映画『思い出のマーニー』感想(ちょっとだけ『アナと雪の女王』感想)

July 26 [Sat], 2014, 5:42
『思い出のマーニー』観てきました。

正直期待していなかった。
観た今でも、ヒットするかどうかははなはだ微妙…じゃないかと思う。
夏季一番の上客である「お子様受け」がするとは思えないから。

でも、個人的にはとても「観てよかった」、と思う。
大人の観るアニメ映画だと思う。(そういう意味では『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』に続く路線)
濃密なイマジネーションが喚起された。
ミステリアスな謎は解明されたように見えても、まだまだ水面下(湿地下)に汲み上げきらないモノが残っているような感じがする。(ほとんどは怖いモノ、けれど悲しいモノや美しいモノも)

女の子二人が中心となるということで、『アナと雪の女王』と比べて語られることが多かったように思う。
全然違った。
全然違うんだけれど、どこか「好対照」だ。

【『アナ雪』の短い感想】
期待度★★★
満足度★★★
おススメ度★★★

その前にこの巨大ヒット作についてミニマム感想を書いておこう(書こうと思って書けなかったもののひとつだから)。
意外なのだが、自分の同年代でも大いにはまっている人が多い。
泣いた、何度も観に行った、DVDも当然買う、と言う感じで。

テーマである「let it go(ありのままでいい)」。予告段階から一曲全部何度も聞いていた。
もちろん、「ありのまま生きてOK」なんていうのは「信じていれば夢はかなう」とかと同じくらい(一部の人を除いて)幻想だと私は思ってる。けれど子供たち、大人や友人関係の中で自分を押さえつけられている子供たちへ送るメッセージとしてはOKだ。

しかし、見た人ならだれでもわかるはずなのだが、この歌が歌われるのはクライマックスではなく、「雪の女王」が自分の強大な力を悪い方向に解放し、もっとも反社会的になった瞬間の曲なんですよ・・・見ればわかりますよね?

あの映像は素晴らしい。美しいだけではなく、女王の動作ひとつひとつで周囲が劇的に変わるスペクタクルには圧倒された。
しかしあそこにあるのは、自分の力を無制限に解放する「エロス的快感」で、人道的には罪につながるものだ。歌詞の中には、「善悪なんて関係ない」とか、「嵐をもっと暴れまわらせよう」とかものすごいことが歌われてる。

もしかして、この映画の教訓は、あまりにも個人の才能や個性を認めず閉じ込めておくと、それが一度暴走した時に本人にも制御不能なバケモノになるのだよ・・・・ということじゃないかと私は真剣に考えた。でもそれにしてはあの高らかな全肯定的な楽曲はどうしたことだろう。世間の反応はご存知の通りの拍手喝采!

最後はちゃんとしてる。(一応ネタバレ反転)
女王は山を下りてその力をコントロールし、他人のため(自国民のため)に使うことになった。「ありのまま」のパワーでなく(!!)、抑制されたパワーを使って良き為政者となった。まともな話です。原子力だって、完全に安全で平和利用できるならOKだし。(ネタバレ終)

もう一つ見ていて不満だったのはあの姉妹の心理関係。
両親が事故死してから教育係もつけず別々に部屋に閉じ込めていた、という王室がまず奇妙だ(誰か保護者面して国を乗っ取りそうなものだが)。
一番不思議なのは、あの姉妹関係なら、当然「自分にないモノ」を持っている相手に、強烈な嫉妬や劣等感を感じそうなものだ。
男に愛されたことのない姉は、その日出会った男と結婚を決めてしまい、なおかつ旅の途中で出会った男にも愛される妹に嫉妬するのが自然である。魔法力ゼロで才能にまったく恵まれなかった妹は、超絶な才能を持って生まれた姉に嫉妬しそうなものだ。
性格が歪んでいるのが通常だと思っている私が悪いのかもしれないが、予感されたドロドロがないのも拍子抜け。
あの二人の少女は一人の人間の裏と表、という解釈もあるのだが、人格統一的ではなく「姉妹愛」で終わっているから、その説も頷けない。

面白く感じたところもある。「愛する人のキス」を期待させながら、男を完全に添え物扱いにしたのは痛快。(『八重の桜』にも通じる時代性だなぁ・・・と思った)。
それにしても男子(近国の王子と山男)が、魅力に乏しい。登場した時の王子は好感度抜群なのに、後半いきなりダークになるのが唐突だし・・。

ヒロインの衣装に定番のピンクでなく緑や紫の衣装(昔なら魔女や年配女の着る色。グループなら四番手五番手の色)を使うのも面白い。ヒロインに丹念に描かれたそばかすと、上向きの鼻を与えるのもいい(これは近年のアニメ映画ではよく見るけれど)。

あと、映像と音楽だけでも映画館で見る価値はあると思った。最初の氷を切りだすシーンから、子供時代の「魔法遊び」、雪山での魔法シーンなど、これだけ手がかかっているアニメは見たことがないかも。

(ああ、ごく短く済ますはずが意外に長くなってしまった。ゴメン)

【マーニー、最初の10分はイマイチでしたが】

期待度★★
満足度★★★★
おススメ度★★★★

さて、『思い出のマーニー』。

『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌監督の2作目。
(アリエッティには、ちょっと変わった辛口感想を書いてるので、よろしければ↓)
多分更年期障害による『アリエッティ』感想

公開間もないので、まだ評判もわからない。原作も読んだことがない。

始まって10分だけ、「失敗したかな・・・?」と思った。

以下、セリフはうろ覚えだから正確さは求めないでください
孤独そうな女の子杏奈が独白する。「この世には目に見えない輪が引かれていて、内側と外側がある。私は内側には入れない・・・」みたいなことを呟いてる。
図画の時間の屋外でのスケッチ(みんなジャージ姿)。杏奈のスケッチはうまい。
先生が「見せてみろ」と言う。杏奈は散々照れて気を持たせるが、先生がスケッチブックに目を落とす直前、そばで小さい子が怪我をして先生は離れていく。杏奈は握った鉛筆を手の中で折るほど悔しいらしい。(見てほしかったんなら素直に見せろよ!)

杏奈は喘息もちで寝込むことが多い。家では養母が心配ばかりしている。お医者さんとの会話は杏奈に関する心配がダダ漏れ(友達がいないとか表情がないとか)。それが部屋にいる杏奈にも丸聞こえ。

なんだよこれ・・・・・。自意識過剰で自己中で、自分からはアクションを起こさないくせに周囲に大事に扱われないことに怒っている。不平不満を隠してるつもりでも他人からは見え見え。まあどこにでもいるつまんない子じゃないですか。
まあ、「私は、私が大嫌い!」と言うのは納得だけれど・・・。
それからリアリティ大丈夫かなあ。声をひそめた会話がそのボリュームで子供部屋に全部聞き取れるって変じゃないの?

