着地点は家族?―「時効」最終回―

June 11 [Mon], 2007, 4:54
昨日マグナムで、次回の「ちょっと休憩(TVナビ)」の対談相手が「ジョン・キャメロン・ミッチェル」だと発表がありましたね!耕史君が一緒に歌ったという話も聞きましたし、「ヘドウィグ」関連が続くのは嬉しいです。こちらの「磐音様月代写真」も素敵・・・前髪がない方が好きです。

【面白うてちょっと寂しい最終回】

さて、間遠になりがちです。
「帰ってきた時効警察」感想だけは続けたかったのですが、あの状況でハイパーシュールなオダギリ作品第8話は消化できなかった・・・・。そのうち調子が戻ったらやりたいのですが、その前に最終回が来てしまった。そうだ、終っちゃったんだ・・・。

でもあの第8話を違和感なくラインナップにした「時効警察」の懐の広さに感心しています。大きく振幅を広げた第8話そのものにも。

最終回は満を持しての三木監督2話以来の登場。拡大版でしたね。
しっとりほんわかして、雨上がりの空気のような作品でした。

前回あまりにも壊れすぎて不安になった三日月ちゃん、今回は、しっかり29歳の可愛いアイドルヒロイン、おまけに馬に乗って霧山君を助けに行くヒーローでもあり、ほ〜んの少しだけど「LOVEテイスト」もあり、良かったですねぇ・・・・。

また前回これもオダギリジョーの陰謀によってかそのカッコよさと美意識をとことん剥奪され、ビニールのトレンチコートを着る羽目になった十文字さんも、絶妙な勘違いだけどカッコよくて安心させてくれました。

オフィシャル本のインタビューでオダギリさんが「振り返れば美しい流れで全九話が進んでいきました」と言っていましたが、今回も「振り返れば美しい流れ」と言えるかもしれません。ヤンチャな園さん、KERAさん、そしてオダギリさんで挑発をかけつつ、「ひとまわりして、最終的に三木さんが第9話ですべてを元に戻してくれた」・・・・・。

コネタマニアの人も満足だろうし。
時効の古典的パターンもしっかり踏まれていたし。
(イギリス人でもないのに日曜にメガネをかけてしまったとか)。

【終りなき日常としてのホームドラマ幻想?】

中でもオリジナルメンバー(交通課トリオを外した、時効課プラス三日月十文字蜂須賀でのひとときの田舎暮らしは良かった。

事件そのものは、今回のキーワードとも言える「人違い」「人間はなぜ間違うのか。何かを終らせるためさ(by熊本)」「話のつまらない男は地獄(by厚賀)」。みたいな思想で進んで行きますが、今回三木監督の「気持ち」が一番伝わってきたのは、言うまでもなく一行が真加出君の「下膨れおじさん」の家で過ごした一時でしょう。

夏の似合う古びた日本家屋。いろんなものが部屋のあちこちに置きっぱなしだけど、なんとなく風が抜けていくしっとりさわやかな感じ。

それぞれののんびりしっぷりがいいな。
又来はひっくり返って自転車こぎ。団扇も盛んに使う。
麦茶をサービスするサネイエのノースリーブ。あの上背と肩幅、背中のラインは私の好みで、見惚れる。

真「ひよこの蚊取り線香がないんですよ・・・」
枝豆の中にひよこがあるような気がして気になる・・・。

蜂須賀さんの「バミューダトライアングル」は妙につぼにはまって家族で大爆笑!何か中心においたものが消えちゃうので、みんな思わずTVに乗り出しちゃいました。

その後の十文字セリフ群も最高。
十「(消えた物体は全く気にせず)そいつはおかしいなぁ・・ユーモアですね」
十「(一人ボケ突っ込みは続く)そういうことだから電車に乗り遅れるんですよ。おっとそれはオレか・・・皆さんここ、笑うところですよ」
十「ひよこ饅頭の抹茶味って知ってます?あんまり甘くなくておいしかたですよ」
口の周りを緑色にして言っている。・・・満面の笑みで。

大量の餃子を作って持ってくる三日月ちゃん。
(前回リンゴも剥かない女だったのが嘘のよう)
熊「行財政改革って言う言葉を聞くと、餃子を思い出すのオレだけ?」
十「餃子を食べると行財政改革って言葉を思い出す・・・霧山、こういう気の聞いたこと言えよ。女子にもてないぞ。ついでに言えば十文字はジュマンジに似ている」

真加出君が「なんか寂しいからこれかけていいですか?」
と、テレコをかけると「マイムマイム」(あまりのミスマッチに会話もなくなる)
又「かえって寂しいぞおい!」
三「こんな感じでみんなで暮らしていけたらいいかも」(三日月ちゃんはマイムマイムに違和感を感じない)
熊「そうかぁ?」
サ「そんなわけには行きませんよ」
又「愛ちゃんそれ止めてくれないかななんか調子が狂っちゃって」

団欒が描きたかったんだろう・・・。
もうどこにもないかもしれない家族たち。
みんなの1つ1つの行動が面白く愛しく、なんとなくとても幸福で、そしてちょっぴり寂しかった。

