body { background:url(https://www.yaplog.jp/kinoko2006kun/img/4/kinokohaikei.jpg); } メゾン・ド・キノコ

プラトニック・エロスを求めて迷想する「きのこ御殿」

プロフィール
  • ニックネーム:きのこ
読者になる
最新コメント
天音
『日輪の遺産』 感想と疑問と妄想 (2012年02月11日)
ツナ
映画『CUT』 (2012年02月09日)
きのこ
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月07日)
きのこ
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月06日)
きのこ
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月06日)
きのこ
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月06日)
きみこ
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月06日)
ruka339
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月06日)
ruka339
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月05日)
きみこ
『米田耕作』+他にいろいろ (2012年02月05日)
バナー(持ち帰りOK!)
陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜
陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜
2012年02月
« 前の月    |    次の月 »
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29
「老い」と「死」を見つめた秀作『キルトの家』 / 2012年02月09日(木)
山田太一ドラマ『キルトの家』

注目のNHK土曜ドラマスペシャル『キルトの家』、見事な作品になりました。

前編「はじめての人たち」で、奇妙で温かい出会いの物語が始まり、
後編「短い日日のあとに」で、別れとそれぞれの明日が示される。

それぞれの明日は、ある人々には非常に短く、ある人々にはとても長い。

これぞ山田太一ドラマ。『ありふれた奇跡』には疑問を感じたけれど、ここ10年くらいに見た山田太一ドラマの中で一番よかった。今年見たドラマの中でも、一番心打たれた。

一言でこのドラマを語ることはまだまだ出来ない。
いろんな要素が不思議に調和していて、1つの老朽団地を舞台にしているのに、今の日本のすべてが、さまざまな人間たちの生が描きつくされている。
期待は裏切られなかった。

ドラマ感想の常として、放送後のネタバレ配慮はしてません。念のため。

【愛しい登場人物たち】

震災を体験して東京へ逃れてきた若い男女が、老朽化した団地に入居し、新しい生活を始めようとする。
そこで暮らす老人たちとの、出会いと別れの物語。

若い女性は南(みんなみ)レモン(杏)。男は空(三浦貴大)。

○杏の力強い目が素晴らしい。困難にあっても逃げずに立ち向かおうとする、それでいて素直に老人たちに向き合う。
化粧っけのない飾り気のない美しさは、シュガーコーティングされたような最近のドラマの女性たちとは一線を画す。
今年はこの女優の真価がいよいよ発揮された感じ。

○三浦貴大って誰?・・・と思ってたら友和百恵のサラブレッドだったのね。年下で情けないところのある、成長過程の空を好演。
この子、前半と後半で素晴らしく成長しているんですよ。登場時にはべそをかいてレモンに引っ張られていたのに、最後のほうでは勝也に「お前をほめる」と言わしめるくらいの成長を見せてくれる。私も一緒になってほめたくなった。

実はこの二人は夫婦ではない。夫の暴力から逃れた妻と、その夫の弟という関係。何もかもなくして二人で人生をやり直そうとしている。

この二人は、キルトの家に集まる老人たちに失った温かさをもらい、老人たちはこの二人にこの世への希望を見出す。
出会うことがなかったら砂を噛むような日々だっただろうに、お互いがお互いの「光」となった。

キルトの家とは、団地の近くにある一戸建てで、持ち主の老夫婦が身体を壊してしまい、家を管理していてくれるなら自由に使っていい、と言ってくれたもの。老人たちの中で一人だけ若い一枝(松坂慶子)が、そこに周囲となじまない老人たちを呼び集め、自由なサークルのような素敵なたまり場になっている。
「キルトの家」というとおり、部屋は見事なキルトの大作が所狭しと飾られている。この見事なキルトたちが、加古隆の音楽とあいまって、ドラマの意味深い背景をなしている。

そして「キルトの家」に集まる団地の老人たちのひとりひとりの造型が素晴らしい。

○橋場勝也(山崎務)は、シャイで頑固で一匹狼のロマンティスト。エキセントリックな行動を取る変人に見えながら、実は他人との距離をうまく取れないでいる。
黒メガネをかけ、まっすぐに空を指差しながら現れる登場シーンはインパクトが強かったなぁ・・・。その後の空との交流が素晴らしかった。

○沖山志津(佐々木ふみ江)は、かつて一流の芸者。三味線の腕前が素晴らしい。プライドも高く人生経験も豊富だが、多くを語らない。いつもきちんと和服を着て、口を引き結んで一人で生きているが、キルトの家には彼女なりに馴染んでいる。

キルトの家の仲間はみんなそうだが、とりわけこの二人は筋金入りの「自立した個人」。他人に寄りかからず愚痴や繰り言も言わない潔さがある。だが、迫りくる老いと衰えから目をそらすことは出来ない。

○下田美代(庄司歌江)は、キルトの家の中では心優しい普通のおばさんにみえる。けれど団地の住民たちとは気が合わず、階段の掃除のことで近所の人々ともめたりする。「一人が気楽でいい」「死ぬのなんかちっとも怖くない」と言っているけれど、遠くの息子のことがいつも気になる。

○伊吹清子(緑魔子)は周囲から浮くほどとてもおしゃれな女性。夫には二度も死に別れるなどいろんな経験してきたが、遺族年金のおかげでお金には困らない。
一人ぼっちでうつむいてランチを食べるような暮らしだったが、今はキルトの家を大切な居場所と思い、「今が幸せなの」と口に出している。

女性たちはみんなレモンにとても優しい。特に妊娠を知ってからは。
美代は米を持って階段を上がってきて、「もろて。あげたいの。もろて」
一人で肩肘張って生きることが大事なのではなく、他人の好意を受け取ることも大事なのだ、と、美代自身が感じているのかも・・・。

○河合秀一(北村総一朗)はもと時計屋さん。拾ったものに細工をしていろんな物を作り出すのが得意。ちょっと頑固だがほんわかと穏やかで知的な印象。キルトの家に一番マッチしてる?
ただ、ここが終の棲家ではないことは自覚しており、老人ホームへの入居を考えている。

○沢田道治(織本順吉)。元公務員の真面目で実直な老人。若い二人に使ってもらおうと電子レンジを買ってプレゼントしたりするが、ちょうど二人が中古のレンジを買ったところだったり、なにかと間が悪い。

○野崎高義(上田耕一)は元ヤクザで口は乱暴、シャツも派手だが、単純で明るくて気がいい。沢田とは仲良しコンビに見えたが、実はからかいすぎて嫌われていた。
「俺にキルトは似合わねえ」とか言って縁遠くなるが、ラストシーンで仲間に戻る気配が嬉しい。

名優たちが演じた一人一人の老人の、なんと手触りの確かなことか。
みんな追い先短い老人役だが、演技の輝きが薄れず、非常に元気そう。日本芸能界の財産である彼らの演技を、もっともっと見たい。

