第三章 

February 10 [Fri], 2006, 19:25
夜になった・・・・・。
空には月も星もでていない。
ただ、ぼんやりと街灯がともっているだけだった。
遠くの方では、フクロウの鳴き声がする。
ラルスは泣いている。
ただ一人、泣いている。
どうして、自分がこんなところにほったらかしにしてあるのだろう。
どうして・・・・
ラルスは身を縮めて、震えていた。
僕の何がおかしいの?
すると、だんだん目が重たくなってきた。
そして、ラルスはゆっくりと目を閉じ、眠りに入った。

「プップー・・・・・・」
夢でも見ているのだろうか。
何か不思議な音を聞いた。
その音は何故かこちらに近づいてきているような気がした。
「何だろう・・・?」
ラルスは不安になった。
音はどんどん近づいてきて、やがてゆっくりと消えていった。
すると、なにやら人間の声が聞こえた。
「よし、始めるぞ。」
かすかに声が聞こえた。
そして、いきなりあたりが動いた。
いや、箱が動いたのだ。
ラルスは驚きすぎて、動けなかった。
外では人間の声・・。
この箱は人間が持っているのだと、今やっと気づいた。
「誰?誰なの?どうするの?」
すると箱はいきなりどこかの上に乗せられて、急に安定した。
あたりには、まだ人間の声がいくつか聞こえる。
「よぉし、全部積んだぞ。出発だ。」
急に大きな声がして、その後さっきのものすごい音がした。
「プップー・・・・・・」
すると急に箱が揺れだした。
ラルスはもう訳が分からなくなった。
ただ、揺れに自分のみを任せていた。

女の子は朝の日差しが入る窓から、じっとその光景をのぞいていた。
そしてその視線の先には、ゴミ収集車があった。
ラルスは処分されるのだ・・・・・・。
女の子はゴミ収集車が出発するのを見ると、安心したかのように窓から消えていった。

まだ、朝はやってきたばかりだった・・・・・・

第二章 

February 10 [Fri], 2006, 18:59
「・・・・・・・・・。」
女の子は無言だ。
ただ、じっとラルスのことを見つめている。
ラルスは、自分に微笑んでくれなかった飼い主に少しがっくりしたような困った顔をしている。
「・・・・・、あの、ぼ、僕ラルス!!」
ラルスはもう一度、女の子に向かって言った。
心臓の音は、高鳴る・・・・・・。
女の子が口をゆっくり開いた。
「あなた、何故?何故そんな目なの?ねぇ、どうして?」
女の子は、少し大きめの声で言った。
この目のことが、本当に気にくわないらしい。
少し表情がきつくなった。
ラルスは、このとき感じた。
自分はどこかが違う、
飼い主に認められていないのだと。
ラルスは、しゃべることができなくなってしまった。
女の子は、なにやらガサゴソと音を立てながら、包装紙を扱っている。
ラルスにはその行動がよく分からなかった。
そこで、女の子に、
「飼い主さん、何をしようとしているの?」
と訪ねた。
女の子は、ラルスの顔を見ずに言った。
「不良品みたいだから、返すの。」

「・・・・・・・・・・・・?」
ラルスには、よく意味が分からなかった。
「フリョーヒン?どこに何を返すの?」
女の子は、ラルスの質問には答えず、包装紙を扱っていた。
そして、木箱のふたを開けると、ラルスの体をきつくつかんだ。
「痛いよ!!」
しかし、女の子はラルスの言葉なんて気にしていない。
そして、ラルスを箱の中に入れると、急いでふたをしめた。
ラルスは、泣き出した。
小さな小さな鳴き声を出しながら。
女の子は包装紙でつつまずに、お道具箱に入っているガムテープでぐるぐるまきにした。
そして、かいだんを小走りで下りていく。
「出して・・・!」
ラルスの叫び声はもう聞こえない。
女の子は玄関にでて、ゴミ捨て場へと歩いていった。
そして、箱の上には文字が書かれた紙を貼った。
紙に書かれていたのは、「リヴリーを返します。」ということだった。
そして、女の子はラルスにさよならも言わずに、小走りで家のほうへ帰っていった。

ラルスはひとり、箱の中で泣いていた。

第一章 

February 10 [Fri], 2006, 18:21
「ピンポーン」
ドアのベルが鳴る。
女の子は真っ先に玄関に走り、高ぶる気持ちを抑えながら、ゆっくりとドアをあけた。
「お届け物です。」
宅配便のおじさんはニッコリと笑い、女の子に小包を渡した。
震える手でそれを受け取った女の子は、小包に書いてある文字を見た。
「〜Livly Islandからの宅配便〜」
そう、これは女の子が望んでいた、素敵な贈り物。
リヴリー。
「宅配便屋さん、ありがとう!」
女の子はそういうと小さな顔を精一杯上に向けて、おじさんにニッコリと微笑んだ。
宅配便のおじさんは、女の子と同じく、微笑み、
「大事に育ててあげるんだよ。」
と、優しく女の子に言った。
そして、女の子にさよならを言うと、背を向け、小走りで、車に乗っていった。
女の子は、車の中にいるおじさんに手を振り、駆け足で家の中に入っていった。
そして、女の子は階段を一生懸命、できるだけ早く、上っていった。
いつもなら、お母さんに、こけるからゆっくり上りなさいと言われるが、
今はそんなことは関係ない。
早く、早くこの小包を開けたい気持ちでいっぱいなのだ。
自分の部屋に駆け込んだ女の子は、床にそっと小包を置き、
木箱の上につつんである包装紙をはずし始めた。
胸が高鳴る・・・。
包装紙を取り終え、ゆっくりと木箱のふたを開けた。
「わぁ・・・・・・・!!!」
箱の中には、オレンジ色のピクピクと動く耳が見えた。
女の子は、そっとそのリヴリーを箱からだそうとした。
しかし、緊張してか、なかなか触ることができない。
だが、思い切って、体の部分をつかんだ。
すると、リヴリーは驚いたようだ、ピクッと体を震わせた。
女の子も、少し驚いたが、ゆっくりとその体を持ち上げていった。

「・・・・・・・・・・・!?何これ?」
そのリヴリーは何故か目に傷があった。
最初から、何故だろう。
リヴリーは、周りをきょろきょろと見回し、やっと飼い主を見つけると、
にこっと微笑み言った。
「僕、ラルス!!」


P R
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