事件解決後、しっとりとお茶を飲みながら霧山君と三日月ちゃんが語る。

霧「ちょっと思ったんだけど、親戚みたいだよね。熊本さんが僕のおじさん、又来さんは三日月君のおばさん、サネイエ君と真加出君は僕のいとこ」
三「十文字は?」
霧「君の姉さんのダンナ」
三「あー最悪だ・・・蜂須賀さんは?」
霧「親戚に一人はいる不良のオジサン」
三「わかるわかる!・・・じゃ私は?」
霧「まあなんていうか、ボクと三日月君が夫婦でサ・・・たとえばの話だよ」
三「わかってるわよ」
霧「わかんないけど、親戚とか結婚することかって、こんなことなのかな・・・」
ギャグなんかじゃなくて、後ろにコネタも転がってなくて、そのまんまの世間話。オダギリさんのフィルターが掛かったような美声でに夢見心地です。
でも父と母は出てこない。重たくないのはそのためもあるのでしょう。

三「あのさ、霧山君、私のことどう思ってる?」
そこで地震。みんな集まってくる。
震度2だとか3だとか他愛のない話。柱時計を見ると一時。
アッと思ったらもう時効課。
この切り方も見事でした。

【ディスコミュニケーションの喜劇のはずが】

最終回はこうして、しっとりしんみり小幸せを感じさせてくれたけれど、ホームドラマ味にして良かったのかはわからないな・・・。

「時効警察」に出会った時は、まさかこんな結末は予感させなかった。
メンバーは全く別なことを考えていて、たまたま時効課という同じテーブルにいるけれど、会話は全くかみ合っていない。
勝手に変なことを言い出して勝手に傷つくメンバー。
仕事もないのに毎日時間を潰さねばいけないリストラ部屋。
不意の来訪者によってますます混乱を極める。誰ひとりまとめるものもなく、団結したり協力したりもない。
ありえない「異常な認識」を複数が「そうそう」と言い出すことで「常識」化していく。
「唯一まともな三日月ちゃん(当時はね)」が頭を抱える・・・。

それが第二シリーズの最終回、ウェットなホームドラマ幻想にまで至るとは・・・!
ロリコン三木監督老人化現象とも取れる。きっかけはやはり真加出なのだ。不要論が出るほどになり、存在が痛かった。痛い存在をカヴァーするために時効課全体が「受容体」として家庭化したのだ。
そのお礼として(?)真加出君が最終回に家庭の入れ物を提供した形になる。

それが良かったのか悪かったのかはわからない。私は徹底的なかみ合わなさ、ディスコミュニケーションのコメディとして楽しんでいたので、心の中に同じ「ホームドラマ共同幻想」を抱いてしまった今後の時効課の物語はあまり見なくてもいい気がする。
「時効警察」メンバーは一緒に飲みに行ったことがなかったそうで、そのあたりも「らしい」と思っていたのだけれど、今回は多分一緒に打ち上げもやったことでしょう・・・。

ラストシーンも、時効課ではあるけれど、新しい趣味(?)として「主の壺」に水を入れる霧山君の行為を、みんなが心を一つにして注視する。
十「霧山、又しょっぱいことしてるなぁ・・・」
霧「水入れて、カメレオンの小さいのとか生まれてきたらいいよね」
蜂「ダイジョブか、新聞紙とか引かなくていいのか?」
又「小さいことを・・・」
真剣にみんなで成り行きを見守る。プクプクと沸く泡。
サ「なんでもないじゃないですか!」
又「とんだコケオドシだよ!」
その時、なんか魚みたいな細長い緑色の生物が飛んでいって天井を突き破って飛んでいく。(平屋だったのかこの警察署は!)

熊「霧山君は字一生時効の事件を調べとけ!」
霧「やっぱりそうですか」
はにかんだような困ったような、チラチラ変化する霧山君の表情がなんとなく幸福そう。ニッコニコ見る三日月ちゃん。