○それから、老人たちを呼び集めて明るく中心になっている桜井一枝(松坂慶子)。
彼女は少し年代が下(50歳くらい?)で、なんとなく依怙地で自治会の輪に入れない独居老人たちに声を掛け、キルトの家の常連にしている。
松坂慶子のまぶしいくらい明るい笑顔が素晴らしい。いつもとても明るい色の服を着て、周囲を明るくしてくれる。気難しい勝也も、一枝にはいつも頭が上がらない。
その行動の裏には、死んだ父親へしてやれなかったことを悔やむ気持ちがあった。そして、父親に似た勝也への思いも。

以上がキルトの家のメンバー。
もとは14人いて、4人すぐやめて、2人死んで、物語のはじめには8人。
ドラマの終盤では、3人来なくなり、3人出て行くことを告げ、残ったのは勝也、一枝、清子の3人だけ。空とレモンを入れても5人となる。

「年よりはこんなもんだ」と勝也。
諦めたように黙って事態を受け入れる老人たち。
その前で、激しく泣きじゃくるレモンを勝也と空がかわるがわる抱き締めて・・・・見ているこっちも涙が出た。

【若い二人と、勝也】

主役は、山崎務と杏。
山崎演じる勝也は、特に空との関係の発展が面白い。
この三人をめぐるセリフ群もあまりに良くて、つい抜書きしたくなる。

勝也が差し出した栄養ドリンク一本を頑なに遠慮するバリアの高い空。あまり深く団地の人と関わらないようにしているらしい。
しつこく薦められて飲まされた後の勝也がおもしろい。
「どうする、そんなに簡単に他人を信じてどうする。大変だ。動け動け。じっとしてちゃダメだ!」と空を走り回らせる。

この挑発的な出会いから、「変なジジイ」だと思っていた空だが、すぐに勝也に打ち解け、キルトの家に親しむようになる。

シャイで、いつも大きなキルトの後ろに自分の隠れ場所を作っていた勝也だが、若い二人が来たことが非常に嬉しい。
「諸君、たましいの話をしよう。たましいの話を!なんという長い間、僕らはたましいの話をしなかったんだろう」
と、吉野弘の詩(Burst)の一節を語って、ご機嫌。(この詩はこのドラマ全体の問いかけなのかもしれない)
 
 続きを読む…  
Posted at 23:58 / ドラマ カ行 / この記事のURL
コメント(0) / トラックバック(0)
映画『CUT』 / 2012年02月07日(火)
『ストロベリーナイト』の菊田のせいで、西島秀俊にモヤモヤする。
あの目、あの視線が、脳裏にこびりついてはなれない。
で、西島秀俊主演の『CUT』を観てきた。

イランのナデリ監督が日本人キャストで日本で撮影したという話題作。
海外の映画賞でも高い評価を受けているという。
終了直前だったが何とかセーフ。シネマート新宿で2月10日まで各日午前一回のみ。

今シネコンの各種割引が充実しているので、映画はほとんど千円で観ることが多い(でしょ?)。久々の、往復交通費+正規料金1800円で観る映画です。
でも、行って良かった!!
菊田にもやもや(もえもえ?)する方は是非。
今回観られない方も、DVDやテレビで観られるようになったら是非。

『CUT』の西島さん(主役の秀二)と比べると、『ストナイ』菊田は喩えてみれば思いがけず絶品だったレディースセットのデザート程度に思えてしまう。(いや、菊田さんが好きなのは変わりません。西島菊田は原作の三倍かっこいいですよ)
西島さん渾身の、鬼気迫る演技。是非お見逃しなく。

予備知識はほとんどなしで観た。
往年の名画を激愛している青年が映画のために殴られ屋になる話だということ。
西島秀俊も非常な映画通なので入れ込んで演じたということ。
という二点くらい。
ポスターのキャッチコピーの「映画のために死ね」というのは、具体的にどんなことなのかなぁ・・・?という興味もあった。

基本はヤクザに借りた借金を「殴られ屋」となって返すという話。端正な西島さんのお顔が無惨に切れ、あざだらけになり、原型をとどめないほど腫れ上がっていきます。あまりに痛いシーンの連続なので、その辺だけは覚悟して。

連日40度を越す中、倉庫を改造した現場(映画内のヤクザの事務所?)にての相当過酷な撮影だったらしいです。

この映画に感じることは多いが、ストーリーは、こっちがびっくりするくらいシンプルなもの。
以下、見にいけそうにない方のために、ラストを避けつつ「あらすじ」を書いちゃいますので、ネタバレ堪忍の方はここまでに。







【途中までのストーリー】

主人公秀二(西島)は映画監督としてこれまで三本の映画作品を撮っているが、いまだに芽が出ない。
自分が借りている一室のあるビルの屋上で、時々昔の映画の上映会を開いている。また往来でメガホンを持ってアジテーションし、時に警察に追いかけられるという日々。上映会も何度も妨害されている。
「今ある映画はすべて、娯楽映画に過ぎない。かつて映画は真実であり、芸術であり、娯楽だった。あの頃の映画を思い出してください。映画は死にかけています!」という調子。

平たく言えば映画の道に芽が出ないため鬱屈した「映画狂の変人」に見える。
上映会が妨害されるとしても、内容のためではない(芸術性の高い名画ばかりだし)。やり方が適法じゃないだけじゃないのかなぁ・・・。
友人には「いつも何かに追われているよう」に見えるという。

第68回の屋上上映会。キートンと清水宏の白黒サイレント映画。聞える音は強い風の音と、画面と関係のない電車や夜の都会の音ばかり。
それでも観客たちは楽しんでいる。そして秀二も、はじめて満たされたような微笑を見せる。いい表情。
上映前にちょっと作品紹介をし、上映後に話し合いをするんだって。素敵な企画ですね・・・。

しかしそこに見るからにヤクザ、という感じの男たちが入ってくる。
ヤクザの組員である秀二の兄が死んだ。それも多額の借金を残して。
その借金は、映画を作るために秀二が兄に借り続けた金だった。

遺骨を持って一人になると、携帯電話の中に開かなかった兄の言葉がたくさん入っていた。「連絡してくれ」と、何度も何度も。自分は、死ぬまで兄のSOSを受け取りもしなかったのだ。

ボスの正木(菅田俊)から、兄の借金が1,254万円であることを告げられる。それを二週間で返せなければマグロ船に乗るか、保険金をかけて死んでもらうか。
組の事務所は、不思議なところだ。リングやサンドバッグがあり、ジムのような感じ。その奥に幹部室がある。またジムサイドにはバーがしつらえてあり、陽子(常盤貴子)がバーテンをやっていて、老ヤクザヒロシ(笹野高史)がいつもそこにいる。(雑用係かな?)

