いいかげんと、好い加減。

June 11 [Sun], 2017, 23:26
久々に、長々と書きました。

私が勤務医として3年間お世話になった横須賀の動物病院の
院長がよく言っていた言葉に、

「いいかげんは、好い加減。」

というものがありました。

当時お世話になった院長は、人としてとても尊敬に値する人で、
誠実さとユーモアと度量を兼ね備えた「親分肌」でした。

自分は実はそれまで、いくつかの動物病院を転々としていて、
獣医としてはかなり中途半端な状態で3年弱ほど過ぎていました。
その時点では、「どこいっても通用しない」「人間関係でうまくいかない」
というような、かなり生き方が下手くそな状況でした。

東京にて勤務していた時代、いわゆる「高度医療」と言われる
病院にも勤めたのですが、自分も未熟でご迷惑をおかけしたものですが、
病院内でのストレスもかなりきつく、また、「理論武装のための勉強」
をしないとやっていけないような状況でした。

横須賀の病院に勤務し始めたのが2004年の末。その当時は、
自分なりに仕事の勉強はかなりしていたのですが、とにかく
「突っ込まれるのが怖い」という仕事恐怖症みたいな状態で、
理論武装して獣医療上「正しい」治療をしないといけない、
というようなことに憑りつかれていました。

しかし、横須賀での3年間。
最初は自分は「ビクビクしながら仕事していた」ような不安定な
状態だったのが、当時の院長のおかげで、ちゃんと仕事ができる
ようにして頂きました。

当時の院長からも、
「北村は自分で勝手に勉強するから、ここでは 人 を学びなさい。」

というようなことを言われました。

いいかげん という言葉は、通常の会話ではたいてい悪い意味です。
適当だとか、無責任だとか、中途半端だとか、怠惰というような表現に
なりますが、当時の院長は、「好い加減」が必要で、ちょうどいいんだ、と。

それまで、「正しい治療」ということしか学ぶ機会が無く、正しいというのは
即ち「動物を治すための治療」という一面しか見てこなかったのです。

では「正しい」とはなんだろう?何を以って「正しい」のだろう?

それまでの自分が学んできたことがガラガラと1回全部崩れました。


でも、そのおかげで、自分がもともと本来やりたかった仕事に戻れました。

動物病院の仕事って何だろう、「動物の病気を治す」それは確かに
そうなんです。ですが、実はそれは仕事の「手段」です。

どのような治療を行うのが正しいのかは、病気の治療法が確立している
ものに関しては、あまり選択の余地もなく、「正しい」治療をしていって
解決に向かいます。
最短コースで治癒に向かうことが出来る場合は最短コースで。

しかし、そればかりではないんですよね。
日々の仕事の少なくない割合は、

「何が正しいかは相手(飼い主さん)と自分の会話、話し合いによる。」

ここで、「好い加減」が大事になってくるのですね。


開院9年目となった、新しいというわけでもなくなった当院では、
日々、「好い加減」でその時必要な仕事ができているように
なっていると実感しています。

「好い加減」で仕事ができるようにするためには、飼い主さんとの
会話や意思疎通、コミュニケーションが最も大切です。


「正しい」動物医療というものどういうものか。

治療方針が。治療方法が。治療の確率が。

本に載ってることも勉強も大切ですが、それらはあくまで
「いい仕事ができるようになるための手段」であって、

人間より先に命が有限である犬や猫の仕事をする
我々の仕事の本来の目的はやっぱり、

最後まで、「飼っててよかった。」

というところを飼い主さんが実感できたら、我々も甲斐があったのかな、
と感じると思います。

そういう意味では、犬や猫の「治療」だけに主眼を置いてるわけ
ではなく、必要な治療はできるだけキッチリと、でも、「好い加減」
も大切、というような、「ゆるバリ」がいいのかな、と思います。

横須賀の病院で3年間勤務していなかったら、たぶん今でも

「獣医療上、正しい治療」

に固執した仕事をしていたかもしれませんね。

つらつらと書きましたが、9年目の当院、できることは最大限。
できるだけ飼い主さんと「明るい」仕事をこれまでも、これからも
して言いたい所存ということで。

「正しい」も大事ですが・・・日々仕事してて、仕事は仕事でしながらも、
「明るい」とか「楽しい」とか・・・まあもっとも大切なのは「良かった」
じゃないかなあ、なんていう、気持ちの面は、とても大切ですね。

昔はいろいろと仕事のトラブルや問題、悩みも本当にたくさん
あったんですが、現在ではほとんどの飼い主さんは良好な
コミュニケーションを以って仕事させて頂いていると我々は感じています。

逆に言うと、良好なコミュニケーションが取れない方は、自然と
当院とはご縁が無くなったのかもしれません。

今後も、好い加減で、好いコミュニケーションで、日々仕事させて
頂けたら、我々スタッフ全員もそれ以上有難いことはありません。

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