずに一気読みしてしまったよ…
いやこれは面白い。
チャット用語まったくわからないのに面白かった。
キターって何回言ってんだろコレ…

いろいろ編集の手も入ってるみたいだけど、こうして1冊の本になっているのを見るとホントすごいなと思います。
これみんな見ず知らずの、さらに時々通りすがりとかも入ってるんだよね。
そんな集まりが、ひとりの男を変えていく、その様子がすごい。
電車男の書き込みがもう、最初と最後じゃ全然違う人みたいなんだ。
日本もすてたもんじゃないよ。
こんなこともできるんだよ。
ただの韓流に対抗した純愛小説じゃないんだよ。

田中メカ 「セーラー服にお願いっ!」(漫画) 

2005年04月18日(月) 23時08分

 田中メカさんが大好きです。
顔の描きわけとかはアレなんだが、キャラの性格とかシチュエーションとかギャグとかで充分に補えている。
特に強いオンナノコが見せるちょっとした弱いところを、オトコノコたちが守ってくれるというシチュエーションが私には堪らないわけさ!くあー!

表紙を見た限りでは内容は読めない。
ていうかあの設定は誰も思いつかないと思うよ…
シシがだんだん壊れていく様がほほえましい。
コマ、柔らかな物腰のわりに服装がアレなのは何故?
ひながうらやましい。
ここまで主人公がうらやましい漫画も久しぶりだ(だってまわりはみんなイイオトコ)

アレックス・シアラー 『スノードーム』 

2005年04月10日(日) 23時14分
読むまでは、表紙とタイトルのイメージから、可愛い話なのだと思っていた。

同僚に最近読んだ本として薦められたこの本。
なんというか…終始暗いというか…

あとがきによるとエックマンについて色々と反応があるようだが私はエックマンに同情はしない。
何故なら私にとってはエックマンの存在は重要でなかったからだ。
この本でなにより私が恐れたのは自分がエックマンにそうされたらはたして正気で生きていけるかということだ。
誰もいない世界で生きる。
というか自分がいったい何故ここにいるのか、いったいどうなっているのかさえもわからない。
そして届き始めるものたち。
気づく事実。
生かされている。
もう無理。絶対無理。
淡々とさらさらと書かれているけれどもしこれが自分だったらと思うと1週間くらい立ち直れなくなってしまいそうだ。

海外物は訳がまだるっこしいので読みたくなかったのだが、この本はわりと読みやすい感じ。

島本理生 「ナラタージュ」 

2005年03月29日(火) 0時12分
 女子高生と高校教師との純愛のものがたり。
というフレコミだったのでもっと甘いのかと思っていた。
なかなかにドライな感じだった。
「ナラタージュ」とは、主人公が回想の形で過去の出来事を物語ることを言うのだそう。
冒頭で出てきた男性は一体誰なのか、というのが、何故か途中までとても気になった。
「主人公をとりまくふたりの男性」は、「ナラタージュ」に出たての頃は言葉の感じも話し方も良く似ていたので、一体どちらの「彼」が冒頭の男性なのだろうかと思った。
けれど片方の「彼」は、最後のシーンでは最初に出てきたときとはもうまったくもって違う人みたいに嫌な男(まぁ人ってのはそういうもんだね)になっていた。
そしてもうひとりの「彼」がその冒頭の男性である可能性も途中で完全に消えた。
冒頭の男性は冒頭ですごくいい言葉を彼女に言うのだ。
けれど彼は、「ナラタージュ」とはまったく関係のないところから現れた現在の男性だった。
冒頭の彼についての話はかなり短い。彼は彼女に「ナラタージュ」をさせるためだけの、存在のように感じた。そしてそこが新しいな、と感じた。

「ナラタージュ」の彼とは「ナラタージュ」の中で終わり。
のはずだった。

なんだかまだ先を想像したいような。
でも想像しちゃいけないような。


乃南アサ 「しゃぼん玉」 

2005年03月22日(火) 23時24分
舞台は宮崎県椎葉村。どうせ人生しゃぼん玉。と思っていた青年が、警察の手から逃れるためにヒッチハイクしたトラックから落とされた椎葉の山奥で、ひとりのおばあちゃんを(なりゆきで)助けるところから始まります。平気で悪行を為す青年が、こうもすんなりとあの土地になじんでしまうものだろうかとちょっと疑問も持ちましたが…
基本的に食べ物を美味しく書く作家さんは好きです。
助けたおばあちゃんの家にしばらくお世話になることになった青年が、おばあちゃんのつくったものを美味しいといって食べるあたりからすでに冒頭の彼とはかけはなれています。早すぎ。でもそれでもいいの。
全ての犯罪者もしくは予備軍が、彼のように本当は純粋な人だと信じたい。

重松清 「卒業」 

2005年03月22日(火) 23時11分
「まゆみのマーチ」がお目当てで借りた本でした。
けれどどのお話もよかったです。
「仰げば尊し」最後の最期でぐっときました。
涙が〜
その涙を目に溜めたまま「卒業」。
最初の設定がなかなかない設定だったので内容とは裏腹に楽しんでしまいました…
さらりとした文体なので難なく読めました。