ハミセイにすっかり狂ってるんですが、奏さんとの身長差ももえるよね!ということでかなエレみたいな話です
あんまりからんでないけど…これから受け同士でニャンニャンすればいいんだニャ!
あとエレンは猫のときなかったのに人間になったら突如としてはじまってしまった生理痛に苦しむといいよね、もえるよねって思うんですが、ツイッタでその話したら変態呼ばわりがひどかったです。そのうちそういう話も書きます
今日は友人の結婚式です
リア充爆発しろよ!!!!!!!!
■ 月に暈がかかるなら
雨の日は苦手、と打ち明ける顔が曇りがちだったのが印象的で、家に帰ってもまだまぶたから離れなかった。
今日もネガトーンとの戦いがあり、無事に撃退して、その帰り道だった。響とハミィは先に三叉路で別れていて、エレンとふたりで歩いていたときに、ぽつりとつぶやいたのだった。見上げる空は月に暈がかかっていて、明日の空模様をうかがわせていた。
「どうして?」
猫だったら、毛並みが湿るから、とかそういうこともあるかもしれない、けど今はすっかり人間となったエレンなのだから、髪でも気になるのだろうか。それをいうなら奏も毛先が巻いてしまって、そういう意味では雨はあまり好きではない。
でもエレンの顔は、もう少し深刻だった。
「どうしても、思い出しちゃうから……」
そこで調べの館へと続く小道に差しかかって、エレンは足早に別れを告げた。たぶん最初の一言も云うつもりはなかったのだとわかったから、奏も言葉を重ねることは止した。
「じゃあ、また明日」
去り際にのぞいた横顔の頼りなさに、息が詰まった。
夕食の手伝いをし、宿題を済ませて、なんとなく窓の外を見やると月はかなり西に動いていた。暈のかかった月が、いつもよりぼやけて、反響するような光になってあたりをぼんやりと照らしている。少し身を乗り出してみると、なんとなく空気が重たい。埃っぽい、におい。
「雨、か」
一人ごちて、窓辺に頬杖をついてみる。
エレンはあまり過去を語らない。思い出してしまうこと、とやらを考える。メージャーランドのことか、それともマイナーランドでのことか。それとも、初めてキュアビートに変身したときのことか。
奏に思い当たるのはそれくらいで、それくらいのことでは、何もわからない。ただ、じきに降るであろう雨のために、友人が一人、気をふさいでしまうことはわかる。
最初のころに比べれば、だいぶ打ち解けた。冗談を云うようにもなったし、遠慮も少なくなった。引っ込み思案なところは相変わらずだけど、みんなでいっしょにいるとき、心から笑っていることが多くなった。
敵対していたときにはわからなかったけれど、金色の瞳は、月の満ち欠けのように感情の色を映しだす。誠実な彼女の真摯さを、そのまま反映するかのように。できればいつも輝く満月でいてほしい、と思う。今夜みたいな月のように曇るのは、見ていて痛ましい。
「……響が、ちょっとうつったかな」
自分も傷つきやすいくせに、友人が傷つくのを何よりも恐れる親友の顔が思い浮かぶ。そして人のためならどんな苦労も厭わない心の強さ。昔から響にはそういうところがあった。ただそれは弱くて、少しでも壁にぶつけると、すぐにあきらめがちだった。あきらめてしまうことで自分も傷ついていた。
今の響は、ちがう。その変わった響からいつももらっているものを、奏は胸のなかで開いてみる。あたたかい、それを、手の中でそっと開く。自分が響にもらっているものが、どうしてエレンに差し出せないことがあるだろう。
時計を見る。まだ寝るには早い時間だ。もしかしたら今日エレンは、眠らないかもしれない。眠れないかもしれない。
「ここで決めなきゃ女が廃る。って云うべきかしら」
口に慣れない言葉がなんだか愛おしくて、苦笑いしながら奏は窓辺を離れる。
帰ってから作ったカップケーキがまだ残っていたはずだ。それに、ちょっと濃いめに入れたミルクティーを水筒に詰めていこう。
突然の夜の訪問。きっと目を丸くするエレンに、なんて云おう。
本当は、少しこわい。だけど、きっともっとこわい夜を一人で過ごす友人は、放っておけない。
話をしよう、と思う。まだ知らない彼女のことを。彼女の知っているハミィのことを。それから、自分や響のことを。明日は寝不足かもしれないけど、構わないと思う。だって知りたいことが、多すぎる。知らなくて傷つくことは、ざわざわする。自分の作るケーキは、それを埋めるための気合いのレシピだわ、と思う。
外に出ると、夜だけど、町のそこかしこから、まだささやかに音楽が聞こえてくる。子どもが練習しているようなものから、慕い合っている人同士の連弾のようなものまで、いろいろな音が、加音町を包んでいる。
そういえば、エレンの歌をまだちゃんと聞かせてもらっていない。突然の訪問はそれを口実にしよう、と決めて、奏は夜の町へ軽やかに踏み出した。