愛の神、エロス

2005年05月07日(土) 12時56分


大好きなウォン・カーワイ(王家衛)監督作品なんで
やっぱり気なったので観てみました。

「恋する惑星」「ブエノスアイレス」の王家衛
「オーシャンズ12」「エリン・ブロンコヴィッチ」のスティーヴン・ソダーバーグ
「欲望」「砂丘」のミケランジェロ・アントニオーニ
の3巨匠によるオムニバス・コラボレーション。
テーマは「エロス」!とはいいながら、ラストのアントニオーニ監督のもの
以外は観る前に予想した通り、間接的に「エロス」を描いていました。
オムニバス映画は過去にも沢山ありましたが、先日書いた
「コーヒー&シガレッツ」とは違って、数人の監督が集まる作品。
となるとどうしてもまとまりが無くなる場合が多いのですが、
この作品も全体としてはちょっと散漫な印象を受けました。
それぞれの監督のファンだったら、
観て損は無い映画だとは思います。

なんでも元々、アントニオーニ監督が王家衛、ソダーバーグに「エロス」
をテーマにした映画オムニバスを持ちかけたのがきっかけらしいですね。
王監督の「ブエノスアイレス」の原題「春光乍洩」は、アントニオーニ
監督の「欲望」の香港公開タイトルらしいです。それくらい彼に
影響受けている王監督ですから、引き受けない訳ありません。

1本目王家衛"The Hands"
若き仕立屋(チャン・チェ)が謎の娼婦(コン・リー)にプラトニックに
恋をしてしまう物語。

これはもう「花様年華」「2046」のアウトテイク的な映画だと思いました。
同じ60年代?の香港が舞台で、上記2作品の中にエピソードとして
取り込まれていても違和感ない雰囲気の中篇。
「2046」の感想で、王家衛の映画はいつも「成就しない恋愛」が
メインになっていると書きましたが、これも全く同じシチュエーション
でした。王監督、よほど過去にプラトニックな恋愛をして、未だ
引きずっているのか、そういう物語しか頭に浮かばないのか(笑)
元々、彼の映画ってストーリーはあって無いようなもの
なんで、これくらいの中篇って時間的にもちょうど
いいような気もしました。いつもだと同じ内容がどーん!と
長くなってるだけだし。。いや、そこが好きなとこなんですけど(笑)

↓下に続きます
コン・リーの娼婦は「2046」のチャン・ツィイーが演じたホステスの
キャラに結構近いですね。精神的な弱さを高慢な態度を取る事で
誤魔化している感じ。
チャン・チェは彼独特の若々しい存在感が、映像の中でスタイリッシュに
はまるタイプ。今回も彼がいるだけで絵的に美しい
シーンが随所にありました。
昔の香港の仕立屋が実際あんな雰囲気だったのかは判りませんが、
(全員ランニングで汗だくで作業してて、機械工場みたい)
とても印象的。ああいう古めかしくて雑多な感じを、
独特にかっこよく見せるのは王監督と撮影のクリストファー・
ドイルの得意技!
王監督が好きだから多少贔屓目ですが、3作品の中でこれが一番
作品のクオリティが高いと思いました。

2本目、スティーブン・ソダーバーグ"Equilibrium"
おそらく他の2監督が官能的な作品を作ってくると予測したのか、
変化球で勝負!みたいな印象です。エロスというよりも
オチのある短編ブラックコメディ。テレビの「トワイライトゾーン」
なんかの一編にありそうな感じでした。
ただ、ハッキリ言ってつまんない!です(笑)
夢の中の女というのをテーマに物語を膨らませたと思うんですが、
実験的になりすぎていた感じ。
処女作が「セックスと嘘とビデオテープ」のソダーバーグですが、
(これも殆ど直接描写の無い、エロスに関する映画でした)
僕、この人未だに作家のスタイルが掴みづらい監督ですねー。
どれも違う印象と、作品によってはとっても散漫な感じを受ける
のもあるし。
ロバート・ダウニーJr(老けたね!)とアラン・アーキンのお芝居
は結構楽しめますが。。。

で、発起人ミケランジェロ・アントニオーニ監督作
"The dangerous thread of things "
アントニオーニ監督、もう90歳!を超えて監督したものとのことで、
正直、90歳の方の頭の中にある「エロス」ってこういう古臭い
イメージなのかなあと思ってしまいました。
いくら評判の映画でも僕にはただ無駄に長いとしか
思えなかったジャック・リヴェットの「美しき諍い女」しかり。
裸の女性が海辺でダンスする、、なんてなんかもう何十年も前の
ヨーロッパ芸術映画っぽいものを感じたんですけど。
(ってあくまでイメージですが)
でも、なんというか「これ何を考えて作ってるのかなあ」と
常人では考えられない「なんでもなさ」が気になる作品では
ありました。
たとえばこんなシーン。
別荘?でケンカした夫婦が車を出す場面。
とっても擦りそうな狭い門を車が出て、一度左手の道を行くんですけど、
少し走ったら停止して、バックして戻って、一本上手の道を通り直す。
この映像を2分くらい?かけて見せてます。ハッキリ言って何の
意味も無いと思えたこのシーンの意図はあるのか?
いや無いに違いない!(笑)
そういう面白さは確かにありました。

だから、この3作で一番後で気になった作品は裸がいっぱい出てきたから!(笑)
ってのは置いといて、この3本目だったりするんですね。
なんじゃこりゃ!って感じで。不思議なもんです。

映画のつなぎとして、ロレンツォ・マットッティの絵画と共に流れる、
カエターノ・ヴェローゾの歌が相変わらず美しくて最高です。
この曲のタイトルがなんと「ミケランジェロ・アントニオーニ」!(笑)
語感がキレイなんですんなり聞こえますが、日本だったら
「山田洋次」!とか「黒澤明」!ってタイトルの曲ってことか(笑)
カエターノ、たしか来週くらいに日本でコンサートやりますね!
そういえば「ブエノスアイレス」にも「ククルクク・パロマ」がイグアスの
滝のイメージに使われていましたね。


余談ですが、僕が大好きなDJ ShadowっていうDJアーティストの
"Six Days"ってビデオクリップ、王家衛が監督してて、主演チャン・チェ!
で、刺青師を演じてます。カッコいいですよーこれ。
あんまり知られてないので、リンク貼っときますね。
どちらかというとこっちの方がかなりエロティック!
ここで観れます↓
http://www.djshadow.com/

サイト内のMedia Player → VIDEO
の中にある"Six Days"をクリック!

3本の作品について書いたのでとっても長くなってしまいました;;

kazuponの感想ー★★★

http://wip.warnerbros.com/eros/

eros(2004)@imdb

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「愛の神、エロス」DVD@amazon

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