プラトニック・エロスを求めて迷想する「きのこ御殿」

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「なんとまあ、気が遠くなるほどの愚かさよ」 『平清盛』(8) / 2012年02月27日(月)

『平清盛』第8回「宋銭と内大臣」

さて、待ちに待った山本頼長登場の回。

「曲がったことがなによりきらいな男」藤原頼長登場、として番組開始直前に番宣が流れてましたね。
ちょっと食器を直したり、書物の乱れを正したり、神経質そうなところも面白い。

ツッコミどころ満載だったので、まずストーリーに沿って。

【大胆不敵!忠盛の宋貿易】

博多の神崎の荘の市。宋貿易の場で、その活気と珍しい品々に目を丸くする清盛。「なんと豊かで生き生きとしておるのじゃ!」

「ヘイシハタカクタカクコウテクレルノデ・・・」商売を歓迎している、と片言の中国人。なんで藤原家成が宋の商人をやっているのか不思議に思ったけど、桜金造さんでしたか失礼!(似てるんで目をこすったのは私だけ?)

この直接貿易にはからくりがある、と得意げな家盛(梅雀さん)。
なんと、四年前から忠盛が偽造した院宣で大宰府を騙し、宋の国と直接に商売を行って莫大な利益を上げていたとのこと。

あららららら・・・。
清盛は「なんとまあ、父上の肝の据わっていることよ」と単純に感心しているけど、兎丸の言うとおり、「忠盛は海賊よりもタチが悪いで」。

宋の珍品を王家に献上することで良き領国を与えられ、ますます米が取れるようになり、それで貿易の量を増やす。ますます平氏ばかりが潤う。

六波羅では、筋を通す男、忠正(豊浦さん)が家盛(大東君)に語る。
「しょせんは法に背く商い」だと。パチパチパチ。
平氏の利益になるとはいえ、法に背く商売をすることに対してちゃんとした倫理観を持っている人が存在してホッとしたよ。
「独りよがりな大義を掲げては、漁師や海賊を郎党とする。身分低き女子を妻とする。清盛はしょせん嫡男の器ではない。平氏の行く末は家盛、お前にかかっていると心得よ」(忠正)
同感っす。忠正ほど「この清盛」を理解している人もいないのでは。

父親に反抗ばかりして不良ぶっていたくせに、父が市役所職員ではなく実は裏社会の元締めだった、ということを知った途端「かっこええ」と思ってしまうアホ息子。

国際的バカの見本市のようにニギヤカな状態はまだまだ続く。

清盛が自分の館に帰ってくる。
そうだ、こんな悪ガキ程度のオトコでも一家の主かあ・・・。
博多での出来事に興奮する清盛。明子に貝の紅をあげる。
「北の方様にはお似合いになりましょう」と鱸丸改め盛国が先に言い、笑いがはじける。
荒くれ男たちが集まっている頼もしい館。
冷めて見ると、秩序も礼儀も全くない無法地帯。
親の財力があるから家は安泰だろうけど、キミ、チームのヘッドは勤まっても、一国を束ねるのは無理っすよ。

「新しきもの、珍しきもの、心躍るもの、ハラハラするもの」を清盛に見せたことに満足し、忠盛もご機嫌。
いいのかなぁ・・・大事な密貿易の秘密を知らせちゃって。

「これは朝廷に絶対知らせちゃいけないことなんだよ!平家の存亡に関わるんだよ!特にバカな兎ちゃんにはよくよく口止めしとくんだよ!」と、ちゃんと清盛にも理解できるようにお話したのかなぁ・・・。

全国の視聴者の心配どおり、兎丸が京の街中で勝手に市を開いている。
理由は、「おもろないから」。(全国の視聴者が頭を抱える)

その上、通憲(阿部サダ)が現れて
「盗んだ品々にて商売をしておるのか!」
と宗の書物に興奮。
「焼き物に、衣服に、書の道具、民がじかに目で観て手を触れる」
それはこの国の文化の向上につながるのだと誉めちゃう。(そんなことは兎ちゃんは思ってないが)
「見つかれば大事になるとわかっていながらこれらを民の目にさらしておいたとは、まことに天晴れじゃ!」(・・・・・)
「それや〜〜!おもろいってのはそういうことじゃ〜〜!」
兎丸が意気投合。

・・・・通憲信西、学者と言っても意外と(でも見た目どおり)バカなのではなかろうか・・・・。
世間知らずの学者肌だからなのかなぁ・・・とも思っていたけれど、この回の最後でなんと頼長の側近くで意見を言える立場だと知って唖然茫然!!

清盛との友情がもしもあるならここで厳しく市の撤収を迫らねばならないだろうに。頼長側の人間だとすれば清盛の悪事の露見を狙った、ということも考えられるが、そんな風な悪賢さはまるで感じられない。→バカ?。、

あぁあ、せっかくの忠盛の苦労がなぁ・・・。あ、でも忠盛も何の対策も立てずに館でご満悦なんだから、間抜けまくりだよね。

最終的に清盛が「見せるなり売るなり好きにすればよい!」
(ばーか、ばーか)

「ここで買うたことは内密にな」と、いちいちお客さんに言ったってさ、会員制地下クラブじゃないんだし。「人の口に戸は立てられぬ」ということわざ、この時代にはなかったのか。
(あ、為義側がこっそり鸚鵡を買うシーン、見たかった!)

清盛はご機嫌でイノシシ肉鍋で宴会。
往年の不良少年漫画に始まる「友情・努力・勝利」の、少年ジャンプの世界観でござる。(いや、実は努力や忍耐はないからそれ以下でござる)。
上も下もなく、大将のおおらかなバカさと熱さに、有象無象の男たち(パッと見の数で勝負)が心酔するのでござる。

「みな満足そうであったな」(清盛)
おもろくぎょうさんもうかって、タダでご馳走たらふく食べたから満足なだけでござる。

「豊かなる宋の国は、あのような顔で満ち溢れておるのか」(清盛)
昭和の中ごろにいたアメリカかぶれの若者とも似て、「宋最高!」「宋はロックだぜ!」なのでござる。

【山本頼長登場!】

ああ、あまりにツッコミどころが多くて、頼長登場にたどり着くのが遅くなってしまった。

鳥羽院御所の菊を愛でる回(かな?)。
鳥羽院「不老長寿の仙薬、菊酒を頂こうぞ」。
そこに、酒器の中の菊を取り除く男。
頼長「私は、不老長寿など望まぬ」
頼長「そもそも何ゆえ庭に菊など敷き詰める」
菊は側室得子(松雪)のご所望にございます。鳥羽院は側室を寵愛。
頼長「なさけなきことよ」

三上鳥羽院も化粧を変えてから、ずいぶん印象が変わりました。
愛しき繊細さよりも、癇症と老化が進んできた感じ。
「菊を愛でる歌」を詠ませようと、上皇は佐藤義清を指名する。