組員のひとり(でんでん)が秀二をからかい、「拳銃をくわえて引き金を引いてみろ」と言う。秀二は「いくらくれますか」と言い、引き金を引く。弾は込められておらず14万円を手にする。
それをきっかけに、秀二は組員を相手に「殴られ屋」をすることで借金を返すことにする。
「兄はどこでどうやって死んだのか」。トイレの窓枠に血がついていた。
そのトイレの中で、殴られ屋をはじめることになる。凄まじい苦痛に絶えるため、秀二は殴られている間中愛する映画のタイトル、監督名、上映年などをつぶやき続ける・・・・。

あとは、これだけでラストまで引っ張っていく。
非常にシンプルなストーリー。
しかしそれだけで映画を二時間あまり緊張感を途切れさせずに持たせている。

【西島秀俊が素晴らしすぎて】

この「殴られ屋」をリアリティを持って演じる、と言うのは大変なことだっろうと思う。

ボロクズのようになって殴られ続けたら、集団暴行のサディスティックな陰惨さが漂うだろう。
逆に、殴られることに被虐的な快感を感じるかのように見えたら(自分を罰したい気持ちからでも)、気持ち悪くて殴る気が減退するだろう。
商売として殴られているのだから、倒れてもいけない。殴られるために立ち続けなくてはならない。

しかし、秀二はどんなにボロボロになっても哀れっぽくならない。
時にはなぜか秀二の方がいらつき、自分で自分を殴るようなことすらする。
前のめりな、壮絶な戦いなのだ。

殴られている間は一種のハイ状態で、映画のことを考えてやり過ごすとしても、一晩寝て身体がやや癒えると、普通は恐怖のほうが大きくなるのではないか。
それでも、秀二は毎日「一日中殴られるために」ヤクザの事務所に「通勤」する。
顔のほとんどがあざで覆われ、腫れ上がり、目が潰れ、身体もボロボロでまともに歩けない。

秀二を支えるポイントは二つ。
映画のことを考え続け、愛する映画の名前や撮影年や監督名をつぶやきながら殴られ続けること。
また、殴られる場所は兄の死んだトイレの中を殴られる場所、と決めている。

時には殴られながら「このクズ映画が!」「このクズ映画が!」と毒づいているので、殴るほうも罵られたような気分になり、気分が昂揚してより殴りたくなる。
「あと三万だ!絶対倒してやる!」という感じで。

そうそう、映画鑑賞後に公式でインタビュー
http://www.bitters.co.jp/cut/interview_nishijima.htmlを読んだら、

>撮影中は、誰ともしゃべるな、演技に集中しろという指示がありました。あいさつも一切しない。周りからみたらクレイジーに見えても、それでいい、と。

確かに、スタートがかかるまで談笑しているような現場では、こういう画は撮れなかっただろうなぁ。

 
 続きを読む…  
Posted at 07:07 / 映画関連 / この記事のURL
コメント(1) / トラックバック(0)
『米田耕作』+他にいろいろ / 2012年02月04日(土)
『鬼刑事米田耕作〜銀行員連続殺人の罠〜』

【私の求めるドラマについて、少し】

マニアとまでは行かないが、ドラマへの思い入れが他の人よりは強いのだと思う。

以前も何度か、「たかがドラマに」こんなに長々しい記事を書くのは「気持ち悪い」というような率直なコメントを頂くことがあった。

まあ、ドラマの楽しみ方は個々の自由なので特に反省も自己批判もしなかった。
けれど、「ただ楽しめればそれでいいじゃないか」とは思いながらも、そういうドラマしかない状態が続くとドラマ全体に興味が薄れるという状況に陥る。

おおげさを承知で言うけれど、やはりドラマと言えどもその作品に出会ったことによって自分の人生に変化が起こる(=ドラマを見る前の自分と見た後の自分が少し変わる)ような作品と出会いたい。その出会いを心のどこかで待っているんですね。、

実際、そういうドラマにも時々出会う。
ドラマの可能性をさらに広げてくれるような作品にも出会う。

『それでも、生きてゆく』とか『MOTHER』とか『塀の中の中学校』とか『坂の上の雲』とか、少し前だと『薔薇のない花屋』とか『野ブタ。をプロデュース』とか、大河でも『新選組!』『風林火山』『龍馬伝』みたいに、こっちが本気でがっぷり向き合いたくなるようなドラマがあると、一番ワクワクする。
『新選組!』なんかは、まさに自分の人生を(趣味生活レベルで)かなり大きく変えたドラマといえる。
『野ブタ。』についてはまともに感想を書いてはいないが、「人生に必要なことはほとんどすべてこのドラマの中にある」と言いきりたいくらいの名作(原作よりはるかにいい)だ、と思っている。

心を揺さぶってくるようなドラマに出会うと、感想を書くのに実質視聴時間の10倍以上の時間をかけてしまうことも珍しくない。
けれど、作り手側の多くの人間の、思いや労力や時間を思えば、本気で熱い思いをアップしたくなる。それは草の根レベルでドラマの質の向上(低下の歯止め)の役に立つのではないか、と思うし、もちろん自己満足でも構わない。

そんなドラマファンとしては、平均的エンターティメントに徹した二時間推理ドラマは・・・・王道であればあるほど、おおむねつまらない。

(すみません、ここまで前振りでした)

【鬼刑事×パソコン刑事】

フジテレビの金曜エンタティメント『鬼刑事米田耕作〜銀行員連続殺人の罠〜』はまさにそんな感じ。
思っていたとおり、よく出来たごく普通の二時間ドラマでした。

シリーズ化するには、なによりコンビネーションが大事だと思っていた。
おおむね成功していると思う。
定年間際の鬼刑事(頑固な現場主義。上層部の命令を軽視し、自分の信念を貫く。「落しの耕作」と言われる。特技は筆耕)の米田耕作(中村梅雀)と、元サイバー対策室でパソコンとプロファイリングが得意な八坂健太郎(山本耕史)。

「捜査方法や考えなど対極にいる2人が、捜査を進めるにつれ、互いを認め合っていき、事件解決に挑む」(公式)なのだそうだ。
マイペースを貫く米田が、若い今風の八坂をポンポンやり込めるのが楽しい。
若干、八坂君はやられっぱなしという印象も・・・・。
失禁と首吊り位置の矛盾にも疑問を抱かないとか、「抜け」が多かったですね。一方的に、八坂君が米田さんを見習い、自分のやり方を反省していくという感じも強い。
特に安達祐実を取り調べる部分は、見ていてあまりに下手な役に振られているので気の毒。(あんな上からっぽい取調べじゃ被疑者も心を開かないよなぁ・・・)と、みごとにラストの「落しの米田」の引き立て役になっている。(それが役者のお仕事ですからね・・・)

ストーリーはうまく出来ているものの、あまりに普通の二時間ドラマなので、途中で爆睡してしまい、朝見直しました。
なんだかものすごく「古い」二時間ドラマの王道、という感じのドラマになったように思います。良くも悪くもそれに尽きるかも。

テイストは昭和に作られたんじゃないのかなぁ・・・と思うくらい古臭い。室蘭の風俗嬢がなまりがすごいのはともかく、ちょっと現代の若い娘に見えないメンタリティと会話内容。
また米田の部屋にいるオバちゃんのパーマ頭や服装、何より雑談の内容がありえないほど昭和っぽく、あれでも多分50歳台の設定ではないかと思うと悲しくなる。