しかし、心の中の批評家が出てきて疑いに走ったのは、最初だけだった。

場面はすぐ変わり、夏休み。杏奈は札幌から西北海道(広い湿地があるから釧路あたりかなぁ・・・?)にある親戚の家に行って、喘息療養することになった。

そこからは、なんだかもう、一気。
派手なアクションもなく終始騒々しさのない映画なのだが、引き込まれて最後まで魅入られ、一度も弛みや眠気を感じなかった。

【最大の謎、マーニー】

親戚宅は、自然の中のウッディな広い家。とはいえ本の束が廊下に積んであったり内部は生活感がある。やさしくておおらかな叔父さん叔母さん。
二階にある、巣立った娘さんの広い部屋が杏奈に与えられる。窓を開けると広々とした湿地の眺めは最高。

その湿地の向こうに、大きくてクラシックな洋館がある。誰も住んでいないというが、時に二階の窓に明かりが見えたりする。

杏奈はその湿地とお屋敷に魅入られ、岸辺で靴を脱いで浅瀬を伝い、洋館の近くまで行ってみる。しかし、潮が満ちて家に帰れなくなったりする。

その次は、岸辺にボートが置いてあった。自己流でボートを漕いで洋館に向かう。制動できずに船着き場に激突しそうになったときに、金髪の少女マーニーに出会う。

この物語は優れたミステリーでもあり、最も大きな謎は、「マーニーとは何者か」。
このネタバレについては最後まで明かしませんのでご安心を・・・。
それでも、偏った前印象を与えてしまうことになるので、以下は観てから読むことをお勧めします。






「死ぬまで青春」ってどういうこと?

July 20 [Sun], 2014, 12:44

今回は、「老い」の入り口に立って、「青春」について考えてみようと思います。
(前の記事で自ら「第三の青春」とか書いたばかりなのにナンだよ、ですが・・・)

【「死ぬまで青春」ってなんなんでしょう?】

「死ぬまで青春」と言うとき、たいていそれが「素晴らしいこと」のように使われる。
私のアラゴの友人たちも、みんな元気でよく「青春している」と言われるらしい。

新しいことを見つけて、新しい楽しみに貪欲で。
さらには不倫に胸を焦がしたり、離婚したけれど新しい人と結婚することになったり、なかなか「おさかん」な人も居るから素晴らしい(自分には出来そうもないことがやれる人は尊敬に値すると思う)

子供に手がかかった以前と違い、友人同士で飲み会や外出に行くこともできる。
とはいえ激安バスツアーに出かけて「青春(!)」とは言うのも恥ずかしいが、当人がそう言ってることに水を差すつもりもない。
(バブリー世代以前だからみんなつつましくて・・・少し下の世代だと、海外旅行に行くのかも)

【青春論のつぎはぎ(トップランナー吉田拓郎を中心に)】

>青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ

とは、「青春」の名言。(詩人サミュエル・ウルマンの一節なのだそうだ)。
まあ、今はそういう共通認識に近いのかもしれない。
けれど、昨今のようにあまりに「年齢」と「青春」を切り離すのもどうか。
「夢を持って頑張ってる」「新しいことに恐れずどんどん挑戦している」とか、生き生きして前向きならみんな青春、みたいな感じになってしまう。
もはやヨイショを含んだ挨拶の一つ?

あまりに中高年が「死ぬまで青春」「今こそ青春」とかやってるせいなのか、若者の「青春」らしさはあまり感じられなくなっているような・・・。
まあ、昔から若者自身が「青春」をギャグでなく使うということはなかった。
自分も、こんな惨めな私が世間的に「青春真っただ中」なんだ・・・と思うと寂しかったりしたものだ。

前記事に続いて吉田拓郎だが、彼の『青春の詩』は、以下のようなものである。

「喫茶店に彼女と二人で入ってコーヒーを注文すること」
「グループサウンズに熱中して大声あげ叫ぶこと」
「親にかくれて 酒・タバコ・睡眠薬 はては接着剤 シンナー遊び」
「飛行機のっとり革命叫び血と汗にまみれること」
「勉強一筋 他には目もくれずわが道を行くこと」

すべてに「ああそれが(それも)青春!」とつづけ、最後に「総まとめ」している。(理屈っぽい歌だね)

さて青春とは いったいなんだろう その答えは人それぞれで ちがうだろう
ただひとつこれだけは 言えるだろう 
僕たちは大人より 時間が多い 大人よりたくさんの 時間を持ってる
大人があと30年 生きるなら 僕たちはあと50年 生きるだろう
この貴重なひとときを 僕たちは 何かをしないでは いられない
この貴重なひとときを 僕たちは 青春と呼んでも いいだろう
青春は二度とは 帰ってこない 皆さん青春を…
今このひとときも 僕の青春


要するに、どう時間を使おうとすべて青春。ただし若い者限定。
「大人」と「青春の僕たち」を峻別している。非常にわかりやすい。

サミュエル・ウルマンの真逆の青春論を歌ってるんですね。
実はリアルタイムで拓郎に親しんだわけではないのだが、「青春」を考えると思い浮かぶ歌はやはりこの人。

その拓郎も前回書いた『ローリング30』では、「♪青春の長さを測るものはない」と、「大人」「青春」の区別をぼかしているんですね。
自分たちを若者(青春にあるもの)カテゴリを定義するために必要だった「大人」カテゴリを壊したいう点で、トップランナー。まさに団塊のトップランナー(昭和21年生まれ)。

しかし、30過ぎ(当時)ても「心の持ちようで青春」だとするならば、「若ければ無気力でも無為でもそれが青春!」という定義も崩したということに、拓郎は気づいていただろうか。
それほどまでに「大人になる」ことに忌避感があったのか、今の意識からは想像しにくい。いまは「おとな可愛い」「オトナの一着」と、むしろファッション誌ですらプラスイメージで使っている。

今でも、青春は歌われ続けている。
しかしそこに「若者に対する大人」は登場しない。
まかり間違うと、正社員になったり結婚したら大人、フリーターやニートや未婚なら子供という意識で、「青春してる層」の階級が下であることを意味してしまう場合もあるかもしれない(格差社会なので)。だから、使われにくいのかも。

で、高卒以前の青春はどうかと言えば、未成年だからと少年法に守られ、どんどんたちの悪い未成年犯罪や普通の子の「荒れ」が目立つ。あまり偉そうなことは言いたくないが、甘やかされるか放任されるかで、まともに育てられていないんじゃないか。基本的な生活習慣が、親からも子供たちからも落っこちてる。
若いうちにジャニーズやAKBに行って「成功」してやろう、というのも気概や自立心がある点ではいいが、既存の勢力にすり寄ろうとする道。
みんなの足跡が一番いっぱいついている道を気が焦って歩くのは、昔のイメージの「青春」とはかけ離れる。

高村光太郎の「僕の前には道はない」(『道程』)が個人的には「青春」のデフォルトイメージかもしれない。この詩には「青春」や「若さ」は一度も出てこないが、「僕」は父なる自然の「歩け」という声に「子供の使命」を全身に感じ、武者震いをしているのだ。
「若者たち」の「♪君のゆく道は果てしなく遠い」も似ているかもしれない。

