
『陽炎の辻2』初回の視聴率は12.9%だったそうですね!
ドラマ部門10位。
うむうむうむ、最終回や『氷の華』連続二夜もあった中、上々の滑り出し、好調じゃないでしょうか。
http://tv.yahoo.co.jp/ranking/ranking.html
『篤姫』27.7%はもうすごすぎ。
『氷の華』は飽きずに面白く見たし、堺さんの演技もうまいと思ったけれど、ああいう「アラフォー」同窓会っぽい「女の凄まじい愛憎劇」というのは基本的にあんまり・・・・。流行ってるし、需要も多いのはよーくわかるんですけどね。
「チーム男子」系の人間ですので、失礼をば。
さて、今季のダークホース、『ゴンゾウ』の最終回は12.4%で終りました。
http://www.doranavi.info/02/post_21.html
平均10%ちょっとです。
謎解きだけではない深い人間ドラマが織り込まれていて、だんだんそちこちで話題にはなっていたものの、なんというか前宣伝が下手で地味だったのが悔やまれます。
タイトルもどうなんでしょう・・・・。アグレッシブで野生的イメージの内野聖陽「ゴンゾウ」というキャラを前面に出した破天荒な刑事ドラマ(つまりありがちなドラマ)かな、ということで外してた人も多かったはず。むしろ『フーガ〇短調・2008年夏』(←いいかげん)みたいに思わせぶりな方がよかったのでは。
私もここで教えてもらってようやく5回から見て、「おおおおっ!」と思ったもので・・・。その後1〜3回はダイジェスト、4回は見ることができましたが、やはり第1回から見たかった!
【最終回も上手い】
さて最終回、事件を鮮やかにまとめ上げる納得の出来ばえでした。(釈然としない部分が一箇所ありますが後回しにします)
ヴァイオリニスト殺害という1つの事件を追いながら、毎回ゲスト的な容疑者や目撃者関係者を中心に話しを組み立てていき、意外でスリリングな結末に持っていった手腕は素晴らしい。
特にゲストの銃職人左とん平(哀愁があって最高)、ヤクザ(?)の遠藤憲一、ロダン金田明夫、ニコラス正名僕蔵、そして岡林(白井晃)など、味わい深い面々をうまく使っていました。
そうやって毎回趣向を変えて捜査を進めつつ、第四話『天使の証明』で被害者の過去を、第七話『三年前の真実』でゴンゾウと佐久間の過去を丸1回かけて描いた、という練られた構成も上手かった。
で、ラスト前にこれまでゴンゾウを苦しめていたキーワード「この世界に、愛はあるの?」の意味を鮮やかにひっくり返したところで最終回を持ってきたのも、上手いなぁ・・・・。
(鶴ちゃんが狙われるかのように煽っていたけれどこれは空振り?)
最終回は「内野聖陽VS内田朝陽」の(これまで区別しにくい名前だと思っていた人もこれでバッチリ!)、大塚寧々を挟んだ息詰まる攻防が見ものでしたね!!黒木が何か気づいた瞬間に、診察室に現れたのが・・・という場面はハッとさせられました。
全編通じて後半のクライマックス部分、アクションを大事にしてくれたのもこのドラマの良かったところ。
防弾チョッキを考えなければ明らかに死んだ!と思わせる攻防。肩から華麗に高く吹き上がる血しぶきは、内野さんのオトコっぽい風情とあいまって往年のアクション映画みたいに愉悦的で退廃的カッコよさ。廃墟となった醤油工場、というのもいい背景だなぁ・・・。
アクションドラマとしても、ミステリードラマとしても、堪能させられました。
また警察のキャラクターが良かった。エリート課長佐久間(筒井道隆)、氏家管理官(矢島健一)、先輩の岸(菅原大吉)、後輩の日比野(高橋一生。いい目してたね)、鶴(本仮屋ユイカ)備品係の吉本菜穂子もなかなかいい味わい。
『組!』会津藩主従を髣髴とさせる筒井・矢島ツーショット、『風林火山』武田軍団を思い出す内野・高橋ツーショット、そして一番のキモである内野・筒井ツーショットに、萌えないはずはない!!
【1つだけモヤモヤ感が残るのは・・・・】
だけど、最終回を見終わった後、どうしても晴れない釈然としない思いが残っていて、それがなんだったのか日中考えていた。
ようやくわかったのだけれど・・・・やはり黒木(内野聖陽)と佐久間の「あいだのこと」が中途半端に終わったような気がしたから。
●前回黒木が佐久間に再捜査を詰め寄るのに、佐久間は終始冷たかった。
●今回乙部を逮捕すべく皆が空港へと向かった時、佐久間の指示で岸さんがコーヒーに薬を入れて黒木を眠らせた。事件解決後自殺するおそれがあるからとの理沙(大塚寧々)の指示があったという。
●しかし、理沙によれば佐久間は黒木を「治して、また壊す」ことを意図していたのだという。
●また、今回疑いは晴れたものの岡林サイドに黒木の突入を報せたのはどうみても佐久間であるかのようなミスリードがされていた。
●母親との休暇中の部下からの連絡にも「黒木はもう終わってる」ような突き放した冷たい口調で取りあわなかった。
2人が先輩後輩の間柄だった時、佐久間は黒木に結構しごかれた。黒木にすれば当たり前だったのかもしれないが、プライドの高い佐久間は傷つき、またそのために母親が倒れて障害者になったのだと心の中で思っている。
だから、黒木に勝ちたくて、必死でやってきたのに、どうしても「黒木ならもっとうまくやった」と言われるような気がして気にしていた。
佐久間の黒木に対するねじくれた感情・・・妬み、憎しみ、尊敬、懐かしさ、コンプレックス、軽蔑、怒り・・・・みたいなのが、ダメ刑事の現在の黒木の様子とあいまってドラマの中心軸をなしていたような気がするのだが。
今回一番「キター!」のはあれでしょ???
