褒められることの甘美 

January 29 [Sat], 2005, 15:37
「女は化けるなあ」と感嘆したようにその十年来の男友達は言った。
「今出会ったのが初めてなら」
…口説いたかもしれないよ。
じゃあ私は十年、無駄にしたのね。
脂肪の繭に覆われて、誰も目醒めさせてくれぬまま、まるで薄気味悪い眠り姫のように。
さんざんデブだのブスだの言ってきた彼の口から褒められるのは、他のどんな男に口説かれるよりも心地いい。勝った気分になれる。私は自分の力で目醒めた眠り姫。
甘い言葉のいくつもは、決して恋愛感情など持っていない彼を、やんちゃ少年からオトナの男にさえ見せた。燻らす紫煙さえ、ちょっと艶っぽい。
オトナの男と女の外見を持ちながら、会話はまるで10年前のあの日、中学校の西日の射した教室そのものなのだけれど。

彼との間には何年かのブランクがあって、私は突如として別人になって現れたように映ったに違いない。
脂肪の繭を切り拓いた私の楽しみは<再会>。
はっと目を見開く旧友たちの顔が、面白いから。

でも、あの人にもういちど逢おうと思うのは、もう少し先。
あの人には、姿じゃなくてちゃんと成長した中身を見て欲しいから。

巨デブ諸嬢、立志せよ 

January 11 [Tue], 2005, 0:56
最近、私はいつも鏡を覗きこんでいる。前より遥かに、「きれい」に固執していると思う。
だって、あれだけ苦労して、苦労して、手に入れた私もの。もう、今、一秒ごとに、若さを失って、違う私になっていくんだもの。
街をゆく、華奢な脚を持った少女たちが羨ましい。
私は「きれいな20歳のころ」を持たなかった。
自分の醜さを真正面から捉える勇気はなかったが、うすうすは感づいていて、成人式は出なかった。脂じみたパジャマを着て、ひきこもっていたんだろう。
周囲は華やかにいろづいて行く、いちばんきれいな時代を迎える。
私は醜く厚い脂肪に覆われて、青春をその汚泥の中に捨てていたのだ。

失った季節は戻らないのだ。どうやっても。
私はこれからどれほど努力しても、「きれいな20歳のころ」を手にすることはできないし、思い出は輝かない。厳重に鍵をかけて、私の胸のうちにひっそりとしまわれるだけだ。これから出会う人たちには明かさず、もらさず生きていくのだ。
ダイエットは始めるなら早いほうがいい。
新しい人生は多いほうがいい。

ただし、間違えないで欲しい。
これは、私のような巨デブの諸嬢にのみ言うのだ。
50キロの人が45キロになるなど、不健康極まりないし、本当のデブをバカにしている。あなたがたはそこから劇的な変身などできない。そこが終着点なのだから。
言い換えれば、巨デブは予測不可能な希望を持っている、といえる。
痩せたら、きれいかもしれない。痩せたら、健康になるかもしれない。
「かもしれない」は素晴らしい。

でしょ?

夢はカタチになっても 

January 10 [Mon], 2005, 23:23
サイズ3L、17号だったのに、今じゃMでも着られるようになった。このセールの時期が楽しい。ミニスカート(年相応のね…)だって、ブーツだって、なんだってはける。
鏡をのぞきこめば、鼻筋は浮き上がり、目はぱっちりと大きい。自分でいうのもなんだけれど、肉襦袢から出てきたほんとうの私はけっこうきれいだった。

最初は極度の食事制限をしていたので、身体にはよくなかったのかもしれない。肌も荒れず、生理も止まらず、病気もせずにここまで落とせたのは、単にもともと丈夫だっただけなんだろうか…。
今は普通に肉もお酒(私はのんべえ)もお菓子もジャンクフードももりもりたべているが、食べた直後に1.2キロ針がブレる程度で、リバウンドの気配はゼロ。胃自体がデブ時代に比べて劇的にちいさくなっているので、絶対的許容量が足りずに、意識せずとも量が食べられず太れないのだと思う。

今の体重に落ち着いてから、昔の友人たちに会うのが楽しい。
何より嬉しかったのは、久々に会った10年来の男友達がキレイ!キレイ!とほめまくってくれたこと、だ。過去は完全に消えたように思えた。

それでも、あの恋は私の手には入らなかった、のだ。
悲しくなるくらい好きだった人。私の体重を27キロも奪い去った人(←人のせいにするな)。

私はきれいじゃないの?