今も、町や電車の中で「若さの輝き」を放っている一団がある。たいてい部活帰りの中高生。化粧っ気がなく素朴な笑顔の子たちの方が輝いて魅力的に見える。これは私の老人性ノスタルジアかなぁ・・・。

いや、今でも「いきものがかり」の『SAKURA』や『YELL』など聞くと、自分の青春時代(高校卒業あたりを中心とした時期)が鮮やかに思い出されて、胸が詰まって涙が出る。
ああいう歌が支持を集めている(中高年に評判がいいような気もするが、もちろん若い子にも人気)のだから、当時の苦さを含んだ「青春」は、理解されているんだろう・・・。

50歳になった頃(五十路の雑考第一回)

July 19 [Sat], 2014, 7:18
ようやく、新カテゴリを立てました。

50歳になった頃から作りたかったテーマだったのですが、ブログそのものが滞りがちなところ、なかなか手が付けられないまま忘れかけていて・・・。
訪問者様に背中を叩いて頂いたことを絶好のチャンスにさせていただきました。ありがとうございます!

・・と思いながらも、いざ書くとなると何から書いてよいのかわからない。

書きたい書きたいと思っていたから堰を切ったように溢れてきてもよさそうなものだが、何年かほったらかしているうちに枯葉や泥が詰まっているみたいです。

まあでも、同年代の訪問者さんと思われる人もいるし、多分老後については40歳くらいから真面目に考えようかな・・・と思い始める話題でもあるので、皆さんからの反応があれば勝手に枝や葉や根っこが伸びていくかもしれない。

まずは、「50からの人生について」「考えたいと思うに至った経緯」あたりから入っていこうと思います。
結果、どうしても「自分語り」(それも30歳以降)が多くなってしまった。そんなもの読まされても・・・と思われるのももっともだけれど、一回目だからご容赦を。ここ数年に初訪問頂いた方々へ改めての自己紹介も兼ねて・・・。

【50を越えた頃】

以前も何度か触れていることですが・・。
50を越えてから、それまで9年近く勤めていた会社を辞めました。

本気で「辞めよう」と考えはじめてから半年余り、やめることを伝えてから引き継ぎ作業だけでさらに5か月。失業保険の待機が約4か月、雇用保険で受けられる職業訓練が丸6か月、求職生活また4か月。ようやく今の職場を見つけてから7か月。(50代初期というより中盤にさしかかってる!)

この50の放浪(失業生活)自体が、すごく手ごたえのある経験だった。勝手に「第三の青春」と呼んでいる。
まあ、仕事を辞めてこういう環境に自分をぶち込めば、大体そんな手ごたえのある生活になっていくだろう・・・と考えて辞めたのだから、目論見通りと言える。

「第三」があるから「第二」もあったわけだが、似たようなものだった。40代初めの頃だった。
それまでは、子供が小さかったため近所のスーパーで半日パートに出ていたが、いろんな不当な目にあった。そのためか資格マニアになりいくつか合格し、失業保険でPCスクールに通って学校生活を味わい、法律関係の小さな事務所に就職した。

・・・似たパターンだ。あの時も今も、「青春ごっこ」みたいだった。
どうも、○十歳の声を聴くと、いままでやったことないことを始めないと落ち着かないというタイプみたい。深く考えないで始めるおっちょこちょいは変わってない。

違うとしたら、その理由。40代の転職活動はこのままパートじゃ損、今のうちになんでもいいから資格を取ってキャリア正職員になって厚生年金自分で入りたい、今が最後のチャンス、くらいの気持ちだった。

50代の今回はだいぶ違う。
職場での責任が過重になり、身体のあちこちに不調が出たのは事実。職場の人間関係の変化も理由の一つではある。
でも今思うと、9年続いたこの生活と職場と仕事に「飽きた」「嫌になった」みたいなものかも。「飽きた」ことに時間(人生)を使うのは何だかつまらない。
仕事で「役に立ってる感」は嬉しいし、やりがいもある。けれど、忙しすぎて「あっ」という間に一日も一年も過ぎる。このままでは「あっ」という間に60になり定年の65になる。
そのあとどれだけ身体と頭が元気な人生が残っているのかなあ・・・。

50過ぎて始めて、「人生の残り時間」を意識するようになったように思う。
いつか死ぬ「その時」から逆算(計算不能だが)して人生を考えるようになった。
同じ場所に座り込んで動けなくなるより、ぶつかっても転がっていたい。
小さなことでも、何かを発見して何かに感動するような日々でありたい。
今の若い人が何を思い、何を生み出しているのか、見たい。

【ローリング50】

50過ぎての就職活動はパートでも厳しく、落ち込むこともあった。
職に就いてからも、希望する職務だったとは言い難く、自分の業務の覚えが遅いことに時々落ち込んでる(忘れっぽくなってるからなぁ・・・)。

でも、嬉しいことも多い。
訓練校で出会った面白い女性たちと、交流が続いていること。
勤務地が商業圏で、仕事帰りも行くところがいっぱいあること。
(これまで駅前のコンビニ以外何もないような寂しい駅だったので・・・)
たまたまだが、子供の頃憧れていた職業のひとつだったこと。
これまでの経験(接客や、事務所での専門知識)が意外とお役に立てていること。

やはり、バタバタ動いた分、何かしらその場その場で得てきているのかなあ。

一方、こんな10年未満で全然違う職場に変えてるような職業人生で良かったのかなぁ・・・と言う思いもある。
職業には1年とか5年で十分経験した、と言えるものもあるけれど、20年〜30年続けてもまだまだ極められない奥の深い職業も多いですよね。

なんでも自分で決めてやってきたから、今から後悔するわけではない。
けれど、ひとつの職業を深く精進して多くの人に貢献していく人生もあったのかも・・・という思いもどこかにある。
でもそちらの人生だったら、定年後に「もっといろんなことをやってみたかった」と思うのかもなあ・・・。

生きていくというのは、可能性や選択肢をを少しずつつぶしていくことだから仕方がない。

夏ドラマ序盤はTBSが気になる

July 14 [Mon], 2014, 0:38
『MOZU』『ペテロの葬列』『家族狩り』
『若者たち2014』『おやじの背中』など


2014年の7月期ドラマ序盤戦についてつらつらと。
春ドラマに比べると、いまひとつ視聴意欲が沸かないシーズンだったけれど、なかなか楽しみな作品もあります。

【『MOZU』シーズン2もエロい】

TBSとWOWOWのコラボドラマ『MOZU』。
WOWOW編(幻の翼)が6月中に始まったのだけれど、独特の作品感は落ちず。第一シーズンの冒頭のスペクタクルほどのシーンはまだないのだけれど、まあこの路線で良いのでしょう。

