早速見てまいりました。『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』
感想を書きたいけれど、何しろ公開直後。ネタバレ等の営業妨害はしたくなく、白ペン反転などの措置を取りつつ、最終的な部分については反転でも書かないことにいたします。
あと、あまり事前の印象を受けたくない・・・という人は、まあ観たあとでお読みください。
前記事で、期待よりも不安や懸念の方を綴ってしまいました。
しかし出足は、『2』比102%とか。(以下、[映画.com ニュース])
>織田裕二の主演最新作「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」が7月3日、全国447スクリーンで封切られ、大ヒットスタートを切った。
>主演の織田や柳葉敏郎らが登壇した舞台挨拶が全国41スクリーンで同時生中継されたこの日、正午時点で実写邦画史上最高となる観客動員1260万人、興行収入173億5000万円を記録した前作「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003)対比で102%。
なるほど、「舞台挨拶同時生中継」その手があったんですか。(知らなかった)。
邦画ブームとはいえ、織田裕二と踊るブランドが2010年においてどれだけの吸引力を保持しているのか?初日の数字の原因を知ると、すべては映画の出来や評判次第ですが、レインボーブリッジ越えはかなり高いハードルのように思えます。
【青島刑事のゆくえ】
前記事で一番心配していた、青島君のセリフは「俺に部下はいない!いるのは仲間だけだ!」ですが・・・。
これに代表される、「いつまでもコドモでいたい症候群」は、ますます進行しております。それを許してしまう「湾岸署」についても、コメディとはいえありえなさばかり感じます。
怒りすら覚えるのは、こんな青島係長を「引越し対策本部長」に任命したこと。昔から事務的な仕事が大の苦手で、大きな事件の捜査ばっかりしたがる幼児性はあいかわらず。
和久ノートから「事件に大きいも小さいもない!」を引くなら、「仕事に派手も地味もない!!」と言ってやって欲しいですよ。
しょぼいバスジャック事件の話を聞いて「引越しの面倒から解放された!」とばかり責任者が引越しの現場をすたこら逃げ出してしまうんだから・・・。
今回は湾岸署のお引越しという一大イベントのドサクサの中で同時多発的に事件が起こるわけですが、それを引き起こした一番の原因は、対策本部長の無能さに尽きるでしょう。
「
拳銃を盗まれた」なんてその最たるもの。「高度セキュリティシステムも使いこなせなきゃ意味がない」と言ってますが、責められるべきはセキュリティシステムではなく、責任者でありながらそのマニュアルも勉強しようとしなかった青島君の方でしょう。あらゆる事態を想定し、粛々と引越しを完遂させることは、それだけで正真正銘一大プロジェクト。
そのアニメのような単純コドモキャラが、今の観客に最もアピールする、というならまだいいでしょう。
しかし多分、もうそうではないんじゃないかなあ。アラフォーの中間管理職としての彼に、怒りやウソ臭さを感じる人のほうが多いんじゃないかなあ。
ましてや、
健康診断の結果とそのゴタゴタ・・・あの幼稚さにはめまいがしました。
・・・まあ、それがなかったらこの映画の事件は成立しないんですが・・・。
こういうことに目くじら立てるのは野暮ですか?野暮だとしても、正直なところなのでお許しを。
【踊るシリーズのゆくえ】
映画全体を通せば、決してつまらない映画ではない。
青島君以外の部分の本作に関しては、意外と・・・・と言っては失礼ですが予想を裏切って見ごたえや発展性を感じました。2010年の組織論として発展した部分もあるし、興味深く感じる部分も多かった。
しかしこの部分は、劇場へ足を運んだ一般ファンの感動や涙に直結するものじゃなかったでしょう。
そういう意味での大衆受け、にも若干の不足を感じます。
実際、笑いはたくさん起こっていたものの、青島君、スリアミ、真下君などのあいかわらずの言動に失笑する、というものが多かった(+和久ノートがらみ)。
泣くところは・・・なかったと思います。
