今週の火曜日、アデレード戦で歴史的なAFCチャンピオンズリーグ(ACL)初勝利を飾った広島だが、その試合で面白いプレーがあった。それは66分、アデレードのFKの場面をしのいだ「オフサイドトラップ」である。プレースキックが蹴られた瞬間、選手が一斉にスタートを切ってラインを上げ、相手を置き去りにする戦術だが、それ自体は別に珍しくはない。驚いたのは、そういうプレーを一度も練習したことのない広島が「負ければ終わり」のアデレード戦でやってのけたことだ。
このプレーを発案した中島浩司は「相手は日本語が分からないし、一度くらいはこのプレーでしのげれば、とみんなと話していた」と言う。身長197センチのコーンスウェイトをマークしていた中島だったが、その体格差には相当苦しんでいた。中島の身長は182センチ。相手の肩くらいまでしか届かず、体をぶつけても簡単にはね返される。「ドンピシャのいいボールが入ったら、とてもじゃないけど対応できない」と危機感を持っていた。だからこそ、「1試合に一度くらいなら使える」というオフサイドトラップを敢行したのである。
「それにしても、一度も練習していないのに?」と聞くと、「みんなで走ってラインを上げるだけだから。こっちがしゃべって打ち合わせしても、向こうは分からない。だから、国際試合限定です。頻繁にはやれないですよ」と笑う。中島の魅力は「当たり前」にとらわれない自由な発想だが、こういうアイデアにみんなが乗っかり、ギリギリの場面でも「やってみよう」の精神を忘れない。これこそ、今の広島サッカーが見せる爽快(そうかい)な開放感の源なのだろう。
取材:中野和也
【4月2日11時9分配信
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