面白いけれどやっぱり、内容が深いとか重いとか感動するとかそういう感じじゃないですね。
アクションハードボイルドのかなり作り込まれた娯楽作に徹していて、またやっぱりエロい・・・。
復活した新谷の物語はよくできていて、池松君が兄弟を微妙に演じ分けているのもいい。

もう一人、復活したアテナセキュリティの東!(長谷川博己!)
第一シーズンで倉木の前で背中から飛び降り、死んだんだか何だかわからない消え方をしたのだけれど、あの時消えたのも今回現れたのもなんと○○コプター、という開いた口が塞がらない設定。
復活した東と倉木のやり取りは、もう「エロ過ぎる・・・!!」以外の感想が出てこない。あのメフィストフェレスのような風情で仮面を落とし、「まあ倉木、座って話そうじゃないか」と、大好きなオメラスの少年のディスカッションを仕掛ける。
東「まだオメラスの門番で居るつもりか。なあ倉木。俺は自分のやるべきことが分かった」
倉木「そうか、それは良かったな」。
とけだるげにタバコをふかす倉木がやっぱりたまりません。
倉木のノリがいまひとつだと、東は妻のことを持ち出す。
ぐっと顔を近づけて、青いライティング。
東「俺はお前が好きだからそんなことはしない」
倉木「いかれてるなお前は」
東「最高の褒め言葉をありがとう。無茶して死ぬなよ。だがなるべく怪我は負ってくれ。そっちの方が俺の好みだからな。チャオ!」
で、指を鳴らして上空に消えていく。

ク・クレイジー・・・・とんでもなくいかれてるよ・・・・このドラマ、どこかリミットはずしちゃってるね。
最初からの狙いなのか、長谷川さん一人が突っ走ってこのドラマを別次元の怪しい世界に連れて行こうとしているのか、もうわかんない。

一方、倉木、大杉、明星は第一シーズンと比べるとずいぶん仲が良くなってるのが不思議。
またみんなの間でいいポジションでいい味を占めてきたのが伊藤淳史演じる交番勤務の鳴宮。
「生倉木」に興奮したり、断りもなく土足で上がることに困ったり・・・。

まだ最新分は観てないけれど、今度はどんな終わり方をするのか。
原作は読んだけれど、全然展開が違うので皆目わからない。

【『ペテロの葬列第一回』、すごく面白かった!】

見なくてはと思っていた『ペテロの葬列』(『名もなき声』の続編、小泉孝太郎主演、宮部みゆき原作)の第一回録画を忘れた!

焦って帰ったけど7時開始は早すぎて、もう30分も過ぎてた。
「第一回逃したんじゃもう仕方がないかな・・・」と絶望しかかってテレビをつけると、長塚京三がバスジャックの真っ最中。とても丁寧で穏やかな物腰で、でもその底に凄まじい覚悟を秘めている。
みんなの話を聞いたり、お金を渡すと言ったり、この人の狙いが一体何なのかわからず、思わず引き込まれる。脅しつけているわけでもないのに、ものすごい緊張感。

ラストまでの展開も素晴らしく、「堪能した」の一言。

小泉孝太郎のぴったりはまって嘘くささのない演技も素晴らしい。
室井滋、ムロツヨシら乗客らも良かった。
まあ、なんといっても長塚京三の独り舞台回しが素晴らしかった。あの人が中心に来ると、ドラマ全体グレードが違ってくる感じ。来週からはあまり観られないのかなあ・・・。

二時間ドラマとしても十分楽しんだ感じがするけれど、これは連ドラ。今後どんな展開になるのか予想がつかない。あえて原作は読まずに楽しみに見るつもりです。

(再放送があったのでありがたく最初から見られました。やっぱり二回見ても面白い。今季一番楽しみです。)

【『家族狩り』は意外に、観られそう】

この原作(天童荒太著)は、10年くらい前に読んでます。
その頃は子供たちも義務教育年齢でとても他人事ではない。怖くてスプラッターで暗くて、真っ黒い表紙に脅えたことすら思い出す。

映画ならまだしもこれを連ドラにするとは。もう話を聞いただけで暗~い気持ちになり、「観ませんよ、多分」と思った。主演松雪泰子だからなおのこと深刻そうだし・・・。

目を覆いたくなる凄惨な場面から始まるのは記憶通りだったけれど・・・・・あれ・・・・・このドラマ、作りがうまい。
ドラマとして、この物語を見続けさせる工夫が秀逸。

ここでも伊藤淳史が素晴らしいポジション。
彼の役柄と演技が、ドラマ全体を素晴らしく生かしてる。
制作側も、他に見当たらない彼の個性を生かし切ってるし。

ヘタレでいい加減な美術教師なんだけれど、抜け加減が絶妙。
美術の授業なんて真面目に聞かない生徒を注意しては、途中でやめたり。
「今日のテーマはバスキアだ!」と叫んで家族をテーマに前衛絵画を書かせたり。
熱血ぶりを時たまアクセントにしながらのヘタレ教師、ということで、生徒にバカにされつつ愛されている感じかなあ。
妊娠してしまった彼女(40近い同僚女教師。飲み会の後押し倒された)が生徒に聞こえるところで「私、産むから!!」と叫ぶのは強烈で笑えた。

主演松雪泰子は児童福祉関係の職員。虐待された子供たちを保護するために、警察ともやりあう。家では人徳者だった父親が痴呆徘徊老人となっており、介護に疲れ果てた母親はパチンコ依存。パチンコでフィーバーした瞬間に死ぬことを夢見ている。
松雪は疲れ果て、眉間のしわが消えず、始終イライラしている。虐待から助け出した少女に唾を吐きかけられたりもする。
相当悲惨な状況を、どこかしらユーモアのこもった眼で描いているのが秀逸。

物語は原作通り、それぞれ悲惨な数組の家庭を軸に進んでいくと思うけれど、家庭内の悲惨な事件を衝撃的に描いていくことにばかり主眼は置かなかったのは良い。
見続けたい・・というより、真剣に見守りたいと思う。

漫画『闇金ウシジマくん』にハマっています。

July 11 [Fri], 2014, 9:50
真鍋昌平『闇金ウシジマくん』

【レンタル漫画跋渉の半年間】

かつては「漫画研究会」に在籍していたほどの漫画好きなのです。
しかし結婚後は、一部の週刊誌(スピリッツやモーニング)または好きな作者の単行本を買ったりするくらいになり、そのうち子育てや病気やパートなどやってるうちに漫画雑誌も買わなくなって20年近く。最近売れている漫画事情についてはすっかり疎くなってしまった。

しかし昨年転職した職場は、その辺全然知らないとちょっと困るところ。
それで今年初めくらいから、町内のGEOに毎週通って10冊(500円+税)ずつ漫画を借りて読む生活を始めました。
以前から映画やドラマの原作で読みたいもの(『彼岸島』とか『へうげもの』『20世紀少年』『JIN』『SHIDO』『げんしけん』等等)があると借りに行ってはいましたが、今回はどんどん新しいものに手を付けてます。