ハラハラドキドキ、手に汗を握るようなこともさほど・・・なかった。
時限爆弾のカウントダウンは慣れっこだし、日常を持ち込んだ場所
であれほど大量に人質がいたんじゃ緊張感に欠ける。(正月の嵐のドラマスペシャルとちょっとかぶった)
「今回も、現場に血は流れます」と会見中でキャストの一人が言ってるんですが、
被害者を別にすれば、捜査員の中で流れた血は「その人」ものだけだったような・・・。
『踊る』シリーズとしては未来志向が「ある」と感じた。「群像劇」としての発展が「見える」と思った。
と同時に、どうしても「もはや青島不要」の思いがぬぐえない。何も変わらず一人浮いてるかも。
無責任で甘ったれで大人になろうとしないやんちゃキャラが、映画的にツボで成功させているポイントならいいんだけど(一人だけものに囚われない違う視点を持ってるなど)、今回そうはなっていない。
大衆の嗜好からもずれて来ているように感じる。
織田さん本人も、「『踊る』は青島で持ってる」と思っていたら、映画プロジェクト全体が滑稽なことになる。
ただ、この映画、観終わって「終わった」感じがしないですね。感動や盛り上がりに、「前半」みたいな雰囲気を感じた。
織田さんが完成披露試写会でポロリと発言したように、近い将来『4』(というより、実質的には『3』の続編)はある気がする。
その時、初めの方で使われたコピー「さらば、湾岸署」が、旧湾岸署へのものではなく、青島君が仲間へ向けたメッセージになるのかもしれない。
そういえば、映画で青島君の顔が登場した瞬間、「あれ?痩せた?老けた?」と感じた。色の黒さも健康的というより、なんとなくどす黒く見えた。誤診と知らされたあとでも変な咳がやまなかったことには、なんとなく不安も感じる。
やはり
、「賞味期限」の近づいた青島君を
「解放」してやり、『踊る』プロジェクト全体を新たなステージに
「お引越し」させるしかない。(これ、三つとも映画のキーワードです)
オールドファンの一人(その時はもちろん青島君が大好きだった)として、『4』で彼に花道を・・・・。一時代を画したヒーローとして、もう伝説にしてあげて欲しい。
【本店キャラクターがいい!!】
お遊戯みたいな湾岸所に比べ、今回の「本庁」のはなかなか見ごたえがありました。
一番心に残ったのは、ストレスの溜まる役回りの室井さん。
円形テーブルで手の指を組み合わせ、トレードマークの眉間のシワを寄せて口を引き結ぶその姿。決断を迫られては悩むばかりの室井さんでしたが、心理ドラマみたいなものを見せてくれた。
青島君がヒーローだといまだに言うのなら、何より組織の中枢部の囚われ姫のような室井さんにもっと目を向けてくださいよ。今回も室井さんの指示を受けて動いて、たまたまうまく行ったからいいようなものの・・・。
ちっとも成長しない漫画チックなキャラ青島君に、基本惚れちゃってるのが室井さんの限界。
『4』があるなら、室井さんが逡巡の末青島を捨てる、という展開にし、室井の痛恨の心の中で青島君を永遠のものにして欲しい。
『踊る』で泣かせるなら、もっともっと盛り上げるなら、その路線しかないでしょう・・・・(腐女子的感性はそう言っている)。
●ソリッドなリアル権力側の代表として、小木茂光さんが良かったです。
あいかわらず青島君の敵的な役回りですが、筧さん(新城)の不在が気にならないほど、単純に血も涙もないところが良かった。
「捜査は本庁捜査員のみで行う!」には、今回私は同感しましたね。最初は「またか・・・」と思いましたが、「大人だけでやる」と解釈すると、なんとなくわかる。
そもそも所轄が引越しを最重要任務としてあらゆる事態を想定していれば、今回の事件は起こらなかったんですから・・・。
●そしてそして、ニューフェイスながら謎に満ちたまま終わった鳥飼さん(旬君)の存在が、全体の中で光る。演じていて、これもストレスの溜まりそうな難しい役でしたが、我慢して微妙なラインを保ったのがさすがです。
全員登場ポスターの一枚目、メガネを指で押さえる仕草。二枚目、放射状の動きを持ってに配された人物群の中で一人だけ前景で全身をさらして左へ移動する彼(またメガネに手をやってるし)が気になった。