眉目秀麗、文武両道のアイドル義清の歌を聞いても、頼長は「なんともこびへつらった歌じゃ。気分が悪い」と一蹴。
敵を作りまくりそうなキャラですねえ。一癖も二癖もある登場です。

その後、摂関妖怪人間トリオ(忠実、忠通と)が顔をあわせ、年内に頼長が内大臣になると決まったことを知らせる。
「そなたこそが摂関家復興の要」「もう少し喜んだらどうじゃ」
ここ、公式では「わが子ながら頼もしいあ(忠実)」「わが子ながらかわいげのない(忠通)」と二人の父(形式上頼長は兄の養子になっているので)と言うのを楽しみにしてたのになあ。

清盛、頼長、崇徳。「二人の父」を持つ人、多いですよね。(もっといるかも)

頼長「喜んでなどおられませぬ。近頃の都は乱れきっております」
「内大臣になった暁には、徹底して粛清・・・いたします」
あれれ、いつもの耕史くんの横顔よりラインが悪者っぽい・・。
ちょっとゾクッとする悪キャラぶりがいい感じです。


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Posted at 03:32 / ドラマ タ行 / この記事のURL
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これぞ「最高の人生の終わりかた」―『家で死ぬということ』― / 2012年02月26日(日)

NHK土曜ドラマスペシャル『家で死ぬということ』感想

昨日、前記事をまとめていたら、NHKドラマSP『家で死ぬということ』が始まった。
「最高の人生の終わりかたとは?」という同じテーマなだけに、リアルタイムで見入ってしまった。

NHKはこの手のドラマを作ったら非常に良いですよね。この前やっていた『キルトの家』も素晴らしかった。
なんで看板の大河ドラマが2回に1回くらい「小児病」を発症しているのか、絶対理由があると思うんですが、謎。
視聴者にあわせたらこうなった、などといういいわけは聞きませんぞ。

【ちょっとだけ自分の「老い」の話】

昨今、非常に「老い」「死」について考え込むことが多いのです。
親もまだ生きているのですが、親の問題+自分自身の問題としても。
多分、今後もテーマにすることが多いと思います。

同じようなことを感じている方がいらっしゃったら、これを機に一緒に考えていきませんか?

ブログというものを始めた頃は40代前半だったと言うのに、今50代はじめ。老いを考えるのはまだ早いと言ってもらえるかもしれないけれど、やはり50代は重さが違うのです。
40になった時も「ババアになった」とか友人内で騒いでいたけれど、もはや容貌どころの話じゃない。

もっともショックなのは物忘れが増えたこと。
忘れるはずのないような人の名前が出てこない。
ごく最近あったことなのにコロリと忘れてしまう。
また何回も同じことをしゃべってしまうことも増えた。(あ、ブログでも・・?)
自覚があるうちは若年性アルツハイマーや認知症とは違う、というけれど、脳の老化のスピードが速いのかもしれない・・・?

もともとさっぱり整理能力がないしオッチョコチョイと周知されているので気づくのが遅かったけれど、仕事上でもアワヤという場面が増えた。
しっかり情報の整理や机周りの整備をしないと大変なことになりそう。
家の中でも物をどこにしまったか忘れていることが多いので、生活全体を何とかせねばならないところまで追い込まれている(汗汗)。
「断捨離」の実行がなかなかできなかったけれど、衰えた管理能力にあったモノの量にしなくては。

『最高の人生の終り方』の健人(反町隆史)の苦悩を見てると、ドキドキするんですよ。
渡辺謙の『明日の記憶』(これは若年性アルツハイマー)なんか、怖くて見返せないくらい。
「キルトの家」の米川さんの言うとおり、この前までできていたことができなくなって驚くこともある。「自転車のブレーキのかけ方を咄嗟に忘れ」たあの老人の姿も特別な話じゃない。

膝と腰は弱ってきていて度々トラブルを起こすようになったので、数ヶ月前からスポーツクラブに入ってマシントレーニングをしている。「金を払ってスポーツするなんて贅沢だよね〜」とつい少し前まで笑っていたのに。
今は大丈夫でも、目も耳も不自由になって、周囲が笑っているのに取り残された感じがする日だって生きていれば必ず来る。

【どこで死ぬべきか?】

『家で死ぬということ』は、白川郷の合掌造の民家を舞台にして、一人暮らしの老女ひさ子(渡辺美佐子)の最期を描いた作品。
末期ガンで余命いくばくもなくなったが、東京に住んでいる娘恵美(西田尚美)が呼び寄せようとしても頑として家を離れない。

おりしも降格されて感触に追いやられた夫純一(高橋克典)と、就職浪人の長男が派遣されてくる。
恵美に「おばあちゃんを連れて帰るまで東京に帰ってくるな」(!)と言われて・・・・。

ひさ子は娘が結婚して東京へ行ってから、古い家を守り牛の世話をし先祖を守り、雪下ろしや雪かきも全部一人でやってきた気丈な母親である。
黒光りする合掌住宅内部を磨き上げ、和服をきちんと着て、見事な昔の日本女性。
「嫁に来て60年。この家で死ねたら本望や」と言っている。
それでも、牛の世話やマキ割りを教え、漬け物の漬け方を純一に伝授するひさ子の表情は輝いている。
「よしたよ」(よくやってくれたね。ありがとう)
笑顔で姑を見やる克典さん、いい感じです。

ひさ子は純一が憧れていた朝食、焼き魚に漬け物、玉子焼き、味噌汁の美味しそうな食事を食べさせてくれる。
囲炉裏の上の鈎にかけた鉄鍋から味噌汁をよそうんだから、その風情もあいまってもう、理想の朝ごはんですよ。

しかし病気は次第にひさ子の力を奪っていく。トイレに行くのも辛そうになる。トイレの介助しようとした純一の手を振り払ったひさ子には、自分のことが自分でできなくなった老女のショックがまざまざと感じられた。
多くの老人(大姑、舅、姑、夫)の下の世話や食事の介護、を一手に引き受け、「しまってやった(=最期を看取ってやった)」ひさ子にとっても、自分が他人の手を借りる日が来たことは、認めがたいことだったのだろう・・・。
そしてできれば、娘に居て欲しいと思ったのかもしれない。

渡辺美佐子さん、老女といっても見事に美しい。化粧っけもない、素の老人の顔でこんなにチャーミングで美しいとは羨ましい。それだけでリアル老人との差を感じるが、このドラマはそんなに「リアリズム追求」ではないから良いのかも。むしろ現実における「理想形の追求」ドラマ。

新旧の二人の「自分を曲げない女」の間で、揺れ動く純一の、優しく柔らかな心情を高橋克典さんが素晴らしくいい感じで演じてました。
まさに垂涎の「理想の婿」でした。
高橋克典さんは、長いこと深夜ドラマ御用達のイメージが強かったんですが、この頃違いますね。昨年正月の黒田官兵衛役も良かったけれど、今回のような平凡な優しい男性を演じてもスッと馴染んでます。