パソコンを駆使して、と言っても、『ブラッディ・マンディ』の三浦春馬君や『SPEC』の戸田恵梨香みたいにハッカー以上の使い方をするわけではない。本部から送った写真を即座に見られる程度の「パソコンが得意の刑事」にとどまってるのがちょっと・・・・。
パソコン刑事というと、もしかすると対人能力に問題のある変人刑事みたいな特徴の多いタイプかも・・・・・とちょっとだけ期待していたので、ちょっと残念。もう少し私生活やユニークな特徴も欲しかったなぁ。
「弁当男子」というところは可愛かったですけどね。

 
 続きを読む…  
Posted at 15:18 / ドラマ ア行 / この記事のURL
コメント(12) / トラックバック(0)
「殿上は面白きところぞ」 『平清盛』(4) / 2012年01月30日(月)

『平清盛』第4回 殿上の闇討ち
満足感想と、3つの諦め


第3回へ「萎え」感想を書いた舌の根も乾かぬうちなのですが・・・。
第4回を観て「おっ!?」という感じ。
うん、とても面白かったです!!
第1回以降、これまでで一番楽しめた回。気分が乗ったのでアゲ進行で感想を立てます。

これまでおおむねキャラデザインばかりを誉める傾向にありましたが、第四回になって、ストーリーとキャラデザがしっかりとかみ合った感じ。
最初から最後までひとつながりに面白かった。
漫画っぽいところと、韓流っぽいところは多いんですが、これだけ成功していればよし。また中井忠盛が深さを与えてくれたのがそれにとどまらない。

平氏の忠盛と清盛、源氏の為義と義朝、二組の父子がしっかりと描かれていて、起伏が多いのにスッキリしてました。
そしてやはり平忠盛(中井貴一)が中心だったのがいい。彼あってこそ、でしたね。

なんでも心情をそのままセリフや表情に表す大河だなぁと思っていたけれど、忠盛は清盛を育てると決心してきた時から、静かに静かに野心を育ててきたんですよね。それが、あの清盛にもしっかりわかるようになった。

こんないいお父さんを持って、ようやくこのお父さんの真価を理解した清盛。
遅い、遅すぎるぞ清盛!
周囲も視聴者もみんな忠盛のえらさに気づいてたのに、ここまで気づかなかったのは主人公のみ!
けれど、反抗的で物分りの悪いところが、忠盛にしたら可愛かったのかもね。

【北面の武士になったけど】

今回、最初の方は脱力するほどの笑えるシーンの連発。

北面の武士になるというエリートコースに乗ったものの、清盛が浮いていて面白い。
姿勢も悪いし目つきも悪い。あんな髪ぼうぼうで髭もつくろわない姿のまま宮中に息子を出してやる忠盛もやっぱり大人物?

歌もわからず流鏑馬も当たらず、大恥を書いている清盛ですが、かわいい。
先週までは眉根を寄せた上目遣いで睨むような表情が多かった清盛ですが、今回は笑顔も多く、またちょっと気の抜けたような表情も見せてくれ、ようやく肩の力が抜けたのかな?松ケンの演技の幅が見られて嬉しかった。
堀河局のなまめかしい歌に、とんちんかんな感想を言ってしまう清盛。
「私もよく濡れてるぞ今朝は!と言われましたので・・・」。

容姿端麗、文武両道、という宮中のお飾りめいた組織でもあったらしい。
宮中の女性の注目の的になりそうなプリンス義清(藤木直人)が適役ですねぇ・・・。

彼を見て「けっ」と二度も口に出す松ケン、オモシロ・・・。
それにしても、義清がしゃべるとハープがポロロン・・・って(笑)。

>長からぬ心も知らず黒髪の 乱れて今朝はものをこそおもへ
百人一首にある歌ですね。西行(義清)が添削したとは、シラナンダ!


【三上鳥羽院、さらに気の毒、さらに妖艶・・・】

最高権力者である鳥羽院(三上博史)と璋子(壇れい)の関係、さらに気の毒なことになってます。

鳥羽院「一言だけでも、わびてもらえぬか」
璋子「なにをでございましょう」
鳥羽院「帝を、産んだことをじゃ。先の院と密通し、子をなし、帝の位に付かせたこと・・・」
璋子「私が悪うござりました」

聞く方も聞く方。答える方も答える方。
墓穴を掘って自分が傷つく鳥羽院。「璋子、そなたという女は・・・」
(ここもつい笑ってしまったのだが)

璋子の幼子のような魔性というか、悪びれないところが残酷。
で、また水仙の花のところで思い悩む鳥羽院。

しかし中盤、藤原忠実(國村隼)に対して釘を刺す鳥羽院、また別の凄みがあった。
目は血走り、顔の色はより青白く、こめかみの筋がヒクヒクし、もののけめいた風情をかもし出す。
三上さんの演技も、いよいよ極まってきましたぞ。嬉しい嬉しい。

【父を取り替えぬか?】

今回、清盛と義朝が、父親を理解することで成長していった過程がわかりやすく描かれた。

 
 続きを読む…  
Posted at 06:29 / ドラマ タ行 / この記事のURL
コメント(5) / トラックバック(0)
いまだ本命なし 第1期ドラマ週感(ほぼ3週め) / 2012年01月29日(日)

2012年第1期(1月期)連続ドラマ、本命はいまだなし。
ここのところ多忙につき、週末にまとめて観てます。
感想を書くのもまとめて・・・・。

【鳴り物入りの期待ドラマがイマイチ・・・】

もっとも楽しみにしていた「本命ドラマ」2本に、早くも萎えの翳り・・・・。

『平清盛』第3回。「源平の御曹司」。
最も恐れていた「幼稚な大河」の要素がところどころ目につく・・・。

清盛の甘ったれた反抗っぷり。
心情を全部そのままセリフにしちゃうというドラマ作法。
前回も「あれ・・・・?」と思ってたんですが、今回開始早々に強烈な萎えセリフ。
「弱いものいじめ、してんじゃねえよ!」
往年のまっとうな不良少年漫画みたい・・・。

もちろん海賊を追い払ったのは清盛の浅智恵。かえって庶民を苦しめることになる。父親たちの言うことは正しく自分は考えが足りなかったのだ・・・というわかりやすい成長物語としてのオチはついてる。
けれど、こんなストーリーにつき合わされるのかと思うと正直うんざり。
オリジナル脚本、藤本有紀って・・・?『ちりとてちん』は成功作として有名だけど観てなかった。観ていたものでコレハと私が思うものはない。ましてや史観もなしに大河ドラマはツライだろう。

玉木宏が対照的な大人びた御曹司、源義朝として登場するけれど、この辺も少年漫画そのもの。もちろんカッコいいけどね。
悩める鳥羽院は繊細で神経質なところも素敵。
小日向さん演じる源為義はなんだかいい。「小人物」というスケール感をちゃんと出している。