醜さをようやく知る 

October 31 [Sun], 2004, 13:36
私がダイエットを決意したのなんて、滑稽すぎるほど陳腐で月並みなことだ。

恋をしたからだ。猛烈な勢いで、気が狂うほど、好きな男ができてしまった。
この人を手に入れたい、と切実に願った。

けれど振り返った私の瞳に映ったものは、醜く膨れ上がったデブ。
恋に胸をときめかす、オトメな妄想に浸る、それはそれは醜いデブ。
どれほどどれほど焦がれても、彼は微笑んでくれるだろうが、私のものになりはしない。…こんなデブ、お断りだよ、そう冷たい声が聞こえる気がした。

気が狂うほど惚れてしまったから、最初の数キロは意識せずに、いともたやすく落ちた。食欲が少し落ちただけで。それでもまだ76キロはあった。デブ・デブ・デブ。ようやく鏡に真向かう決意が生まれたのに、突きつけられるのは、どこまでも脂肪が纏わりついている自分の身体。笑うとむっちりと頬が目を圧迫する。醜い。ウエストが食い込む、デブ用のジーンズ、ウエスト88センチ。トップスのサイズ、3L。LLL。ラージ、がみっつ。
どうしたらいいんだろう。明日目が覚めたら、このお肉が全部無くなっていればいいのに。すらりとした45キロの身体が、肉襦袢の中から出てくればいいのに!

もともと80キロを越す超肥満だったのだから、数キロ落ちたところで、誰も気づかない。
とにかく、ひとまず胃を小さくすることにした。朝ご飯だけ、食べる。昼抜き。夕飯は豆腐かサラダのみ。
みるみる、鏡の中の私の顔は小さくなった。

私がデブだったときのこと。 

October 30 [Sat], 2004, 0:18
82キロ。
これは、ダイエットを決意するより1年以上も前に出した記録なので、実際、最終的にどこまで増えていたのかは定かではない。つまり、私はそれほど「デブる」ことへ無頓着だった。
街で売っている服が入らなくて、通販でデブサイズの服を買っていることも、ちっとも気にならなかった。体重計など、学校で健康診断のときに見れば充分だったし、そのとき数字ではっきりと確認することで多少落ち込んでも、心根は変わらず、三食食べて、よく寝て、ついでにお菓子ばかり食べていた。
色恋のことなど、思うべくもない。

あの頃、自分はいったいなにを考えていたのだろう。
鏡を見た記憶がほとんどないのだ。当時の写真はいっぱい残っている。そこには、肉饅頭のように膨れ上がった顔の中に、目鼻立ちの位置だけ今の自分と変わらないデブが写っている。ベルトの部分には、浮き輪のような肉を纏わりつかせて。ああ、笑うな、みっともない。肉の中に、目が埋まる。洗っても、洗っても脂染みている髪。汗で額の周りには髪が貼りついている。

時々、声をだして哂ってみる。
今の私と、その頃の私を見比べて、涙が出るほど。
「いったいこれは誰だ!」
重い重い重い肉襦袢を着ていた私。
今年更新した新しい免許と、古い免許は、昔を知る友達にしか見せられない、笑いのネタとなってしまった。

脂肪と言う名の服を脱いで 

October 24 [Sun], 2004, 2:00
漫画家・安野モヨコ氏の『脂肪と言う名の服を着て』を、デブっているお嬢さん方は、読んだことがあるでしょうか。 このブログでいう「デブ」は、細い女の子が言う、「あたしデブっちゃって〜」と言うデブではありません。 本当の デブ です。 私は20歳のとき、163センチの身長で80キロ強ほどありました。 立派な「巨漢」でした。 冬でも汗をかいていたし、夏は当然とにかく暑かった。男の子はおろか、女の子にもバカにされたなあ。かわいい服なんて当然入るものがなかったし、いつもオバサンみたいな格好をして、オシャレに無頓着だった。 デブの女の子、あなた、鏡を見たことがありますか? 鏡を見て、人が自分をどう思っているか、考えたことがありますか? 写真を見て、友達より2倍くらいある自分の姿を、どう思いますか? 私はダイエットを決意してから約2年と少し、現在55キロです。 一度もリバウンドしていません。 まだ美容体重には程遠いけれど、骨格的に見て、ベストに近いものになったと思っています。 夏もまったく暑く感じなくなったし、生理も順調で、肌も髪も綺麗になりました。 高いダイエットフードなどは使っていません。すべて、自分自身の意思ひとつでした。 ここではその経緯をお話していって、同じように痩せたい、綺麗になりたいと願う女の子たちとお友達になったりしていきたいと思っているので、是非興味を持った方は声をじゃんじゃんかけてくださいね!
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