だから、『東京DOGS』の高倉奏みたいな、もう少し笑える抜けたエリート、愛されキャラを想像してたんですよ。
でも違ってました。
登場時、一人戸口に立ち、本店と所轄の対立が生まれたときに割ってはいる「調整役」の「管理補佐官」。スーツにダウンのサーバントリーダー。
「本庁と所轄がバディ(DOGSか?)を組んで捜査をする。よろしいですか?」あっけにとられる一同の中で、スリアミが最初に拍手。鳥飼、奇妙なほど深いお辞儀。
そのあと、めざましでも流れた、織田さんと旬君最初のシーン。青島君の運転する車の後部座席は、まさに第一話の室井さんの位置。ワクワクしますね。
ただし室井さんには手厳しい。「あの人はどうなのかな。所轄ばっかり信じて動かすのは利口とは思えない。ロマンを追いかけてるみたい」
自らも傷ついて復活したあと、静かに言いますよね。「死にたいやつは死ねばいい・・・」ここも凄みがありましたが、青島君の「いつもの行動パターン」のあと、ちょっと「惚れ」を漂わせて青島さんを見やる鳥飼さんが良かった。(青島君の視線は返ってこなかったが)
複雑な「ぬえ」のような立場の鳥飼さんが気になります。
パンフによる旬君の解釈によると、
>新しいタイプの人。いままではない所轄との絡み方をする本庁の人という感じですね。
>八方美人。誰にでも柔らかく対応しているけれど腹の底では・・・という人ですね。
>(過去にトラウマもあるそうで)絶対に悪を許さない。そして、とにかく出世することを一番に考えて行動している人。
室井さんが出世しようとしたのは、正義を行うため。だから、鳥飼さんも似ているのかもしれない。彼は彼なりに、複雑な関係の中で方法を模索しているのかな。
痛々しい顔の傷と包帯姿と、負傷をものともしないクールな戦闘意欲は、ファン的に嬉しかったです。ただし、もちろん食い足りない。「4」(あるいは3の続編)は、彼のためにある・・・かも。
●本庁系では、真下君に代わって交渉課課長になった小池君(孝太郎君)が三度バージョンアップ。かつてのひ弱な雰囲気は消え、切れるし有能だし、またなんともいえずセクシ〜〜。階段状の大会議室の中で、小池君、鳥飼さんが顔を寄せ合うシーンは、ちょっと萌え。
●一方小池君の活躍の陰で、かつての上司真下君は・・・・ああ、何も言いません!書けません!
『交渉人真下正義』で、「偉ぶらないからバカにも見えるけど実はクレバーで有能」だと見直した真下君像は・・・本編を見てください!
【所轄キャラクターも、充実】
次、所轄のキャラクターの話に移ります。
●鳥飼さんと対照的に、登場して一分もしないうちにすべて理解されてしまう愛され役、和久さんの甥っ子和久伸次郎役の伊藤淳史君。彼らしい、得な役ですよ〜。
「和久ノート」を読み上げるシーンはたくさんあったけど、どれもこれも憎らしいくらい受けてた。
青島君が一番輝いた、
カーキのコートを着て変身して暴れまくったあの一連のむちゃくちゃ捜査の時、「あおしまさ〜〜〜ん」と必死で追いかける姿は、部下(後輩)にしたい男の子ナンバーワン間違いなし。真面目だけど、やはりさほど優秀でもなかったのがご愛嬌。
この明るさ、単純さは鳥飼さんの複雑さ、不透明さと良くマッチしてます。
青島君の直属直系にして和久さんの遺伝子つきなら、主役格にふさわしい。
今後も踊るを続けていくならば、和久伸次郎と鳥飼誠一が、私の中では新バッテリー決定。(多分異論の方が多いでしょうけれど)
●以前から強行班に居たような雰囲気でなじんでいたのは篠原夏美(内田有紀)。スペシャルの主役を務めてから12年、老けたんじゃないかと思いきや、カッコよくて美しいのは以前以上。白いシャツと黒いパンツのシンプルな衣装も映える。現在産休中の雪乃さん(水野美紀)の吹っ切れなさが個人的に好きじゃなかったんで、こっちの方がいい。
青島君の熱血部分は、しっかり彼女が継ぐから大丈夫。
旬君、内田さんに憧れて芸能界入りを考えたほどのファンだったので、
>伊藤淳史君が内田有紀さんとすっごい仲良く喋ってるんですよ。俺も所轄だったら、もう少し喋れるはずなのにって嫉妬しましたね(笑)。
●すみれさんは・・・・基本変わらないものの、今回は少しウザかった。彼女の捜査は好きなんだけど、今回は積極的に事件に関わる場面がなかったしね。