就職浪人の孫を演じた庄野崎謙さんも良かった。
多分母親のことはうるさいと思っているのだろうけれど、おばあちゃんには素直に優しくできる。(最後には泣いてくれましたね)


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Posted at 13:14 / ドラマ ア行 / この記事のURL
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『最高の人生の終り方』について+木曜のドラマ / 2012年02月25日(土)
『最高の人生の終り方』第七回を中心に

私の中では本命なしの今季のドラマだけれど、木曜日がなかなか面白い、と思う。
『くろねこルーシー』『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜』『最後から二番目の恋』。
最初の二つはかぶっているので裏録で対応。『14歳のハローワーク』もいいけれどつい見損ねてしまうこと多し。

特に、今回は『最高の人生の終り方』について少し語りたい。
以下、第七回「ありがとう兄ちゃん〜妹の初恋〜」を中心に。

【第七回はあっちゃん熱演】

これまでも少しずつ井原きょうだいの物語が描かれてきたが、今回はAKB前田敦子演じる長女(三番目)晴香が中心。
前回、足の悪いことを隠してネットで出会った男性と生まれて初めてデートしようとしたものの、嘘が原因となって立ち竦み・・・今回は男性(一之瀬)と同業者として意外な出会いをする。
晴香は自分を吐き出し、正直になり、校長先生の「お別れ会」(葬儀)を真心込めて行ったことで、大きく成長する・・・・という話。

あっちゃん演技良くなったね・・・!
『イケパラ2』ではイマイチ、佐藤健君との『Q10』のロボット役はすごく良かったけど、こういう特殊な役だから合ってるのね・・くらいに思ってた。ゴメン。

校長先生に出会って誉められた時の輝くような笑顔は絶品。真人(山ピー)の前で自分の嘘を吐き出す時は、アイドルとは思えないくらい顔をマックスに突っ張らせての熱演。また目を潤んだ目を大きく見開いているあの表情は、演技というより絶対ホンモノに違いない。

妹桃子(大野いと)との、本気のケンカシーンもすごい。この姉妹は仲が悪いと言うのでもないんだろうけれど、何かとぶつかる。
だいたい「お姉ちゃんは足が悪いからって特別扱いされてきた」的なことを言う桃子が視聴者の憎しみを買いそうだが、これも姉妹ゆえ。
気を使うことなく他の人は絶対言わない本音を吐き出す桃子はリアルで、だからこそケンカもできるんでしょう。
今回のケンカは特にすごく、女同士(足の悪いことなんにて気を使わず)つかみ合い、水の掛け合い。足の悪い晴香が身長がはるかに高い妹にまるごとぶつかっていくのが愛しい。真人や隼人(知念くん)が吹っ飛ばされる様子が面白かった!今季『早海さんと呼ばれる日』でも家族のつかみ合い殴りあいがあったけど、こっちの方がずっと真剣さも新鮮さもある。

【井原家兄弟に萌えの芽】

要素が多いドラマで、その上五人きょうだいかよ・・。と思っていて失礼。
すごくリアルでいい感じのきょうだいドラマになってます。

そして、先週(第六回)ついに帰ってきた兄(この方だけ腹違い)の健人。反町隆史です。豪華です。
この兄は、脳に障害があるらしい(若年性アルツハイマーかな?)。時々自分がどこにいるか、誰なのかなどわからなくなってしまうらしい。それがきょうだいには全然わからず、高円寺署刑事の優樹(榮倉奈々)だけが異常を知っているが健人に隠すよう頼まれている。
父を支えて葬儀屋を手伝ってきた兄は頼りになるが、またふとどこかへ行ってしまいそうな予感で真人は不安に駆られる。

反町兄貴を慕う山Pとのアイコンタクトに、兄弟萌えを起こしそう・・・。
こんなかっこいい兄貴が二人もいるあっちゃんが、一之瀬君に惚れるなんて不思議なくらい・・・(ゴメン)。

そしてそして山ピー、わたしの愛した少年の頃の初々しさと可愛らしさは減ったけれど、多くの兄弟の中の中心としてすごく感じです。
山ピーの繊細さや優しさが好きなんですよ。
『野ブタ。』以来(修二と彰、です)、ジャニ系のなかでも亀梨君と山ピーは(私にとって)特別な存在。二人とも今でも、十代の『野ブタ。』の空気感がいつまでも残っている。特に今回の役では私の好きな山ピーが見られて嬉しい。
優しさが自然。「仕方ないなぁ・・・」という感じながら、実は結局全力で相手に優しさを注いでしまう。妹にも、兄にも、あの世へ送る方々にも。
ぶっちぎりの強いヒーローみたいな役じゃなく、突き抜けたバカポジ男じゃなく、繊細で優しくて感受性が豊か。甘酸っぱさを含んだ、感情が揺らぐ感じの表現が素晴らしいと思ってます。いつかまたダブル主演で再共演して欲しいなぁ。

今回、焼酎を所望する榮倉へのセリフ、
「うちは居酒屋じゃないぞ」
の、このセリフの言い方、「ぞ!!」でも「ぞお〜」でもない、なんとも言えない語尾の切れかた、結構やられました。

もちろん最後の決め台詞も、いつも素敵です。
「俺の愛する人々が、自分の人生をまるごと好きだといえますように。な〜んてね。敬具。兄貴の家はここなんだよ」

唯一難を言えば、葬儀屋になったんだからバッサリ髪を切っても良かったのでは?あの長髪はちょっと。短髪やキチッとしたスタイルも山ピー似合うと思うよ。

【家と、井原家の周囲の人々】

あの家屋もすごく好きなのです。
今回は狭い家の中なのにちゃんとお雛様の段飾りを出している。
あんな大きなきょうだいが、同じ和室で並んで眠るんですよ。
(店舗兼住宅、どんだけ狭いんだ・・・)

真人が岩本老人と語る中庭もいい。なし崩しにできたような風情だけど、なんだか何十年もの井原屋の歴史が感じられる。
豆柴のコタロウがカワイイ。苺の苗は何かの暗示かな?
「葬儀の井原屋」の文字が描かれたガラス戸、紺色の制服、どれもなんだか懐かしい感じがする。

大友康平演じる従業員の田中さんも、年長者なのに真人に対して出すぎたところもなく、頼りになるし、好き。大友さんこういう役やってたよね・・・と思ったけど、二宮君の『フリーター、家を買う』の建築会社の社長さん。



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Posted at 23:52 / ドラマ サ行 / この記事のURL
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2011年観た映画のうちのベストテン / 2012年02月23日(木)

