トゥモロー・ワールド

2006年11月19日(日) 1時37分


久々に度肝を抜かれる映画を観た気がします。
終末観が漂う映像からみなぎる緊迫感やエネルギーがすごい。
原題の"Children of men"(「人類の子供たち」)という
原作小説の「18年間子供が生まれない2027年」の世界を
モチーフに、かなり監督アルフォンソ・キュアロンの創作が
入った物語。「ハリーポッターアズガバンの囚人」しか
観た事無かったんですが、こんな才能の持ち主だったんですね。
なんというかすごくクールでカッコイイ映画だと思いました。

西暦2027年、原因不明の病気で人類には18年も子供が誕生していなかった。
人類最年少の青年が死亡した事が世界的なニュースになっている。
エネルギー省の官僚セオ(クライヴ・オーウェン)は、ある日
元妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)率いる反政府組織
に拉致されるが、移動中に襲撃にあって彼女は死んでしまう。
アジトではキーというアフリカ系少女を守る事が目的だった。
彼女は妊娠していたのだ。

思わず興奮して「すげー!」って言いそうになって
しまったのは、アジトへ向かうセオたちを乗せた車の前方から
突然火だるま状態の車が林の中から落とされて、
何者か大勢が一斉に襲撃してくる場面。
アジトから逃走するシーンもなかなかエンジンが
かからない車のウィンドウ越しに人力で猛ダッシュで
追いかけてくるシーンなんかもそうですが、
一緒に逃走しているようなリアルな緊張感が続きます。

圧巻はラスト数分間の戦闘に巻き込まれるシーン。
8分くらいの長廻し!撮影だそうなんですが、
手持ちカメラを持って主人公と一緒に逃げている気分に。
カメラに血が飛んでもそのまんま(笑)
もう実際すぐに流れ弾に当りそうな感じというか。
緊張しまくりでした。スゴ素晴らしかったです。

背景の世界の詳細の説明をかなり取り払ってしまってる
ので、ちょっと置いてきぼり感もあります。
人物描写も敢えてあまりつっこんでいないけど、
かえってそれがスピード感を出している気がしました。
「なんとなく救いも希望も無さそうな近い未来」
のイメージの中に放り込まれて、深く考えてるヒマも
ないほど主人公と一緒に逃げまくります。

こういう近未来設定の物語って興味あったので、
原作を読み始めてた所だったんですけど、
イメージが随分違うので驚きました。どちらかというと
登場人物の過去や内面なんかも詳しく描写される小説。
例えば子供はセオが過失で自分が車でひき殺した事になってるのに、
インフルエンザで死んだ事になってたりとか、
そもそもジュリアンは元妻じゃなくて生徒だし、
あと「オメガ」や尊厳死を助長する「生命の解放」の事とか・・。
クライヴ・オーウェンはバタ臭い顔だななぁっていつも
思ってしまうんですが、この役は合ってると思います。
原作のセオのイメージは教授なんであんなやさぐれた
感じじゃなかった気もしますけど(笑)

「ブレードランナー」のようなキンキラ近未来じゃなくて
今のロンドンが微妙に変わっている程度のイメージと
今の時代のものが、崩れてしまっている
戦地のようなイメージを上手く混ぜている美術と撮影も
素晴らしい。
子供が生まれない世界だからなのか、
ペット(特に犬!)を飼う家が多くなっているとか、
車や広告やテレビの微妙な進化なんかの
アイディアも細かい設定を実は考えて作っているのも
面白いです。

そして、音楽の使い方も自分好み!
キングクリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」や
ストーンズの"Ruby Tuesday"のカバーなんかも
使い方が印象的。
70年代ロックが終末観を醸し出すなんて
そんな時代になってきたんでしょうね〜
美しいオリジナルスコアのジョン・ダウナーは
現代音楽の大家で始めて映画の曲を書いたとか。

テロがテロを呼んでいって、もう収集がつかなくなって
るとか、少子化が進んでたりとか、今現在の世界が
悪い方向に向かっていったらほんとにこんな感じかも?

この映画日本の方が先みたいで、アメリカ公開は
年末なんですねぇ・・。
とにかく映画的興奮と緊張感を味わえる作品です。
長廻し襲撃シーンだけでも一見の価値ありかも!
自分もそこにいるかのようなど迫力なので
出来れば音のいい劇場でどうぞ!

kazuponの感想ー★★★★1/2

追記 再び観にいってしまったのでこちらもどうぞ。
↓シーンについてダラダラ書いております
11/30 トゥモロー・ワールド再び

official site
http://www.childrenofmen.net/

日本公式
http://www.tomorrow-world.com/

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