彼女について。

September 20 [Thu], 2012, 12:53
いつからだろう。
彼女は、人の顔が、皆同じに見えるようになりました。
無口な父も、社交的な母も、唯一の親友も、初恋の彼も、皆同じ顔をしているのです。
しかし、彼女自身だけは、彼女のままでした。
彼女は精嵩Iに病んでしまい、何かを見るという行為を割けるようになったのです。
一日中、ベットの上で目を閉じていました。
眠るでもなく、起きるでもなく、ただ何も見なかったのです。
彼女が、いつものように何も見ずにいると、何もない所から、小さな男の子がやってきました。
その男の子の顔が、他のものと同じに見えるのかは、もう分からなくなっていました。
彼女の何も見ない時間は、それ程長いものでした。
男の子は、彼女に、言いました。
なにがみえるのなにもみえないよと彼女は答えました。
おもしろいのフツーだよフツーはおもしろくないのフツーだよじゃあ、なんでフツーでいるのなにかをみるのにつかれたの。
ぜんぶフツーにみえるの。
でも、わたしだけフツーじゃないの。
みんなフツーなのに。
わたしはひとりぼっちよ。
それがわたしのフツーなの。
でも、みんなにとってはイジョーなの。
へんね。
フツーじゃないわね。
彼女と男の子は、毎日会話をしました。
そして、彼女はいつの間にか、男の子が好きになりました。
彼女は男の子に言いました。
わたし、あなたが、すきよ。
すきだわ。
すると、男の子は何も言わずに、何もない所へと帰って行きました。
それから彼女の元に男の子は現れなくなりました。
彼女はとても悲しくなりました。
とても泣きました。
そして、彼女が流す涙は、重たい扉のような瞼を、ゆっくりと開けました。
彼女は、久しぶりに何かを見ました。
長い間、何もない所で微睡んでいたとは思えないほど、身が軽いのです。
しかし、何もかもが同じ顔に見えるのは変わりませんでした。
彼女は、慌てて目を閉じました。
しかし、もう何も見ないことが出来なくなっていました。
微睡みに溺れても、彼女には何かが見えるようになっていました。
彼女はガクガクと震えだし、机の上の鉛筆で、自分の眼球をえぐり出しました。
すると、彼女は何も見ないことが出来るようになりました。
さらに、あの男の子もまた現れてくれました。
とても幸せな気分です。
永遠の微睡みを手に入れた彼女は、ひたすら何かを見ませんでした。
今、彼女田中みなみ 迷惑は自殺に憧れています。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:kfn2sbrq4e
読者になる
2012年09月
« 前の月  |  次の月 »
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/kfn2sbrq4e/index1_0.rdf