メイクも衣装もトータルコーディネイトされた人物デザインと、高画質のカメラ技術で、ビジュアル的には非常に満足感が高い。けれど、お話がなぁ。
第1回はかぶりつき、第2回第3回と次第に画面との距離が遠くなり、今回は料理しながらの視聴。もっとも部屋が狭いので3メートル以上は遠ざかれない。
頼長様登場までは毎回観続けるつもりだけど、これだけ豪華な俳優と予算を使いまくった大河、無駄にせず頑張っていただきたい。

もう一本期待はずれは『ラッキーセブン』
こちらも魅力的な旬の俳優が揃い踏み。松本潤、松嶋菜々子、瑛太、大泉洋、仲里依紗。これだけ取り合わせれば視聴者は寄って来ますが、なんだか面白くない。どうして?
まずボスの松嶋がどんより暗くて、さっぱり魅力を発揮してくれない。『家政婦のミタ』で驚異の40%を叩きだしたのに、なんで?
どこが悪い、とはまだわからないけれど、例えば『BOSS』が天海祐希はじめチーム全体はじけまくってたのと比べると、ずいぶん落ちる。
連ドラにしてはアクションがすごい、という話で、なかなか頑張ってるのはわかるけれど、ギャグもはじけてない。

かつての『東京DOGS』は旬君×ヒロ君で面白いしアクションも良かった。月9としてはあの路線だと思うんですが、なんでイマイチなのかなぁ・・・。現場のチームワークでも良くないの?・・・とかつい勘ぐってしまう。
まぁ2回は・・・話も地味でしたね。(リリー・フランキーさんは好きだけど)。もっとワクワクする話を見たい。

【日曜9時は路線対決続行?山崎豊子と早海さん】

TBSの日曜劇場は、山崎豊子原作の『運命の人』
しっかりできた大作の予感。山崎豊子好きだし、ちゃんと見るつもりだったけど、なんだか重たくて「抜き」もないんで、録画を見るのもどっこいしょ。
第2回のラスト、大変な状況になり、今夜の第3回になんとかつながったけど。

本木雅弘は頑張ってますよ!
第1回の冒頭、テンペストのごとく海に身を投げる。そこからさかのぼって若い記者時代。
『坂の上の雲』の若若しさとはグッと趣を変え、鼻っ柱が強く、アクが強い野心家。タバコの臭いやポマードの臭いまで漂ってきそうな役作りはたいしたもの。本木君は自分に厳しい努力家だなぁ。

このドラマも、大河ドラマ並みの豪華キャスト。
ドロドロの展開を予想させる松たか子、真木よう子をはじめ、北大路欣也、大森南朋、長谷川博巳、北村有起哉、石橋凌、枡毅、小市慢太郎、でんでん、本田博太郎、笹野高史、柄本明・・・・まだまだいるんですよ。今回は市川亀治郎が歌舞伎発声の爆弾発言で盛り上げていた。

いつも思うんだけど・・・。日曜劇場は気合はすごいんだけど、かなりの確率でポシャってるじゃないですか。
豪華な食材、大きなテーマはいいけれど、もっと面白く見せてください。
この枠の題材から言えば、半年クールを常態にするとかしたらいいんじゃないかなぁ・・・。
『華麗なる一族』の頃からずっと思ってます。そしたらもっと遊びや抜けも生まれるし、昨今の大河なら抜けるかもしれませんぞ。

日曜劇場に対し、フジテレビの路線はよ〜くわかる。
名作『仁』に『マルモ』が肉薄したのが気分が良かったのか、わざとのようにゆる〜いホームドラマ路線。「大河と日曜劇場を続けて見るのは重たくて・・・・」という視聴者にサラッと見られるドラマ(制作費も安く負けても傷を負わない)を提供。
「頑張って見る」は「ついつい見ちゃう」に視聴率的には負けますよねぇ。
(私はその後のドラマW『贖罪』が一番楽しみで、これだけはリアルタイムでかぶりつき)。

『早海さんと呼ばれる日』も、綺羅星を集めている感じでもないのに、面白い。仕事ができるけど家事能力ゼロのお嬢様(松下奈緒)が冴えないけど優しい男(イノッチ)と結婚し、その実家の男所帯に同居することになり悪戦苦闘・・・というわかりやすいドラマ。
現場は相当楽しいらしく。第3回のちゃぶ台(コタツ)返しや乱闘は、オヤジの船越英一郎が脚本にないのに始めちゃったとのこと。
一見優等生に見える松下のダメ嫁っぷりが可愛い。目玉焼きも味噌汁も作れず、灯油を入れたこともなく危うく家を燃やしてしまうところだったり。

船越さんはじめキャラがいい。次男要潤、三男中丸君。そして情けなくって優しいだけなのにちゃんと最後には治める長男イノッチ、いい奴だね。
既視感ありありだけど、それがあったかいホームドラマです。

実は先週、仕事で失敗して落ち込んでたんで、このドラマにホッとさせられちゃいました。

【嘘つき陽君にも実家の日だまりは温かい】

『くろねこルーシー』第4回。先人は言う。
食べてすぐ寝ると牛になんたら・・・

先週は猫の可愛さにやられたけど、今週は鴨志田陽君の内面に柔らかなスポットが当たり、ドラマにより深さと優しさが加わってきてます。

実家に戻って畳でうたた寝していると、父親のいた頃のことを思い出す陽君。
父の職業が恥ずかしくて、「お父さんはパイロットでイタリアに行っています。」とか作文に書いてた。友達に嘘がばれ、お父さんにも嘘をつかせてしまった陽君。

優しいのに、見栄っ張りでもないのに、なんで嘘つきになっちゃったんだろう。大事なことから逃げてばかりいるから?
『清盛』と違うから、陽君は心情を全部セリフにしない(ナレにもしない)。すぐ結論を出さない。

意外と、心の傷(他人から見たら大したことのない傷でもね!)を癒してくれるドラマかも・・・。

ため息と説教の多いハローワークのおじさん、もしかして猫に思い入れがあったりして・・結構大事な役かも・・・。そう思った直後に、それが証明されるいいシーンもありました。
鷲尾さんとのやり取りもいつもながらいいテンポ。
『ハテ・サテ・ミライ』も『LUCY』もあったかい日だまりの空気が感じられるいい曲。
ふと口ずさんでいる自分に気づきました。

 
 続きを読む…  
Posted at 07:58 / ドラマ・ミックス / この記事のURL
コメント(9) / トラックバック(0)
辰雄とジュンシクの愛の物語『マイウェイ』 / 2012年01月25日(水)

『マイウェイ 12,000キロの真実』

オダギリジョー主演の大作映画。
単館系映画出演が多かったオダギリさんが、これだけ力とお金を投入したスケールの大きなスペクタクル戦争映画のセンターで登場。これを観ないはずはない!