今季はドラマにやや萎えているせいか、休日ともなれば映画館に足を向けることが多いです。(土日一歩も外に出ない大きな子供と煮詰まりたくないという事情もあり)
先ごろ、昨年の映画賞が続々発表されてましたね。
そこで私も、昨年劇場で観た2〜30本の映画の中から、あくまで「観たうちのベストテン」を書き残しておこうかと思います。

私は全然映画通じゃないんで、カメラやカット割りがどうのとかいう話はできないし、2011年の映画シーン的なことは語れないんですが・・・。備忘録的に。

【忘れてた一昨年のをタイトルのみ】

実は、2009年についてはそういう記事を書いていた
http://yaplog.jp/kinoko2006kun/archive/823
のに、2010年については抜けてた。やっぱり毎年書こう。

一昨年2010年は、『告白』『悪人』など、これぞ日本の現代映画、というのが印象に残ったように思います。個人的にもストライク。
時代劇も花盛り。『十三人の刺客』『大奥』『最後の忠臣蔵』『必死剣鳥刺し』みんな一昨年だ・・・。
その他邦画で観たのは『のだめカンタービレ最終章』『彼岸島』『ゴールデンスランバー』『BECK』『踊る3』『SP野望篇』『トリック』『アリエッティ』。恋愛映画好きな友人の好みながら『ゴースト』『ハナミズキ』も観た。数少ない観た洋画は『インセプション』『アリス』くらい。

【2011年ベストテン】

さて、2011年を楽しく振り返りつつランキングしていこうと思いますが、ドラマベストテンと同じで、優れているとかそういう観点ではつけてません。
自分が見て、面白かったかどうか。
また観たいとか、メチャ楽しかったとか、すごく感動したとか。そういう観点。
素晴らしい映画だったなぁと思っても、途中で寝ちゃったとかそういうのは低くなります。


第10位
『ハリー・ポッターと死の秘宝U』


まず、これだけの大作をしっかり完結させたことがすごい。(まとめきれてるかはわからないが)。映像や装置、小物などいつも素晴らしい。
けれど仕方がないことだが往年の子役たちに魅力がなくなっていく。毎回思ってきたが・・・。
家に最終巻以外は全冊あるので、毎回今度こそこれまでのストーリーをおさらいするぞ、と思いながら果たせなかったのが、楽しめなかった一番の原因。
やっぱりある程度マニアックにならないと、十分楽しむのは無理だろうなぁ。

シリーズ中盤から思っていたけれど、スネイプの物語、という側面から見ると面白い。ハリーの父親って・・・なんだかさっぱり共感できないよね。
映画の最後、後日談部分が一番満足感があった。
なんだかんだ言いながら、ここまで全作劇場に通った自分に拍手。(ゴメン)

第9位
『探偵はBARにいる』

これ、大泉洋のシリーズ化決定?原作のとぼけた雰囲気、20世紀ススキノの味わい深い風景など生かされていて良いですね。ストーリーもちょっとホロリとさせられた。松龍がイマイチ好きではないのだが、瑛太とバディを組んだ『まほろ』より好き。

第8位
『バーレスク』

友人がはまって3回も観に行ったというので。うん、歌も踊りもやはりすごい。シンプルながら最初から後にかけて尻上がりに盛り上がっていく。往年の『キャバレー』を思い出す。今年観た洋画の中では、一番楽しかった。

第7位
『岳』

評価も話題もあまりなかったし、あいかわらず漫画原作作品出演の多い旬君ののマッチングも好悪分かれるところだと思うが、なんだか素直に感動した。3000メートル級の山々の空気感すら感じられる映像。エピソードも配置が良く、主題歌も良かった。

第6位
『マイ・バック・ページ』

苦い味わいの70年代青春譜。あの頃の学生たちはこんな風だったかも・・・という手触りのあるリアリティが良かった。
松ケンと妻夫木君。
松ケン演じるニセ活動家梅山の複雑なキャラクター、「不気味な薄っぺらさ」など、鬼気迫るものがあってよかった。
寡黙な時には他の役者にはないオーラを放つあの松ケンが、どうしてセリフの多い清盛を吼えて転げまわって一生懸命演じるほど残念な感じになっていくのか、う〜ん、つらいところですね・・・。

さて、いよいよベスト5。

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Posted at 06:28 / 映画関連 / この記事のURL
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次回予告にて、山本頼長現る 『平清盛』(7) / 2012年02月20日(月)

『平清盛』第七回「光らない君」+次回予告

【第七回もサラッと視聴】

そうだよなぁ・・・光ってないよなぁ・・・・。
と、この大河の一生懸命ギリギリに頑張る松ケン自身の事かと思ってしまう。
主役って、一番動き回って(走り回って転がりまわって)いつも顔面にもセリフにも力を入れていなくてはならないものなのでしょうか・・・?

特に目立った「ずっこけ」演技は、もはや見るのがつらくて今回はもう「ながら視聴」を決め込ませていただきました。あんなにオーバーアクションにしなくても眉ねひとつ寄せてクスリとさせる程度で済むんじゃないかと思うシーンも多い。

今さら言っても詮無いことだけれど、清盛はごく寡黙な「片言くらいしかしゃべらない青年」に設定して置けばよかったんじゃないかなぁ・・・・。
というか、あれだけキャラ図鑑みたいな大河なんだから、自分で輪郭を作っていくより主役らしく周囲に輪郭を作らせる手法、いわば「台風の目」のように静まっていて、時に爆発する時がすごい、という方が良かったんじゃないかなぁ・・・。
「俺はいったい誰なんだ〜〜!」とか「母上は弟の方が可愛いのじゃ(うろ覚え)」とか、そのくらいいちいちセリフで語らなくても十分彼の演技でやれるじゃないですか。
とにかく、松ケンの魅力を生かしてくれ〜〜!
Lというより、『銭ゲバ』の蒲郡風太郎みたいな清盛だったら良かったのになぁ・・・。
その方が、あの下からねめつけるような(白河院との対峙の時みたいに)、飢えた狂犬のようなまなざし(これはいいねえ!)は十分生きる。ざんばら髪に傾いた衣装も異様な感じで生きてくるし。
(あ、何回も同じこと言ってる気がする。許して・・・)

お話は、清盛の青年期が先週終了、ということで、いろんな新しい顔ぶれが増えてます。

ARATA改め井浦新さんの崇徳帝、今回はアンニュイな感じでしたが、彼の演技の奥にはどんな狂気も情念も奥に秘められる。「瀬をはやみ・・・」の歌についての藤木西行とのやりとり、静かだけどドキドキする。
セリフで全部言っちゃう清盛系シーンより、こういうシーンが増えて欲しい。

深キョン時子に加藤あいの明子。父親役に平田満まで。
嫁取りをきっかけに、いろんな展開がはじまりそう。
そして・・・・来週からは「高い壁」の内大臣、藤原頼長登場ですねえ!!!

