花よりもなほ

2006年06月11日(日) 11時41分


この作品、ほんわかしててとても気に入りました。
あまり何も起こらない時代劇。登場人物がどれも魅力的。
のんびりと可笑しく過ごす彼らの日常を見て行くうちに、
なんだか自分がボロボロの長屋の住人となって
一緒に見守っている気になってくるから、
楽しくてしょうがありませんでした。
この続きをずっと観ていたいと思ったくらい。

元禄時代、松本藩の若侍・宗左(岡田准一)は父の仇を追って
江戸の貧乏長屋に3年も身を置いていた。
そこには店賃もろくに払えない連中ばかりがゴロゴロしていて、
貞四郎(古田新太)にはいい加減な仇の情報の代わりに酒を奢らされてばかり。
住人の一人、おさえ(宮沢りえ)は夫を亡くした一人息子に漢字を教えて
たのがきっかけとなり、、ろくに読み書きも出来ない長屋の連中に
宗左は寺子屋の真似事を始める。
ある日、父の仇・十兵衛(浅野忠信)近くの長屋で名を変え、
貧しくも幸せそうな家庭を築いているのを発見してしまい、
即刻仇討ちが出来ない自分に葛藤を覚える。

まず長屋のセットが素晴らしい。
屋根が微妙に傾いてて、障子戸の立付けがガタガタだったりとか(笑)
もちろん元禄時代の長屋なんて実際はどうなのか知る由もないから、
リアリティという言葉は相応しくないかもですが、リアルな虚構というか。
当時こんなんだったんだろうなぁと思えてきます。

物語のサブ要素として忠臣蔵の討ち入りが盛り込まれます。
「47人で寄ってたかって一人の寝込みを襲うなんて卑怯だ!」って
自分も思った事あります(笑)
脚本も書いている監督の考えがちょっと反映されてるのかな?
貞四郎が今の時代仕返しなんて時代遅れだよ!って劇中で言ってましたけど、
現在でも国家レベルでそんなの山のようにある訳ですし。

宗左が十兵衛に会いに行く場面から仇討ち一大芝居のくだりは
結構涙腺が潤みました。
報復してどっちかが死ぬより思い出を残す事のほうが大切なんだと。
実際はこの当時、侍がこんな事したのバレたら、
それこそ歴史上の大汚点にされてたんだと思いますけど。

↓下に続きます
宗左の目的であった仇討ち。
おさえが隠し持つ夫の仇の人相図。
お祭りの仇討ち芝居と後半のホントの仇討ち大芝居。
そして赤穂浪士の吉良への仇討ち。
と仇討ちのオンパレードとなってますが、それぞれを
「復讐のための報復」という行為について
ちょっと考えさせられる見事な脚本。

長屋には貞四郎と西部劇にいそうなキャラのさだ吉みたいな
人もいるのがいいですね。
貞四郎が仇をとっくに見つけてるのにワザと教えてなかったり、
さだ吉がそれでも長屋を出て行かなかったあたりいいなぁと思いました。

脇のお笑い芸人たちは、自分が関西人なんで、どうしても虚構の世界から
現実に引き戻されてしまう感じだったんですけど、
(急にチャンバラトリオのカシラ!が出てくるとか)

その中で古田新太と香川照之は圧倒的に良かった気がします。
古田さんこういうのほんとハマリ役ですよね。天才的とも思えました。
岡田准一は「タイガー&ドラゴン」や「木更津キャッツアイ」
でもダメ系男子を面白く演じてましたけど、これはまた違うダメ系で
良かったです。まぁ男前ってのもあるけど、この人は俳優やってると
輝いてますよね。テレビのバラエティで見かけるとなんだか
居心地悪そうに見えてしまうんですけど。ジャニーズ系の中では
役者として突出してるんじゃないかと思ってます。

かなり淡々と進行する映画なんで、ひょっとしたらテンポ的に
合わないと思う人もいるような気がしますが、
自分にはその淡々さが心地よかったです。

誰かが決めたレール通りに走らないと、その人はダメなのか?
人と争う事が嫌いでも日々楽しければそれでもいいんじゃないの?
ってなんとなく感じせてくれる映画。
でも決してニート推奨作品ではありません!

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