・・・で、観ました。面白かった!!。
驚くべきスケール感と迫力の、壮大な戦争映画。
日本・ロシア・ドイツの三つの国の軍服を着て最前線で戦った二人の男の物語。
画面は迫力があり、物語は起伏に富みスピーディーで、長丁場でも一切飽きることがなかった。

しかし、う〜〜む。
どうしようかなぁ・・・・。

ここのところどちらかと言えば真面目な感想を書いてきた私のイメージを覆すことになりそうなのだが・・・。
これはこれは・・・。

『マイウェイ』は「萌え系」映画だ。
いや、別に読者に同意を求めはしないが、私にとっては、それ以外ではない。
また、同様に「萌(きざ)した」女子(いや、男子も)は数多くいるであろう。
究極のライバル関係は、究極の恋と同じなのだね。
狙われたとしか思えない、くらい。

序盤から予感はあったものの、中盤からはもうはっきりと「辰雄とジュンシクの壮大な愛の物語」となった。
眠っていた腐女子心を起こしてしまう作品。

とにかく、オダギリさん演じる”ヒロイン”辰雄の敏感さ、「感じやすさ」はもう大変なもの。

激しい運命の変転と共に、素晴らしい表情とリアクションを見せてくれる。それも、抑えに抑えていながら激情がほとばしる、という感じなので、余計にたまらない。

負けん気の強いお坊っちゃん時代から負かし甲斐があり、
プライドの高いエリート時代には怒らせ甲斐があり、
皇国の狂信者となった時は非常に反抗し甲斐があり、
運命が逆転してからはめちゃくちゃ苛め甲斐がある。
(そのあとは・・・優しくし甲斐がある)

その辺を期待して観に行ったわけではない。
韓国映画に非常に疎く(これもオダギリさん目当てで『悲夢』を観に行って以来だ)、韓国ドラマも評判のものにトライしては何度も挫折している。

チャン・ドンゴンも、名前しか知らない。
最近『マイウェイ』関連のインタビューをテレビで見て、意外にドンゴンさんもシャイで、オダギリさんの方がしゃべるくらいなので驚いた。
二人とも子供が生まれたばかり。二人でカラオケに行ってサザンやチェッカーズを歌ったりして、私生活でも気が合うらしい(萌え)。

【前半の途中まで、あらすじを追って「萌(きざ)しをたどります】

序盤は、日本統治下の京城(ソウル)。
日本側のエリート長谷川辰雄(オダギリ)。
使用人である朝鮮人の息子ジュンシク(ドンゴン)。

二人は、身分は違うが子供の頃からマラソン選手としてよきライバルだった。
しかし、ある事件から二人の関係は暗転。
辰雄は、祖父を死なせたのはジュンシクの父だと思いこみ「おじい様を返せ!」と憎しみを募らせる。
ジュンシクも、父に一方的に罪を着せ、一家を路頭に迷わせた辰雄を憎む。
(この事件の真相はなぜか究明されなかったような・・・。辰雄の一声による冤罪なら可哀想ですが、本当に関係者なら徹底的にバックを調べるはずであり、半殺しにされて追い出される程度じゃ済まないと思うんですが・・・)

ジュンシクは父に代わり、車引きとして一家の家計を支える。妹も献身的に家を支え父を看病する。
車引き時代、ベルリン五輪の金メダリスト孫基禎を車に乗せて超絶スピードで走る姿は痛快。この映画のエンターティメント性を発揮してくれた。

ジュンシクもレースに出られることになる。序盤の見せ場。
(けれどドンゴンは体格が横に広すぎて、オダギリさんは運動選手にしては細くて白すぎて、マラソン選手にしてはちょっと・・・。走り方も箱根駅伝と比べるとなんだかピンとこなかった)

そこでの結果やゴタゴタの末、ジュンシクたちは暴動を起こしたものとみなされて皇軍としてノモンハンに送られる結果になる・・・。
ここから、この映画の12,000キロの旅が始まる。

お決まりの日本兵による朝鮮兵へのイジメ。山本太郎演じる上に卑屈で下に残酷なステレオタイプな日本兵が印象的。
それに対し、ジュンシクたちはお互いの友情に厚く、助け合いや抵抗心をなくさない。
ロシア軍との戦闘シーンも迫力。
日本兵ばかりが殺される。強力なスナイパーとジュンシクの戦い。スナイパーはなんと美しい中国人の娘。彼女は拘束されているとき、ジュンシクの優しさに触れて微かな恋心を抱き・・・この辺もエンターティメントしている。
ヒューマニズムに溢れ、強くて優しくて心の折れないジュンシクは素晴らしい。ヒロインも登場した。
けれど、あまりに理想的な少年漫画ヒーローっぽいのですこ〜し、つまらないなぁ・・・・。

そう思っていると、辰雄が現場の最高権力者、大佐としてジュンシクたちの前に現れる。辰雄の祖父(夏八木勲)は軍人だが父(佐野史郎)は医師。ベルリンで医師になる道を捨て、皇国のために命を捧げるべく軍人を志願したらしい。
「皇軍のなんたるかを叩き込む!」と超右翼的精神論をぶっぱなし、着任早々日本兵の首を一刀の元に刎ね飛ばす。

見たことのないオダギリさん!こんな激しく狂信的な役だとはゾクゾクする。
ジュンシクにも冷たい目。夜な夜なランニングをしていたジュンシクの靴を燃やしす。
他の日本兵のように朝鮮人いじめをするわけではない。自らも命を恐れぬ将校。自分と共に爆弾を抱いて自爆特攻するものを選出。ジュンシクは「これはばかげた作戦です」と抵抗する。ジュンシクを殴る辰雄。
ほそっこい辰雄が、でっかいジュンシクを殴ると、殴っている方が痛そうに見える。
これで死ぬのはたまらないと、ジュンシクたちが脱走(なぜか女スナイパーも一緒に)。しかしそこにロシア軍の主力戦車部隊がやってくる。

わざわざ空襲の中走って引き返し、日本軍に危機を伝えに行くジュンシク。
(しかし彼のすぐ背中に戦車部隊が迫っているので実際の役にはたっていない)。
彼の時々無駄な行動が、バカポジ幼稚ヒーローゆえなのか、または憎しみの裏にある辰雄への「愛」がそうさせるのかわからないが、後者にとってしまおう。

さんざんに撃たれ、戦車で轢き潰されていく日本兵たちの描写がすごい。
辰雄は狂気のごとく奮迅。戦車によじ登り開口部に刀を突き刺して運転者を殺したり、手榴弾を投げ入れたり。
ジュンシクは、助けようとした友人が目の前で両足を戦車に潰されるなど、戦争の悲惨さに愕然とする。
辰雄の奮戦にもかかわらず、さらに膨大なロシアの戦車部隊が現れる。笑ってしまうほど圧倒的な戦車の数で、CGでコピペしたのかなぁ・・・と一瞬不遜なことを考えてしまった。
辰雄はそれでも「我々に後退はない!逃げるものは斬る!」と日本刀を振り回し、狂気の指揮官を演じる。ジュンシクが辰雄に「早く退却命令を出せ!」と叫ぶが、時すでに遅し。
物量に勝るロシアに圧倒され、生き残ったものたちは貨車に詰め込まれてシベリアへと送られる。

