寒き楽園

December 18 [Fri], 2009, 0:00
図書館は秩序と混沌の場というだけではない。それは偶然の場でもある。

書架と記号を与えられたあとですら、本はそれ自身で可動性を保っている。本ならではの計略をもって、思いがけない陣形を築きあげる。

目につかない片隅に放置され、またベッドサイドに積み上げられ、あるいはダンボール箱のなかや棚の上で、本はいつか遠い将来、整理され、分類されるのを待っているが、その時はなかなかこない。

図書館 愛書家の楽園/アルベルト・マングェル)



とある書庫にて、世界中そこにしかない本たちが待ちくたびれているのを見て、なんだかかわいそうになってしまった。

空調管理も行き届いていない、寒い寒い楽園。がんばるから待ってて!

驚きの1冊

November 13 [Thu], 2008, 0:00
よそさまの手帳の話を聞くのが大好きなワタクシ。大人気のこの本『情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」』もばっちりチェックです。


装丁にときめきました。
なお、この本はamazonで立ち読みできます。


内容は、情報を1冊にまとめるのがよい理由とまとめた情報を生かすコツの丁寧な説明。へー、ふーん、と思いながらあっという間に読めます。

さて。「情報は1冊のノートにまとめなさい」。基本的には私もそう思うのだけれど、実際はそうしていない。

なぜ、1冊のノートにまとめないのか。

それは、新陳代謝できないから。

スペースの都合上、全てをとっておくことは不可。時々見返していらないものは捨て、新しい情報を追加する。量は常に一定なので、それほどたいした作業ではなく苦痛でもない。ノートに貼るのは楽だし、将来見返すのは楽しいだろうし、全てそこにあると思うと一安心だけれど、年々必ず増えるというその存在は私にはちょっと重たい。

でも、後から捨てなきゃよかったー!!!と思うことももちろんある(とても切ない)。

そしてその辺りを「整理に熱心な人ほど、終わったもの、もう参照しない情報はさっさと捨ててしまいます。これは一見、すごく合理的ですが、次のような危険もあります」なーんて、指摘されたりする。痛かったです。

痛いところをつく、他の人のこの類の本ではつっこみどころして置き去りにされている部分もきちんとフォローされている、というのが、特長と思われます。

そんなところから想像するに、著者の奥野さんは、気持ちの老けていない(と言ったら失礼ですが、こういうHOW TO本には自分のやり方で固まってしまった大人の筆者が多い気がするので)おじさまかと想像していたのですが、奥付を見てびっくり、正真正銘の若者ではありませんか!(20代です)

最後の最後でやられました。

■著者エージェント:アップルシード・エージェンシー

いざ図書館

November 11 [Sun], 2007, 16:23

雑貨・手紙・文房具・お散歩の本がどんどん出ている。かわいげのある顔の本を、かわいい女の子達が手にとってうっとり。その並びに発見、『TOKYO図書館日和』。

図書館員向けのお堅いガイドでも、情報収集用の二次資料でもない、ビジュアル重視の図書館案内だ。

建物・室内の雰囲気・椅子などが雰囲気よく写真に収められている。使い勝手が良く、私がかなり頼りにしている都立中央図書館なんて、まるで別世界のような風情である。

暮らし、海外、文学・絵本、芸術、メディア、総合、その他の分野別に、全部で33館が紹介されている。MAP INDEX付き。

図書館といっても、公共図書館から大学図書館、美術館や大使館の付属図書館など、館種はいろいろ。この本がいいのは、その「いろいろ」に目が向けられているところだと思う。

実は、図書館に行くのは私の仕事の一つ。この本で紹介されている図書館もかなり制覇している。そして図書館に行くたびに、こんなにいい図書館が利用されていないなんてもったいなーい!とじたばたしてしまうのだ。

私自身そうなのだけれど、美術館や博物館では展示だけで満たされくたびれてしまうし、大使館や海外の文化センターは用を済ませたらササッと帰るため、図書室まで足が向かないことが多い。図書館側の広報の問題もある。

でも、意外といい資料がたくさんあったり、居心地がよかったりするのも、この系統の図書館の特徴だ。

たとえば、東京日仏学院のメディアテーク。校内のレストランもカフェも本屋さんも、フランスの空気でいっぱい。料理・美術書の他に映像資料も多くて、驚いた。展覧会のついでにのぞいてみて、以来お気に入りの場所である。

