人生最良の日
April 09 [Sat], 2005, 23:59

未緒の父は癌を患っています。
2年程前に胃を三分の二切除して、一命を取り留めました。
今も毎月のように検査をしに病院に通っています。
今日は父の仕事場の上司の方が退職され、その祝賀会があったのですが
父の一番仲のいい同僚・上司に囲まれて、
久々に御飯をしっかり食べお酒を飲み交わし
昔の馬鹿話に花を咲かせていたようです。
帰りに母と未緒は酔った父を迎えに行ったのですが
夜桜を見に行こうと父の提案で桜が満開の大きな公園に行きました。
酒に酔い、少し感傷的になっていた父が
「此処が一番この公園で桜が綺麗なんだ」と言って
本当に綺麗な桜のトンネルを見せてくれました。
「2年ぶりに煙草を吸ったんだ。絶対やめられない・やめないって思ってたのに、吸ってみたら一瞬でもう煙草は俺には必要ないんだって悟ったよ…死にたくないからやめたと思ってたけどそうじゃなかったよ。もう必要ないんだ」
「いつも検査が終わった後、この公園で一人で弁当喰うんだよ。そしたらよ、毎回泣いてんだよ。今日は大丈夫だった…まだ生きれるって」
「今日は人生最良の日だ。もう思い残す事はない」
父は声を詰まらせながら、私達に話してくれました。
いつもは馬鹿やって笑って、ちょっと煩いくらいの父が本当に小さく見えて…
今まで離れて過ごしてる間の出来事だったので、
どこか非現実的な気持ちでいたのですが
本当に父と過ごせる時間は少ないのかもしれない・・・と痛感しました。
塾帰りの弟も一緒に夜桜を前にほか弁を食べながら
私達家族は静かに周りの喧騒から離れて、それは静かに泣きました。
久々に家族4人で見た桜は大きく花を広げ、
小さかったはずの弟は父の背を抜き、
4年間離れて過ごしろくに話もしていなかった娘がいて
愛する妻がいて、父は本当に嬉しかったんだろうな…
来年も再来年も10年20年先だって、一緒に桜を見よう。
必ず一緒に見よう。
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