家族幻想は、時効課という日常に戻っていても続いていたのである・・・!
一人のレギュラーの追加で、これほど全体の形が変化するとは・・・。

【いろいろ楽しかったところ】

もっともっと語りたくなるけれど、後は箇条書きで・・・。
●何かを語ろうとして入って来た十文字君を諸沢さんが叩き、言いたいことを忘れてしまった。
●「ダンサーがあるので気をつけてください」に思わず噴き出した。
●奇妙なオブジェとしての死体。マンホールとV字に開いた足。
●当時のマネージャー遠藤さんとして、松尾スズキ登場!カステラを圧縮する時の恍惚とした表情は、趣味なんだなぁ・・・・。
●昔のアングラ演劇シーンの安っぽさが楽しい。
熊「はははは私は時の番人。貴方が望むなら、時間を15年前に戻してあげよう」
又「幻想〜え〜幻想・・・・幻想売りでございます」
これ、かなり現実にやってた人達だね・・・。
●キュートな笹野高司さんの自転車引き巡査さん。
「言っちゃいますとね、私靴かたっぽはいてないんですよ」
●プクーちゃんカップラーメンが発売されてた!野菜、カレー、醤油、ミソかな?マスコット付きで全国発売希望!
●電車旅行ギャグも風情あり。
一人だけトレンチの十文字が、電車に乗りそこなうことは降りる前からわかっていたけど。ジュースを拾い損ね、乗り損ねて最敬礼する一連の十文字パフォーマンスは最高!窓から心配するメンバーの姿にも、家族愛の芽生えを感じる。昔なら「こうなることはわかってたよ」とみんな着席したままだったのでは。
又来がすぐ「残念な感じ」と評するけど、そんなことないよ。あのはずしっぷり、イヤミにならない自負っぷり。ハッチーが惚れこんた後輩だけのことはある。
●餃子井戸・・・餃子の臭いのする井戸。ご丁寧に一人一人臭いをかぐのがオカシイ。
●ギターの名手・マレステロスさんが、どうしてもジョニー・デップに似ているようで凄く気になる・・・よく物まねに出てくるそっくりさんじゃないの?
●霧山君の「あーあーあーあーあー!オレはオレはオレはオレはオレは!」
●眼鏡を手渡す相手もいない霧山君が寂しそうで愛しい。
●情熱的なフラメンコ風の「時効警察テーマ」で、霧山君ギターテク披露!
●霧山君最大のピンチ。こんなにうまくいったのに・・・こんなにうまくいったのに・・・・カードがない!
室井「霧山、どうやらアンタの負けのようね」(ここで言うか!)
そこで馬に乗った凛々しい三日月ちゃんが青の洞門前に降り立つ。
●「どっちだっていいのよ、これが私の煮え切りよ!」の啖呵もスカッとしました!

もう書ききれない・・・・とにかく全9回、バラエティに富む作品群で楽しませてくれた時効警察に感謝です。パチパチパチ。
Comment
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー 絵文字 プレビューON/OFF

不正な自動コメント投稿を防ぐため、チェックボックスにチェックをしてください。

利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。

状況のせいもあるのか湿度の高めなレビューになってしまいました。確かにサビシイ・・・!心配してくださってありがとうございます。
「ちゃんと考察」って、自分勝手な変な妄想を公開せずにはいられない性みたいなもので・・・。私こそ、ミチさんみたいに優しくて素敵な人になれたら、内容豊富で人望のあるブログが作れたらいいなあと思っています。何しろ旧館は「痛いブログ」指定を受けたこともあるそうで・・・ミチさんのように、忙しいのに丁寧にお声を寄せてくださる方に出会うと感激します。
映画さっぱり見ていないので、ミチさんのレビューをチラッと見て(ちゃんと見るのは後で)何か見に行こうかなと思っています。やっぱりまずはパイレーツかな?

by きのこ June 14 [Thu], 2007, 1:14

きのこさんのレビューを読ませていただいたら本当に終わっちゃったんだ〜って寂しさがこみ上げてきました。
きのこさんみたいにちゃんと考察できる人になりたいな、表現のできる人になりたいなと思います。
でも、私の残された時間を考えるととても無理。
頭の構造が違うんでしょうね(泣)
とても素敵な考察をする方に出会うとブログなんてやめてしまいたくなります。
(最初にブログを始めた理由を忘れちゃうんですね)
あ、それはともかく、「たとえばの話」としても、霧山の口から【夫婦】っていう単語が出たのは三日月君嬉しかったろうな〜。
あの声で【夫婦】なんていわれた日にゃ〜ぶっ倒れるぜよ!
一番肝心の第八話の考察はまた後のお楽しみにしておきますね。

父を亡くしたあと、心は故人のことを考えつつも、容赦なく日常生活の忙しさは襲ってくるわけで、身体と頭と心がバラバラという経験をしました。
きのこさんもそうではないでしょうか。
どうぞお身体お大切に。

by ミチ June 13 [Wed], 2007, 15:45
プロフィール
  • プロフィール画像
  • ニックネーム:きのこ
読者になる
最新コメント
nemo
» ホームドラマ復活??2017年1月期ドラマ序盤戦 (2017年02月03日)
きのこ
» 2016年連続ドラマmyベストテン発表! (2017年01月31日)
nemo
» 2016年連続ドラマmyベストテン発表! (2017年01月24日)
nemo
» なぜ石田治部少輔はこんなにも嫌われるのか (2016年09月15日)
きのこ
» 2016年夏ドラマひと月め (2016年08月06日)
nemo
» 2016年夏ドラマひと月め (2016年08月04日)
きのこ
» 陛下の思いが実りますように (2016年07月24日)
レーズンパン
» 陛下の思いが実りますように (2016年07月22日)
2007年06月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
P R
旧館
としずきん妄想:「新選組!」再鑑賞日記
月別アーカイブ
ブログポリシー
コメント・リンク・トラックバック大歓迎です。過去記事へのコメントにも喜んで飛んでいきます。スパムに関しては予告なく削除させていただくことがありますのでご了解ください。
お友だちのお店です
サンウィッチハウス チーズアンドオリーブ