ザ・コンビニポータブルについて思う

November 22 [Thu], 2012, 6:52
併しこの認識論(夫はとりも直さず批判主義の最近の形態に外ならぬ)は、必ずしも言葉通りに認識理論なのではない。と云うのは、之は単に認識の理論なのではなくて、正に科学的認識[#「科学的認識」に傍点]の理論なのである。実際カントが「認識」と呼ぶものが、又「経験」と呼ぶものさえが、ニュートンの物理学によって示されるような科学的体系に近いものを指していた。バークリやロックが問題[#「問題」に傍点]とした「認識論」と、批判主義が立つ立場[#「立場」に傍点]としての認識論との、重大な相違の一つは之である。前者は認識を一つの人間的能力[#「人間的能力」に傍点]としてしか取り上げない、之に反して後者は、認識を、科学的認識を、即ち要するに科学を、認識として取り上げる。ここでは科学という一つの文化[#「文化」に傍点]が問題なのである。
 批判主義は認識論の名に於て、即ち科学的認識の批判の名に於て、何をなしたか。夫はこの立場からすればおのずから科学の批判[#「科学の批判」に傍点]でなければならないが、科学に於て批判されるべきものは科学的認識の妥当性――論理的な必然性と客観性――の権利づけ[#「権利づけ」に傍点]であった。認識論はそうした意味で論理学[#「論理学」に傍点]となる(カントの先験的論理学)。――だが科学の権利づけはおのずから科学に於ける様々な意味での方法の[#「方法の」は底本では「方向の」]検討に導かれざるを得ないだろう、認識論は方法論[#「方法論」に傍点]となるのである。
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