まあ、『ワンピース』にしても『進撃の巨人』にしても、あれだけの量が売れているというのは、何かすごく魅力があるわけすよね。ドラマと違って、一冊一冊身銭を切って買っているのですから・・・。

というか、もともといろいろがっつり読みたかったんですよね。「仕事の役にも立つ」は自分と周囲へのイイワケですな。

ザッと思い返すと、この半年でちゃんと読んだ(読み続けている)のは
『闇金ウシジマくん』『アイアムアヒーロー』『進撃の巨人』『悪の華』『銀の匙』『キングダム』『俺物語!!』『クローズ』『聲の形』『罪と罰』『ハカイジュウ』『僕はビートルズ』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(たまらなく自虐的な自意識ギャグマンガと思う)『監獄学園』(これだけバカバカしい話を細密に描く作者にはもはや脱帽)等等。

やっぱりもともと多く読んでいた青年漫画系に手がいきます。
『アイアムアヒーロー』は、もちろん期待が大きかったけれど、第一巻が最高!!で、その後ももちろん面白いけれど一巻で感じたほどの衝撃や興奮はない。他、『悪の華』はやはり鮮烈だし、『銀の匙』はとてもいい漫画だと思った。

途中で挫折した、またはもう大体わかったからもういいや、という感じだったのは『殺人教室』(表紙が気になってた)『テラフォーマーズ』『弱虫ペダル』『黒子のバスケ』・・・・もっとあったけど忘れた。

少年漫画(特にスポーツ)は、最初面白くても、主人公がどんどん強くなって、あちこちからキャラの濃いもっと強い奴が登場して・・・というサイクルに入ると、途端に興味が薄れますね。もうとっくに大人だからかあ・・・。
ずっといつか初めから読もうと思っていた『ワンピース』は、頑張って20数巻くらいまで読んだけれどついに挫折(週内に読むのが本気で苦痛になってきた。食わず嫌いじゃないから許して)。でも娘が続けて読んでるので、続けて借りてます。

少女漫画系が少ない(俺物語オンリー・・)のは、読みたいものは全部か一部読んでたし(『大奥』『ちはやふる』『ぴんとこな』等)、レンタル棚にあまりそそられるものがなかったからかも・・・。

しかしこれだけ読んでも、ブログに書きたくなるほど心を揺り動かされた作品との出会いはなかった。
・・・・『闇金ウシジマくん』に出会うまでは。

【朝からウシジマくんで泣いている】

50過ぎてから朝早く目が覚めるようになったので、本を朝読むことも多い。
昨日の朝も、ウシジマくんの20巻〜22巻を読み、さらにもう一度読み、「闇金くん」の最後と「ホスト君」で泣いてました。

毎回毎回、1回目は内容の悲惨さと暴力に衝撃を受けて、もう一度読み返すとやたら情感を揺さぶられ、悲しくて泣いてしまうのでございます。
で、朝なんか読んでしまうと、一日中ウシジマくんのシーンが頭の中をぐるぐるして困ります。町の色もどこか違って見えます。

この作品については、山田孝之主演のドラマ(シリーズ二回あり)と映画(二本)のことは、何回か触れました。
身長のハンデを乗り越えて「ウシジマくん」になりきっていた山田君はすごい。また、他の映画の濃い顔の山田君と比べると、「ウシジマくん」の山田君のアップの方が玲瓏で美しい顔をしていることに気付いてドキッとした。音楽やカメラワークなどの演出もすごく制作側の「ノリ」が感じられて、面白かった。極端にダメ人間な登場人物をを笑っても、極端に凶暴な登場人物にぞっとしても、なんか「残る」ものがあった。

だから漫画に手を染めるのも当然、時間の問題だった。存在はもちろんずっと前から知っていたけれど、タイトルや題材から、ただの暴力闇金が庶民をはめて地獄に落とし込んでいくバイオレンスオラオラ漫画だと思っていたので・・・ゴメンなさい。

一巻で、すぐハマった。本気でやられた。こんな漫画があったんだ。(スピリッツやめなきゃよかった)本気で人に「一度読んでみて」と薦めたくなる。
これほど繊細で優れた文学的なまでの作品だったとは。

たまたま訪問者さんの後押しも頂きまして、ざっくり感想を・・・。
(と言ってもまだ刊行分全部も読んでませんが・・・)
はまっている最中なので、賛辞とおススメに終始してしまったらゴメン。

ただ、暴力表現が非常に痛いので、特に頻繁に表れる拷問シーンなどは読むのが無理な人も多いかと思います。

どっから読んだらいいか、と言われればまず一巻。一巻読んだら(ある程度は)続けて読まずにはいられない力があります。
あの「若い女くん」がトラウマになったという人もいるらしい。借金や薬物の怖さを思い知らされる。また「フリーターくん」を読んで就職活動をするようになった人も、不登校をやめた人もいるらしいから、現代の教養文学としての作品でもあるのかもしれません!(私も昨年ならツラくて読めなかっただろうなあ・・・)。

原作の3個〜5個くらいのエピソードが一度分解されて、テレビや映画の脚本になっている。それはわかっていたんだけれど、もったいない気がする。
漫画では一つ一つのエピソード(一話で終わるものも、三巻にわたる長いものもある)が、見事に完結しているから。
(映像も成功しているけれど、できれば漫画を先に読みたかった!)

また、ドラマや映画ではなんとなく「ギャグ(主に間のギャグみたいな)」っぽく処理されているものが、原作ではさらに、悲しさの中に湧き上がるペーソスみたいな笑いになってる。実は心から笑える場面なんてほとんどない。悲しすぎて惨めすぎてそれが滑稽になって笑ってしまう・・・という感じ。
ブラジャー型の根性焼とか、コブレンジャーの全身刺青とか、やった方は動画をネットに流してゲラゲラ笑ってますが読んでてとても笑えるものではありません。

あえて平べったく言えば、話は大体同じ。
ニート、OL、主婦、読者モデル、風俗嬢、サラリーマン、ホスト・・・などあらゆる人々が、借金が嵩んでどこからも借りられなくなり、ウシジマくんが社長になっている闇金融「カウカウファイナンス」にやってくる。しかし10日で5割(トゴ)だの1日で3割(ヒサン)だのという滅茶苦茶な高利。借りに来るのは札付きのダメ人間ばかりなので、利息返済に必死になるばかりで元本はちっとも減らず、次第に追いつめられて破滅していく話。(破滅のバリエーションが信じられないほど悲惨なのだが、すごいリアリティで描かれる)。

まあ、そんな風に書くと、「ああ、そういう話ね」と分かったような気になってしまう人も多いと思う。

待て待て待て!!!

