平清盛第十八回 『誕生、後白河帝』
アップの後、あちこち加筆訂正しております。
実家に歴史好き、
・ドラマ好きが揃っているので、帰省中のリビングでは『平清盛』の話題も出ました。
やっぱり、呆れながら見ているという話題で盛り上がってしまった。
特に、先週のいんちき和歌の話題では、震えんばかりの怒りもあったり。
そのうち、松ケン好きだったらしい妹が「そんなに言うならみんなもう観ないんでしょ!観なけりゃいいじゃん!」といい年こいて切れた一幕も。
それでもなぜか、このドラマの話題は盛り上がりますね。批判するにつけポイントつまんで熱く褒めるにつけ。しゃべっていて面白かった。(2ちゃん状態?)
でも一番衝撃だったのは、もっとも大河ドラマ好きと思われていた父親が「もう見てない」と言ったこと。
我々がみんないまだに大河ドラマ好きなのは、父親がつけてる大河ドラマに小さい頃からご相伴してたためなのに。
【いろいろ面白かった(平氏以外は)第18回】
前回めまいがするほどのくだらなさに衝撃を受けた後だけれど、今回は面白かった。
前半の(個人的にはこの大河の)クライマックス、保元の乱に向けて、すばらしいテンポで着々と政争の種を撒きまくった感じ。
でも、時々清盛が出てくると、どうしてもシーンの流れや緊張感が途切れる。
平氏のぬるま湯みたいな仲良しシーンも、なんだかなあ・・・・。
朝廷も摂関家も源氏も、たとえ醜悪な人間模様だとしても、必死でギリギリに生きてせめぎあっている。そこが「ドラマ」として見所になってますよね。
平氏だけ「われら一門、力をあわせて」とニコニコ会議してるんだもん。「清盛のやり方」に、時子と宗子が微笑んで顔を見合わせちゃってるし。
結末は「法皇様と上皇様に、なかよう、してもらおう」だもん。学級会か?!?!
平家も骨肉の争いの保元の乱を控えているのに、悲劇の芽を描いておかなくていいのかなぁ・・・・。
後に悲劇を迎える、複雑な立場の忠正をもっと丁寧に描いて欲しいよ。
まあ、平氏のホームドラマだけ、囲い込んだシーンになってれば、他のシーンが壊れることはないから、まだいい。
ドラマのわずか一回に、四人の天皇経験者が登場し、これだけキャラクターが立ちまくっているなんて・・・。大河史上空前絶後。それだけでも見る価値ありです。
近衛帝も少年天皇らしく凛々しく、痛々しくも初々しくてよかったですね。
【この大河の興味ポイントもう一つ】
阿佐田哲也がこんなことを書いていた。
麻雀で、一人初心者が混ざっていると、戦いの興味としては残り3人のものとなる。
誰が一番、この初心者を利用しつくして勝利を得るか。
だから、清盛をうまく使って(または清盛によって受ける被害を最小限にとどめ)自分の役を輝かせ、ドラマを面白くすることができるか、ということが興味ある見所になるんじゃないかしら・・・。
それが、なかなか難しいんですねえ・・・・。
演技派の出演者の皆さんは、「高い壁」に挑戦するように、それを試みているのだろうけれど、ホント苦しそう。
今回、みどころはいっぱいでしたが、以下、
鳥羽法皇→藤原家成→崇徳上皇→源為義→藤原頼長→後白河天皇、の順で書きます。
【三上鳥羽院、いっそ耄碌させて欲しかった】
帝の危篤を、鳥羽院は、自分の愚かさゆえだと考える。
「われらは、だまし討ちのように上皇をしりぞけた。その因果が、巡ってきたのではないか。上皇を我が子とせず、白河院の子と、叔父子と苛め抜いたことの」
大きな目に涙が盛り上がる。鳥羽も来週が最後。
自分も白河院に苛め抜かれていたのにね・・・。
因果を断ち切らんとするこの心境に至ったことはすばらしい。
仏教に深く帰依していたのかとも思えるけれど、この大河のお坊さんにはそれだけの仏心のある人はみあたりませぬ・・・。
大好きな三上鳥羽院だけれど、「射てみよ!」の回の後、なんだか影が薄まった。率先して清盛に感心する役目になってしまったから。
最近の大河では主役は脚本上完璧に守られていて、相当幼稚で自分勝手で常識はずれな行動をとっても周囲の人間に「一味違う男(女)」として感心されることになっている、らしい。(『天地人』『江』『篤姫』など)
その役目を、あれほど輝いていた鳥羽院が引き受けさせられているのが、なんだか面白くない。