【頼長、次回予告に】

頼長様、次回予告にも華々しく登場。
一番中心的に登場していたのも嬉しかったけど、清盛とのシーンが多かったのも嬉しい。

「近頃の都は乱れきっておる。徹底して、粛清・・・・」

スッと鸚鵡の布を取り除く下から仰いだショットで登場。
まろ眉もとても自然な感じ。白塗りもしてますね。素肌の方がずっときれいだけど、役的には必要。お歯黒はよく見えないけど、してるはず。

平家が勝手に商業を振興させ、巨利を得ているのだから、摂関家としては取り締まるべきでしょう。ましてや「盗品を売買」しているなど、これまでどうして朝廷は黙認していた(気づかなかった)の??
ただの妖怪奇人ではなく、為政者として経済感覚も知性もあり、厳しく臨む人物として描かれていそうでよかった。これに男色という性癖がミックスされて、どういう人格に治めていくのか楽しみ。


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Posted at 07:40 / KOJI YAMAMOTO / この記事のURL
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深夜連ドラに耕史くん / 2012年02月18日(土)
rukaさんにコメントにてお知らせいただきました。

現在の『くろねこルーシー』に続き、4月からも耕史くんの連ドラが見られます。
その間、大河でも耕史くんが見られるし、ダブルダブルでファンは大喜びですね!

作品は『たぶらかし〜女優代行業・マキ〜』
木曜ミステリーシアターで4月5日11:58〜。
現在板尾さんと田辺誠一と田中圭で『デカ黒川鈴木』をやってる枠です。

番組ホームページも出来てますね。
http://www.ytv.co.jp/taburakashi/

主演は、『パンドラ』でも耕史くんと共演(ほとんど画面で同時に出ることはなかったけど)していた谷村美月。
彼女をこんな(ホームページ上のような)セクシーな服装で胸の谷間まで見たのは初めて。
映画『魍魎のハコ』で始めて見て、『パンドラ』、あと『ストロベリーナイト』のスペシャルではもの凄い役を演じてました。でも、子役的なイメージが強かった。今回は大人の女性なんですね。

そして、耕史くんの役がいいじゃないですか!
まず名前がいい!水鳥モンゾウ。カタカナで、インパクトありますね。
今の「鴨志田陽」もいい名前ですよ。


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Posted at 21:32 / KOJI YAMAMOTO / この記事のURL
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ちょっと停滞気味・・・・?2012第一期ドラマ週感(ほぼ5週目) / 2012年02月16日(木)

今週パソコンがまたまた沈黙してしまいガックリ。けれど昨日弊店間際の電器店に持って行ったら単なる接触不良ということで、その場で解決しました。お恥ずかしい!心配してくださった方、ごめんなさい。

スペシャルドラマの『キルトの家』で、少し持ち直したものの、なんだか本気で夢中になれるドラマに乏しい今季。

二月も中盤に差し掛かりましたが、さて。

【ラッキーセブンに異変?】

『ラッキーセブン』(第5回)。娘と夕飯を食べながら(遅い)観ていると、あれ、新田(瑛太)、いなくなっちゃうの??
「実は俺、大金持ちなんだ」とか「コケ丸(?)に水忘れんなよ」、とか言って、駿太郎に道場(?)紹介したりして。あららら・・・「瑛太降板じゃないの?」。

で、今サラサラとネットを回ったら、真相はわからないものの、舞台のためだとか、中抜けでドラマの最後のほうは戻ってくる、とかいろいろ説があるらしい。
そういうの、あり?ワイルド7ならぬラッキーセブンのメンバーズの活躍で魅せるドラマだと思っていたのに。裏切られた気分。
評判のいい月9だっただけに、ガッカリしている方々も多いでしょう・・・。

でも・・・・・実を言えばこんなことになる前から、2回目以降は回を追って萎えつつあったんですよね。

瑛太だけずるいほどカッコよかったのは事実だけど、周囲とのコンビネーションはイマイチだったと思う。
松潤とバディものっぽい体裁はあるんだけど、ありふれたセリフのやり取りは素でのコンビネーションは良くなさそう・・・と感じてたし。楽しみにしていた大泉さんも、なんだかコネタをぼやいてるくらいであんまり輝かない。もっと輝かないのはどんよりと暗い松嶋菜々子。あの「ミタさん」の魅力はどこに行ったの?
脚本の方も、なんだかうす〜い感動話で、はっきりげんなり。
ラッキー探偵社の普段の様子も腹立たしい。あんな一日遊んでいるような職場で、勤務中に松潤や仲里依紗はだべりっぱなし。
メガネサイバー少女の入来茉里が話題になるのもむしろわかる。

「今季、『ラッキーセブン』は必ず観る!」と最初から決めていたものの、3話目辺りで娘と顔を見合わせ、「このドラマ、実はクソつまらなくね?」と言ってしまった。
言ってスッキリした。

瑛太大好き(最近はほとんどの作品で誉めまくってきた)、大泉大好き、松潤も好き、テッパンのドラマだと思ってたけど、つまらないものはつまらないのだ。
もはや瑛太いるいないはあまり関係なし。原因もわからない。
けれど、このドラマの瑛太を楽しみにしていた多くのファンをガッカリさせたことは、彼にとっても少なからずマイナス、でしょう。

【平清盛、序盤の見せ場?】

『平清盛』第六回。『西海の海賊王』は、序盤の見せ場、とも言える回だった、らしい。
公式ページでも、これだけ手をかけて作り、撮影したという話がいっぱい。

私も、ドラマ美術としては画期的なほど良かったと思う。
『パイレーツオブカリビアン』を意識したわけではない、というものの、見てれば誰でも「意識してる」と思うことでしょう。
海賊王兎丸のビジュアル、帆船に充満する個性の強い格好の荒くれ男たち。
喫水線の高い唐船はスケール感があり、高い船から海面の小船を見下ろす構図など、立体感が十分。映画っぽいです。

これまでの源平物語の映像化というと、舞台中継のようなイメージ。
原色の船がゾロゾロ現れて、美しい姫が扇を高く差し上げて、那須与一が射抜くとか、同じ平面状の船発想を義経がピョンピョン飛び移るとか、絵物語の世界でした。
ああいう世界に慣れきった目には、今回の海戦ビジュアルが「大河らしく見えない」と思うかも。でも、私は新しいリアル感があってよかったと思いますよ!