私が『ウシジマくん』に惹かれるのは決してそういうことばかりじゃないからね!
「借金怖いね。ヤクザ怖いね。シャブ怖いね。真面目に働くのが一番よ」、みたいな交通安全ビデオみたいな作品だったら、惹かれるはずないじゃないですか。

映画『渇き。』と小説『果てしなき渇き』

July 04 [Fri], 2014, 17:27
(映画の)期待度★★★★★
満足度★★
おススメ度★★


【個人的に、今年一番の期待作だった!】

すごく楽しみにしてた映画。

今年の日本映画は、今一つ・・・・と感じ続けてきた。

大ヒットの続編『テルマエ・ロマエU』に大がっかり。
湊かなえ原作の『白ゆき姫殺人事件』もイマイチ。
『土竜の唄』は期待してなかったとはいえ、あんなもん・・・?
『万能鑑定士』『MONSTERS』は、見ればその時は楽しいけれど、テレビで見れば十分だった。『春を背負って』もつまらなかった。
『クローズEXPLODE』と『闇金ウシジマくん2』は、好きな世界観なので楽しめたけれど・・・。
いまだに、感想を書いた『小さいおうち』が一番だなあ。
洋画は、『アナ雪』を筆頭にいろいろヒットしてるのに、邦画どうしたんだ・・・。

『渇き。』はすごく楽しみにしてた。
それはなぜかといえば、ひとえに中島哲也だったから。
『告白』。あんな映画見たことなかった。中島哲也は天才かと思った。もちろん原作の湊かなえの最高傑作だけれど、映画ならではの良さもたっぷり。映像と音楽が、また原作にはないテイストを生んでるんだよね・・・。あっと、感想はこっちに書いた。
http://yaplog.jp/kinoko2006kun/archive/879

その前の『下妻物語』『嫌われ松子の一生』も大好き。
題材もいいけれど、「他の監督だったら絶対にこうは描かないだろう」という「ハッ」とさせる、みずみずしい感性が感じられるんですよね。

今回はハードな暴力シーン満載だとは知っていたけれど、中島監督なら、どこかしらポップで透明感のある地獄絵図を魅せてくれるんじゃないかと・・・。

『渇き。』への気分は、フライヤーを観たときがマックスだったかも。
一番下の真ん中に「畜生」と書かれたオダギリさんを見たからもあるけれど、役所広司の「狂犬」、妻夫木聡の「軽薄」にもワクワク。
いかのも禍々しそうな美少女の小松菜ちゃん(菜奈だけど)が二階堂ふみと橋本愛の上に立ってるというのもなんだかすごい。

原作もムラムラと読みたくなったけれど、中島哲也監督作品だからということで、絶対映画を先にしよう。と思っていた。

以下、ネタバレ配慮はちょこっとだけしてますが、先入観を与えてしまうネタバレ要素はいろいろありますので、これから観ようと思っている方はご注意ください。












【「なんか違うような・・・」(映画の感想)】

期待に胸をとどろかせて・・・観た。
うーーーん。なんだろう。

なんだかよくわからないが、「なんか違う」という思いが、正直な感想。
『告白』みたいには「来ない」。
絶賛はできないなあ・・・

なんでだろう・・・。
思っていた以上に、目をそむけたくなるようなスプラッターなシーンが多かった。
役所広司の暴力は回数的には一番多いが、「車で・・・」とか、笑えるものも多かった。
カッターがカチカチなると目を覆ってしまう。刃物系の暴力シーンは一番苦手。冒頭のコンビニのシーンも凄まじかった。○を・・・とか、○○で・・・とか、

しかし、これが「なんか違う」理由ではない。
暴力的映画は免疫はたっぷりあるんで・・・『地獄でなぜ悪い』とか『冷たい熱帯魚』とか園子温ファンでもありますから。

また、手持ちカメラなのか、残虐シーンで目がグルグルするのが、ちょっと疲れた。
あと多少時間関係がわかりにくかった。
いじめられっこ「ぼく」視点の部分と、狂犬父藤島の汚らしいハードボイルド部分と。

『渇き。』というタイトルとは逆に、土砂降りだったりプールや川で溺れたり、あと血と泥とあらゆる体液がドドドなので、何を「渇いて」いるのかは結局わからなかった。

ちょっとだけ、『告白』の「好きな感じ」を思わせるシーンもいくつかあった。
弱い男の子がいじめられる学校でのシーンは、一番最初がプールだったし、白〜グレーの色合いやリリカルな音楽の感じが『告白』っぽかった。
不良のたまり場でポップな曲が流れるのも中島流。
娘を持つ教師である中谷美紀の役割も、ピュアな犠牲者である初代いじめられっ子の話も、『告白』を引き継いでいる。
導入部に「・・・」だった私は、この学校シーンに期待を託した。
いじめられっ子の男の子の青さと弱さには若干好感を抱いた。

しかし・・・期待したような展開はなく、その他は、中島監督らしさはむしろ影を潜めていた感じがある。
タイトル画面に使われていたように、映像的にもペンキやスプレーで書きなぐったようなものが多く、何だかよくある暴力大溢のバイオレンス映画みたいなテイストに近かったんじゃないかな。そんなもの、別に新しくもないような・・・。

2014年4月期のドラマについて(総括編)

June 30 [Mon], 2014, 6:52

今期(2014年4月期)のドラマに関して、何かまとめ記事を書きたくなったので少し。
終わった今でも、「ちょっと違うクールだった」という感じがする。

以下、ドラマの潮流を探るべく、いくつかのトピックに分けて書いてみる。
(書いてみたら8個のトピックになりました。よろしければ駄文におつきあいを・・・)

【1、意欲作が多かった】

成功不成功に関わらず、意欲的なドラマが多かった。
・・・前クールは、こちらにも書いたのだけれど、個人的には最悪なクールだった。
http://yaplog.jp/kinoko2006kun/archive/1311
もしかしたら自分はそろそろドラマ好きから脱却できるのではと、それならそれもいいかなあ・・・くらいに思っていたのである。

しかし四月期、概要がはっきりした頃からやたら胸が躍った。
大作『MOZU』がTBS・WOWOW合作にて連続放映!西島、香川、真木主演。
オダギリジョー複数出演!小栗旬久々の主演刑事ドラマ!
力の入った池井戸潤作品が実力派スタッフ・キャストで二本も!
その他でも、月9がこれまでにない路線だったり、NHKでも『ロング・グッドバイ』があったり、話題には事欠かなかった。

あまり食指が動かなかったものももちろんあるが、これは久々に揃ったな!の感があった。
ワクワクした。

まあ、結果的には・・・特に視聴率的には、大したものはなかった。半沢直樹級を狙った『ルーズベルト』も今一つで、同じ池井戸作品の『花咲舞が黙ってない』が一番とれたとはいえ、20%にとどかない平凡な数字。
それでも、いくつか注目すべき点はある。

