カミサマ 

April 23 [Wed], 1902, 0:00
「ねえ、おばあさま」
少女は聡明さの伺える大きな瞳を輝かせて、問うた。
「カミサマってなあに?」
神様…?随分と懐かしい言葉だわ。どこで聞いてきたの?
そう、神様ね。神様はね、いつもお空の上から私達人間を見守っていて下さる偉い方なのよ。
私は少女のビロードのような黒髪を撫でてやった。綺麗。貴女のおかあさまにそっくりね。
「お空?」
少女は椅子に腰掛けた私の膝にちょこんと顎を乗せ不思議そうな表情をしている。
「無理だわ、おばあさま。お空にひとが居る筈ないわ」
そんなことないのよ。貴女のおかあさまも、お空の、神様の所にいるのだから。
少女は暫く考える風にしてから、口を開いた。
「じゃあおばあさま。あたし、お空にいって確かめてくるわ。本当にカミサマがいるのか。」
にこり、と笑う。
「そして、おかあさまにも、会って来るの」
ひゅうと秋の風が吹き、テーブルの上の本のページがばたばためくれた。
そうね。でも、きっとそれは、ずっと遠い未来のことになる。その時はきっとおばあさまにも会いに来てね…



少女は、
宇宙について学んだ。生き物について学んだ。

そして、神を忘れた。

(神は人が弱かったころに人が作り出した偶像である。)
(神は存在しない。)
(神の存在は御伽話でしかない。)



死者は、土に埋められる。



「さようなら、おばあさま」
重い重い石の上に、涙が落ちた。空は、あまりに遠い。
P R
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