この大河なら、壇ノ浦で入水していく平家や貴族の女性たちのビジュアルも、十二単が着たきり雀で垢じみていたりが、髪が乱れて絡み合っていたり、汚しに入ることができるかも。

そこまでは誉める。
あとは萎えが多い。


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Posted at 07:23 / ドラマ・ミックス / この記事のURL
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「老い」と「死」を見つめた秀作『キルトの家』 / 2012年02月09日(木)
山田太一ドラマ『キルトの家』

注目のNHK土曜ドラマスペシャル『キルトの家』、見事な作品になりました。

前編「はじめての人たち」で、奇妙で温かい出会いの物語が始まり、
後編「短い日日のあとに」で、別れとそれぞれの明日が示される。

それぞれの明日は、ある人々には非常に短く、ある人々にはとても長い。

これぞ山田太一ドラマ。『ありふれた奇跡』には疑問を感じたけれど、ここ10年くらいに見た山田太一ドラマの中で一番よかった。今年見たドラマの中でも、一番心打たれた。

一言でこのドラマを語ることはまだまだ出来ない。
いろんな要素が不思議に調和していて、1つの老朽団地を舞台にしているのに、今の日本のすべてが、さまざまな人間たちの生が描きつくされている。
期待は裏切られなかった。

ドラマ感想の常として、放送後のネタバレ配慮はしてません。念のため。

【愛しい登場人物たち】

震災を体験して東京へ逃れてきた若い男女が、老朽化した団地に入居し、新しい生活を始めようとする。
そこで暮らす老人たちとの、出会いと別れの物語。

若い女性は南(みんなみ)レモン(杏)。男は空(三浦貴大)。

○杏の力強い目が素晴らしい。困難にあっても逃げずに立ち向かおうとする、それでいて素直に老人たちに向き合う。
化粧っけのない飾り気のない美しさは、シュガーコーティングされたような最近のドラマの女性たちとは一線を画す。
今年はこの女優の真価がいよいよ発揮された感じ。

○三浦貴大って誰?・・・と思ってたら友和百恵のサラブレッドだったのね。年下で情けないところのある、成長過程の空を好演。
この子、前半と後半で素晴らしく成長しているんですよ。登場時にはべそをかいてレモンに引っ張られていたのに、最後のほうでは勝也に「お前をほめる」と言わしめるくらいの成長を見せてくれる。私も一緒になってほめたくなった。

実はこの二人は夫婦ではない。夫の暴力から逃れた妻と、その夫の弟という関係。何もかもなくして二人で人生をやり直そうとしている。

この二人は、キルトの家に集まる老人たちに失った温かさをもらい、老人たちはこの二人にこの世への希望を見出す。
出会うことがなかったら砂を噛むような日々だっただろうに、お互いがお互いの「光」となった。

キルトの家とは、団地の近くにある一戸建てで、持ち主の老夫婦が身体を壊してしまい、家を管理していてくれるなら自由に使っていい、と言ってくれたもの。老人たちの中で一人だけ若い一枝(松坂慶子)が、そこに周囲となじまない老人たちを呼び集め、自由なサークルのような素敵なたまり場になっている。
「キルトの家」というとおり、部屋は見事なキルトの大作が所狭しと飾られている。この見事なキルトたちが、加古隆の音楽とあいまって、ドラマの意味深い背景をなしている。

そして「キルトの家」に集まる団地の老人たちのひとりひとりの造型が素晴らしい。

○橋場勝也(山崎務)は、シャイで頑固で一匹狼のロマンティスト。エキセントリックな行動を取る変人に見えながら、実は他人との距離をうまく取れないでいる。
黒メガネをかけ、まっすぐに空を指差しながら現れる登場シーンはインパクトが強かったなぁ・・・。その後の空との交流が素晴らしかった。

○沖山志津(佐々木ふみ江)は、かつて一流の芸者。三味線の腕前が素晴らしい。プライドも高く人生経験も豊富だが、多くを語らない。いつもきちんと和服を着て、口を引き結んで一人で生きているが、キルトの家には彼女なりに馴染んでいる。

キルトの家の仲間はみんなそうだが、とりわけこの二人は筋金入りの「自立した個人」。他人に寄りかからず愚痴や繰り言も言わない潔さがある。だが、迫りくる老いと衰えから目をそらすことは出来ない。

○下田美代(庄司歌江)は、キルトの家の中では心優しい普通のおばさんにみえる。けれど団地の住民たちとは気が合わず、階段の掃除のことで近所の人々ともめたりする。「一人が気楽でいい」「死ぬのなんかちっとも怖くない」と言っているけれど、遠くの息子のことがいつも気になる。

○伊吹清子(緑魔子)は周囲から浮くほどとてもおしゃれな女性。夫には二度も死に別れるなどいろんな経験してきたが、遺族年金のおかげでお金には困らない。
一人ぼっちでうつむいてランチを食べるような暮らしだったが、今はキルトの家を大切な居場所と思い、「今が幸せなの」と口に出している。

女性たちはみんなレモンにとても優しい。特に妊娠を知ってからは。
美代は米を持って階段を上がってきて、「もろて。あげたいの。もろて」
一人で肩肘張って生きることが大事なのではなく、他人の好意を受け取ることも大事なのだ、と、美代自身が感じているのかも・・・。

○河合秀一(北村総一朗)はもと時計屋さん。拾ったものに細工をしていろんな物を作り出すのが得意。ちょっと頑固だがほんわかと穏やかで知的な印象。キルトの家に一番マッチしてる?
ただ、ここが終の棲家ではないことは自覚しており、老人ホームへの入居を考えている。

○沢田道治(織本順吉)。元公務員の真面目で実直な老人。若い二人に使ってもらおうと電子レンジを買ってプレゼントしたりするが、ちょうど二人が中古のレンジを買ったところだったり、なにかと間が悪い。

○野崎高義(上田耕一)は元ヤクザで口は乱暴、シャツも派手だが、単純で明るくて気がいい。沢田とは仲良しコンビに見えたが、実はからかいすぎて嫌われていた。
「俺にキルトは似合わねえ」とか言って縁遠くなるが、ラストシーンで仲間に戻る気配が嬉しい。

名優たちが演じた一人一人の老人の、なんと手触りの確かなことか。
みんな追い先短い老人役だが、演技の輝きが薄れず、非常に元気そう。日本芸能界の財産である彼らの演技を、もっともっと見たい。

○それから、老人たちを呼び集めて明るく中心になっている桜井一枝(松坂慶子)。
彼女は少し年代が下(50歳くらい?)で、なんとなく依怙地で自治会の輪に入れない独居老人たちに声を掛け、キルトの家の常連にしている。
松坂慶子のまぶしいくらい明るい笑顔が素晴らしい。いつもとても明るい色の服を着て、周囲を明るくしてくれる。気難しい勝也も、一枝にはいつも頭が上がらない。
その行動の裏には、死んだ父親へしてやれなかったことを悔やむ気持ちがあった。そして、父親に似た勝也への思いも。

以上がキルトの家のメンバー。
もとは14人いて、4人すぐやめて、2人死んで、物語のはじめには8人。
ドラマの終盤では、3人来なくなり、3人出て行くことを告げ、残ったのは勝也、一枝、清子の3人だけ。空とレモンを入れても5人となる。