【2、ジャニーズドラマにかつての勢いなし】

ジャニーズ系ドラマは、二宮君の『弱くても勝てます』これ、興味があったのだけれどなんだかイマイチだった。香取君の『スモーキング・ガン』も応援気分だったのだけれど、結局リタイアしてしまった。大野君の『死神くん』は一度も見なかった。ゴメン。
視聴率も「ジャニーズなのに・・」と思われるほど低迷。香取君のとか、キャラが合ってたんでもう少し面白くなるかと思ってたんですが・・・。

主演がどうとかいうより、ドラマの作りに意欲が足りなかったように思えてならない。
むしろ、ここにきて強さを見せたのは、ジャニーズの中では異色な存在である岡田准一と生田斗真のいる『軍師官兵衛』の方だったように思う。
むろん私は、ジャニーズ主演ドラマが嫌いなのではなく、人気にあやかったキャスティングで作品の質の方をないがしろにしがちな制作姿勢が気に入らないのである。

「質」でドラマが選ばれるようになったとしたら、むしろうれしい。

【3、極悪がんぼはなぜ失敗したのか】

同じことはジャニーズドラマだけではなく言えると思う。
『極悪がんぼ』の結果は、驚くほど悪かった。主演の尾野真知子が、打ち上げで泣いたという。
しかし不思議だった。『ナニワ金融道』路線を狙ったのは十分感じられたが、同じ原作者の作品、ナニ金で一番いい味出してた小林薫をはじめ、三浦友和、椎名桔平、板尾創路、安岡力也と揃え、女優も今一番乗っている尾野、若造にも好感度高い三浦翔平、オダギリとクドカンまで登場させ、テーマ曲は氣志團。ワクワクするぜ!
でも、実際つまらなかったのである。4回か5回頃だったと思うが、「おんどりゃあ、かたにはめたるで!」「きいとんのか!ボケ!」などのアウトレイジっぽいセリフの応酬を聞いていて、心からつまらなくなって、ついに消してしまった。
あとはオダギリ拾い見しつつ、最終回だけ付き合った。
同じような脅し文句でも、『闇金ウシジマくん』は全然違っていた。特にクズどものリアリティがすごく、脅すにしてもセリフより中身のものすごさが感じられたもの。

『ナニ金』等の過去の人気作にあやかって、その路線でキャスト・スタッフをそろえればいい、というわけでもないんだなあ・・・とつくづく思った。ドラマ作りは怖い。
キャストや原作ではなく、プロデューサーや演出・脚本のせいだと思う。あと、月9だけにこの素材の料理の仕方がわからなかったとか・・・。

いずれにせよ、このところのフジドラマは、鉄板っぽく見える陣容のものが特につまらなかったりする。ザックジャパンに似た部分があるのかもしれないので、猛省をお願いしたい。
最終回にも登場したキムタクの、鉄板中の鉄板ドラマでコケないでね・・・。

【4、思わぬ好対決!『MOZU』と『BORDER』】

今期の一番市長に忙しかったのは木曜日。
『MOZU』と『BORDER』が丸かぶりなうえ、佳作の『銀二貫』と、あの『最後から二番目の恋』の続編もあった。

『BORDER』が大作『MOZU』に勝った、という文脈で語られることが多かったが、これ、視聴率対決の話題にもなって、両者ともにプラスだったんじゃないかと思う。

結局、『MOZU』は録画、『BORDER』はリアルタイム、という私のような視聴者が増えたと思う。『MOZU』だけの最終回では、高い視聴率となったことがそれを証明しているし。また原作の文庫本は三冊とも非常によく売れている。
この好対決は、「真面目に作った意欲的ドラマの勝利」という感じがする。視聴者を小ばかにしたようなドラマ(前クールだよ)が滅びて、意欲的なドラマが残るのなら、私は大歓迎。

「映画並みのクオリティ」としては、『MOZU』とともに『ロング・グッドバイ』もあった。詩情あふれる映像は、万人向けではないとはいえ、大いにドラマの可能性を示してくれた。(綾野の出ない回は正直面白さが半減したが)


「二人を結びつけたのは、僕でーす!」

June 27 [Fri], 2014, 0:25
三谷さんの新聞連載、「ありふれた生活」に『オーシャンズ11』の感想が載ってましたね!

三谷さん、初日に観に行ったんだ・・・。

タイトルが「香取・山本の格好よさ」

>僕にしてみれば、これはもう、観ないわけにはいかない。

私もまったく同じ気持ちで行きました。

>「オーシャンズ11」というのは、「オーシャンと11人の仲間」のリメーク作品である。僕らの世代にとっては当たり前だけど、若い人たちの多くはそのことを知らないみたい。
>サスペンス映画としては物足りないが、遊び心満載の、不思議な映画。

「僕らの世代」なのに、知りませんでした・・・・。
「お楽しみ映画」という意味でも、幼心にもちょっと変わった映画だったそう。なるほど。

で、読みたかったのはここから。

>僕はオーシャンを演じた俳優を三人見ていることになる。
>今回の香取オーシャンは、シナトラやクルーニーと比べても、まったく遜色ない。あんなに堂々として、ダンディーで、男臭い香取さんを目にしたのは初めてだった。


そう、セクシーでした。三谷さんもべた褒め状態です。さらに

>香取慎吾という俳優のすごさは、全身を観なけらばわからないのです。彼の本来持っているダイナミックさ、ゴージャスさは、アップを多用するテレビドラマの世界では、表現しきれないような気がする。
>彼以外に、この役を舞台で案じられる男優は誰だろうと、上演中ずっと考えていたが、結局思いつかなかった。香取慎吾は稀有な舞台俳優なのだ。

舞台俳優が本業ではないとはいえ、確かに私も同じことを考えた。でも誰も思いつかなかった。

で、次ですね。

>そして何より僕が嬉しかったのが、香取&山本が並んで踊る時の、ほれぼれするような格好よさ。
>「新選組!」以来、変わらぬ友情を育んでいる二人の見事なコンビネーションは、「この二人を結びつけたのは、この僕でーす!」と思わず叫びたくなるほどの素晴らしさだった。
>自分が関わっていないことに、ちょっとだけジェラシーを感じる、そんな『オーシャンズ11』でした。


まったく、三谷さんの本心そのまんまだと思います!
あの二人が一つのステージの上で、心から生き生きと楽しんでいる姿を見ただけで、幸福感マックスになりました。

あ、ほとんど新聞記事を抜書きしただけのような記事になってしまいました。ごめんなさい!!
(『組!』の象徴、あさぎ色っぽい#339999ばかり使いたくなってしまいます・・・。)

この舞台を見て、三谷さんの中でこの二人を使った作品プランが膨らむことを祈ります。

舞台『オーシャンズ11』感想

June 20 [Fri], 2014, 15:40
最近「表現」のプライマリィ(primary・第一義的なもの)とは・・・などと小難しく考えがちになるので、純然たるエンタティンメント舞台は新鮮。
もちろん局長副長共演を見逃してはならない、というのが第一動機なんですが・・・とにかく見ずにはいられない。