その他、紙の博物館図書室(←大好き!)、東京都写真美術館図書室もおススメ。

逆に行ってみたくなったのは、目黒区立八雲中央図書館住まいの図書館

目黒区のOPAC(蔵書検索システム)が、目黒のさんまにひっかけて「さんまくん」と呼ばれているのは知っていたけれど、机や椅子までさんまだったなんて、この写真を見るまで知らなかった。行きたいよう・・・。

住まいの図書室は、存在は知っていたもののOZONE派ゆえに足を運ぶことがなかった。OZONE情報バンクライブラリーの後、コンランカフェでお茶をするのが王道だからである。

今回初めて写真を見て、あっと思った。本文を読んで、やっぱりとため息が出る。私が建築に入れ込むきっかけとなった宮脇檀さんがコーディネートされたのだそう。行きたいよう・・・。

それから、違う視点から見ると気になることも多くて、それがちょっと面白かった。資料の劣化が激しそうだったり、配架状態や使い勝手が悪そうだったり、うわーと思いながらページをめくるのです。怖いもの見たさというのですね(ここで笑った人には、絶対読んでいただきたい。ふふふふふ)。

よい本ができました。

○この記事は東京の図書館をもっとよくする会「[資料紹介]『TOKYO図書館日和』」にTBしています。

その本文にご注目。「「お気に入りの図書館をみつけよう」というメッセージと、女性が本棚にはしごをかけて本を取ろうとしている写真が表紙になっている」とあるではないですか! 私の手元にある本の表紙は、上部の画像の通りなのです。

ジャケットの下はそんな風なのね、と図書館借りた本を恨めしく眺めるのでした。ブッカーめ。

今年はゴールド

October 16 [Sun], 2005, 16:14

そういえば、新潮文庫の夏の1冊フェアの、Yonda?くんブックチャームが届いていた。
 
今年は金色のYonda?くん。もったいなくて使えずに、毎年溜まる一方だ。

2つ3つもらえるくらい買っているのだけれど、古くなったからって捨てるのはしのび ないと思うに決まっているから、結局使えないだろうと1つだけを大事にとってお いている。

100冊集めるともらえるシリーズも、リニューアル。苦手な100%オレンジ Yonda?くんは、今回が1番かわいいと思われる。「パンダが本を読んだお 話」もDVDになったことだし、何をいただいてしまおうか迷っているのでした。

すごい本が出た。

August 10 [Wed], 2005, 22:18

何がすごいって、もう、悪口満載のところがすごい。でも、ただの悪口ではなくて、的を射た、そうそう、そうなのよーと思うことを言ってくれている。それも、ベストセラー相手にだ。

岡野宏文さんと豊崎由美さんの対談集『百年の誤読』。1900年徳富蘆花『不如帰』から2004年『世界の中心で、愛を叫ぶ』までのベストセラーを取り上げた、新しい日本近現代文学史である。

この本の良いところの1つめは、文豪ものを恐れなくていいと教えてくれること。

たとえば尾崎紅葉の『金色夜叉』。読んだことはなくても、タイトル・作者・貫一・お宮は知っていないと恥ずかしいぞと思われるような本だけれど、ちょっと笑ってしまう場面があって、豊崎さんは、見事にそこを取り上げてくれている。

カルタ会での出来事です。「今でいうところの合コンみたいな会なんだけど、そこに富山はダイヤモンドの指輪をして、香水プンプン匂わせて登場するわけです。その富山のことをみんなが噂するシーンが絶品で。〈「金剛石!」「うむ、金剛石だ」「金剛石??」「成程金剛石!」〈略)「見給へ、金剛石」(略)「可恐ろしい光るのね、金剛石」「三百円の金剛石」〉云々と十一行にもわたってこの調子なんですよー

・・・面白いでしょう?この話は新聞の連載だから、1回分は「うむ、金剛石」で終わってしまうことになる。紅葉やるなあとしみじみ思う。 

りんどうの花のむらさき深く見ゆ

March 03 [Thu], 2005, 5:23
パソコン通信終えたるのちに ― 俵万智 雑誌「ASHAHIパソコン」誌上で、1989年1月1日号から1991年10月15日号まで連載されたものをまとめたのが、本書『俵 万智のハイテク日記 ALICE IN HI−TECK LAND』 である。万年筆を右手に原稿用紙に向かっていた「自他共に認めるメカ音痴」俵万智が、マックを使って海外からパソコン通信ができるようになるまでが書かれている。