「年よりはこんなもんだ」と勝也。
諦めたように黙って事態を受け入れる老人たち。
その前で、激しく泣きじゃくるレモンを勝也と空がかわるがわる抱き締めて・・・・見ているこっちも涙が出た。

【若い二人と、勝也】

主役は、山崎務と杏。
山崎演じる勝也は、特に空との関係の発展が面白い。
この三人をめぐるセリフ群もあまりに良くて、つい抜書きしたくなる。

勝也が差し出した栄養ドリンク一本を頑なに遠慮するバリアの高い空。あまり深く団地の人と関わらないようにしているらしい。
しつこく薦められて飲まされた後の勝也がおもしろい。
「どうする、そんなに簡単に他人を信じてどうする。大変だ。動け動け。じっとしてちゃダメだ!」と空を走り回らせる。

この挑発的な出会いから、「変なジジイ」だと思っていた空だが、すぐに勝也に打ち解け、キルトの家に親しむようになる。

シャイで、いつも大きなキルトの後ろに自分の隠れ場所を作っていた勝也だが、若い二人が来たことが非常に嬉しい。
「諸君、たましいの話をしよう。たましいの話を!なんという長い間、僕らはたましいの話をしなかったんだろう」
と、吉野弘の詩(Burst)の一節を語って、ご機嫌。(この詩はこのドラマ全体の問いかけなのかもしれない)

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Posted at 23:58 / ドラマ カ行 / この記事のURL
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映画『CUT』 / 2012年02月07日(火)
『ストロベリーナイト』の菊田のせいで、西島秀俊にモヤモヤする。
あの目、あの視線が、脳裏にこびりついてはなれない。
で、西島秀俊主演の『CUT』を観てきた。

イランのナデリ監督が日本人キャストで日本で撮影したという話題作。
海外の映画賞でも高い評価を受けているという。
終了直前だったが何とかセーフ。シネマート新宿で2月10日まで各日午前一回のみ。

今シネコンの各種割引が充実しているので、映画はほとんど千円で観ることが多い(でしょ?)。久々の、往復交通費+正規料金1800円で観る映画です。
でも、行って良かった!!
菊田にもやもや(もえもえ?)する方は是非。
今回観られない方も、DVDやテレビで観られるようになったら是非。

『CUT』の西島さん(主役の秀二)と比べると、『ストナイ』菊田は喩えてみれば思いがけず絶品だったレディースセットのデザート程度に思えてしまう。(いや、菊田さんが好きなのは変わりません。西島菊田は原作の三倍かっこいいですよ)
西島さん渾身の、鬼気迫る演技。是非お見逃しなく。

予備知識はほとんどなしで観た。
往年の名画を激愛している青年が映画のために殴られ屋になる話だということ。
西島秀俊も非常な映画通なので入れ込んで演じたということ。
という二点くらい。
ポスターのキャッチコピーの「映画のために死ね」というのは、具体的にどんなことなのかなぁ・・・?という興味もあった。

基本はヤクザに借りた借金を「殴られ屋」となって返すという話。端正な西島さんのお顔が無惨に切れ、あざだらけになり、原型をとどめないほど腫れ上がっていきます。あまりに痛いシーンの連続なので、その辺だけは覚悟して。

連日40度を越す中、倉庫を改造した現場(映画内のヤクザの事務所?)にての相当過酷な撮影だったらしいです。

この映画に感じることは多いが、ストーリーは、こっちがびっくりするくらいシンプルなもの。
以下、見にいけそうにない方のために、ラストを避けつつ「あらすじ」を書いちゃいますので、ネタバレ堪忍の方はここまでに。







【途中までのストーリー】

主人公秀二(西島)は映画監督としてこれまで三本の映画作品を撮っているが、いまだに芽が出ない。
自分が借りている一室のあるビルの屋上で、時々昔の映画の上映会を開いている。また往来でメガホンを持ってアジテーションし、時に警察に追いかけられるという日々。上映会も何度も妨害されている。
「今ある映画はすべて、娯楽映画に過ぎない。かつて映画は真実であり、芸術であり、娯楽だった。あの頃の映画を思い出してください。映画は死にかけています!」という調子。

平たく言えば映画の道に芽が出ないため鬱屈した「映画狂の変人」に見える。
上映会が妨害されるとしても、内容のためではない(芸術性の高い名画ばかりだし)。やり方が適法じゃないだけじゃないのかなぁ・・・。
友人には「いつも何かに追われているよう」に見えるという。

第68回の屋上上映会。キートンと清水宏の白黒サイレント映画。聞える音は強い風の音と、画面と関係のない電車や夜の都会の音ばかり。
それでも観客たちは楽しんでいる。そして秀二も、はじめて満たされたような微笑を見せる。いい表情。
上映前にちょっと作品紹介をし、上映後に話し合いをするんだって。素敵な企画ですね・・・。

しかしそこに見るからにヤクザ、という感じの男たちが入ってくる。
ヤクザの組員である秀二の兄が死んだ。それも多額の借金を残して。
その借金は、映画を作るために秀二が兄に借り続けた金だった。

遺骨を持って一人になると、携帯電話の中に開かなかった兄の言葉がたくさん入っていた。「連絡してくれ」と、何度も何度も。自分は、死ぬまで兄のSOSを受け取りもしなかったのだ。

ボスの正木(菅田俊)から、兄の借金が1,254万円であることを告げられる。それを二週間で返せなければマグロ船に乗るか、保険金をかけて死んでもらうか。
組の事務所は、不思議なところだ。リングやサンドバッグがあり、ジムのような感じ。その奥に幹部室がある。またジムサイドにはバーがしつらえてあり、陽子(常盤貴子)がバーテンをやっていて、老ヤクザヒロシ(笹野高史)がいつもそこにいる。(雑用係かな?)

組員のひとり(でんでん)が秀二をからかい、「拳銃をくわえて引き金を引いてみろ」と言う。秀二は「いくらくれますか」と言い、引き金を引く。弾は込められておらず14万円を手にする。
それをきっかけに、秀二は組員を相手に「殴られ屋」をすることで借金を返すことにする。
「兄はどこでどうやって死んだのか」。トイレの窓枠に血がついていた。
そのトイレの中で、殴られ屋をはじめることになる。凄まじい苦痛に絶えるため、秀二は殴られている間中愛する映画のタイトル、監督名、上映年などをつぶやき続ける・・・・。

あとは、これだけでラストまで引っ張っていく。
非常にシンプルなストーリー。
しかしそれだけで映画を二時間あまり緊張感を途切れさせずに持たせている。

【西島秀俊が素晴らしすぎて】

この「殴られ屋」をリアリティを持って演じる、と言うのは大変なことだっろうと思う。

ボロクズのようになって殴られ続けたら、集団暴行のサディスティックな陰惨さが漂うだろう。
逆に、殴られることに被虐的な快感を感じるかのように見えたら(自分を罰したい気持ちからでも)、気持ち悪くて殴る気が減退するだろう。
商売として殴られているのだから、倒れてもいけない。殴られるために立ち続けなくてはならない。