いい年だし、出世の見込みもないし、なんとかしてあげようよ、青島君。
●スリーアミーゴスは、もうここまでいけば、積極的に保護すべき「日本伝統芸」。責任転嫁、知らぬ存ぜぬ、死んだふり、自己保身。このトリオは、踊るが進むに連れて「芸」に熟練度を増してますね。深夜の四連続の特番も、とっても楽しめました。
謝罪会見の
メイクと演技は、「やりすぎ!」(緒方君、ナイス突っ込み!)。
「不要」の引越しステッカーを三枚押し付けられた姿は、もう可愛くて可愛くて・・・。時々署長が、ついつい青島君側に立っちゃうときがありますが、今回も一度やっちゃいましたね〜。
しかしながらこのタイプの上司ももう絶滅危惧種。いよいよスリアミの一部にも賞味期限が・・・?いや、この後釜候補も魚住さん、中西さんなど控えてますから、当分安泰でしょうか。
●湾岸署のニューフェイスはまだまだ居るんですが、なかなかいいですよ。
中国人の研修員、王さん(滝藤賢一)と、パソコンオタクの栗山(川野直樹)が、存在感を発揮してました。(栗山はもともと居たらしいが)
この二人の持つ「イタさ」が、なんとなく青島班にマッチしてるんですよね。極度に個人主義的でいながら、実は人と繋がることを覚えると懐っこくなるような。上司っぽくない青島ですが、少しずつこの二人の心に影響を与えているところは、良かったです。
・・・と見てくると、所轄のメンバーは青島君のプラス面もヘタレ面もすべて分け持っている。
『踊る』の面白さも、「風変わりな刑事の大活躍」等という路線からは積極的に外れて欲しいと思っているので、いよいよ青島殿堂入りという確信が強まるばかりなのです。(何度もゴメン)
ネットの書き込みのアドレスを調べる栗山に「ソース見てダメだったらドメイン変えてみれば?」と軽くアドバイスできる青島君に、今回唯一ハッとさせられました。
瞬間的に思い出した、テレビシリーズ当初の青島君。
単純熱血バカポジ刑事じゃなかった。
むしろ刑事ドラマオタクのサラリーマンだった。
営業マンとしてはそこそこ優秀で、多趣味でオタク系にも理解のある、普通の若者っぽさを持っていてそこが魅力だった。
あの営業系サラリーマンと、警察ヒエラルキーの中の人との空気の違いが、新鮮だったんですよね。前記事で思い出せなかった魅力を、今思い出しました。
>あの時の感動はなんだったのか、主人公に全く共感出来なかった時間の経過に驚いた事を思い出しました。
そうなんですよね。どうしてなんでしょう。「3」にときめかなかったのは、青島君に完全に醒めていたからなんですが、それを抜いたら何が「踊る」の魅力なのか・・・?ということを、前記事から考えていますがまだよくわかりません。
>日本人は今でもコドモのままなんですね。
寅さんが子供のままでも許されるけど、青島君はなんとなく違う(許す人もいるかもしれないが、私のようになんだか許せない思いの人も多いでしょう)。
勘違いの果てに結局うまくいかなくて独りぼっちになる寅さんと、勘違いなんだけどオレ流が功を奏してヒーローになる青島君の違い?
その分、見ているほうは納得できないのかも。
>織田くんも辛い所ですね。
いや、とことん辛い思いをして這い上がってこそ再生できると思います。それにはヒーロー青島なればこそナンバーワン映画、みたいな思いから離れないと。
往年の「踊る」は別として、織田裕二で好きなのは「ホワイトアウト」でした。身体を張ったアクションは、今回の青島君が幼児に見えるくらい。悪役佐藤浩市さんとの絡みも良かった。
>踊るはキャラが魅力的で新しくて、踊るならSATを主人公にスペシャルが出来そうと期待しましたが、
それ、面白そうですよね。特に映画でドラマでは見られない活躍をしてくれたのはSATでしたから。
>岡田くんのSPはいい線まで行ったのですが、所詮警護優先のSPには限界が見えます。交渉人のSIT物も期待はずれで。アマルフィは外交官だし、捜査権すら無いし。
うむうむうむ・・・実は見てるものが似てますねぇ・・・!
SPには第一回でカッコ良さに倒れかけましたが、内容は思わせぶりな割りに薄いので映画にするとどうなのかな・・・?
海猿・・・ゆりさんもチラッと話題にしてましたね。伊藤英明が苦手でほとんど見てないんですが、「踊る3」より盛り上がるかも?