連載期間を見ても分かる通り、まだワープロ全盛期、パソコンを今ほど日常的に使いこなしている人は少なかったと思われる、10年ほど前の話だ。写真のメカたちも、本体に比べて画面が妙にちんまりしている。

それにしても、だ。

俵万智のはずれっぷりが、なんともはや浮世離れしていて、とにかくおかしいのである。マウスを空中で動かして、「矢印が動かなーい」なんて言う。表情豊かな俵家の面々も登場、お母様も「4行」の「L」を「リットル」と勘違いして「4リットルも何をはみ出したの?」とおっしゃっている。編集部の方々とのやりとりも絶妙だ。

終始、笑いっぱなしだった。

もちろんそれだけではない。さすがにプロだなあと思わせる、コンピュータと言葉についての考察が随所に散りばめられている。

メカそのものの古さはあっても、コンピュータを初めて触る気持ち、言葉についての思いは、今読んでも全く遜色のない内容だと思う。

おススメです。

理想の女の人

February 24 [Thu], 2005, 5:17

 

私は、雄々しい女の人に憧れている。一升瓶を持って、夜の高速を4tトラックでとばし、且つ力持ちで豪胆。

・・・と言うとたいてい笑われるくらい、「理想の女の人」のキーワードは、今の私と対極にあるものばかりだ。

自分でも、うーん、無理かもしれないと思いつつあるのだけれど、でも、雄々しい女の人いいなと憧れてしまうのだった。 

自分の頭を使うクセ。

January 05 [Wed], 2005, 23:49
コンピュータって何でしょう?どうやって動いているのでしょう?というのを、分かりやすい例を用いて説明しているのが本書、梅津信幸の『あなたはコンピュータを理解していますか?』である。

「分かりやすい例」というのが、どれ程卑近なものかを示すには、各章タイトルを見ていただくのが1番だと思う。

第1章  その味噌汁の塩分はいかほど?
      〜正味の情報量は意外と少ない〜
      〔エントロピー〕
第2章 油田のパイプラインと伝言ゲームの連続
      〜パイプが細けりゃ、通るものも通らない〜〔チャネル〕
第3章 自動販売機はコンピュータ理解の始まり
      〜あるいは、自動販売機と人生ゲームのステキな関係〜
      〔有限オートマトン〕
第4章 記憶のカースト制
      〜時間と空間の近さ・遠さ〜〔メモリ階層と参照の局所性〕
第5章 顔の細道
      〜面と面とが面するところ〜〔インターフェイス〕
第6章 師宣わく「未来は常に移り変わっておる」
      〜コンピュータの限界とその先〜〔私たちの未来のために〕

これだけで、いかにも面白そうな雰囲気が漂ってきます、よね? 

覗き見派 vol.2

December 27 [Mon], 2004, 20:24
以前「覗き見派」としてご紹介した、手帳の使い方についての本を、再び。今回の1冊は、ewomanを設立した、佐々木かをりさんの『ミリオネーゼの手帳術』である。

仕事もプライベートも、時間を使うのは自分なのだから、手帳も用途で分けたりせずに1冊でまとめようとか、したいこと・すべきことを実行するための手帳の活用法とか、そうだなあと思える点も多く、佐々木さんが様々な雑誌で手帳についてのインタビューを受けているのもうなずける。

覗き見派

December 16 [Thu], 2004, 17:06
と言うと、すごく変な人のようだけれど、私はどう考えても覗き見派。

雑誌によくある、「バッグの中身大公開!」とか「あの人のポーチの中は・・・」なんて特集が、大好きなのである。

毎年、手帳を買い換えるのにも、何にしようか、どう使おうかで非常に悩む。結局定番クオバディスで落ち着くのだけれど、今年もまた、新しいものを準備するのにあたって、情報収集してしまった。

『文房具を楽しく使う』は、和田哲哉の本。お洒落で便利な文房具の組み合わせや、それをどう生かすかが語られている。見て楽しめる本だし、何より和田さんって、文房具好きなんだな〜というのが伝わってきて、同じく文房具好きとしては、その情熱にうっとりなのだ。