『熱海の捜査官』最終回感想@
「予測不能な最悪の結末」??(副題)
いやいや、ラインを越えて別な世界に行ってしまった最終回の『熱海の捜査官』。
土曜日の朝に録画で見て以来、何度も衝撃の連続。
完全にやられました。脱帽。
三連休はどこで何をしていても南熱海の迷宮にいるようでした。
(最終回から始まる物語は、『組!』だけじゃなかったかも・・・)。
【初見時の印象】
まず、お粗末ながら初見時に感じたこと・・・・。
第7回から引き続く北島×平坂の銃撃戦でどどど〜〜んと盛り上がり、息も付かせぬ展開。
そしてやっぱり、窮地に陥った北島のもとにヒーロー星崎剣三登場!!
萌えました〜〜!闇から射ち込まれた星崎唯一(?)の銃撃。闇に浮かぶ凛々しき星崎さんの顔。銃口からけぶる硝煙すらセクスィ〜〜。
「ふざけるなよ。君に何かあったらどうするんだよ!君を素子さんと同じ目に合わせたくないんだ!!」
星崎さんらしからぬ大声。きゃあ〜〜〜言われてみたいざます〜〜!!
で、SSNSの地下で行方不明の三人が見つかる。
おお!なんだか懐かしき人体実験モノを思わせる生命維持装置・・・ガラスの中の植物状態の美少女・・・既視感のある乱歩の猟奇世界みたいで(趣味なので)ゾクゾクします。
でも、早々に犯人は平坂と決定したのがあっけない感じもあり。真犯人は別にいるんじゃないか、以前感じたように、警察トリオや旅館の主人を含めた南熱海住民全員が犯人じゃないのかなぁとか・・・。
その後ややゆるい雰囲気でちょっと一息。
「朝からラーメン。食べるぜハイウェイ♪」のグレースエット着用のダンスにはかなり興奮。オダギリファンには「TUTAYAのバナナ」以来の衝撃ともいえる、初見時の一番のハイライト(浅くてスマン)。
しかし、事件解決に向かうと思わせて実は、どんどん霧が濃くなり、わからない謎がいくつも立ち上がってきた。
時間が終わりに近づくにつれて、これは絶対に解決する気なんてないって確信しちゃいましたね。最初から見直したらもう少しわかるかもしれないけれど、このままだと普通わかんないよなぁ・・・
えっ「2」って、やっぱり続編のこと?なぁんだ・・・だいたい、わかりましたよ。
(注

:残り時間10分ほどの地点、三木マジックに完全に引っかかっている)
しかしラスト近く、死んだ運転手新宮寺が現れた時にはいきなり他の世界が姿を現したような衝撃。
共犯者が東雲に確定してからは、「うわ、うわ、うわ、こ、このドラマは・・・・!!!!」と遅ればせながら心臓がバクバク。
そしてドラマ史上に残るような印象的なラストシーン。
坂道に後ろ手で腕組みをし、背中でバスを待つ星崎さん(いつも立ち姿が美しい)。
新宮寺と東雲が乗ったバスがやってくる。
ビシッと決めたダークスーツの胸に、オレンジ色の「ネズミ大将」をつけた星崎さん(破魔のアイテムを身に着けた冥府へ赴く戦士のよう)、わずかに微笑んでバスに乗り込む。痺れるほど美しくてカッコいい。
三人を乗せたバスは産道のような細いトンネルに入り・・・。
東雲「星崎さん、今どこに居るかわかってますか?」
東雲の耳に耳打ちする星崎さん。イエスノーランプがブルーに光る。
東雲「今、ラインを越えました」
トンネルの先のまぶしい光に、オダギリさんの顔がホワイトアウトしていって、終了。
ううううう・・・なんだか理解できないながら震えが来るような結末。
まあ細かいことは見直してから考えるとして・・・と棚上げにしつつ、その時は以下のように思いました。