 
 続きを読む…  
Posted at 07:16 / 映画関連 / この記事のURL
コメント(0) / トラックバック(0)
映画『ヒミズ』 / 2012年01月22日(日)
園子温監督映画『ヒミズ』

今年始めて観た映画は、『ヒミズ』。

主演の染谷将太と二階堂ふみが、第68回ヴェネツィア国際映画祭で「マルチェロ・マストロヤンニ賞」(最優秀新人賞)をダブル受賞。
また製作期間中に東日本大震災が発生したことから、物語を2011年の震災後日本に設定したなど、いろんな点で話題となっていた。

おかげで、園子温監督作品にしては珍しく(失礼!)、都心の単館系まで行かずとも全国ほとんどのシネコンで多くの人が観ることができることになった。

私の鑑賞動機は、もちろん園子温監督作品だということ。
オダギリさん登場作品で馴染んでいたが、近年は、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』で強烈に魅了された。

実は、園監督が原作付きの映画を手がけるのは始めてだそう。
『行け!稲中卓球部』で有名な古谷実の漫画が原作。

>園監督は漫画「ヒミズ」を選んだ理由について「当時の若者のリアルが描けていたから」と話すが、大胆な脚色の意図を「この時代に震災を無視して2001年の現実を描いたって意味がないし、3月11日の震災を盛り込まなければ、現代の若者のリアルを描くことができないと思ったから」と説明する。

>漫画原作の映画化が相次ぐ近年の邦画界。しかし園監督は「漫画原作で失敗している映画の多くは、原作ファンを意識したコスプレ大会に成り下がっている。原作と映画は独立したものであると考えるべきだし、原作に宿る魂を再現しなければいけない」とそれら流行りとは一線を画す構えだ。
(以上マイナビニュースより抜粋)

観て、読んで納得。
この映画を観て、「やっぱり原作を読まないとねえ・・」という人はそんなにいないんじゃないかな。
「原作に宿る魂」がなんだったかは思い出せないけれど(近々ちゃんと読み直したい)、映像的に一番面白そうな「住田にだけ見えるいろんな化け物」を、全くスルーしたことには驚いた。園監督の自信のほどがうかがえる。
ほれ込んだ作品であっても、原作をなぞるようなことはしないのだ。

震災に関しては、ちょうど今日、園監督がもう一本映画を撮ることを発表。オリジナル作品『希望の国』だという。
これまで異端児っぽかった園監督の、大震災を機に「災後」を全力で描こうという気概が素晴らしい。なにものも恐れず突き進んで欲しい。

【3.11後の象徴?川の中の傾いた黒い家】

>牛乳の中にいる蠅 その白と黒はよくわかる どんな人かは 着ているものでわかる 天気が良いか悪いかもわかる 働き者か怠け者かもわかる 何だってわかる 自分のこと以外なら(うろ覚えで失礼)

オープニングで朗読される、ヴィヨン(映画の中で茶沢が住田に詩集を贈る)のこの詩は、映画の中で再三登場する。
意味はわからないが、詩人でもある園監督らしい。

映画が始まると、最初のシーンは震災後のがれきに覆われた被災地。
(監督は震災後間をおかず現地に行ったという)
少年(染谷将太)は打ち捨てられた洗濯機の中に、拳銃が入っているのを見つける。こめかみに銃口をあてる。

カチカチという時計の音。
ゴーッという、地鳴りのような音が鳴り響く。
この地鳴りの音は、映画の間中何度も登場した。
その度にふたたび大地震の前触れのような不安が掻き立てられる。

ハッと画面が変わり、少年・住田の住む貸しボート屋。
そこから、物語が始まる。
(貸しボート屋というとどうしても『それでも、生きてゆく』を思わせるが、関係ないのでしょうね?)

被災地の光景は、物語の場所とはっきりした関係は示されない。
住田のボート屋は、多分被災地の川の上流にあるらしい。
ボート屋の目の前の川の真ん中に、黒くて四角い家が一軒、津波で流されたままなのであろう、大きく傾いた姿で存在している。
がれきの映像以外には、震災の後を象徴的に示すのはこの傾いた家。

数日たって『ヒミズ』を思い出すとき、私は住田の泥に覆われた姿よりラストシーンより、この「川の中の傾いた黒い家」を想起してしまった。

このオブジェは非常に象徴的。
混沌としたガレキと共にではなく、崩れ果てているわけでもなく、妙に確固としたフォルムで、内部に閉ざされた空間を抱えているようにも見える。
観るものによってそれぞれ違う「何か」の象徴として心に残ると思う。
(個人的な印象については、最後に再び触れます)。

【3.11後の人間たち】

震災後、「がんばろう」コールの中で、「被災者にがんばれと言うな」という声も何度も聞いた。
「頑張れって言っちゃいけないの?」的な腰の引けた雰囲気も、雑談レベルでは多くあった。その空気が被災地支援に役立ったとはとても思えない。(ずるいエクスキューズになっているようにも感じられた)

この映画は、そのあたりのモヤモヤもきれいさっぱりしてくれる。

直接震災を描いた場面はないが、震災後を示す要素は多い。

教室での担任先生の話。「日本はここから立ち直ろうとしているんだ、すごいだろう!」「誰だってこの世にたった一つの花なんだ」と熱く語る。(ちょっとステレオタイプ的にうざい)
住田は、「花って・・・(中略)夢や頑張ることって、そんなに素敵ですか?」とクール。
その住田発言を教室で声を上げて支持する茶沢(二階堂ふみ)も鬱陶しい。
二階堂ふみは『熱海の捜査官』(染谷も出演)に出ていたことを思い出したが、あの役もうざかった。

この二人が、映画を通じてどんな体験をし、映画の最後にどんなところにたどり着くか、乞うご期待。

ああ!!そろそろネタバレ警報を発令します。

この映画は、私のうだうだした感想など読まず、映画館で観てから語りに戻って来て欲しいんで・・・。










 
 続きを読む…  
Posted at 11:34 / 映画関連 / この記事のURL
コメント(4) / トラックバック(0)
ふたたびの梅雀さん×耕史くん / 2012年01月21日(土)
【金曜プレステージで梅雀さんとコンビ再結成】

きみこさんに教えていただきました。
2月3日のフジテレビ金曜プレステージ『鬼刑事 米田耕作〜銀行員連続殺人の罠〜』に、中村梅雀さんと共に出演。
「落としの耕作」と言われる定年間近の刑事が梅雀さん。
元サイバー対策室の若き刑事・八坂健太郎が耕史くん。
既視感ありありなのは、かつて「三億円事件・40年目の謎を追え!」で平塚八兵衛役に梅雀さん、後輩の斎藤刑事に耕史くん、というのがありましたからね。
(あの頃は渡辺謙さんの『刑事一代』にも出演し、なんだか八兵衛づいてました)