今回も、最後の会議で信西にやられてしまい、最高権力者の癖に自分の思いと違う決断を下させられてしまった、らしい。(決定する一声の瞬間をしっかり写してくれなかったのは不満だが、あのアップの表情はすばらしかった)
「崇徳院と仲直りして一緒に政を行いたい」というのも、老人の甘ったれた寝言だと思うけれど、老境の鳥羽院のセンチメントとしては、わかる。晩年の秀吉みたいな感じでしょう。
《ミニ妄想@》
こういう鳥羽院とするのなら、もっと耄碌させ、老いの弱さや醜さ、悲しさを前面に出して欲しかった。
悩める青年鳥羽、たま子と得子の間で揺れる上皇鳥羽、孤高の独裁者となった坊主鳥羽院・・・・鳥羽の三変化はいずれもみごとだった。
だからもう一変化、「老残の鳥羽院」があったら光ったのだと思うんですよね。
そうすれば、周囲が清盛の行動に呆れても、一人清盛を頼り持ち上げる鳥羽院がリアリティを持ったでしょう。
他の共演者にとってもプラス。清盛の言動に心から感嘆するという苦しい演技をしなくて済み、法皇に遠慮して仕方なく褒める、という演技にハードルが下がるから。
来週身罷られる鳥羽院。もしかすると三上さんの狂おしい老残の演技が見られるかも。悲しくてすさまじいだろうなあ・・・・。
第二部のはじめから耄碌させて欲しかった。「大河平清盛・三上鳥羽院伝説」を完成させるにふさわしかったと思います。
まあ、ここまででも十分伝説なのですが、最近注目が低くなってきたのは事実なので、もう一変化、あると嬉しかった。
【家成、大河きってのいい人のまま逝去】
鳥羽のよき話し相手であり、平氏を奇特なまでに支えてくれた、藤原家成が死去。
この方、良かったですね・・・。
怪優佐藤二朗だしあのメイクだし、どんな妖怪キャラかと思っていたら、一番マイルドないい人だった。
でも最後まで家成と平氏との力関係が良くわからなかった・・・身分の高い家成の方が爺やのようにまめまめしかったし。これもキャラ?
邸が頼長×為義によってさんざんに打ち壊されたとき(あの茫然自失した家成が愛しかった)、清盛報復してくれなかったじゃないですか。それにもなんの遺恨もなく、棟梁就任記念の歌会を開いてあんなに苦労した。青筋立てて清盛バッシングの旗を振ってもよさそうなのに・・・。
最後、息子たち(成親と師道)の前で清盛を立て、法皇様をお守りしてくれと清盛に後を託す。
「たくましき野良犬のほえる声にいまや朝廷自ら耳を傾けるようになったのでございますからな・・・」
って、どこまでいい人なんでしょう・・・・。
それでも、やっぱり清盛の立ち位置が不明。
悪役になって、家成の人の良さを利用しつくした顔をしてくれればまだいいのだけれど・・・。
「無頼の高平太どのの奇行の数々に手を焼かされ」の嫌味にも平然。
「お気になさらず。まことのことに、ございますゆえ」
のあとの微笑み、なんだか腑に落ちなくて気持ちが悪かった。
松ケンの困るところは、こういうところなんだよね。他の役者たちが作った場の空気が読めないこともだけれど、自分のキャラの一貫性を持たせた変化について、決定的に感度が低い。
幼稚な行動をやった怪の後で、急に優等生顔しても、成長とは見えず、もやもや感ばかりが残る。なんでわかんないのかなぁ・・・。
公式の三上さんインタビューで、鳥羽院のクランクアップに松ケンが出番でないのにやってきて、演技について質問してきた、という心温まるエピソードが綴られてました。
気遣いもあるし、いい奴でもあるのでしょう・・・。ことさら悪口は言いたくないし、ドラマの中では下手だから必ずしも悪いと言うわけでもない。
けれど、場面やキャラクターを壊していることはわかって欲しい。
ミニ妄想A
ここは、これまでのように、「それは、昔のことじゃ!」(汗)とちょっと焦ってギャグにした方が、まだわかった。
驚いて清盛を見つめる成親の視線にうろたえ、「歌は・・・・歌は苦手なのじゃ!」と言ってくれると、もっと可愛げがある。
笑いが欲しいというよりも、「あの行為はちゃんと覚えてるんだよ!先週と今週は違う人物じゃないんだよ!」、ということを示して、視聴者の「車酔い感」を救って欲しい。
そこで家成「正直なところ、高平太殿にはいろいろありました。しかし、その大きさをみなまだ測りかねて折るのです。なき忠盛様が言っていたように、この男がこの国を変えるのかもしれない。
「その日を目にすることはできぬが、そんな夢を見ながら・・・・」、
と眠るように、穏やかに死んでいく。