日本タイポグラフィ年鑑1997と「イマリス」

May 17 [Wed], 2017, 8:24
会社設立の前に取材の申し込みがあった。そのときの記事が『日経デザイン』(1997年1月号)の「デジタルフォント開発の現場から」である。株式会社タイプバンク(現在は株式会社モリサワに吸収合併)、有限会社字游工房などとならんで、私(会社設立準備中だったので個人名になっている)も取り上げていただいたのだ。

ここに提案しているオリジナルタイプフェースは、人間味を大切にしているという。デジタルの時代でも、文字は人間の手が生み出すものだと考えているそうだ。フォントベンダーに気に入ってもらえれば、独占的使用許諾の契約を結び、開発費用を出してもらうわけである。幸い一部の書体のフォント化が実現しそうである。

ここに書かれている「一部の書体のフォント化」とあるのは、カジュアルなイメージの「イマリス」という書体のことだ。制作中の段階であったが、『日本タイポグラフィ年鑑1997』(日本タイポグラフィ協会編、グラフィック社、1997年)にも掲載された。



「イマリス」の制作は1997年の会社設立時から開始した。制作する字数は、株式会社ニィス(現在はエヌアイシィ株式会社=長竹産業グループ)の指定する3000字ぐらいで、月ごとに制作した字数に応じて制作費が支払われた。1998年11月の制作終了時になって、やっと制作契約書を取り交わした。しかしながらリリースされたという話は聞いていないので、幻の書体となったようである。
このような方式で契約できたのは、この「イマリス」のほかには「ぽっくる」にとどまった。ちなみに「ぽっくる」は、リョービイマジクス株式会社と1999年3月に契約したうえで制作を開始した(現在は株式会社モリサワに譲渡)。

●「ぽっくる」の使用例


こういったカジュアルな見出し書体の制作は、フォントベンダーの要望に沿ったものだ。プレゼンした書体の多くは本文用書体であった。フォントベンダーからは「見出し用の独創的な書体」でしか採用できないということであった。本文用の書体は「すでに販売されているものと競合する」、「このような書体は社内で制作する」とのことだった。
こうして自主販売への道をさぐることになった。



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欣喜堂は活字書体設計をおこなっている会社です。日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史にはぐくまれた活字書体の開発をめざしています。
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