しかし、秀二はどんなにボロボロになっても哀れっぽくならない。
時にはなぜか秀二の方がいらつき、自分で自分を殴るようなことすらする。
前のめりな、壮絶な戦いなのだ。

殴られている間は一種のハイ状態で、映画のことを考えてやり過ごすとしても、一晩寝て身体がやや癒えると、普通は恐怖のほうが大きくなるのではないか。
それでも、秀二は毎日「一日中殴られるために」ヤクザの事務所に「通勤」する。
顔のほとんどがあざで覆われ、腫れ上がり、目が潰れ、身体もボロボロでまともに歩けない。

秀二を支えるポイントは二つ。
映画のことを考え続け、愛する映画の名前や撮影年や監督名をつぶやきながら殴られ続けること。
また、殴られる場所は兄の死んだトイレの中を殴られる場所、と決めている。

時には殴られながら「このクズ映画が!」「このクズ映画が!」と毒づいているので、殴るほうも罵られたような気分になり、気分が昂揚してより殴りたくなる。
「あと三万だ!絶対倒してやる!」という感じで。

そうそう、映画鑑賞後に公式でインタビュー
http://www.bitters.co.jp/cut/interview_nishijima.htmlを読んだら、

>撮影中は、誰ともしゃべるな、演技に集中しろという指示がありました。あいさつも一切しない。周りからみたらクレイジーに見えても、それでいい、と。

確かに、スタートがかかるまで談笑しているような現場では、こういう画は撮れなかっただろうなぁ。


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Posted at 07:07 / 映画関連 / この記事のURL
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『米田耕作』+他にいろいろ / 2012年02月04日(土)
『鬼刑事米田耕作〜銀行員連続殺人の罠〜』

【私の求めるドラマについて、少し】

マニアとまでは行かないが、ドラマへの思い入れが他の人よりは強いのだと思う。

以前も何度か、「たかがドラマに」こんなに長々しい記事を書くのは「気持ち悪い」というような率直なコメントを頂くことがあった。

まあ、ドラマの楽しみ方は個々の自由なので特に反省も自己批判もしなかった。
けれど、「ただ楽しめればそれでいいじゃないか」とは思いながらも、そういうドラマしかない状態が続くとドラマ全体に興味が薄れるという状況に陥る。

おおげさを承知で言うけれど、やはりドラマと言えどもその作品に出会ったことによって自分の人生に変化が起こる(=ドラマを見る前の自分と見た後の自分が少し変わる)ような作品と出会いたい。その出会いを心のどこかで待っているんですね。、

実際、そういうドラマにも時々出会う。
ドラマの可能性をさらに広げてくれるような作品にも出会う。

『それでも、生きてゆく』とか『MOTHER』とか『塀の中の中学校』とか『坂の上の雲』とか、少し前だと『薔薇のない花屋』とか『野ブタ。をプロデュース』とか、大河でも『新選組!』『風林火山』『龍馬伝』みたいに、こっちが本気でがっぷり向き合いたくなるようなドラマがあると、一番ワクワクする。
『新選組!』なんかは、まさに自分の人生を(趣味生活レベルで)かなり大きく変えたドラマといえる。
『野ブタ。』についてはまともに感想を書いてはいないが、「人生に必要なことはほとんどすべてこのドラマの中にある」と言いきりたいくらいの名作(原作よりはるかにいい)だ、と思っている。

心を揺さぶってくるようなドラマに出会うと、感想を書くのに実質視聴時間の10倍以上の時間をかけてしまうことも珍しくない。
けれど、作り手側の多くの人間の、思いや労力や時間を思えば、本気で熱い思いをアップしたくなる。それは草の根レベルでドラマの質の向上(低下の歯止め)の役に立つのではないか、と思うし、もちろん自己満足でも構わない。

そんなドラマファンとしては、平均的エンターティメントに徹した二時間推理ドラマは・・・・王道であればあるほど、おおむねつまらない。

(すみません、ここまで前振りでした)

【鬼刑事×パソコン刑事】

フジテレビの金曜エンタティメント『鬼刑事米田耕作〜銀行員連続殺人の罠〜』はまさにそんな感じ。
思っていたとおり、よく出来たごく普通の二時間ドラマでした。

シリーズ化するには、なによりコンビネーションが大事だと思っていた。
おおむね成功していると思う。
定年間際の鬼刑事(頑固な現場主義。上層部の命令を軽視し、自分の信念を貫く。「落しの耕作」と言われる。特技は筆耕)の米田耕作(中村梅雀)と、元サイバー対策室でパソコンとプロファイリングが得意な八坂健太郎(山本耕史)。

「捜査方法や考えなど対極にいる2人が、捜査を進めるにつれ、互いを認め合っていき、事件解決に挑む」(公式)なのだそうだ。
マイペースを貫く米田が、若い今風の八坂をポンポンやり込めるのが楽しい。
若干、八坂君はやられっぱなしという印象も・・・・。
失禁と首吊り位置の矛盾にも疑問を抱かないとか、「抜け」が多かったですね。一方的に、八坂君が米田さんを見習い、自分のやり方を反省していくという感じも強い。
特に安達祐実を取り調べる部分は、見ていてあまりに下手な役に振られているので気の毒。(あんな上からっぽい取調べじゃ被疑者も心を開かないよなぁ・・・)と、みごとにラストの「落しの米田」の引き立て役になっている。(それが役者のお仕事ですからね・・・)

ストーリーはうまく出来ているものの、あまりに普通の二時間ドラマなので、途中で爆睡してしまい、朝見直しました。
なんだかものすごく「古い」二時間ドラマの王道、という感じのドラマになったように思います。良くも悪くもそれに尽きるかも。

テイストは昭和に作られたんじゃないのかなぁ・・・と思うくらい古臭い。室蘭の風俗嬢がなまりがすごいのはともかく、ちょっと現代の若い娘に見えないメンタリティと会話内容。
また米田の部屋にいるオバちゃんのパーマ頭や服装、何より雑談の内容がありえないほど昭和っぽく、あれでも多分50歳台の設定ではないかと思うと悲しくなる。

パソコンを駆使して、と言っても、『ブラッディ・マンディ』の三浦春馬君や『SPEC』の戸田恵梨香みたいにハッカー以上の使い方をするわけではない。本部から送った写真を即座に見られる程度の「パソコンが得意の刑事」にとどまってるのがちょっと・・・・。
パソコン刑事というと、もしかすると対人能力に問題のある変人刑事みたいな特徴の多いタイプかも・・・・・とちょっとだけ期待していたので、ちょっと残念。もう少し私生活やユニークな特徴も欲しかったなぁ。
「弁当男子」というところは可愛かったですけどね。


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Posted at 15:18 / ドラマ ア行 / この記事のURL
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