黒木が佐久間に、3年前のあの時に母親が倒れたんだな・・・前は俺をずっとそれで憎んでいたのか、というようなことを言った時、佐久間は下を向いてはにかむような、まるで「ようやく気づいてくれたのね」と鈍感な恋人を恨むような拗ねるような表情を示したところ。もう触れなば落ちん風情。
筒井道隆さん、色白の殿様顔的美形なのですがツボはあの唇じゃないでしょうか?ちょっぴり赤ちゃんっぽくて、母性本能をかきむしるタイプ。冷たい感じにしていても余計そのあたりがビンビンきます。
(まあこのあたりは、感じる人が感じればいいことで・・・)
しかしながら最終回、なんとなく2人は理解し合い、いい雰囲気になって終わりました。
まあそれはめでたくていいんだけれど・・・・先が読めない中、ドラマ中盤では一番の黒幕は佐久間の黒木を陥れようとする悪意じゃないのか・・・と漠然と思っていただけに、なんとなく物足りない感じは否めない(私限定かもしれないけれど)。追い詰めて追い詰めて、絶望の淵で壊れていく黒木を眼前に見たい、というのが佐久間の気持ちだったんじゃないかと。(私も残酷だね)
佐久間と、精神科医理沙とのかつての濃厚な関係を考えても、理沙を黒木に近づけることで余計彼を傷つけようとする意図じゃないの・・・?と思っていた(思惑外れて理沙は黒木に好意を持ってしまったけれど)。
黒木にしても、「ゴンゾウ」という押し出しの強いあだ名の割りに、ものすごく脆い。伝説になるほど脆いのでは。
岡林のところに突入する時だけでなく、しょっちゅう捜査中に昔の思い出に捕まって幻影を見てしまう。拳銃を持ってるのに怖いよ。こういう病人を捜査に加えちゃ本当はいけないでしょう?(だからそれが佐久間の策略だ、と思っていた)
最終回にいたって、第9回と同じように事件解決後にこめかみに銃を当ててロシアンルーレットをし、それで「生きて行くことを選ばされた」というのはなんだか嬉しくない。
「俺の命は俺のものじゃないんだよ」と気味悪くはしゃぐ前回とこれじゃ同じじゃないですか。丁半博打で「弾が出なかったから生きる」、というのは真犯人を捉えた今はやめて欲しかった。
「この世界は愛に溢れている」と言い切れる黒木なら。
そういう、2人ともかなり心の脆さや悪意を抱えているのに、結末で2人の関係が突き詰められることがなく、なんとなく分かり合って日常に戻る。
脆さや悪意や暗い過去による曲がった理想などを抱えて死んでいくのは乙部だけ。
文句をいうのは筋違いかもしれないけれど、なんだか個人的には釈然としない。
佐久間に、黒木に、乙部に通じるものがあるように思っていたからである。
『魔王』じゃないけれど、2人が最終回で敵味方になり、やっぱり佐久間が大塚寧々を人質にして佐久間と対峙し、井の頭署を2分する争いになるのかなと妄想を広げていただけに・・・。
やっぱり妄想キノコ筍、私がおかしいのかな?
『SP』なら続編や映画でそういう展開にしそうなところだけれど・・・。
機会があったらもう一度見返し、小説にもなるそうだから読んでみようかな(そしたらもう少しわかるかも)。
>「続き」の議論は,貴女のブログでするという体裁にしたいのですが,もちろん異論なしです。
>この『ゴンゾウ』というドラマは,言葉による説明・定義というものを自ら極力排しているので,観客が画面を勝手に解釈して観るしか無い。それでしばらく進むと,大抵は自らの解釈や予想を裏切られる場面が出て来ます。
なるほど、振り回される快感のようなものがありましたね。
>佐久間君ほど,解釈がぶれた役割も無かったですね。
そこが面白かったです。自分を黒木のようだと思う人は少なくても、佐久間みたいだと思う人は多かったでしょうね。(ここにも2人)。私は摂田さんと逆で「判断中止」どころかどんどん内面を重ね合わせていったのですが、最終回でひっくり返されたのも楽しかったです。
>直に接している彼の「霊的理解」を信じようと思ったのです。
う〜ん、「霊的」方面には疎いので良くわかりません。黒木は佐久間をそれほど注目していないように思うし。
お母様、大往生でしたね。可愛がっていた摂田さんにそんなに悲しんでもらえて、幸せだったでしょうね。「霊の存在」を自覚したことがないので、そのあたりは良くわからないですが。お姉さまの介護も大変だと思うのですが、まっすぐ引き受けていらっしゃるのですね。
私は亡霊すらも精神分析的に解釈してしまいたがる方なので、ゴンゾウが「霊的」側面を持ったドラマだとは夢にも思わなかったのですが、とても新鮮でした。