今回は、シリーズ化狙いかな?
キャラの取り合わせが命だから、注目して見ます。
梅雀さんと耕史くんは、裏で即興ライブでもやりそうな組み合わせ。

【実は失敗】

もうすぐ始まる耕史くんの35歳記念コンサート、
Team YAMAMOTO Presents
Koji YAMAMOTO 35th Anniversary Live
一月バタバタしているうちに、チケットを取り逃してしまいました。
赤坂BLITZにて24日、25日。
耕史くんの音楽にはそんなに興味があるわけではないけれど、RENTのマークのパフォーマンスなども見られるということだったので、行きたかったなぁ。
当日券が出るのではと期待していたのですが、今に至るも情報はないですね。
でも、コンサートが早々と完売するのは耕史くんにとってはとても良いこと。今回は陰ながら応援します。
どなたか、行かれたら感想をお願いします(汗汗)。
 
 続きを読む…  
Posted at 18:47 / KOJI YAMAMOTO / この記事のURL
コメント(18) / トラックバック(0)
1月期ドラマにいろいろ+(『平清盛』A) / 2012年01月19日(木)


ご無沙汰でした。
ようやく普通の毎日が戻ってきました。
録り貯めしていた番組もせっせと観てます。
”時間の無駄人生の無駄”と思う日もあるけれど、やっぱりドラマ好きなんだなぁ・・・と再認識。
ドラマを楽しめる時間が一日の終わりにあるとホッとします。

【ピカイチはWOWOWの『贖罪』】

一番面白かったのは、間違いなくWOWOWの連続ドラマW『贖罪』
『告白』の湊かなえ原作、黒沢清監督、小泉今日子主演。
他のドラマの追随を許さないほど面白くてハイレベル。
15年前小学生の我が娘を殺された母親(キョンキョン)が、娘の友人四人に「犯人を見つけなさい。一生かかっても償いをしなさい」と贖罪を迫り、四人の少女がそれに縛られて壮絶な人生を生きていく。
怖くて深刻でもあるけれど、メチャメチャに面白い。

全5回。今2回。
回ごとの主人公は、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴。
蒼井優の回「フランス人形」は、森山未来君の演技が鬼気迫っていて大変。
なんの超常現象も起こっていないのに、もの凄くホラー。
小池栄子の会「PTA臨時総会」も迫力だったなぁ・・・。

映像もとても印象的で、ハッとするような画面に度々遭遇する。
本線のミステリも着々と進む。
絶対お奨めします!

【NHKの『開拓者たち』】

正月早々始まったNHKの『開拓者たち』。同局の『大地の子』が大好きだったので、見てます。
多少観るのが重たい。画面が高画質のカメラに頼るせいか、暗くて顔が判別できないことが多かったのはちょっと・・・。
でも、少し頑張って観始めれば、目が離せなくなる。満州開拓に行った日本人たちの物語。『ジャパニーズアメリカン』と比べると大変に湿り気のある物語だけど、大地の豊穣さ、中国人との対立、そしてなんといってもソ連侵攻後の過酷な運命に目が離せない。
満島ひかり、新井浩文、好演です。2話までしか観てないけど、最後まで観よう。

【ラッキーセブン】

鳴り物入りで登場の月9『ラッキーセブン』
「必ず笑えて必ず感動できて必ず元気になれるドラマ」(BYマツジュン)
うん、まあそんな感じです。
松潤も大泉洋ももちろん良かったです。
かる〜く、毎週楽に楽しんでいけそう。
まだ松嶋奈々子が眼を見張る活躍をしてくれてないけれど、それだけに謎めいて見える(ミタ効果?)

けれど・・・・なんと言っても目を見張らせられたのは瑛太。
あのヘア、メイク、ファッションなど、こだわり抜いたキャラデザが突出してます。
そしてあのアクション!!立っても、傾いても、走っても、蹴っても、殴られても、「ホォッ・・・!」と目を見張る。
特に松潤との戦いのさなかの蹴りがすごい。鍛えた肉体と身体能力にも驚き。『ワイルド7』(観てない)効果?
もちろん、(第1回はさほどないけど)ありきたりでない、リアルで細かな感情表現は折り紙付きだし・・・。
『ウォーターボーイズ』から『それでも、生きてゆく』の昨年まで成長をつぶさに見てきていますが、ほとんど出る作品ごとにハッとさせられる。
成長が楽しみであると共に、先が読めず期待と不安が綯い交ぜになる俳優でもあります。

平清盛 第2回】

第二回からいよいよ主役の松山ケンイチ本格的に登場です。

2回目まで見て、どうでしょうね。
面白く観てるけど、手放しで夢中になると言うところまではいかないんです。
ところどころに『江』的不安を思い出させる、幼稚なセリフや感情表現や筋立てが散見されて・・・。

けれど見どころは多い。
今回も伊東四朗の白河院が演技賞!!
その白河院と清盛の二度の対峙が、一番の見ものだった。

 
 続きを読む…  
Posted at 07:31 / ドラマ・ミックス / この記事のURL
コメント(8) / トラックバック(0)
ちょっとごぶさたしておりました / 2012年01月15日(日)
ちょっとごぶさたしておりました。
新年早々親しい人の急病と事故があり、バタバタとしておりました(…とはいえ実際にはほとんど役にたってないのが情けないのですが…)。

つくづく、幸福な生活がわずか一瞬で暗転してしまうものだと痛感します。
震災のような不可抗力の場合はもちろんですが、残念ながら当人にも理由の一端が問われる場合でも。

特に交通事故は、コンマ1秒の判断が運命を変えてしまう。当時者もそれぞれの家族も。被害者ではなく一生加害者側になるかもしれない。
当たり前のことではありますが、平凡な日常が危ういバランスの上に成り立っていることに改めて気づかされます。

自分にないものばかりを数えず、今あるささやかな幸福と健康(ガタガタだけど)、わずかな人間関係、日々の生活を大切にしていかねばと思います。

コメントへの返信も毎度遅れてばかりですみません。嬉しく読んでおります。ありがとうございます。

きのこ
 
   
Posted at 08:50/ この記事のURL
コメント(2) / トラックバック(0)
P R
旧館
としずきん妄想:「新選組!」再鑑賞日記
ダイエットスルルティー
期間限定特別キャンペーン中!
ブログポリシー
コメント・リンク・トラックバック大歓迎です。過去記事へのコメントにも喜んで飛んでいきます。スパムに関しては予告なく削除させていただくことがありますのでご了解ください。
トピック別索引
居眠り磐音
サルとバイオ
聖書・宗教
岸田秀関連
帰ってきた時効警察
風林火山
華麗なる一族
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
  | 前へ  
 
GMO MadiaHoldings, Inc.

自画像
新選組!再鑑賞日記