まず一口で言うと、楽しかった。

にぎにぎしく豪華な舞台。本格生演奏で大人数のキャスト。
アイドルもお笑いもいるけれど、しっかりしたミュージカルや舞台のプロが半分以上。
安っぽい舞台を見た、という感じはしない。ラスベガスらしい豪華なショーの楽しさまで味わえた。

S席13,000円、という自分にはかなりきつい料金も、ある程度これならと納得できた。

舞台が始まる前から、舞台の上では10人くらいのお客さんが、ホテルマンの役者さんとなにか話してる。
一瞬、当日券の人が舞台上で見られるのか(なら当日券がいい)、と思ったけれど、
これは、39,000円のラスヴェガスシートの席決め(説明)であるらしい・・・チケット情報でも書いてあった。

舞台のすぐ下にホテルの客席のようなお席がいくつかあって、ドリンク付きで観劇できる、という超特別な席。背面になるかもしれないけれど、役者さんたちが間近で見られて、あの世界の中に一緒に入ってるようで羨ましい!全体がわからないからもう一回見ることになりそうだけれど、三倍の価値がある体験だろうなあ。

こういうサービスも含めて、ラスベガスのキラキラした雰囲気が、たっぷり。


★ネタバレ配慮を忘れて書いてしまったので、以下は自己責任でお読みくださいませ。★


最初に香取君が出所する日の刑務所で始まるけれど、そこで早変わりでスーツ姿になり、最初の曲「FATE CITY」で踊る。
あー、香取君のダニー・オーシャン、スーツが似合う!!身長はあるし上背もがっちりして、カッコいい!ヒーローの風格。

香取君の声が、はじめ何だか違う人のように聞こえた。ドラマで聞くようなちょっと鼻にかかった独特の柔らかい声でなく、ちょっとトーンを落として男っぽい声にしてるみたい。ちょっと戸惑ったけれど、すぐ慣れた。

若い男性キャスト中心に踊っているのだけれど、このとき一人だけやや青みがかったスーツで踊る伊達男がいやでも目を引く。
そう、この男こそ、ダニーの親友ラスティ・ライアン役の山本耕史。

なんてカッコいいんだ。なんて動きにキレがあるんだ。
一つ一つの動きが止め絵にしてもいいほど決まってる。
なんてキリっとした視線で、なんて足が細くて長いんだ。

【ラスティ耕史のこと】

(L5Yやヘドウィグの頃を別として)ここ数年の耕史君を見ていると、ヴォイツェク、モーツァルト(サリエリ)、ドリアン、等暗めの役も多く、(脇役ではそうでもないが)、これだけストレートにはじける役はとっても新鮮。

なぜそんなに楽しそうに、舞台中を跳ね回ってるんだろう!
疲れなんか感じられない。もちろん10年の間にしっかり大人の男になってるのだけれど、若さの躍動感というより、プロアスリートのような身体感。どんなに動いても息ひとつ乱さないのはいつものことだけれど、やはりすごい。
(この人サッカーやったらチーム強いだろうなあ・・・)

歌は、中心になって歌うナンバーは少なかった。
「JUMP」は主役で、大いに盛り上がった。

香取君と二人で歌ったのは「オーシャンズ10」。
「お前がキングで俺がジョーカー」・・・と歌うラスティ。
こら、これ、耕史君の本音だろ!!やっぱりまだ香取君のジョーカーで居たいんだよね?
(と思いたいのがファン女子心理)
出番の割に存在感がすごくて、不満は少なかった。(一番うまいんだからもっと歌って踊ってほしい、というのはもちろんありますけどね!)

全員が関わる前半最後の盛り上がるナンバー「JACKPOT」も中心だったと思う。すごく良かった!
恋人ポーラとの「LET ME LOVE YOU!」もちょっと憎らしい恋人、という感じでロマンティック。

耕史君発っぽいアイデアも、そこここにあったように思う。(すべったのも含めて)
変装も、FBI捜査官と言い張るシーン、つけひげ(?)が落ちて「しまっとけ!」と言われるのに大受け。
ニセ医者のシーンもおかしくておかしくて、これは耕史君だと思いつつも、あまりに早変わりで金庫破りの格好になるからびっくりした。そのたびに共感に満ちた笑いが客席に満ちる。
衣装替えも多くて、これまで着たきり舞台が多かった気がするので大満足。
光沢スーツもカッコよいし、崩れた赤いジャケットも、びしっと決まったタキシード姿も。なんでもカッコいい。

ルービックキューブをカチッと仕上げて、「偵察してくる!」だの、ステッキでマジック(?)をするところも、口八丁手八丁、
歌もダンスもマジックも演技も何でもできる耕史君は、時々、作品によっては浮くことがある。にぎやかなメンバーの中心にいても、孤立を漂わすことがある。
『テンペスト』や『ウサニ』では、「これはギャグなんだろうなあ・・・」と思いつつも笑えないことが何度かあった。

今回は、この舞台ではそんなことはないのだ。それはもちろん香取君の存在が大きい。

taroの家に行く(オーシャンズ11に行く前に)

June 19 [Thu], 2014, 16:58


前から行きたかった、青山の岡本太郎記念館に行ってきました。
こーんなおしゃれなテナント街にあるのか・・と思って歩いてきたけれど、その一角は別世界。『TAROの塔』(松尾スズキが岡本太郎を演じた秀作ドラマだった)

あのときは、太郎生誕100周年で、見ごたえもある大規模な展覧会もあったし、いろんな催しもあったはずなんだけれど、ドラマ放映中に東日本大震災があったように思う。そういえば、三谷幸喜生誕50年を記念して本人が企画した感謝祭も、その年になってしまった。、

記念館も、その時強烈に見たいと思いながら、いろいろあって忘れてしまっていたような・・・。

素敵な建築。
とても緑が濃い(熱帯の植物が多い)ので、暑い日だったけれどこの家はかなり涼しい。
玄関にあたるところでチケットを買って、展示室は上。
そんなにたくさん「作品」が展示されているわけではないけれど、椅子も時計も何もかもが「taro」の作品なのだ。
絵画では絶筆と言われる作品もあったし、ユーモラスな動物や子供の彫刻も多い。

開放感のある渡り廊下を渡ったロビー(?)のような場所では、岡本太郎のレプリカとともに、あちこちで座ってくつろげる場所がある。こちらも、棚の食器類が全部アート。

一回に戻ると、庭を眺める場所に大きなリビングルーム。
ここで、多くの弟子や友人たちとお酒を飲んで芸術論を戦わせたりしてたんだろうなあ・・・。
奥は神聖な(?)アトリエ。大きな吹き抜けで明るい。今もカンバスが膨大に残されていて、油絵の具のにおいが濃厚。
古いピアノは、太郎や、また愛した女性が弾いたのかな・・・?

この記念館(家)が、ドラマ以上にいろんなことを語り掛けてくる。
庭には、縄文の雰囲気のする大きな彫刻や、子供のような無邪気な彫刻がいっぱい。とても楽しくなる。
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