第一回でマーブルのチュッパチャップスが暗示していたように、南熱海の住民の中には、生者と死者が入り混じっている。
中つ国(=南熱海)とは神話では現世を指していたと思うが、ドラマ内では現世とあの世の境目みたいな場所なんじゃないか・・・。
そして何らかの手段で一度あの世へ行き(死を体験し)、そこから出てくることのできた東雲と新宮寺(もっと居るかもしれないが)は、南熱海のある場所(トンネル等)をくぐって「次のステージ(2)」と南熱海を行き来できる存在なんじゃないかと。
「あとは2が何かを確かめるだけね」と占部さんが書きのこしていたように、「ラインを越えること」は、「2」ステージへ行くこと。
しかし「2」が何かは、わからない。星崎はトンネルの先に行ったまま戻ってこれないかもしれないし、新宮寺のように異形の存在(ミスター2?)として北島のもとへ戻ってくるのかもしれない。
【反省いろいろ】
わからないながらとにかく凄い最終回に接して、これまで書いてきたことを思い返していろいろ反省。

反省T
まずは栗山さんゴメン!第一回の感想で批判的なことを書いてしまいましたが(それは嘘ではないけれど)、終わってみると本当にこのドラマにピタリ。
冷たさのある美しさと、それが揺らいで弱さを漂わせた時のギャップがもうたまらない。
平坂との銃撃戦、窮地に追い詰められた時の栗山千秋の目はサイッコウですね。
当初の「ギャグがかみ合わない感じ」も、思い返せば北島さんの現世的の感覚が他の三人とミスマッチなのは狙ったのかも。その後、どんなにばかばかしいセリフやギャグが与えられても、基本の美しさは崩れない。「なんちゃって」でしっかりマンガチックな表情をするところも、桂東さんと「てしてしてし・・」するところも良かったです。
そして今回は、昏睡する平坂にかけるセリフ「目を覚ましたら、話してくれますか」も良かったし、星崎喪失の予感におびえ、分抗マンションで星崎にしがみついて泣きじゃくるシーンがいじらしかった、最後永遠の森学園の正面で「私を置いていかないで・・・」と立ち尽くすあたりの悲痛な演技、切なくて素晴らしかったです。


反省U
ずっと「細かいコネタ拾い(看板の字だの、壁の張り紙だの、ナンバープレートだのを見つけて喜ぶこと)は趣味じゃない」と、言ってきました・・・。
しかし本作において、ほとんどのコネタはギャグじゃなく(そもそもこのドラマ、今思えば全然ギャグではない)、ほとんどが真相を指し示す標識みたいなものだったように思える。
もう、くどいほど散らばってる。今思うと、何でその時気づかなかったのか・・・と悔しいくらい。「2」のしつこさもすごいし。意味深な地名やナンバーにもいくつも気づいていた。
古代史ファンですから、「平坂」が日本神話にある(実際出雲に行ったときそういうバス停があって思わず降りてしまった)黄泉津比良坂(よもつひらさか)だということもすぐ想起した。
特別なものだと思えなかったのは、その他にも思わせぶりな人名が多すぎたから。人名変換が面倒くさくて、サカゼンさんとかサワラギさんとかカタカナ表記で済ましてました。これもナメてましたごめんなさい!
三木さんの注文どおり引っかかって深読みするのも妙にシャクな気がして、固有名詞は洒落と取って、まともに取り上げなかったんですよね・・・。
三木監督、多分自分の作品を「ゆるギャグ」とか「コネタ満載」とか言われることに不満だったんじゃないかなぁ。
しかしもともと、アドリブも改変もほとんど許されないほど完成度の高い緻密な脚本。その上『熱捜』では、コネタだって全話見返したくなるくらいリンク度が高い。
もう『熱捜』からは三木ワールドは別なステージ。
『時効警察』の方が面白いとかつい比べてしまったけれど、全然違う話。
映画『図鑑に載っていない虫』と相似点が多いけれど、『図鑑』はずっとわかりやすい。『熱捜』ははるかに「ラインを越えて」いると思う。
しかしテーマが「死後の世界」「臨死体験」というところは同じ。このテーマがどれだけ三木監督の中で主要なものか思い知りました。
全八話の本格ミステリーであり、めちゃくちゃ楽しめるドラマであり、なにかアーティステッィクなオブジェのように謎めいて心に残り続ける・・・。
ドラマでこんなものが作れるんだ・・・と感服。
【ネットステージはおおさわぎ?】
さて、この後は、公式ページのBBSを読んで大いに触発された点を書いていきます。
最終回「最悪の結末?」かと思わされたその終了の瞬間から、事件は始まっていたのです。ああ、すべては三木監督の狙い通りの展開。
「ぜんぜんわからな〜い」から、少しずつ「説得力を持つ解釈」が流布し始め、じわじわと感動・支持派が増えていく。多分伝説のドラマになるコース。