嫌われ松子の一生

2006年05月28日(日) 8時27分


これはスゴイ傑作でした。期待以上に圧倒されましたよ。
「下妻物語」の中島哲也監督の新作。
全編派手な演出で、テンポが速くて、
スクリーンから溢れる情報量が半端じゃないのに
ちゃんと芯の通った部分があるのは前作に共通する部分。
主演の中谷美紀も、語り手となる瑛太も画面の中で輝いていました。
昭和の終わりの時代を彼女の波乱万丈人生と一緒に進んでいくんですけど、
不幸なのに楽しい。
映像がポップで美しい。
音楽の使い方がすごくいい。
人生ってどんな辛い事が起こってたとしても
客観的に見たら、平坦な人生より、
実はとても充実した面白い生涯なんじゃないか?
不幸が題材の映画なのに、
見終わった後は何故か爽快感を感じました。

東京で一人暮らしをする笙(瑛太)の元に父が九州から突然訪ねて来た。
父の姉で絶縁状態だった松子が数日前に殺されたらしく、
彼女が住んでいたボロアパートの掃除を命じられる笙。
次第に会った事の無いオバサンの不幸な過去に興味を持ち始める。
中学教師だった松子(中谷美紀)は修学旅行で生徒が旅館のお金を
盗んだ事件を、自らやった事にしてしまいクビになる。
病弱の妹と厳格な父のいる家を飛び出した松子は売れない作家の女
→不倫→ソープ嬢→ヒモを殺して投獄→ヤクザの女→
引き篭もりと、とことん報われない一生を送っているのだった。

元々ぐいぐい力で押していくなんでもアリ!な映画は大好きなんで・・。
気が付いたらあっという間に二時間越えてエンディングを迎えてました。
こういう派手な演出で小ネタが多かったりすると途中で
飽きてくる場合が多いんですけど、この映画は逆で引き込まれました。
時代によって展開が変わるのをフラッシュバックだけで見せていく
ような作品なのに、ラストでほろっとしちゃう人が多いと思います。

中谷美紀って実はこれまであまり好きじゃなかったんですけど、
本作の彼女は圧倒的な存在感で素晴らしかった。
他の女優さんが観たら嫉妬するんじゃないかと思えるほど、
魅力的な役と演技なんじゃないかなぁ。

↓下に続きます
個人的には「アメリ」と去年の「親切なクムジャさん」を足したような印象もあって、
「風と共に去りぬ」とか「オズの魔法使い」とかそういう
女性の一生についてのいろんな作品の要素を不幸をスパイスに
しながら楽しく、そして新しい感覚で描いてるという印象(ヘンな表現でごめん)。
上記の映画って描いてる所は「女の幸せ」ですよね。

ほんとにマンガのような典型的な不幸のつるべ打ちですけど、
共通するのは彼女がいつも男性によって人生が翻弄されてしまうこと。
デートで観に来たら「ソープに身売り」みたいな設定は
ドン引きしちゃいそうですけど、そこは
Bonnie Pink(結構ファンです)のミュージカルシーンにしちゃって
ドロドロ感を排除するのは上手なぁと思います。
後半ひょっとしたらホストクラブにハマって借金地獄にとか
想像してましたが、時代が時代なんで光GENJIにハマってましたね(笑)
判るわぁ。あんな人知ってるもん(笑)

松子の後年は、ゴミを放棄したり、芸能人に死ぬ程長文のファンレターを
送りつけたり、得体の知れないオバサンに堕ちてしまいました。
ニュースで報道される同じようなゴミを不当投棄したり、騒音おばさん?
とか、ああいう人って勿論この映画のような少女時代があった訳ですし、
どの段階でああなるのかな?って自分も考えた事あります。
彼女達の若い頃ってどんなだったんだろう?
原因が不幸のつるべうちだったらちょっと寂しいですね。
女性はどこでオバハン(あえて関西弁)になっちゃうのか・・・。
男はどこでオッサンになってしまうのか・・。
それは本人のせいなのか、運命なのかは人によって様々だと思います。
映画ではそこに時間を裂いてませんでしたけど、そこまでは
本能的に彼女が自分からダメな方向にいっちゃう性質があるんで
すよね。

監督の前作「下妻物語」はいつも一人でロリータしてる
エキセントリックな深田恭子とレディース暴走族にいた
土屋アンナの奇妙な友情を、同じようにド派手に演出しつつも、
「群れないで一人で立っている事が一番難しくてかっこいい!」
というメッセージがちゃんと伝わる映画でした。

中島哲也監督って、今の世の中で当たり前の
群れるとか、安定なんかと間逆のアウトロー的な生き方に
魅力を感じてるんじゃないかなぁと思います。
そこが好きな部分です。
最初頻繁に片平なぎさの火サス(笑)の映像で、必ずがけっぷちに
追い詰められた犯人は飛び込んじゃってましたけど、
彼女は「終わった」と言いながらも
最後の最後まで決して人生を諦めなかったですよね。

昭和の後半って激動の時代からちょっと安定期に入った頃で、
いい波に乗らないと逆に取り残されちゃうというか、そんな
時代だったんじゃないかと思います。
でも子供時代はデパートの屋上で夢を見る事がまだ簡単に出来た。
今の子供たちってひょっとしたらこういう人生は
もう歩めないのかもしれないですよね。
昭和史を背景に描いてるこの作品のラスト近く、
松子が殺した犯人がアレだったのは、とっても意味深な印象を受けました。

とにかくスクリーンで見るべき作品なので、
是非劇場で!オススメします。

kazuponの感想ー★★★★1/2

official site
http://kiraware-matsuko.com/

追記
カンヌ映画祭と同時開催されている「カンヌ・ジュニア・フェスティバル」で
5月27日、中島監督の前作「下妻物語」がグランプリを受賞したそうです。

これも大傑作「下妻物語」スペシャル・エディション DVD@amazon


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嫌われ松子の一生 愛蔵版 DVD@amazon
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